今から62年前。
日本の漁船、第五福竜丸が太平洋で遭遇したのが。
アメリカがビキニ環礁で行った水爆実験です。
原爆の数百倍以上の威力を持つ水爆。
その実験を、初めて行ったと北朝鮮が発表しました。
北朝鮮のテレビには、重大ニュースのときに登場する、あのアナウンサーが。
突然の発表に、日本政府も対応に追われました。
実験のものと見られる人工的な揺れが観測されたのは、北朝鮮の北部。
この近くでは、過去にも核実験が行われています。
核抑止力を絶えず強化していくと主張した北朝鮮。
そのねらいはどこにあるのでしょうか。
こんばんは。
ニュースウオッチ9です。
突然の発表に、世界に衝撃が走りました。
ー北朝鮮が地下核実験を行ったのは4回目ですが、水爆の実験を行ったと明らかにしたのは、初めてです。
日本のほか、中国や韓国が相次いで非難。
アメリカは、強い態度で臨む姿勢を示しています。
今夜は北京、ソウル、そしてワシントンと結んで、各国の対応について、最新の情報を聞きます。
そして、スタジオには、北朝鮮情勢に詳しい、関西学院大学の平岩俊司教授にお越しいただきました。
平岩さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
平岩さんは、最初にきょうこの発表を聞いたときは、どのように感じましたか?
もう昨年から北朝鮮に対話攻勢に出ておりましたし、昨年の後半には、中国との関係も一定程度修復したという、そんな状況がありましたので、このタイミングで核実験を行ったというのは、ある意味少し驚きましたし、またことしの5月に、党大会を開催するということですから、それまでは比較的安定した国際環境を求めるだろうというふうに思われた中での実験だったので、非常に驚きました。
やっぱり驚いたと。
平岩さんには後ほど、詳しく伺っていこうと思いますが、まずはきょう、国内外でどのような動きがあったのか、振り返ります。
総理大臣官邸。
緊迫した表情で、閣僚たちが入っていきます。
きょう午前10時半ごろ、気象庁は、北朝鮮北東部で、地震の波形とは異なる振動を観測。
マグニチュードに換算すると、5.0と推定されるということです。
この揺れは、国境を越えた中国・吉林省でも感じられ、ネット上には、生徒たちが校庭と見られる場所に避難している写真も投稿されています。
そして、日本時間の午後0時半。
北朝鮮は国営テレビを通じて、初めての水爆の実験が成功したと発表しました。
北朝鮮から配信された映像では。
今回の実験。
キム・ジョンウン第1書記が先月15日に命令を下し、今月3日、最終命令書に署名したということです。
2013年2月以来、およそ3年ぶり4回目となる北朝鮮の核実験。
水爆実験に、特に心を痛めている人がいます。
静岡県島田市に住む見崎進さんです。
第五福竜丸の元乗組員で、62年前、アメリカの水爆実験で被爆しました。
下痢ややけどなどの症状に見舞われた見崎さんは、帰国後、東京の病院に1年2か月の間、入院。
その間に、大切な仲間を失いました。
水爆の恐ろしさを体験した見崎さん。
今回の北朝鮮の発表について。
国内では、警戒の動きも。
自衛隊機が観測のために、飛び立ちました。
防衛省は、大気中のちりを収集する装置を取り付けた自衛隊機で、上空を漂う放射性物質がないか確認を進めています。
また、政府は放射能対策連絡会議を開き、放射性物質の影響などの把握に万全を期すため、関係省庁が緊密に連携して対応することを確認しました。
そして北朝鮮の隣国、韓国では。
パク・クネ大統領は。
北朝鮮を厳しく非難したうえで、もし、さらなる挑発を行った場合は、断固たる報復措置を取るだろうと述べ、北朝鮮を強くけん制しました。
一方、日本国内の被爆地からは、怒りの声が。
そして、拉致被害者の家族からも。
国際社会で高まる北朝鮮への非難。
国連では、日本とアメリカの要請を受けて、日本時間のあす午前1時に、安全保障理事会の緊急の会合を開く方向で、調整が進められています。
平岩さんは、外交、北朝鮮の外交政治を研究されていますけれども、その立場から見て、まず今回の実験が、このタイミングだったっていうのは、どういう意味合いがあるんでしょうか?
