(マイケル)
これは極東の国日本を訪れた我々家族の100日間の冒険の物語。
我々の目的は寺院巡りでも秋葉原でのショッピングでもない。
我々の最重要課題それは…
日本を食べ尽くす事だ。
瀬戸大橋。
5つの島を経由して本州と四国をつなぐ巨大なつり橋で高架橋も含めると総延長13.1キロ。
鉄道と道路の併用橋としては世界最長だ。
この橋を渡ると香川県。
そこは…うどんの国だ
(エミル)う・ど・ん。
(エミル)うどん。
うどんうどん。
(リスン)見て!エミルがうどんの字を覚えちゃったわ。
それくらいこの土地はうどんの店が多いって事さ。
あったぞ。
トシのおすすめの店だ。
うどん。
そばとともに日本を代表する麺料理の一つそれが…
(エミル)うどん。
である。
小麦粉に食塩と水を加えよく練りのばしたものを細長く切ってゆでつゆに入れて食べるのが一般的だ。
特にここ香川県では…
ちょ〜っと待った〜!今日の主役は実はうどんじゃない。
うそん!
(店員)お待たせいたしました〜。
しょうゆうどんです。
これだけ?スープはないの?フッフーン。
こうして麺にしょうゆをかけて…と。
(アスガー)ん〜おいしい!単純な食べ方なのに味が深いのね〜。
だろ?今回の主役はこのしょうゆさ!
大豆小麦塩そしてこうじ菌や酵母などを原料に醸造して造られる液体調味料で焼く炒める煮る漬けるなど調理の際はもちろん食卓の味付け役としても日本人にとって欠かす事のできないキング・オブ・調味料である
まろやかで深いコクもある。
それでいて食材の味を邪魔する事なくうどんのほのかな小麦の香りを更に際立たせている
しょうゆのルーツは古代中国のひしおにあると言われているんだ。
ひしおって?肉や魚などを塩で漬け込んで発酵させた食品や調味料の事だ。
うどん。
その後長い歴史を経て今のしょうゆに近い液体調味料として普及したのは16世紀だと言われている。
17世紀には海外へも輸出されかのルイ14世の宮廷料理の隠し味で使われてたな〜んて話もあるくらいだ。
ルイ!うどん。
第2次世界大戦のあと日本のしょうゆは大量生産されてアメリカやヨーロッパを中心に爆発的に広まり今では世界中どこに行っても目にするようになった。
うどん。
確かにロンドンのスーパーでも日本のしょうゆを目にするわね。
うまいしょうゆを大量生産して世界的に普及させた事は実に画期的だがそれが全てってわけじゃない。
日本には地域に根ざしたしょうゆメーカーがフランスにおけるワイナリーのごとくたくさん存在していてその数はなんと1,500とも言われている。
(エミル)うどん。
それぞれのメーカーが原料や製法にこだわって独自の味を追究し日々しのぎを削っているんだ!うどん!う…うぉ…う…。
「しょうゆ」って読むんだよ。
(リスン)何だか妙に迫力のある建物ね。
もともとは武家屋敷で300年の歴史があるそうだ。
実はここはサムライの末裔が経営するしょうゆ蔵なんだよ。
えぇっ!サムライ!?いい子にしていないとチョンマゲにさせられるかもしれないぞ!や…やだよ!チョンマゲなんて!ハッ!どうも〜!ようこそいらっしゃいました〜!私当主の幸田菊之進と申します。
「キクリン」って呼んでね〜。
さっさっさっどうぞ中へ〜。
ほんとにサムライの末裔?た…多分な。
どうぞごゆっくり見学なさって下さ〜い!じゃ亀吉さんお願いね。
かしこまりました。
では皆さんこちらです。
ほぉ〜。
あ〜んごめんなさいねぇ!一般見学の方と一緒の日になっちゃってぇ。
いろいろなしょうゆがあるんですね。
しょうゆは仕込みや製造工程原材料の配分によって色や香りが違ってくるの。
中でもポピュラーなのは薄口しょうゆと濃い口しょうゆ。
薄口しょうゆは色や香りが抑えられているので炊き合わせや含め煮などの料理によく使われるの。
関西地方の方はこのしょうゆの方が好きね。
濃い口しょうゆはもっとポピュラーで日本で生産されているしょうゆの8割以上はこの濃い口しょうゆよ。
どの家庭にも常備されている調味料がこのしょうゆと言っていいわね。
こ…これは?あらっ!いい男はお目が高いわねぇ。
名付けてぇ〜「サムライプレミアム」。
これから売り出す新商品。
1本1万円よ。
1万!?10年熟成させたこだわりの一品だもの〜。
1年熟成で千円だから安いもんじゃな〜い?普通は半年から1年再仕込みしょうゆでも2年ってとこですよね?ウフフ〜。
私たちは他と同じ事はやらないの。
しょうゆの味の決め手は第一にこうじ作りよ。
まず蒸した大豆といって砕いた小麦に種菌を加える。
それを湿度が高くて暖かい場所に保管するの。
こうじ菌の胞子は栄養を摂取しながら発芽して3日ほどすると成長して菌糸となりこうじを形づくっていくわ。
そして出来たこうじに塩水を加えて出来たものがもろみ!
