(萌子)間違いないわよ。
この子はあんたの子よ。
あんたが稲垣先生に名前を付けてもらって養子に出した富貴子なのよ。
(美輪子)富貴子は私の本当のお姉ちゃま?私たちは牡丹と薔薇の姉妹なの。
ぼたんが死んでもこうして姉妹でいられるなんて何て不思議な巡り合わせなのかしら。
(富貴子)一緒に?一緒に住むってお宅に?そうよ。
小日向家の家族になって一つ屋根の下で暮らすのよ。
(峰靖)危なかったんだよ。
向こうが気付かなかったからよかったようなもんだけど。
(伊佐子)何もわざわざ一番危険なところに行って地雷を踏むようなまねしなくたって。
名乗るつもりはなかったのよ。
でも半年して向こうの方から私を捜し当てたの。
(伊佐子)あの女さえいなけりゃ多摩留は死ななくても済んだんだよ?だって私にとっちゃ妹は妹です。
どうしてうちに来てくれないの?なぜ一緒に住んでくれないの?どうして富貴子!ここよ。
お姉ちゃま。
ここが小日向家。
あなたの家よ。
(眞澄)もし富貴子にお会いになってあなたの気に入らなければ正直にそうおっしゃってね。
私は別に押し付けるつもりはないんです。
(崑一)何をバカなこと言ってんだ?お前の産んだ子じゃないか。
そんな言い方をしちゃかわいそうだろう?
(眞澄)だって何だか自信が持てないんですもの。
(崑一)ハハハ。
楽しみにしてるんだよ私は。
(崑一)美輪子も慕ってるようだしね。
でも何だか…。
・
(ドアの閉まる音)来たようだわ。
うん。
さあどうぞ。
お姉ちゃま。
よくいらっしゃいました。
お上がりあそばして。
いいのかしら?私。
いまさら何を言ってるのよ?今日はパパも会社がお休みだから朝からあなたが来るのを今か今かと待ってるのよ。
失礼します。
ご立派なお宅ね。
何だかハリウッドの映画に出てくるみたいだわ。
どうぞ。
こっちよ。
パパ。
こちらが富貴子よ。
お姉ちゃまよ。
富貴子です。
お初にお目にかかります。
どうかよろしくお願いいたします。
よく来たわね。
先日は失礼しました。
どうぞ。
お掛けなさいな。
あっ。
さあさあ。
座って。
座って。
楽にして。
お姉ちゃま。
あなたはここよ。
どうも。
お好みでお砂糖とレモンをね。
ありがとうございます。
ああ…。
富貴子さん。
アメリカ留学してたんだってね?はい。
最初は単純な語学留学だったんですけど2年間は好きな美容部門に。
ああ…。
声までが似てるね。
はっ?ああ。
いや。
美輪子の言うとおりだ。
どういうわけか私の娘に…。
でしょう?パパ。
亡くなったぼたんの生まれ変わりだって言ったとおりでしょう?何だか不思議な気がするね。
そこはかとなくぼたんが目の前に座っているような。
生き返ってきたような。
あっ。
パパ。
泣いてる。
ねえ。
そうは思わないかね?そんなに似てるかしら?ぼたんとは血のつながりがないんですからね。
似ている方がおかしいわ。
いや。
しかし分かるよ。
美輪子が「お姉ちゃま。
お姉ちゃま」って恋い慕いたくなる気持ちが。
だからこの家に来なくちゃいけないのよ。
私たちは一緒に住むべき運命なのよ。
そりゃ2人は実の姉妹なんだから。
いいでしょう?パパ。
富貴子がこの家に引っ越してきても。
ああ。
パパもそれを望むよ。
もうにぎやかになって結構だ。
うわぁ!富貴子。
パパのお許しが出たわ。
お姉ちゃま。
一緒に住めるのよ。
でも…。
でも美輪ちゃん。
嫌嫌。
ここはお姉ちゃまの家なのよ。
美輪子もこう言ってるんだから遠慮せずにこっちへいらっしゃい。
うん。
ありがとうございます。
でもいきなり私みたいな大きな娘が…。
何を言って…。
そうね。
あなたと一緒に暮らしたいのはやまやまなんだけど。
でも25歳っていえばそれなりの人生体験もあるんだし。
どうしたんだ?眞澄。
失われたぼたんの代わりに富貴子って娘が戻ってきてくれたんだ。
おい。
元のように4人で一緒に暮らして何が悪い?いいじゃないか。
私は大歓迎だ。
いやぁ。
うれしいよ。
ホントにぼたんの生まれ変わりのような気がしてる。
あなた。
あなたがそう言ってくださると私も。
迷うことはないよ。
富貴子さん。
ここが自分の家だと思ってね引っ越してきなさい。
そうよ。
マンションの一人暮らしなんて意味ないわよ。
さっさと引き払っちゃいなさいよ。
今日から小日向家の家族の一員だ。
富貴子さん。
そのつもりでね。
パパ。