タイミングについて、推測するのはなかなか難しいんですけれども、ことしは北朝鮮が5月に、36年ぶりに党大会を開催するということを宣言しておりますので、その党大会にあたって、なんらかの成果、とりわけ外交面で、アメリカとの関係で、なんらかの成果が欲しかったということなんだろうと思います。
これは北朝鮮の今回の実験の声明に関しても、アメリカを非常に意識した内容が込められておりますので、やはりアメリカをなんとか、今回の実験で交渉に向けさせたいという、思いがあったんだろうと思います。
そのためには、実は昨年は北朝鮮はいわゆる平和路線といいますか、平和的な対応で、対話路線で、おいてきたわけですけれども、例えば、去年、ミサイル発射実験を行うんじゃないかというふうにいわれてたんですけれども、それを自制したり、したわけですが、結果的に言うと、そうした平和路線が、アメリカを一切動かすことができなかったと、であるとすれば、このタイミングで核実験を行って、アメリカがうまくすれば交渉に乗ってくる。
もし乗ってこなくても、核実験を行ったことによって、自分たちの能力を示すことによって、対米安全保障を確立したんだということを、国内外に宣伝できるという、そういう思惑はあったんだろうと思いますね。
それでやっぱりアメリカを意識しての動きだということですか?今回は水爆実験を行ったというふうに、少なくとも北朝鮮も言ってますよね。
そこはどういうふうに見ますか?
やはり、水爆実験というのは、これまでに比べて、極めて破壊力が高くて、しかも核の能力としては、極めて高い、次のステージというような印象を与えますから、アメリカに対してより強いメッセージだったということもあるでしょうし、もう一つは、これまで北朝鮮が核実験を行うときっていうのは、必ずまずミサイル発射を行って、それに対して国際社会の対応を待って、それに対するある種の不満表明といいますか、そういう形で核実験を行ってきたんですけれども。
過去3回、そのパターンですね。
ところが今回は、いきなり核実験をやることによって、より強いメッセージというものをアメリカ、あるいはその国際社会に対して、与えたかったんではないかということが予測されるんだと思いますね。
パターンも違うし、しかも、原爆とか水爆というところで、威力も大きいというので、脅威は大きいと。
より大きなメッセージとして、アメリカに伝えたかったということなんだろうと思いますね。
今回、北朝鮮が実験に成功したと発表した水爆なんですが、どのようなものなのか見ていきます。
水素爆弾の略称、水爆。
通常の原爆よりも大きな破壊力を持つ核兵器です。
原爆は、ウランやプルトニウムの核分裂反応によって、エネルギーを生み出します。
これに対して水爆は、水素の核融合反応を利用します。
同じ燃料の量であれば、水爆のほうが、より大きなエネルギーが得られます。
このため、原子力工学の専門家は、原爆に比べると、その威力は桁違いだと指摘します。
この水爆、1950年代以降、アメリカと旧ソビエトの冷戦を背景に、両国での開発競争が盛んになりました。
1961年、旧ソビエトは、広島に落とされた原子爆弾の3300倍もの威力を持つ、世界最大の水爆を開発。
実験を行いました。
では、その水爆の仕組みとは。
実用化されている水爆では、原爆を起爆剤にして、このときの高温と高圧を利用し、核融合反応を起こす方法が一般的なのです。
また水爆は、同じ威力を持つ原爆と比べると、燃料が少なくて済み、より小型にできることから、ミサイルへの搭載が容易になるとされています。
原爆に比べて、開発・製造により高い技術力が求められる水爆。
現在保有しているのは、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、そして中国の5か国といわれています。
今回の事態を、世界はどう見ているのか。
北朝鮮と関係の深い中国、そしてアメリカ、隣国の韓国と中継を結んで聞いていきます。
まずは北京の戸川さん、これまで北朝鮮が核実験を行うときには、中国に事前の連絡があったということなんですが、今回についてはどうだったんでしょうか。
それについては、中国外務省のきょうの定例会見で、私が直接報道官に質問したところ、報道官は、中国は事前に何も知らなかったと強調しました。
この発言には、北朝鮮問題で中国の影響力に期待を寄せる国際社会に対して、主要な責任が中国だけにあるわけではないと、強調したい思惑もあったのかもしれません。
そうなると、中国としてはメンツを潰された形になるんじゃないでしょうか?
