私が球団社長になった年、大きな違和感を覚えたことがあります。野球のシーズンが終わると同時に、会社の中にもオフ感が漂っていたことです。シーズンオフにどんなマーケティング活動をするか? 空白期間の活用を考えるようになってからは、オフの間も会社の中は元気いっぱいですし、冬の横浜の街はベイスターズの広告で彩られています。
これまで4年間、横浜に根づくための種をまき続けてきて、その積み重ねが芽吹き、'15年の観客動員181万人という結果につながりました。球団創設5年目となる今年からは、より未来を見据えて、太い幹を育てるフェーズに入ります。
現在進めている横浜スタジアムへの友好的TOBもその一つ。この試みはいわば「家を買う」ようなものであり、私たちが「横浜に根づき、横浜と共に歩む」という明確な意思表示です。
一方、一部には「買い付け価格が安い」「自分たちの黒字化だけを考えている」といった表層的な反対もあり、一体経営によってチームを強くし、スタジアムを素晴らしいものにし、横浜と神奈川に日本一の野球文化をつくりたいという第一義を伝えきれていない面があるのも事実です。
自宅に「ベイスターズと野球がやってくる」。
そこでまず、より地域に根ざした球団となるべく、昨年12月に神奈川県内の小学校、幼稚園、保育園などに通う約72万人の子どもたちにベースボールキャップをプレゼントしました。帽子は昔から、外で遊びまわる元気な子どもを象徴するアイテムです。子どもたちが、野球に限らず様々なスポーツに触れるきっかけになればと願っています。
さらにファンクラブのキッズ会員(中学生以下)には、オリジナルグローブを進呈しています。3000円の年会費を圧倒するクオリティのグローブです。昨年の本拠地開幕戦では来場者に約12万個のヘルメットを配布しましたが、今年は「野球やろうぜ!」をテーマに、野球用具をギブアウェイ(配布)していきます。これらを通して、多くの方々の自宅に「ベイスターズと野球がやってくる」わけです。横浜・神奈川の子どもたちが将来、「昔、学校でキャップもらったよね」と思い出話をしながら野球を観る。そんな光景が実現すればうれしい限りです。
また、'16シーズンのプロ野球開催日の早朝、横浜スタジアムのグラウンドを無料で一般開放します。めっきり少なくなってしまった「キャッチボールができる公園」を提供するとともに、プロが使用するグラウンドに立つという体験を通して、市民とチームや球場との心理的な距離が近づくことにもなると考えています。