「きょうの健康」今日は「早めに対処帯状疱疹」というテーマでお伝えします。
お話をして下さいますのは…皮膚科の医師で帯状疱疹を含め皮膚病全般の診断治療を行っていらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
帯状疱疹この季節に多いんでしょうか?そうですねこの季節もそうですし夏から秋にかけて患者さんが増える病気です。
詳しくお願い致します。
まず今日のポイントですけれども。
治療が遅れますと後遺症として痛みが残る場合がありますし発症したらすぐに受診し適切な治療が大切です。
どのぐらい早くかといいますと発疹が出たら3日以内に受診する事が大切です。
なるほどはい。
まず帯状疱疹とはどのような病気か桜井さんご存じでしょうか?とにかく痛いって皆さんおっしゃいますしそれから水膨れが帯状に出るという事は。
そうですね。
こちらに帯状疱疹の方の写真が写っておりますけれども発症直後はこのように背中から腰にかけて体の半分の所赤い発疹が出ておりますけれども症状の進行に伴いまして次第に帯状に広がって水膨れが生じてくるという事です。
症状としては初めは痛みが出てまして進行とともに痛みが非常に激しくなってくる方もいます。
ただ中には初期はかゆみだけという事もありますので注意が必要です。
で体の片側にこのように広がるという事が大切です。
この図で言いますと特にお顔ですとか頭あるいは胸とか背中などが多いといわれております。
原因は何なんですか?原因はこちらにあります…ウイルスなんですね?はい。
水ぼうそうのウイルスと同じです。
なるほど。
お子さんの時に水ぼうそうウイルスにかかった事がある人は誰でも帯状疱疹を発症する可能性があります。
そうすると水ぼうそうが治ってないという事になるんですか?水ぼうそうは治るんですが実はウイルスが全部死滅している訳ではなく神経の中に潜んでおります。
そしてそれが再び再活性化して帯状疱疹として現れます。
どのように発症するかこちらの図で説明致します。
先ほど言いましたように痛みなどの感覚をつかさどる神経の根元にあります神経節というのがありますけども例えば背骨とか三叉神経の神経節の所に健康な時はウイルスがこうやって潜んでる訳です。
潜んでるんですか?そうですね。
しかし再活性化になりますとウイルスが増えてそれがちょうど背中ですと体のちょうど半分の所の末梢神経という所を伝わってウイルスが移動してきましてそれがちょうど皮膚にいきますと水膨れを作りながらそのちょうど増えた部分で痛みを感じるという事になります。
それで片側にという事なんですね。
どうなんでしょうか片側に広がってくるのは今伺いましたがそうしますと水ぼうそうにかかった事がないという人は大丈夫と考えていいんですか?本当にかかった事がない人は帯状疱疹にかかる事ないんですけれども大人になって自分がお子さんの時に水ぼうそうにかかった事があるというのを忘れてしまってるって方もいらっしゃいますので水ぼうそうにかかった事がないと思い込んでいても帯状疱疹として出る事はありますので注意が必要かと思います。
油断しちゃいけないと。
こちらの図ですけれどもこれは宮崎県で長年にわたり大規模な調査を行った結果になりますけれども1年間の間にどれだけ帯状疱疹が発症するかという事を表した図です。
こちら縦図ですけれども1,000人あたりに1年間に帯状疱疹を発症した人数が書いてあります。
そしてこの横図の所には各年代が書いてあります。
ここで男性女性では特に差はなかったんですけれども50歳を過ぎますと急激に帯状疱疹を発症する方の人数が増えてるのが分かります。
本当に極端に増えてますがこれはどうして50歳を越えると?やはり年齢が上がってきますとどうしても体の抵抗力が弱ってきますのでそのような事で帯状疱疹に対する抵抗力が弱って発症するんじゃないかといわれてます。
なるほど。
帯状疱疹の発症のきっかけはまだ詳しくは分かっておりませんが多くは過労ですねあるいはストレスあるいは先ほどお話ししましたような加齢ですね。
年齢的なものが。
…で発症しますしあと中にはがんですとか糖尿病など免疫の下がる病気にかかってらっしゃる方ですとかあるいはステロイドなど免疫を抑えるお薬をのまれてる方も発症するリスクが高いといわれています。
それにしても最初の写真を見ますとこれを見て帯状疱疹とは思えない何かあせもかなと思う場合もあると思うんですけどね。
確かに最初発疹を見ますと赤い発疹がこうやって小さく出てるだけですからあせもと区別つきにくいですけどあせもの場合ですとやはり首ですとか肘の内側とか汗のたまりやすい場所に多いですしかゆみがある事が多いです。