中国が極めて不満に思っていることは確実です。
中国外務省は、断固反対だと、北朝鮮を強く非難しました。
中国は去年、朝鮮労働党の創立70年の軍事パレードに合わせて、中国共産党の最高指導部のメンバーがピョンヤンを訪問し、キム・ジョンウン第1書記と会談するなど、関係の改善に向けた動きを見せていました。
しかし今後、関係が再び冷え込むことは避けられません。
では次に、ワシントンの吉岡記者に聞きたいと思うんですけれども、吉岡さん、アメリカはふだんから偵察衛星で北朝鮮を監視していると思うんですけれども、今回について事前に把握できていたかどうか、そのへんはいかがでしょうか。
アメリカの大学の研究グループは、先月、北朝鮮が核実験場に新たな行動を建設しているとの情報を出していましたが、アメリカ政府として、このタイミングで核実験を行うことは、想定していなかったと見られます。
ホワイトハウスは、北朝鮮の発表の真偽は、確認できないとしていまして、分析を急いでいます。
では続いて、ソウルの池畑支局長に聞きます。
韓国は、北朝鮮が核実験を行ったとする意図を、どのように分析しているんでしょうか。
現在、韓国の国会では、情報委員会が緊急に開かれていまして、国家情報院のトップが、核実験についての分析を、議員たちに説明している最中です。
ただ、国家情報院や国防省は、今回、核実験が差し迫っているという兆候は把握できず、不意を突かれたのは否めません。
一方、多くの専門家は、北朝鮮が5月に開くことにしている、36年ぶりの朝鮮労働党党大会との関連を指摘しています。
党大会の前に核実験。
それもこれまでとは違う水爆の実験を成功させたと主張して、キム第1書記の大きな成果にしようと考えたという見方です。
池畑さん、韓国と北朝鮮は、これ去年、離散家族の再会などが実現をして、和解へのムードが高まっていたと思うんですけれども、今回の核実験を受けて、南北関係、冷え込むというふうになるんではないかと思うんですが、どうでしょうか。
南北関係の後退は避けられません。
パク・クネ大統領は今回の核実験に対して、民族の生存と未来を脅かすものであり、世界の平和と安定に対する全面的な挑発だと、厳しく非難しまして、北朝鮮には相応の対価を支払わせると明言しました。
韓国政府としては、これから各国と連携して新たな制裁措置に乗り出しますが、それに北朝鮮が反発して、再び軍事境界線を挟んで緊張が高まるおそれがあります。
次に、もう一度アメリカ・ワシントンに聞きたいんですが、吉岡さん、アメリカのオバマ政権ですね、これまで北朝鮮はなかなか対話に応じず、北朝鮮に冷たいというふうに、国際社会から見られてきたわけですけれども、今回のことで、北朝鮮政策が、見直しが迫られるということになりそうでしょうか?
アメリカが北朝鮮の瀬戸際戦術に応じることはないと見られます。
ただ、アメリカ国内では、オバマ政権が北朝鮮に対して、対話も圧力も中途半端なまま、核開発を進めさせてしまったとして、批判の声も出ていまして、今後、北朝鮮政策の見直しを求める声が高まることも予想されます。
アメリカとしてはまず、これから開かれる国連安保理の緊急会合で、北朝鮮に強い姿勢で臨むことが重要だと考えているものと見られます。
ここで北朝鮮に影響力を持つ中国から、できるだけ厳しい態度を引き出したいと考えているはずです。
その中国ですけれども、北京の戸川さん、中国は北朝鮮と関係が深いといわれていますけれども、今回は早速、非難声明を出していますが、今後、中国は制裁措置に加わるといった、より強い姿勢に転じるということはありそうでしょうか?