(一同)うわ〜…。
これが今年仕込んだもろみ。
これは去年。
これは5年目。
うぅ〜…。
あっちの奥に10年ものがあるけど見てみる?うぇ〜…僕はいいや。
何か怖いし。
この部屋はね生きてるのよ。
生きてる?ここには乳酸菌や酵母をはじめとするたくさんの目に見えない微生物が息づいているの。
この木樽にも壁にも。
そこの柱にも。
代々受け継いできたたくさんの微生物たちが醸造のプロセスに関わってうちのしょうゆ独特の味を造ってくれてるってわけ。
この部屋は私たちの命なのよ。
(幸田)これが櫂入れ。
こうして混ぜてやる事で酸素を送って発酵を促進させたりガス抜きしてやったりする大切な作業よ。
これを幾度となく繰り返す。
いわばもろみとの対話ね。
熟成が終わったらもろみを布で包み重ねてそうすると布の重みで少しずつしょうゆが滴となって垂れてくる。
そのあとゆっくり圧力を加えてしょうゆを絞り出すってわけ。
そして最後は火入れ。
絞った生じょうゆに熱を加えてそれ以上発酵が進まないようにするの。
これで完成よ。
200年も前の樽を今も使っているなんて驚きました。
もろみの熟成にかける手間といい伝統を守り抜く努力と姿勢すばらしいですね。
ウフフ。
でもね伝統をかたくなに守るだけじゃ駄目よ。
え?だって他にも老舗のしょうゆ蔵なんてたくさんあるもの。
しょうゆ業界は甘くないわ。
うちみたいな小さな蔵が生き残っていくにはどうすればいいか分かる?というと?グリグリ攻めるのよ!
(幸田)アイスクリームに合うしょうゆ〜!これはうちで作ったアイスクリーム用のしょうゆ。
伝統に縛られず私のやり方で他にはないしょうゆを追究したその結果がこれよ!ん〜!悪くないね!その顔が見たくてしょうゆのスイーツも作ってるのよ〜。
しょうゆチョコレートにキャラメルキャンデーあとドーナツでしょ〜ワッフルに…。
お菓子屋さん顔負けね。
やっぱりサムライの末裔には見えないな。
(亀吉)それではこちらにお進み下さい。
(匂いを嗅ぐ音)どうかしたんですか?この先にもろみを熟成させるもろみ部屋がございます。
その前にご持参頂いた帽子長靴を着用して頂き…。
どうも〜。
ちょっと失礼しまぁ〜すっ!貴様か。
(一同)あぁ…。
納豆!?見学者がかばんの中に隠し持っていました。
匂いが出ないよう厳重に密閉していたようですがうちの社長の鼻はごまかせません。
恐らくは商売敵が放った刺客かと。
刺客!?どういう事?納豆菌はこうじ菌や酵母よりも強いからしょうゆの発酵や醸造のプロセスに影響を与えてしまうんだ。
おっしゃるとおり。
それは私たちの命。
先祖代々受け継いできた伝統の味が失われてしまう事を意味します。
しょうゆ造りは戦です。
(叫び声)
(幸田)誰に頼まれたの?吐いちゃった方が楽になるわよぉ。
(男)いっそ殺せぇ〜!アッハッハッハ!
(幸田)最後にこれ食べてってね。
うわ〜。
うちのサムライプレミアムが一番おいしく味わえる食べ方なのよ〜。
い…いや〜生の卵は得意じゃなくて…。
さっきアイスクリームも食べたばかりだし…。
いいから食えってんだよ。
は…はいぃ〜。
ん?うまあぁ〜い!えぇ?ほんとに?アスガー!要らないならパパにくれ!え〜ちょっと待ってよ〜。
ん〜うまっ!うま。
うまあぁ〜!