「富貴子さん」だなんて他人行儀に呼ばないでよ。
自分の娘なのよ?ハハハ。
分かってる。
富貴子だ。
ハハハ。
富貴子はぼたん。
ああ。
ぼたんは富貴子だ。
そうだろう?この絵が奇跡のように燃え残ったのもそういう意味なんだ。
ぼたんは死んだけどぼたんの分身のような富貴子が帰ってきてくれた。
だからぼたんは死にやしなかった。
ハハハ。
あなた。
うん。
そうよ。
ぼたんは生きてるの。
私は薔薇。
富貴子は牡丹。
いつまでも美しく華麗に咲き誇るんだわ。
ねっ?お姉ちゃま。
ええ…。
ええ。
ここが私の部屋よ。
すてきね。
こっちへ来て。
(崑一)これ。
お肉好きかね?うん?豪華なお食事で…。
(崑一)ああそうか。
よかった。
ハハハ。
ほら。
じゃあこのサロンともお別れね。
富貴子。
そう簡単にはいかないわ。
この仕事が私の収入源なんだし。
バカね。
お小遣いならパパがいくらでもくれるわよ。
あなたと違って私は二十歳すぎから自分で自分の身を養ってきたのよ。
だからもうそんな苦労はしなくてもいいの。
うちに引っ越してきさえすれば私たち2人の天国のような暮らしが待ってるのよ。
美輪ちゃんって本当にお嬢さまね。
言っときますけど荷物は何も持たないで来てね。
いい?言われなくてもアメリカに何もかも置いてきたから身の回りのものしかないのよ。
ああ。
お姉ちゃま。
これから2人でどんなに晴れやかで美しい日々を過ごせるんでしょう?考えるだけでうっとりしちゃう。
美輪ちゃんったら。
(峰靖)どうしても行くっていうんなら親子の縁切って行くしかない。
富貴子。
そのつもりでいるんだな?そんな気持ちはありません。
きっとまた戻ってきます。
(峰靖)でも先方には俺たちのことを何と言ってあるんだい?亡くなったって。
えっ!?死んだことになってんのか?2人とも?申し訳ないけど。
(伊佐子)へえー。
私たちは死んだ?じゃあ私たち親子の縁は奇麗に切れてるってわけだ。
すっきりしたもんじゃないの。
育ての親が死んで生みの親の元に戻っていくってんだから。
ごめんなさい。
あちらにはそう言うよりしかたがなかったの。
まあ多摩留のことがバレないためにもその方がな。
・
(ふすまが開く音)
(杉彦)姉ちゃん。
どこ行くの?ちょっとね。
杉ちゃん。
しばらく帰れないけど。
(杉彦)アメリカ?そんなに遠くじゃないわ。
(伊佐子)私たちに育てられた恩も忘れて立派な豪邸に住んでいい暮らしをして。
ハッ。
どうせお嬢さま扱いなんだろうね。
何もぜいたくをしたいわけじゃないわ。
ただしがらみってものがあるのよ。
しがらみだって?笑わせんじゃないよ。
産みっ放しにして捨てた親に。
どうしても行くっていうんなら富貴子。
復讐してやんなさいよ。
復讐ですって?ストーカーストーカーって言うけどねうちばっかりが悪いんじゃないんだ。
多摩留の復讐をするつもりで行けばいいじゃないの。
母さん。
(峰靖)バカなこと言うもんじゃないよ。
とにかくな素性がバレないように気を付けることだよ。
ええ。
そうします。
(伊佐子)そりゃねチョウよ花よってわけにはいかなかったけど私たちなりに一生懸命かわいがって育てたつもりなのにさ。
あんた。
そんな実の母親が恋しいの?違うのよ母さん。
妹なのよ。
妹?私あの妹をほっとけないの。
わがままだけど頼りなげで傷つきやすくて痛々しくて見てられない。
どうしても私がそばに付いていてやらないと。
そう。
あんなバカな娘をねぇ。
どうしようもないのよ。
運命みたいなものなのよ。
じゃあ私たちは何なのよ?運命じゃないの?母さん。
必ずまた帰ってきます。
決して忘れないから。
ねっ?母さん。
切ないねぇ。
姉ちゃん。
姉ちゃん。
行くなよ。
行くなよ。
(杉彦の泣き声)杉ちゃん。
ごめんね。
私のいない間立派にお店のお手伝いをしてね。
頼むわよ。
お願いね。
杉ちゃん。
(杉彦の泣き声)すてきねぇ。
家具は全部ぼたんが使っていたものと同じものを選んだの。
まるでこの部屋田園調布のあなたたちの部屋とまったく変わらないわ。
そうなの。
あのころと同じにしたかったの。
どうしたの?どうしてこんなもの。
後は布団や毛布。
段ボールが少しと鏡だけよ。
何も持ってこなくていいって言ったじゃない。
だから身の回りのものだけよ。
それでも本棚と鏡があるから小型トラックを雇ったの。
あっ。
それついでに部屋まで運んでくださる?