制裁については、中国外務省の報道官は、中国はしかるべき国際的義務を、引き続き履行するとしていまして、今後、国連安保理の北朝鮮制裁に向けた協議にも、賛成する可能性を示唆したものと見られます。
ただ中国としては、過度に圧力をかけて、北朝鮮情勢を一層悪化させるのは避けたい考えで、国際社会の反応や、国内世論を見ながら、慎重に対応を検討するものと見られます。
半世紀以上、北朝鮮の体制の後ろ盾ともなってきた中国なんですが、北朝鮮ではこのところ、中国との関係に微妙な変化が見られていました。
これまでに3回の核実験を行ってきた北朝鮮。
これに強く反対する姿勢を示していたのが、北朝鮮の後ろ盾ともなってきた中国です。
北朝鮮が3回目の核実験を強行した2013年。
中国政府は、国連安全保障理事会で採択された経済制裁に同意し、厳格に履行する考えを表明しました。
しかし、その後、北朝鮮では、中国との関係修復とも取れる動きが見られていました。
去年10月、中国共産党の序列5位の常務委員が軍事パレードを観覧。
キム・ジョンウン第1書記と手をつないで、蜜月ぶりをアピールしました。
さらに、先月には、北朝鮮の女性音楽グループ、モランボン楽団が中国を訪問。
初めての外国公演を行うはずでした。
しかし、到着から2日後、楽団は急きょ、帰国。
なぜ公演は中止されたのか。
その直前、朝鮮労働党の機関紙に掲載された記事。
わが国は水素爆弾の爆音をとどろかせることができるという、キム第1書記の発言を伝えていました。
この発言を巡る中国側の反応が、公演の中止に関係しているのではという見方が出ています。
そしてきょう、核実験の成功を発表した北朝鮮。
その意図を巡り、さまざまな臆測が広がっています。
平岩さん、中国との関係でいいますとね、さっき北京からの中継にもありましたけど、いつもは事前に通告されるんだけれども、今回は中国側に一切連絡がなかったということでしたけど、これについてはどう読みますか?
それが事実だとすれば、やはり北朝鮮側からの中国に対するある種のメッセージと考えるべきなんだろうと思うんですね。
そもそも北朝鮮と中国の関係を考えるときに、最近、あまりよくないと、先ほどのVTRにもありましたけれども、一つのきっかけっていうのは、この2013年の2月の核実験、3度目の核実験で、中国側が非常に不満を持ったということがきっかけになると。
このときですか?
はい、いわれているんですけれども、北朝鮮の立場からすると、実は、この2012年の12月のミサイル発射に対する安保理非難決議というのが、非常に不満なわけですね。
このときの非難決議ですか。
やっぱりその2009年、2012年のミサイル発射について言えば、北朝鮮はこれ、ミサイルではなくて、人工衛星発射なんだと、宇宙の平和利用なんだという正当な権利だということを主張したことに対して、決議を中国側が賛成したということに対してすごく不満を持っておりましたので、それが中朝関係の北朝鮮側からの説明ということになるんだと思います。
ところが、やはり長い間の不調の中で、やはり関係修復が必要だということで、ことしの10月に、中国から劉雲山さんが行くということで。
ナンバー5ということですね。
北朝鮮からすると、当初から予測されていた、ミサイル発射を自制したというところがあるんだろうと思いますが、にもかかわらず、先ほどのVTRにもありましたけれども、モランボン楽団の公演中止というのがあったわけです。
モランボン楽団の公演中止は、どういう意味がありますか?
これは先ほど、VTRにもありましたように、いくつか理由が推測されているんですけれども、一つは北朝鮮側が水爆のことに言及したことに対する、中国側の不満というのがあったというふうにいわれておりますし、それからもう一つは、モランボン楽団が公演をする際に、バックで流れる人工衛星発射実験と、彼らが称するミサイル発射の映像に対して、中国側がクレームをつけたというふうにもいわれておりますが、いずれにせよ、北朝鮮からすれば、中国が必ずしも北朝鮮の立場を受け入れているわけではないんだという、そういう思いがあっての12月12日の公演中止ということになるんだろうと思います。
本日の北朝鮮側のその声明を見ると、12月の12日から3日後の12月15日に、水爆実験を指示して、ことしの3日に最終命令書を出されたという、そういう手順ですので。
タイミング的にあれですね、モランボンの公演中止のあと。
と言うことだと思いますね。
ですので、対話路線でやっても、アメリカは振り向かない、そうであるとすれば、このまんま時間が過ぎれば何もしないまま党大会を迎えてしまう。
だとすれば今のタイミングで核実験に踏み切って、アメリカ、あわよくば、アメリカを交渉の場に引っ張り出したい、そうじゃなくても自分たちの打撃力を見せつけたいということだったんだろうと思いますね。
とはいえ、中国に対しては、かなり北朝鮮は経済的にも依存している部分があると思うんです。
それでも北朝鮮は強気に出れると?
