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【国際】北朝鮮「水爆」実験 国際社会も一斉非難北朝鮮が6日、水爆実験に成功したと発表したことに対し、国際社会から非難する声明が相次いだ。米国は国連安保理決議違反だと指摘し、北朝鮮のいかなる挑発にも対応する強い姿勢を表明。中国は初めて事前通知が無かったことに不信感を示したほか、ロシアが強く批判するなど友好国からの反発も招いた。 ◆米国 本土射程に危機感【ワシントン=斉場保伸】米国家安全保障会議(NSC)のプライス報道官は米国時間の五日深夜に声明を発表し、北朝鮮が発表した「水爆実験」の事実関係について「確認できない」と述べた。ただ、米国は北朝鮮のミサイルの射程が長距離化することに神経をとがらせており、「近隣の友好国と連携し、緊密に状況を監視する」と強調した。 プライス氏は「あらゆる国連安保理決議違反を非難し、北朝鮮を核保有国とは認めない。韓国を含む地域の同盟国を守り、北朝鮮のいかなる挑発にも適切に対応する」と指摘した。 今回の核実験は、十二日のオバマ米大統領の一般教書演説まで一週間のタイミングで実施された。昨年の演説では北朝鮮問題について直接の言及はなかった。北朝鮮が核実験でオバマ氏に圧力をかけているのは明らかだ。 米政府は、北朝鮮が核実験を重ねて核弾頭の小型・軽量化をさらに進めれば、長距離ミサイルへの搭載が可能になり、米本土が射程に入るとの危機感を深めている。開発中の大陸間弾道ミサイル「KN08」が仮に射程一万キロを実現した場合、米西海岸のカリフォルニア州サンフランシスコだけでなく、中西部のコロラド州デンバーまでを標的にすることが可能だ。 オバマ政権は北朝鮮に対する対話の条件として、北朝鮮が言葉ではなく非核化に向けた行動を示すことが重要というのが基本姿勢。しかし、早くも共和党大統領候補の一人、マルコ・ルビオ上院議員(44)からは「オバマ氏がぼんやりとしている間に、北朝鮮は核実験を行った。オバマ・クリントン外交の最新の失敗事例だ」と「弱腰」を批判する声が出ており、オバマ氏にとっては目に見える成果を迫られる可能性が強まっている。 ◆中国 「断固反対する」【北京=秦淳哉】北朝鮮が水爆実験に成功したと発表したことを受け、中国外務省の華春瑩副報道局長は六日の定例記者会見で、「国際社会の反対を顧みず核実験を実行したことに断固反対する」と強く非難した。北朝鮮から今回は事前通知がなく「中国は全く知らされなかった」とも表明。事前通知の有無を明言するのは異例で、不信感をあらわにした。 北朝鮮の核問題解決のため二〇〇三年に始まった六カ国協議で、中国は議長国を務める。しかし北朝鮮は〇九年に同協議からの離脱を宣言し、ウラン濃縮技術の向上やミサイル発射実験を繰り返してきた。北朝鮮が一三年に三回目の核実験をすると、中朝関係は冷えこんだ。 昨年九月に訪米した習近平国家主席は、北朝鮮の完全非核化を目指すことでオバマ大統領とも一致。核開発を封じるよう努めてきたが、今回の核実験強行で、中国指導部のメンツはつぶされた格好となった。 華副局長は会見で「六カ国協議の枠組みを通じて朝鮮半島の非核化を図る」と強調。だが、協議再開のめども立たず、中国にも有効策がないのが実情だ。 北朝鮮事情に詳しい中国人民大学の金燦栄教授は「核実験は国家の意思。北朝鮮は対中関係が悪化するのも織り込み済みのはずだ」とみる。北朝鮮は貿易の七〜八割を中国に依存する。中国が経済制裁を加えれば影響は大きいが、隣国として北朝鮮の不安定化は避けたいのも実情だ。金教授は「中国は国連安保理の決議で北朝鮮への制裁に賛成するだろうが、単独で制裁を加えることはできないだろう」と指摘した。 ◆ロシア 追加制裁は難色【モスクワ=常盤伸】ロシア外務省のザハロワ情報局長は六日午後、北朝鮮による「水爆実験成功」との発表について、「事実なら核開発の新たな段階となり、国際法と安保理決議に対する重大な違反だ」と非難する声明を発表した。 ザハロワ氏は「既に軍事対立の危険性が高い朝鮮半島情勢を、さらに悪化させる」と懸念を表明。一方で、関係諸国に対し、「北東アジアでの統制不能な緊張につながる行動をとらないよう、最大限の自制を呼びかける」と述べ、北朝鮮に対する追加制裁を検討するとしている米国などをけん制した。 インタファクス通信によれば、ロシア上院のオゼロフ国防安保委員長も、隣国である北朝鮮の核実験は、ロシアにとり「極めて重大な脅威とみなすべきだ」と批判。ただ、北朝鮮の経済状況や生活水準、指導者への国民の熱狂ぶりを考慮すれば、北朝鮮への新たな制裁は「国際社会に対する脅しの手段として、核開発計画を促進させる」と指摘した。 ロシアは近年、北東アジアでの存在感向上や極東開発促進を狙い、北朝鮮との経済関係などを強化しているが、核実験強行で関係進展の動きが停滞する恐れもある。 PR情報
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