あまりのうまさに僕はうっかり1万円のしょうゆを2本も衝動買いしてしまった。
キクリンはサムライの血を引いたかなりすご腕の商売人だった
お買い上げありがとうございました〜!マイケルの友人トシです。
あいつ御飯にしょうゆかけて随分感動していたが米にしょうゆといったらこれだろ。
しょうゆ煎餅だ。
しょうゆで味付けした伝統的な米の焼き菓子。
しょうゆ独特の味や香りを堪能するなら煎餅が一番。
なぜかって?しょうゆの味付けが一味違うからだ。
今日はそれを見てみようじゃないか。
訪ねたのは新潟市にある煎餅工場。
おっといきなりトラック?驚く事にタンクの中身はしょうゆ。
この工場では一日に3千リットル以上も使うらしい。
大量のしょうゆをどうやって中に?あ〜ホースで直結ね!おっと今度はすてきな女性が!案内をしてくれる村田さん。
新製品を考案する技術者だ。
さあしょうゆしょうゆ!こちらが工場の入り口になります。
あれ?まずはホコリ取り?更にエアシャワー。
事前の段取りが多いね。
でも衛生管理は大事だよね。
いよいよ製造工程!…と思ったら扉が次々に。
一体いつになったら…おっきたか。
まず最初にご案内するのがこちらの煎餅です。
ここはふかした米を空気を入れながら練り込む工程。
そしてのばした生地を半月の形にしてカットする。
何だよ米粒に逆戻りしてないか?しかし気持ちいいくらいテンポよくカットするね〜。
1秒間におよそ1,500粒もカットしているんだとか。
こちらが焼き上がり。
見覚えあるでしょこれ「柿の種」。
味付け前だがうまそうだ!いよいよ核心部分。
しょうゆだれ。
「柿の種」はどんなしょうゆで味付けしてるの?
(村田)おつまみのイメージを想定しましてうまみと香りが強いしょうゆにちょっと辛みを付けて味付けしております。
もう少し具体的に成分は?ちょっとこれ以上は企業秘密なので申し上げる事はできません。
残念。
でも味付けのしかたは面白いぞ。
ザ・しょうゆシャワー。
「柿の種」にしょうゆだれを吹きつけていく。
ドラムを回転させるのは満遍なく味を行き渡らせるため。
味付けが済んだら完成だ。
「柿の種」はとろりとしたうまみの強いしょうゆを使っているからビールによく合うってわけか。
村田さん次は何かな?よく見て頂いたら分かるんですけどもちょっと曲がった生地になっております。
パリッとこんがり!うまそうに焼き上がっているね!ここでしょうゆを使った味付け。
「柿の種」とは違ってしょうゆだれの入った大きな桶に煎餅を漬け込んでいく。
この煎餅をおいしくするしょうゆって?
(村田)濃い口しょうゆをベースとしていろいろ調味料を混ぜたちょっと甘辛いのが特徴となっておりまして米の風味を生かすためにはうまみと香りバランスのとれた濃い口しょうゆが一番だと思っております。
家でも使う濃い口しょうゆが味のベースなのか。
濃い口しょうゆは何と言っても香ばしい香りが特徴だ。
こちらが味付けしたお煎餅になります。
すごくいい香りがしててお煎餅にはしょうゆが欠かせないものとなっております。
しょうゆの香り食欲をそそるねぇ〜。
しかし煎餅工場下手なテーマパークより断然面白いな。
これならあいつも間違いなくハマる。
マイケル米にしょうゆ煎餅で納得だろ。
2016/01/05(火) 16:05〜16:25
NHK総合1・神戸
アニメ 英国一家、日本を食べる「サムライのしょうゆ」[二][字][再]
イギリス人フード・ライターとその家族が、日本に滞在して各地の料理や食材を食べ尽くす!?「和食」をテーマに、一家の100日に渡る日本珍道中を描くコメディ・アニメ。
詳細情報
番組内容
四国にやってきたマイケルたち。旅の目的は香川名物の「うどん」…ではなく日本の調味料の代名詞ともいえる「しょうゆ」だった。立派な武家屋敷の老舗しょうゆ蔵で一家を出迎えてくれたのは、武士の末えいだという男。こだわりの製法や新商品の説明をしていたが…。
出演者
【声】竹本英史,満仲由紀子,広橋涼,山田真一,徳山靖彦,滝藤賢一
原作・脚本
【原作】マイケル・ブース,【翻訳】寺西のぶ子,【脚本】天沢彰
監督・演出
【監督】ラレコ
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz
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