一般論として、一つの国が一つの国に対して、絶対的な影響力を行使するって、なかなか難しいというのが、まずあるんだろうと思います。
それに加えまして、とりわけ、中国に対する経済的な依存というのが強くなり過ぎているというのが、今の中国と北朝鮮の関係なので、経済の部分をなんとかすればという思いがあるのは事実ですし、実際、それを中国側が決断すれば、可能かと思いますが、やはり経済というのは、相互依存の部分もありますので、とりわけ、北朝鮮と中国という全体ではなくて、中国の東北地方と北朝鮮という関係で考えますと、これは多くの専門家が、この関係においては、ある種、依存関係っていうのは、出来上がっているんだということがいわれていますし、さらに言えば、北朝鮮をあんまり過度に追い込んで、体制が不安定な状況になるということは、中国にとっても得ではないという思いがあるので、必ずしも中国が持っている影響力というものを行使しにくいという、そういう状況があるんだろうと思いますね。
それをまた北朝鮮自身も分かっているから、中国に対してもある程度、言いたいことを言うということなんだろうと思いますね。
では、続いて、日本政府の対応について、国会記者会館から、政治部の原記者です。
安倍総理大臣は、関係閣僚に対しまして、今後の北朝鮮の反応や、国際社会の動向などを考慮し、断固たる対応を検討するよう指示していまして、政府は独自制裁の強化を含めた措置を検討していく方針です。
具体的には、おととし、北朝鮮が拉致被害者らの調査を始めたことを受けて解除した、日本独自の制裁の一部を再度科すことなども検討するとともに、国連の安保理で、経済制裁の強化を含む、新たな決議の採択を目指すことにしています。
政府は今後、アメリカや韓国に加えまして、北朝鮮に影響力を持つ中国やロシアにも、緊密な連携を働きかけていく方針です。
一方、政府は引き続き北朝鮮に対しまして、拉致被害者らの調査結果を速やかに報告するよう求める考えですが、制裁を強化すれば、北朝鮮が反発することが予想され、拉致問題を巡る協議の先行きは、不透明さを増すことは避けられないものと見られます。
この日本の対応、そして日本には拉致問題の進展というのも、気になるところだと思うんですが、この日本への影響というのは、どういうところが考えられますか?
まず日本は、ことしから非常任理事国ということですので、まさに国際社会の責任ある立場として、今回の北朝鮮の核実験に対して、厳しい姿勢で臨み、なおかつそれを国際社会の意見というものをリードしていく必要があるんだろうと思いますね。
しかしながらその一方で、ご指摘のように、日本にとって極めて重要ななおかつ今の安倍内閣が最重要課題の一つとして位置づけている拉致問題の解決という、この問題についても現在、水面下でその交渉を含めて、なかなか思うような結果が得られない状況が続いているんですけれども、この2つを両立させるような方向で考えていかなければいけないんだろうと思いますね。
ですから、核・ミサイルの問題と、拉致の問題というのは、表裏一体といいますか、ある種、一体ですから、これに対してどう向き合っていくのかということを、北朝鮮側の対応を見ながら、慎重に向き合っていく必要があるんだろうと思いますね。
冒頭、平岩さん、今回の発表は、アメリカに向けたメッセージだというふうに言っていましたけれども、じゃあアメリカは、どうでしょうか、これ、対話に臨むとか、あるいはさらに制裁を強めて孤立をさせるとか、どういう動きに出てくると思いますか?