ただ帯状疱疹の場合はまず痛みを伴う事が多いです。
そして進んでいきますと水膨れが出てきますのであせもとは区別できるかと思います。
また治療をしなくても20日間ほどで皮膚の症状は治ってしまう訳ですけどもただ治療しない事で激しい痛みとか皮膚の症状が強くなってそれが後遺症として神経痛という事で残ってしまう事がありますのでできるだけ早い治療が必要ですし中には放っておきますと39度以上の発熱ですとか頭痛ですとか全身の強い症状が出る事もありますのでやはり放っておかずに早めに治療するという事が大切です。
自然に治っていく場合もあるけれどもでもやっぱり後遺症が残る事もあるので早めにっていう事がキーワードになってくる。
はい分かりました。
痛みなんですけれども本当に聞きますとね洋服が触っただけでも痛いと。
どのぐらいのどういう痛みなんでしょうか?そういうような形のちょっとこすれた軽い刺激で強い痛みが出る方もいらっしゃいます。
針で刺されたようなピリピリするような痛みですとか中にはズ〜ンと重い感じの痛みの出る方もいらっしゃいますのですごく強い痛みで夜眠れないという方もいらっしゃいまして日常生活に強い影響が与えられますので重症化しないようにする事が大切です。
また中には非常に重症化して運動神経に及びますと例えば肩なんかに帯状疱疹起こりますと腕が運動神経マヒで上がらないとかですね…。
そういう方も?お尻の周りに帯状疱疹ができますとおしっこが出なくなるとか。
あとお顔に帯状疱疹がありますと耳の聞こえが悪いですとかあるいは顔面神経マヒといいまして口が閉じられずに食べ物が片側からこぼれ落ちてしまうというような症状が出る方がいますのでそういった意味でも早めに治療する事が大切かと思います。
ほかの病気を誘発する事もありうるという事なんですね。
それにしても最初は本当に…こうなるとすごく痛そうなんですけども最初の頃だとどうしてもちょっと皮膚ですとね皮膚科ではなくて内科ですよねどこだか分からない場合には内科に行ったりとかする人もいると思うんですけどどの科を受診すればいいかというのは迷いますよね。
例えば腰なんかの痛みがありますと腰痛という事で整形外科の先生の所に受診される方もいらっしゃいますしあるいは例えば今おっしゃったように頭痛とかありますと内科を受診される方がおります。
で治療が遅れてしまう事があるんですけども帯状疱疹の場合は多くは痛みのあとに発疹が出てきます。
ちょうど痛みの部位に一致して発疹が出てきますのでそういう事でご自身でも帯状疱疹を疑って早めに皮膚科の専門の医院なり医療機関を受診される事が大切かと思います。
3日以内という事ですけれどもでも例えば週末ですとか仕事がちょっと忙しくてなかなか3日で行けない場合もあるんですけどどうして3日にそんなに?そうですね確かに土日でも受診できない方とか…発症してですねすぐに受診できない方はいらっしゃいますよね。
そうしますと近くの医療機関とかかかって頂いて早めに治療する事が大切になります。
3日以内という理由ですけれどもちょっとこちらの図を見ますと帯状疱疹の治療ですけれども抗ウイルス剤というのが治療の主になります。
これはウイルスの増殖を抑えるお薬になります。
3日以内という事は3日以上たってしまいますとウイルスが十分に増えてしまいますのでそうしますとウイルスの増殖を抑えるお薬を使ってももう間に合わないという事になりますのでウイルスが増えるまでの3日以内に抗ウイルス剤を投与する事が大切です。
そうすると緊急外来とかそういう所へ行った方がいいという事ですか?そこまでした方がいい?そうですね。
それにのみ始めたらしっかり7日間のみ続けなければいけません。
それだけやっぱり薬をきちんと早くのんでそしてのみ続ける事が重要で。
自己判断でやめないという事が大切かと思います。
はい。
それにしても抗ウイルス薬ですからこれをのみ続けるといいという事なんですけどほかの薬を教えて頂けますか?そうですね先ほどからお話ししてますいわゆる後遺症といいますか痛みがありますね。
痛みの場合皮膚の障害からくる皮膚の痛みがあります。
そのような場合は消炎鎮痛薬を使います。
また更に進みまして神経の障害からくる痛みの場合は最近は抗てんかん薬ですとかあるいは麻薬性の鎮痛薬でありますオピオイドなんかを使う事がありますので痛みの種類に応じていろんなお薬を選んで使う事が大切かと思います。
