NHK高校講座 科学と人間生活「プラスチックの科学」 2016.01.06


(実穂理陽)こんにちは。
(僕蔵)お〜!いらっしゃい…。
うわ〜!うまそ〜。
(実穂)こんなにごちそうどうしたの?新製品だっつってさ友達が送ってきてくれて。
へえ〜!新製品…?うん。
友達って洋食のコックさん?それともおすし屋さん?んん?2人とも勘違いしてませんか?勘違いって?実はここにあるのはみんな食品サンプル。
(理陽実穂)食品サンプル?そう。
どれもプラスチックで出来てるんです。
(理陽)プラスチック?うん。
信じられない。
ねえ実によく出来てるでしょう?それくらい今の時代はプラスチックは上手に利用されてるんですね〜。
プラスチックはどのような特徴を持ちどんなところに利用されているのか。
訪ねたのは…町には多くの食品サンプルのお土産屋が。
実はこの町食品サンプルの町として知られている。
食品サンプルを最初に作ったのは郡上市出身の…ではなぜ日本で食品サンプルが作られるようになったのか。
日本では大正末から昭和の始め外食文化が広がり始めた。
ふだん家の中でしか御飯を食べていなかった人たちがレストランやデパートの食堂に出かけさまざまな外国の料理を食べるようになった。
メニューには見た事も聞いた事もないような料理ばかり。
そこでメニューを立体的に見せて選んでもらおうというのが食品サンプル作りの始まりだった。
食品サンプル作り37年という…特別にお願いをしていちごのショートケーキを作ってもらう事にした。
これは液状のプラスチックとシリコーンから作ったいちごの型だ。
170℃のオーブンで15分焼く。
すると液状のプラスチックがいちごの形になった。
最後に油絵の具で着色する。
これはスポンジケーキだ。
材料は…以前はろうにスポンジを混ぜて作っていたが今ではプラスチック素材が改良され質感や色が更に本物に近づいた。
シリコーンのクリームを塗る。
最後にいちごを載せる。
どうです?仕上がりは。
本物そっくり!思わず食べてしまいたくなるショートケーキの出来上がり。
食品サンプルは素材のプラスチックの開発が進み新たな製品が作られている。
ああ!ラーメンがこぼれた。
ご心配なくこれもサンプル。
うわ〜!冷たそう。
氷の中に詰められたアイスクリームや果物のスイーツ。
プラスチックは熱を加えると形を作りやすくしかも色を付けやすいという性質があるため食品サンプル作りに大いに利用されている。
ところで僕蔵さん。
プラスチックは何から出来てるの?うん…
(理陽)石油?そう石油なんです。
(理陽)ふ〜ん。
ふ〜ん。
それじゃあプラスチックにはどんな特徴があるの?そのため…う〜ん例えばどんなものなんですか?そうだね…うん。
うんうん。
よし!じゃあ僕蔵コレクションをお見せしましょう〜。
僕蔵コレクション?ジャ〜ン!うわ〜!ドンドコドンドコ…ド〜ン!
(実穂)何でも出てくるね〜。
でもこれって全部ゴミじゃない?何?ちょっと理陽君私をゴミおじさん扱いするのはやめてくれる?いろんなものを集めて調べる事は科学の世界を知る上でと〜っても大切な事なんだから!そうなんだ。
そうなんです!はい!ところでお二人さん。
うん。
このプラスチック製品2種類に分ける事ができるんだけれども2人だったらどう分ける?うん?うん?違いがあるの?う〜ん難しいなあ。
何だろう。
こっちのグループが…そしてこっちのグループが……で作られたものです。
(実穂理陽)ふ〜ん。
(理陽)熱可塑性樹脂ってどんな特徴があるの?う〜ん食品サンプルとかこのペットボトルが熱可塑性樹脂。
原料に熱を加え軟らかくしてこういう形にするんだけれども再び熱を加えるとまた軟らかくなる…という性質を持っているプラスチックの事をいいますね。
(理陽)へえ〜。
(実穂)じゃあ熱硬化性樹脂は?う〜ん熱を加えて形を作るまでは熱可塑性樹脂と同じなんだけれども違う点は一旦……という性質を持っているプラスチックの事をいいます。
はい!ではこれは何だと思う?