なかなか難しいところではあると思うんですけれども、やはり今回の問題、一番大きなポイントっていうのは、中国が本気になって、北朝鮮に対して、影響力を行使するかどうかなんだと思うんですね。
ですから、アメリカもそのことは十分分かっておりますので、今回のような事態を受けて、まず北朝鮮に対して働きかけをするとともに、中国に対しても、中国が持っている影響力というものを、適切な形で使うような形で、働きかけをしていくということになるんだろうと思いますね。
その中国はどうでしょうか?先ほど経済的には依存しているということでしたけれども。
ですから、中国からすると、やはりその中で、日米韓と完全に立場を一致する、一緒にして、北に向き合うということは難しいでしょうし、それからじゃあ一方で、北朝鮮をかばうということも、今回の実験に関していえば、かなり難しいわけですから、かなり中国として難しいかじ取りといいますか、を、求められるということになるんだろうと思いますね。
今後の動きでいえば、やはり中国がどう対応してくるのかというのが、一番大きな鍵になるんだろうと思いますね。
今後の動きでは、やはり中国の対応が鍵だということですか。
分かりました、どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
そして、今、新しい情報が入ってきました。
岸田外務大臣は先ほど、記者団に対して、次のように述べました。
米国のケネディ駐日大使と会談を行い、共に北朝鮮の挑発行為を強く非難し、日米で緊密に連携していくことで一致をいたしました。
ドイツのシュタインマイヤー外相、そしてEUのモゲリーニ上級代表、韓国のユン・ビョンセ外相と、相次いで電話会談を行いました。
各国の外相との間においては、北朝鮮の行為を厳しく非難するとともに、情報の共有や国連安保理における対応を含め、緊密に連携していくことで一致をいたしました。
今後、国連安保理において、できるだけ速やかに、強い内容の安保理決議が採択できるよう、各国と連携していく考えです。
先ほど入った岸田外務大臣のコメントをお伝えしました。
このニュース、また新しい情報が入りしだい、お伝えします。
北朝鮮による水爆実験の発表は、国会論戦でも取り上げられました。
きょう、衆議院本会議で、各党の代表質問が行われました。
午後1時、ベルが鳴りました。
北朝鮮の水爆実験の発表がある中、慌ただしく本会議が始まります。
維新の党は、国会議員の定数削減について質問。
共産党は、安全保障関連法について、ただしました。
おおさか維新の会は、消費税率の引き上げについて、質問しました。
続いて特集です。
きょうはテロに揺れるヨーロッパについてです。
日本でもことし、伊勢志摩サミットが控えていますし、決して無関心ではいられない問題ですよね。
去年11月にパリで起きたテロ事件で、私も直後に現地を取材しましたけれども、パリの人たちにとっては、犠牲者の数だけでなく、実行犯がフランスで育って、フランス国籍を持つ移民の若者たちだったことも衝撃でした。
事件から1か月半余り。
テロがヨーロッパに何をもたらしているのか、再び取材してきました。
大みそかのパリです。
ここ、シャンゼリゼ通りなんですが、今、カウントダウンを前に、車の通行が止められて、市民に開放されました。
今、たくさんの市民がシャンゼリゼ通りの中になだれ込むように入ってきています。
警備の厳しさが映像から伝わってきますね。
そうですね。
例年にない厳戒態勢が敷かれていたんですね。
またテロが起きるんじゃないかという緊張感、私自身も感じました。
テロが相次いだ2015年に別れを告げ、パリの街も新年を迎えました。
11月のテロで、89人が犠牲となった現場を、改めて訪ねました。
あそこは襲撃のあったコンサートホールで、事件直後に行ったときは、あそこは全然立ち入りできなかったんですけれども、今はもう人がたくさん、中をのぞけるようになってはいるんですね。
ただ一方で、こっち、これ、花束が、当時から比べると少し減ったとはいっても、いまだにこんなにたくさん花束が手向けられているんですね。
事件から1か月半余り。
街では、悲しみを乗り越えようという人々の意志も感じました。
ここ、たくさんかかっているのは、旗ですか?