(男性)いいっすよ。
こっちです。
許せない。
あら?富貴子のお引っ越し荷物?嫌ね。
こんながらくた。
ひとまずこの辺りに。
(男性)はい。
富貴子。
こういうものを持ち込まれたら困るのよ。
えっ?どうして?見たら分かるでしょう?あなたのために私が新しく家具を選んで全部揃えたのよ。
亡くなったぼたんが好きそうな趣味のものをいちいち吟味して揃えたのに。
何よ。
こんな汚らしいものを。
だってこれはわざわざアメリカから持って帰った私にとっちゃ思い出の…。
そんな思い出なんかどうだっていいの!こんな粗大ごみ…。
ちょっと。
美輪ちゃん!?やめて!美輪ちゃん!これもいらないわ。
こんないやらしい不潔なもの。
やめてよ!ここは私たちの神聖な部屋よ。
あなたの過去を持ち込まないでよ。
汚れるわよ!それももらうわ。
あっ。
それは…。
あっ。
ちょっと。
美輪ちゃん!悪趣味!あっ。
何よその目は?美輪ちゃん。
あなたってそういう人だったの?私はぼたんが生きていたころのようにしたいだけよ。
お母さんの言うとおりだわ。
25年もの人生経験が積み重なって私が思ってるぼたんと違うんだもの。
私はぼたんじゃありません!何よ!あなたは富貴子じゃないの。
富貴子はぼたんだわ。
この家に来た以上亡くなったぼたんのようにしてくれなくっちゃ。
ねえ。
そんな顔しないで。
ローズヒップティーでもお飲みなさいよ。
どうなの?あなたたち。
うまくやっていけるの?やっていけるわよ。
ねえ?お姉ちゃま?私たちは血のつながった本当の姉妹ですものねぇ?今日はパパが遅くなるから簡単にしたの。
これタルタルソースをつけてね。
はい。
ありがとう。
いただきます。
いただきます。
田園調布にいたころは家政婦さんがいたんだけど家族が一人増えたんだから誰かお手伝いさんでも雇おうかしら?別に私…。
私にできることは何でもしますから。
本当?ええ。
台所のお手伝いだって何だって。
頼もしいわねぇ。
何だか不思議な夢を見てるような気分なの。
こうして3人で食事ができるなんて。
パパは邪魔者?邪魔者ってことはないけど。
親子水入らずっていうんでしょ?こういうの。
まあそうね。
うっ。
うっ…。
どうしたの?何よこれは?あら。
ごめんね。
食べない。
こんなもの食べられない!どうしたのかしら?私のには全然骨なんかないんだけど。
ホント?じゃあそれちょうだい。
でも食べかけよ?いいの。
気にしない気にしない。
じゃあどうぞ。
何だかおかしいわね。
ぼたんが生きてたころとおんなじね。
駄目駄目。
そんなださいパジャマなんか。
えっ?これを着なさい。
あなたにぴったりよ。
これ?・
(ノック)・
(崑一)いやぁ。
お姫さまたち。
ご機嫌はどうかね?嫌だ。
パパ。
富貴子。
この部屋の居心地は?ありがとうございます。
新しく家具まで揃えていただいて。
ああ。
気に入ればいいんだけどね。
パパ。
入ってきちゃ駄目よ。
今何時だと思ってんの?ああ。
そうか。
そっか。
いくらパパだって駄目。
分かった分かった。
ハハハ。
嫌ね。
お酒臭い。
(崑一)いいねぇ。
いいねぇ。
この家に元のように娘が2人。
うれしくてドキドキするようだね。
そう?富貴子がいるだけで家じゅうに新鮮な空気が流れてる。
毎日この家に帰ってくるのが楽しみだね。
よかったですわね。
あなた。
ハハハ。
うーん…。
2016/01/05(火) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #23[字][デ]【衝撃!!危険な同居生活】
美輪子(逢沢りな)らの熱望に負け、富貴子(黛英里佳)は小日向家で暮らし始める。美輪子は富貴子に亡きぼたん(黛英里佳:二役)と同じように振る舞うよう要求するが…
詳細情報
番組内容
富貴子(黛英里佳)は美輪子(逢沢りな)に請われ、彼女の家を訪ねる。以前から富貴子に会いたがっていた崑一(岡田浩暉)と対面させるためだ。
崑一は目の前に現れた富貴子を見て、衝撃を受ける。美輪子と同じく、富貴子にぼたん(黛二役)の面影を重ね、「あの娘が帰ってきてくれた!」と感涙にむせぶ。一方で眞澄(伊藤かずえ)は、出産してすぐ別れた富貴子をどうしても実の娘と思えず、そんな自分を持て余していた。
番組内容2
崑一から強く引っ越してくるよう言われた富貴子は、峰靖(安藤一夫)や伊佐子(魏涼子)の反対を押し切り、美輪子たちと暮らすことを決意するが…。
出演者
小日向ぼたん:黛英里佳
小日向美輪子:逢沢りな
牧原世奈子:田中美奈子
小日向崑一:岡田浩暉
浅黄萌子:山口いづみ
瀬尾綱輝:片岡信和
・
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ)
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
藤木靖之
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ)
大久保直実(ビデオフォーカス)
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス)
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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