(理陽)これはガラスみたいに見える…。
いやいやいやこれもプラスチックの一種なんです。
へえ〜!何に使われてるの?ヒントは透明で透けて見えるという事です。
日本は世界で一番水族館の多い国。
次々と新しい水族館が出来ている。
最近の水族館で目を引くのは巨大水槽。
しかし大きい水槽であればあるほど水槽には大きな水の圧力がかかり壊れやすくなる。
巨大水槽はどのように作られるのか。
これが素材となるプラスチックの一種アクリル樹脂。
縦8.5m横3.5m厚さは4センチ。
このパネルを何枚も張り合わせて巨大な水槽を作る。
素材のパネルには数ミリの凸凹がある。
そのまま接着するとむらができてしまうため厚さがそろうように表面を磨く。
更に接着剤としてアクリルの原料を厚さが3ミリになるように流し込む。
この過程を繰り返して厚いパネルを作る。
横から見ると接着した層が見えるが正面からはほとんど分からない。
また熱可塑性樹脂のアクリルは熱を加えて自由に曲げる事ができるのでさまざまな形の水槽も作る事ができる。
円形やトンネル型の水槽が作れるようになったのもアクリルのおかげ。
こうしてプラスチック製の大水槽によって私たちは魚たちの生態を目の当たりにする事ができるようになった。
一方こちらは熱硬化性樹脂の利用方法を開発した会社。
これはプラスチックを利用して作られた自動車の試作品だ。
エンジンやタイヤ以外の車体の多くの部分がプラスチックで出来ていて特にこの…なぜ車のボディーにプラスチックなのか?やはり…そちらの方がいいと思っています。
そのため…そこで考えられたのがプラスチックとほかの素材との合成だ。
プラスチックは重さは軽いが引っ張る力には弱い。
そこでプラスチックに引っ張る力に強い炭素繊維を染み込ませた。
これが…軽いという特徴のほかに引っ張りに強く振動を少なくする素材となった。
ではどのくらい軽いのか。
同じ大きさで同じ形の車の素材としてよく使われる鉄やアルミニウムと比べてみる。
確かにプラスチックはほかの素材より軽い。
試作の車にはプラスチックの特徴を生かした部品がほかにも使われている。
例えばフロントガラスや窓。
ガラスよりも軽くしかも熱伝導率が低い。
そのため室内の断熱性が高まりエアコンなどへの負担を軽くする事ができる。
室内にもさまざまな種類のプラスチックが使われている。
色を付けやすく傷がつきにくい。
しかも肌触りがよいというのが植物由来樹脂の特徴だ。
プラスチックの特性を組み合わせた軽くて強い車が未来に向かって走りだそうとしている。
プラスチックにはいろんな特徴があるんだね。
うん種類の多さにもびっくりだね。
いやいやいやまだまだたくさんありますよ〜。
こっちのビーカーにはプラスチックの一種高吸水性ポリマーというものが10g入っています。
(実穂)10g。
はい。
…でこっちのビーカーには水が300mL入っています。
実はねこのプラスチックね自分の体積の100倍から1,000倍もの水を吸収する事ができるんです。
(実穂)え〜!だからこの水を加えても全部吸い込んでしまうんですな〜。
すっご〜い。
すっげえ。
でしょう?うんうん。
やってみましょうか!はいお二人さん。
(理陽)いくぞ。
(実穂)いけ!お〜!白く濁って…。
(理陽)えっ…。
(実穂)えっ…早〜い!
(理陽)硬っ!
(実穂)早〜い!ちゃんと水が吸い込まれてるかどうか傾けて確認してみようか。
えっこぼれないですか?ちょっとこの棒じゃあもらうよ。
水浸しになったりしないかな。
ねえちょっと何か怖いよね。
万が一のためにこういうものも用意してますけど。
おっおっおっ!ねっ。
プラスチックは落ちるけども水は全然。
水は全く。
ねえ。
じゃあ実際にこれちょっと手に持ってみようか。
水がこう…ぴゅっと出てきたりするかどうか。
いや出そうだけどな…ぴゅっと。
あれ?出ない。
どんな感じ?何かすっごいさらさらしてます。
お〜お。
はい実穂ちゃん。
(実穂)あっ本当にさらさらしてる。
手にあんまりくっつかないですね。
…でこの高吸水性ポリマーがどんなところに利用されているのかというとそれは…紙おむつ。
そうか!だから赤ちゃんがおしっこを漏らしても紙おむつはさらさらしてるんだね。
そういう事!この感じこの感じ…ねえ。
あとね水をたくさん吸収するという性質を使って砂漠をね緑化するという活動も始まってるんだよね〜。
砂漠緑化?はいはいはい。
本当にそんな事できるんですか?できるんです。
そう砂漠のね地面の下に敷いておけば水を蓄えておく事ができるから野菜や果物の栽培だってできる訳。
なるほど!このプラスチック1種類を考えても利用の幅ってすっごい広がりますね。
うん。
プラスチックの特徴に薄くできるっていうのがあるよね。
例えばこの食品用ラップフィルム。
厚さはなんと0.02mm。
でもねもっと薄いプラスチックフィルムがあるんだ。
(実穂)えっ?