そうなんですね。
襲撃を受けた飲食店の周辺で暮らす住民が、街をもり立てていこうと、手作りしたものなんだそうです。
自宅から持ってきたものでね、みんなで作ったというところが、自分たちの手でなんとかしたいという、強い願いを表しているような感じますよね。
ただ、遺族の悲しみは薄らいでいません。
花屋を営んでいるネリー・ルクレールさんです。
コンサートホールでのテロで、32歳の息子を亡くしました。
店の前には、息子を知る人たちが今も花やメッセージを届けています。
国を信頼できないというルクレールさんのことば、ほかにも多くの人から聞かれました。
テロを防げなかったことへの政府への反発は、事件直後よりも強まっていると感じました。
それを象徴するものとなったのが、先月行われた州議会選挙です。
移民の排斥や、一部のモスクの閉鎖などを訴える、極右政党の国民戦線が躍進したのです。
その勢いは、フランスの将来を担うエリート層にも及んでいました。
国民戦線を支持するデーヴィ・ロドリゲスさんです。
大統領や閣僚を数多く輩出した名門校、パリ政治学院で、法律を学んでいます。
ロドリゲスさんは去年10月、大学内で国民戦線を支援する団体を設立しました。
国民戦線を支持する最大の理由は、移民問題です。
撮影で一緒に街を歩いていたときなんですけれども、こんな場面に出くわしました。
これ、移民どうしのけんかが始まったんです。
怖いですね。
これ、銃を振り回していたんですよね。
ロドリゲスさんは、植民地だったアフリカなどから、多くの移民を受け入れてきたことが、治安の悪化につながり、社会の脅威となっていると考えています。
11月にテロが起きたあと、団体を支持する人が増え、学生メンバーの中からも、国民戦線の議員として当選した人が4人も出たそうです。
フランスで強硬な主張が広がっている現状について、今回、ぜひ話を聞きたい人がいました。
ノーベル文学賞作家のル・クレジオさんです。
移民や難民を描いた作品も数多く発表し、社会の在り方について問いかけています。
若者たちはなぜ、生まれ育った社会でテロを引き起こすのか。
それを知りたいと、同時テロ事件の容疑者たちが暮らしていた街を訪ねました。
フランスの隣、ベルギーのブリュッセルの一角にある、モレンベーク地区です。
スカーフを巻いた女性も多くて、なんかヨーロッパというよりも、アラブの街という雰囲気ですね。
そうでしたね。
この地区では、およそ10万人が暮らしていますが、半数が北アフリカなどからの移民や、その子孫で、多くがイスラム教徒です。
この地区からシリアやイラクに渡った若者は、少なくとも30人はいるそうです。
この街で育った息子が、過激派組織IS・イスラミックステートに加わったという、ジェラルディンさんに話を聞くことができました。
息子のアニスさんです。
父親がモロッコ出身で、アニスさんもイスラム教を信じていましたが、2年前、突然、シリアに向かうと言い出したといいます。
アニスさんは、必死の説得にもかかわらず、シリアに渡り、ISの戦闘員になりました。
ベルギーにいたときは、移民の息子だという理由から、就職できなかったといいます。
ツイッターには、フランスの新聞社を襲撃したテロについて、これは始まりにすぎない。
次に何が起きるか見てろよと書き込んでいました。
シリアに渡ったおよそ1年後、空爆で亡くなりました。
19歳の若さでした。
なぜISに加わってしまったのか。
ジェラルディンさんは、息子のあることばが、忘れられないといいます。
社会に居場所を見つけられず、テロに走る若者たちの現状。
その解決策はあるのか。
ノーベル賞作家のル・クレジオさんに聞きました。
ル・クレジオさんがおっしゃっていましたけれども、若者をテロから遠ざけるためには、教育が重要だということなんですね。
そうですね、ル・クレジオさんの言う教育っていうのは、広い意味で話してたと思うんですけれども、実際、私たちが取材をしたブリュッセルでは、一つの取り組みが行われていました。
ジハードというタイトルの演劇なんですけれども、宗教的な理想を求めて、シリアに渡った若者が、戦闘で友人を亡くして、苦悩する姿を生々しく描いて、そうすることで、若者がISに加わるのを防ごうというねらいなんですね。
各地で公演の依頼が相次いでいるということでした。
本当に地道な取り組みというのも、本当に重要になってきますよね。
そうですね。
ISへの対策というとね、空爆だとか、警備を強化するとか、そうした面がどうしても目立つんですけれども、やはり根本的な解決を目指すためには、社会での差別や、格差に苦しんで、不満や疎外感を強めていっている若者たちにやっぱり目を向ける必要があるということだと思うんですね。
ところが今のヨーロッパを見ますと、相次ぐテロとか難民の流入をきっかけに、多様性、多様な文化に対する寛容な姿勢が失われていっているんではないかと。