再発は抗ウイルス薬をのむとしないと考えていいんですか?昔は一度帯状疱疹にかかればもう一生かからないというふうに思われてましたが実はウイルスが体の中にまだ残っておりまして帯状疱疹にかかりますと帯状疱疹に対する免疫ができてかかりにくい訳ですけどもやはりご高齢の方ですとかあるいは強い免疫を抑えるお薬のんでらっしゃる方ですと再発する事2度3度とかありますので一度帯状疱疹になったからといってかからないと思わずに注意された方がいいかと思います。
日常生活の注意点教えて下さい。
はい。
まずは体を休めるという事ですね。
例えば仕事がお忙しい方ですと仕事をお休み頂いて体を休める。
あるいは帯状疱疹だけの事を考えて家に閉じこもっている方ですと非常に痛みだけでつらいですから外に出て例えばお買い物をして気分転換するとかほかの人とお話しして心を和らげてリラックスするという事も大切です。
そして…。
また体を温める。
例えば入浴ですとかあるいは湯たんぽとかカイロなんかを使って体を温める事が大切です。
更に…。
冷やすと炎症ですからいいと思われがちですけれども実は冷やす事で神経痛が強くなる事が多いですから痛みが強い場合はあまり冷やさずに温めるという事に心がけて下さい。
入浴は必要いいという事ですが家族にうつったりはしないんでしょうか?入浴は血行を促進して痛みを和らげますので非常にいい訳ですけれどもお風呂の中ではうつらないです。
湯船ではですね。
ただ帯状疱疹の発疹を触りますとうつる事ありますので例えば帯状疱疹の方が発疹の所に使ったタオルなんかを使いますとうつる事ありますので注意が必要です。
水ぼうそうですねかかったかどうかっていうのは記憶が曖昧なんですけどもそれでも新たに水ぼうそうのワクチンを受けたいとそう思ったりしたらどうしたらいいんですか?今お子さんですと定期接種で水痘ワクチンというのが使える事になっておりますけども大人の方ですと自費で水ぼうそうの発症を抑えるワクチンが使えます。
また帯状疱疹の重症化あるいは発症ですねあるいは強い神経痛を予防するという目的で帯状疱疹のワクチン日本では水痘ワクチンになりますけどもそれを自費でうつ事ができますけれども医療機関でやってる所とやってない所ありますので是非掛かりつけの先生に相談頂いて必要であれば自費でうつ事は可能です。
子どものうちは必ず予防接種を受けるという事とそれから大人になったらとにかく早めに対処。
3日以内に受診という事ですね。
そうですね。
今日のポイントですが発疹が出たら3日以内に受診して抗ウイルス薬を投与するという事になります。
これはどうなんでしょうかやはりなかなか一般的には病院に行かないで薬屋さんに行って薬を塗ってというような事もあると思うんですけど。
皮膚だけなので塗り薬だけでいいかと思いますけども神経痛とかさまざまな全身の症状もありますので早めに皮膚科の専門の所に行って適切な治療をして頂くのが大切かなと思います。
これからの季節夏バテとかいろいろしがちですしそういう時に再発をすると。
ウイルスは死なないという事なんですね。
そうですね。
気を付けて頂きたいと思います。
それも年齢的に50を過ぎたら要注意という事。
要注意という事だと思います。
はいありがとうございました。
今日は「帯状疱疹早めに対処」という事でお伝え致しました。
ありがとうございました。
どうもありがとうございました。
2016/01/05(火) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「早めに対処 帯状疱疹(ほうしん)」[解][字]
体内に潜んでいた水ぼうそうのウイルスによって発症する帯状疱疹。神経を伝わって広がり強い痛みに悩まされることが多い。発疹が出てから3日以内の治療がポイントになる。
詳細情報
番組内容
水ぼうそうにかかったことがある人に発症する帯状ほう疹。体内に潜んでいたウイルスが活性化して起こる。患者は50歳代から急増。きっかけは不明だが、疲れなどで免疫力が弱くなっているときに起こりやすい。水ぶくれのような発疹は治療しなくても20日ほどで治るが、放置しているとどんどん広がり、激しい痛みが続くだけでなく後遺症として神経痛が残る場合がある。重症化を防ぐ鍵は、発疹が発生から3日以内の治療だ。
出演者
【講師】横浜市立大学附属市民総合医療センター准教授…蒲原毅,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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