(理陽)もっと薄い?うん。
開発されたポリイミド樹脂っていうのがあって厚さはなんと0.0075mm。
それってどれぐらい薄いの?う〜ん髪の毛の…10分の1ほどかな。
え〜それって相当薄いね。
ちょっとやめてよ!僕の髪の毛を見ながら言うのやめてよ。
いやいやいや。
髪の毛の例出したのは僕蔵さんだよ。
あらっしまった!じゃしょうがないか。
フフフ。
そうそうそう。
そのポリイミド樹脂一体何に使われていると思う?何だろうな…。
何に使われてるのかな。
あっ分かった!おむすびだ。
おむすび包む時に…。
包むの?おむすびを。
あっ…で超極薄だから包んでも包んであるのか分からない…。
そんな訳ないでしょう。
あっ…。
理陽君考える世界のこうスケールが小さいよ〜。
フフフフ。
はい!答えはね宇宙です。
(2人)宇宙?うん。
2010年5月世界初となる宇宙ヨット・イカロスが打ち上げられた。
イカロスは宇宙ヨットと呼ばれるようにエンジンの代わりになる14m四方の大きな帆を張って進む。
帆に使われたのは…薄くても強い引っ張りに耐えられる強度がある。
更に宇宙空間の放射線や400℃の熱にも耐えられる。
どうして空気も風もない宇宙で宇宙ヨット・イカロスは進む事ができるのか。
それは…ではイカロスの飛ぶ期間やその行き先を地球からコントロールする事はできるのか?イカロスはそれらの宇宙研究の課題を乗せてプラスチック製の帆を広げ今日も宇宙を飛び続ける。
ところでお二人さんおなかすいてない?頂き物のショートケーキなんだけどいかが?
(理陽)いやどうせ食品サンプルだよね?ねえ…もう今回はだまされないからね。
あっそう。
あっだまされない。
ふ〜ん残念。
本物なんだけどな〜。
そっかそっかいらないか。
あっそう。
えっ!?本物なの?食べる食べる!ん…食べんの?食べんの?食べないの?どっちなの?
(2人)食べます!頂きま〜す。
はい召し上がれ。
(2人)頂きます!はいはい。
おいしそ〜。
やっぱおいしそ〜。
本当に見分けつかないね。
ねっ。
プラスチックの原料は石油だ。
熱を加えると形を変える事ができるため私たちの身近な生活用品を簡単に大量生産する事ができる。
プラスチックは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の2種類がある。
熱可塑性樹脂は熱を加えると再び軟らかくなる。
熱硬化性樹脂は再び熱を加えても軟らかくならないという性質を持つ。
目的に応じて軽さ強さ薄さなどさまざまな性質を持つプラスチックが開発されている。
私たちの身近なものから宇宙のものまで今後も更にさまざまな分野での利用が期待される。
2016/01/06(水) 14:00〜14:20
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 科学と人間生活「プラスチックの科学」[字]

科学技術の発展は、どのようなところに生かされているのだろう? 私たちの身の回りにある自然や道具を糸口に、科学の世界を楽しく解き明かしていく。

詳細情報
番組内容
私たちの身の回りにある製品は、さまざまな材料からつくられている。今回は、プラスチックに注目して、その物質の種類や性質などについて科学の視点で考える。 「プラスチックの科学」(1)プラスチックの特徴 (2)プラスチックの分類 (3)プラスチックの応用
出演者
【出演】正名僕蔵,三井理陽,泉川実穂,【語り】渡辺真砂子

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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