生字幕放送でお伝えします岩渕⇒明けましておめでとうございます。
ことし最初のテーマはこちらです。
担当は藤野優子解説委員です。
ことし社会保障いろいろ変わりそうですね。
藤野⇒社会保障の費用は年々増加していますので私たちが支払う保険料の負担などは一層重くなるんですがその一方でことしは低所得者に対する生活支援が強化されるというのが特徴です。
いろいろ変更点はあるんですがきょうは3つを中心に見ていきたいと思います。
まずは低所得高齢者への支援ですね。
これは低所得になっている年金受給者に給付金が支給される見通しなんです。
65歳以上で住民税非課税の人などに一度だけですが1人3万円の臨時給付金を政府は支給する方針です。
1回だけですね。
これから国会審議が行われるんですが今のところ対象となるのは1280万人と見られています。
大体年金受給者の3割程度となります。
なぜ給付金が支給されるんですか。
政府は賃上げで現役世代はアベノミクスの恩恵を受けられるけれども年金受給者に関しては恩恵が受けられない。
そういう人たちを支援しようというふうに説明しています。
いくらぐらいかかるんでしょうか。
財源はおよそ4000億円かかるんですね。
現役世代でも賃上げとなっていない人もいますし高齢者を優遇しすぎだとか参議院選挙前のばらまきだという批判も出ています。
それに一度きりの低所得者支援だと果たしてどのぐらい低所得者対策として効果があるのかも疑問です。
やはり制度の中に、しっかりと低所得者対策を組み込んで継続していくことが本来重要なのではないでしょうか。
2つ目は、ひとり親子どもが多い世帯への支援ということですね。
まずは所得の少ないひとり親家庭に支給されます児童扶養手当。
2人以上の子どもがいて所得の少ない家庭にはことしの8月分から増額される見通しです。
1人目は金額は変わりませんが2人目以降の加算額は最大でこのような金額になります。
大体これまでの倍の金額になります。
もう1つあります。
幼稚園や保育所の費用子どもが多い低所得の家庭の負担が軽減されます。
これはひとり親ではなくてもですね。
そうです。
年収およそ360万円未満の世帯は来年度から2人目の保育料が半額に、それから3人目以降は無料となる見通しです。
1人目の年齢に関係なくなったんですよね。
これまで遅れてきた子どもの貧困対策がようやく一歩進んだといえると思います。
そしてもう1つことし大きく変わります非正規で働く人の年金の見直しです。
非正規で働く人たちの将来の年金を少しでも手厚くしようということで厚生年金の加入基準を緩めようというものなんです。
具体的にはどういう基準になるんですか?今の厚生年金の加入基準は週の労働時間が正社員のおおむね4分の3以上大体40時間というところが多いので30時間以上労働時間がある人が入れるという基準です。
それがことしの10月からはこの4つの条件をすべて満たす場合、厚生年金に加入することになります。
基準がずいぶん緩くなりましたね。
対象となるのは、どのぐらいの人なんでしょうか?そこが問題です。
当初政府は400万人ぐらいを対象にしようと考えていたんですが、中小企業が負担増に反発しまして501人以上という条件が加わったんです。
大きな企業ですね。
結局対象人数が25万人と限定的になってしまったんです。
対象が減ったわけですね。
非正規で働く人たちの中には厚生年金に入れず国民年金に入っている方がたくさんいるわけです。
国民年金なので保険料は定額で所得に応じた負担になっていません。
負担が重くて払えないという人も多いです。
このままでは将来無年金や低年金になる人たちが急増してしまうことが避けられないということになっています。
年金制度格差をこれ以上広げないようにさらに非正規で働く人たちが厚生年金に加入できるよう拡大していく必要があると思います。
実際に知りたいところは厚生年金に加入すると払う保険料がいくらになってもらえる年金額はどのぐらいになるのかというところです。
人によって違いはあるんですけれども例えば夫が自営業で自分がパートで働きながら国民年金に加入している人の場合月収が9万円だとしますと今ひとつきの保険料は1万5000円ぐらいなんですがそれが7500円程度減額となります。
半分は企業が払ってくれるからですよね。
厚生年金はそういうことになります。
例えば非正規で働く男性の場合も月収が同じですと同じ金額になります。
受け取る年金のほうも変わってきます。
仮に20年間月収が9万円だとすると年間の年金の受け取り額が11万5000円程度増額となります。
これは移るメリットが大きいですね。
ただ事情が違うのはパートで働きながらこれまで夫の扶養家族になっていたという人。
第3号被保険者ですね。
そういう人たちはこれまで保険料を納めていませんので新たに基準に該当することになりますと厚生年金に入ることになります。
そうすると新たに保険料を負担することになります。
扶養から外れてしまうわけですね。
どのぐらいの負担になるんですか。
仮に月収9万円の人の場合新たに月々の保険料が7500円ということになります。
今まで払っていなかったわけですから、そう考えると重い負担ですよね。
目先の負担が増えるんですけれども将来受け取る年金額というのは増えるというメリットがあります。
仮に20年間月収9万円で働き続けた場合、年間の年金額はおよそ11万5000円程度増額になります。
このケースですと厚生年金に入ったほうが得なのか損なのかちょっと分かりにくいですね。
これではちょっと少ないかなと思われる方も多いと思いますが公的年金というのは終身で受け取ることができます。
大きな病気やけがをしたときに障害が残ってしまった場合障害年金を受け取ることができるというメリットがあります。
夫に先立たれたあと年金が減って生活が苦しくなる女性中には貧困状態の女性も増えています。
これから年金も先細りしていく時代です。
自立した老後を送れるように少しでも収入を増やして年金の受け取り額も少しずつ増やしておいたほうがいいと私は思います。
社会保障でいいますと消費税率が10%に上がったとき軽減税率を導入することが決まりましたけれどもそれによって社会保障の財源はどうなるのか気になりますがどんな影響が出るんでしょうか?まず総合合算制度聞き慣れないことばだと思いますがこの制度が先送りされる見通しです。
これは医療、介護、障害保育といったサービスですね受けたときに自己負担を払います。
その総額が重くなりすぎないように世帯の所得に応じて上限を設定しましょうというものだったんです。
社会保障と税の一体改革の低所得者対策の柱だったんですがこれが先送りされる見通しになります。
大きな対策の1つが先送りになってしまったわけですね。
それとまた別に実施されていない対策というのがまだありまして年金がない人、低年金の人たち高齢者を救済するための対策も手付かずのままです。
こうした社会保障の中でも優先順位の高いものにしわ寄せがきてしまっては何のための消費増税だったのかという話になりかねないと思います。
きのうから国会も始まりましたが消費税の見直しほかの分野の歳出の見直しなどで社会保障の安定的な財源が確保できるようにしっかりと論議を深めてほしいと思います。
2016/01/05(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「どうかわる?今年の社会保障」[字]
NHK解説委員…藤野優子,【司会】岩渕梢
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出演者
【出演】NHK解説委員…藤野優子,【司会】岩渕梢
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ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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