移民社会という異質なものを排除しようという動きが強まっているんじゃないかというふうに感じるんですね。
そうしたときに、ノーベル賞作家のル・クレジオさんが、やはりそこに警鐘を鳴らしていると、そういうふうに私は受け止めました。
同時に、そうした視点は、格差や社会の分断について考えていくうえで、私たちも大いに参考にすべきではないかというふうに感じました。
特集でした。
こんばんは。
気象情報です。
きょうは寒の入りですが、あすは北陸まで寒気が強まって、北陸周辺では、雪の強まる所も出てきそうです。
雪の予想から見ていきましょう。
このあと日付が変わりますと、北陸周辺の雪の範囲が広がってきそうです。
雷を伴って、特に新潟付近、雪の強まる所がありそうです。
あす夜遅くになりますと、雪のピークは越えてくるでしょう。
ではその理由を天気図で見ていきましょう。
きょう、沖縄から西日本に雨を降らせた低気圧や前線、東の海上へと離れていきます。
大陸からは高気圧が張り出してくるでしょう、西高東低、冬型の気圧配置となりそうです。
上空の寒気、冬の寒気は、北陸まで流れ込んできますので、あすは北日本から北陸の日本海側で、雪の所がありそうです。
特に北陸周辺では、雷を伴って、雪の強まる所が出てきそうです。
では気温の変化を見ていきます。
朝の6時です。
北海道の内陸では氷点下5度を下回る所が多いですが、朝の気温としては3月並みの所が多くなりそうです。
午後3時です。
北日本では、きょうよりも下がりそうです。
東北の北部でも0度を下回る所が多いでしょう。
そして夜の気温は、朝よりも冷える所が多くなりそうです。
東日本の内陸でも氷点下、西日本でも氷点下に下がる所がありそうです。
各地の天気と気温を詳しく見ていきましょう。
それではスポーツをお伝えします。
テニスの錦織圭選手。
今シーズンの男子ツアー開幕戦、シングルスに登場しました。
四大大会全豪オープンの前哨戦となるこの大会。
錦織は今シーズン、世界ランキング8位からのスタートです。
序盤からサービスエースが決まります。
強化してきたサーブでリズムをつかみ、第1セットを奪います。
勢いに乗った第2セット。
得意のストロークで相手を圧倒しました。
落ち着いて試合ができたと、錦織は快勝で、4年連続のベスト8進出。
悲願の四大大会初制覇を目指す今シーズン。
好スタートを切りました。
錦織選手、このあと、ダブルスの準々決勝にも出場。
第1シードのフランスのペアを破って、準決勝進出を決めています。
プロ野球・日本ハムの大谷翔平投手が、自主トレーニングを公開。
4年目のシーズンへ意気込みを語りました。
大谷投手は去年、最多勝など3つのタイトルを獲得。
ことしは体を大きくしてキャンプに臨もうとしています。
1日の食事を6回から7回に増加。
このため、体重は初めて100キロに達しました。
楽天のドラフト1位、オコエ瑠偉選手。
仙台市の選手寮に入りました。
こだわったのはベッド。
身長1メートル83センチの体に合わせたオーダーメードです。
かつてキャッチャーの嶋選手が使った部屋で、先輩以上の活躍を誓いました。
巨人の新人選手15人。
こちらもきょう、入寮です。
ドラフト1位の桜井俊貴投手。
通算117勝の内海投手が、かつて過ごした部屋です。
ルーキーたちは、松井秀喜さんが素振りを繰り返し、畳がすり切れた松井部屋も訪れ、大いに刺激を受けていました。
巨人の新人たちは、あさって合同自主トレーニングをスタートさせます。
プロ野球選手としての生活がいよいよ始まります。
ここまでスポーツでした。
お伝えしていますように、北朝鮮はきょう午前、水爆の実験を行い、成功したと発表しました。
北朝鮮が水爆の実験を行ったと明らかにしたのは初めてです。
2016/01/06(水) 21:00〜22:00
NHK総合1・神戸
ニュースウオッチ9▽北朝鮮が突然の“水爆”実験・暴走する国家の狙いはどこに[二][字]
北朝鮮が突然の“水爆”実験・暴走の狙いはどこに・北京とソウルとワシントンから中継・専門家とともに読み解く▽国会で与野党の論戦本格化▽河野キャスターが探るテロ深層
詳細情報
番組内容
【キャスター】河野憲治,鈴木奈穂子,【スポーツキャスター】佐々木彩,【気象キャスター】井田寛子
出演者
【キャスター】河野憲治,鈴木奈穂子,【スポーツキャスター】佐々木彩,【気象キャスター】井田寛子
ジャンル :
ニュース/報道 – 定時・総合
ニュース/報道 – 天気
スポーツ – スポーツニュース
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音声 : 1/0+1/0モード(デュアルモノ)
日本語
英語
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