(ナレーション)四季折々鮮やかな自然に囲まれた古都・京都。
8世紀後半から1000年以上にわたり日本の首都として栄えそれぞれの時代に新しい文化を創造してきた街。
ゴーン
(鐘の音)建築芸術産業食習慣。
日本文化の神髄が京都で育まれ更に磨きをかけて現代へと受け継がれています。
世界が認めるジャパンクオリティーの原点。
それが「MADEINKYOTO」。
日本には四季があります。
春夏秋冬。
ホーホケキョ
(うぐいすの鳴き声)ジーー…
(セミの鳴き声)リンリンリン…
(鈴虫の鳴き声)古き日本の都・京都。
ここに暮らす人々は四季折々の営みを行い多くの文化を築き上げてきました。
その一つが和菓子です。
日本を代表するこの文化は京都で育まれました。
春京都の街に甘い花が咲き香ります。
日本では奇数が縁起のいい数字とされてきました。
大きな奇数「九」が重なる日宮中では菊の花に綿をかぶせ朝露を含んだその綿で体を拭えば病にかからず長生きできると信じられてきました。
重陽の節句の行事にちなんだ和菓子・「着せ綿」。
京菓子が日本の習わしを語りかけます。
秋の夜長。
名月が映る水辺。
自生していた野菊が育てられ特別な菊が生まれました。
日本の古典菊の一つ嵯峨菊です。
一鉢に三株植えそれぞれ三輪五輪七輪の花に仕立てられます。
この嵯峨菊を銘にした和菓子があります。
「俵屋吉富」の「嵯峨菊」。
京菓子には菊をかたどったものが多いのです。
江戸時代の画家・尾形光琳の絵を基に生まれたという「光琳菊」。
菊は多くの異名を持ちます。
やがて街は紅葉の時期を迎え京菓子にもその彩りが映ります。
烏丸今出川の北にある…。
京都で育まれた和菓子の歴史と文化をさまざまな展示品でたどることができます。
1200年にわたって都が京都にあった。
で地方からですねその…租税の類いとしてですねよいお菓子に使う材料が集まってきた。
加工技術も磨かれておいしいお菓子が生まれていったんだというふうに私は教えられておるんですけどね。
和菓子に用いる砂糖はかつて高価な輸入品でした。
16世紀の安土桃山時代に南蛮文化とともに日本に伝わりカステラやボウロなどが作られました。
江戸時代になると砂糖の生産が始まり皇族や貴族茶道の家元が暮らしていた京都では和菓子づくりが洗練されていきます。
やがて「上菓子屋仲間」という組合が発足。
248の菓子店が加入しその中の数軒が御所や大名屋敷に出入りできる菓子師と認められました。
天皇をはじめ貴族たちが召し上がって饗宴を楽しまれたと。
お菓子自体が権威の象徴みたいなもんですね。
職人たちの手の先からいろいろな花が生まれたり花鳥風月が出てきたり一つの食文化というものが花咲いたのが京菓子ではないでしょうかね。
京都の西にある丹波地方から山里の実りがもたらされる季節。
秋の豊かな風味を京菓子で楽しむことができます。
京菓子美味なる風景。
平安時代高雄山神護寺の境内にあった…。
明治時代には御所の西に移されました。
祭神は平安京造営に尽力した和気清麻呂。
神社を守る狛イノシシ。
清麻呂が宇佐八幡に参拝する際300頭のイノシシが道案内したと言い伝えられています。
護王神社は亥年生まれの守護神としてあがめられているのです。
京菓子が権威の象徴となっていた時代の風景が今も残っています。
十一月一日。
平安時代の宮中で行われていた餅つきの儀式を再現した亥子祭が執り行われます。
天皇に扮した宮司の前に臼と杵。
続いて胡麻小豆栗が差し出されます。
(和楽器の演奏)宮司はそれぞれを餅に混ぜ杵でつく所作をします。
(祝詞奏上)
(奉仕女房たち)いのちつくさいわい…。
朝廷では天皇自らがついた餅を無病息災を願って食しました。
この儀式から生まれたのが…。
祭礼のあと神社では餅がつかれます。
民間に広まり同じような餅をついて食べる習慣が生まれたのです。
・
(祭員)・幸いな幸いな日本が世界に誇る文化の一つ…。
貴族の間で広まりました。
京都は茶道の中心地でもあります。
そしてこの茶道と密接な関係があるのが京菓子です。
徳川三代将軍・家光から「伊織」の名を賜わったという創業400年の老舗「亀屋伊織」。
使い込まれた菓子笥に納められているのは伝統の味です。
「亀屋伊織」は薄茶席で供される干菓子の伝統を受け継いでいます。
(山田)薄茶席っていうのんはくつろいだお席ですのであんまりやっぱり肩肘張ったきちっとした…かちっとしたお菓子よりかはうちの父の言い方を借りるとざんぐりとしたお菓子の方がやっぱり薄茶のお席にはよく合うと思ってるんです。
お茶の場合ちょっと季節の先取りっていうことがありますので紅葉にしても少し早いめから作りはじめはしますけれどもある程度は季節の流れのなかでああ〜ぼちぼち紅葉やなと思うたら紅葉のお菓子を作る準備を始めるっていう。
そういうもうほんとに自然な流れのなかでしてるだけです。
茶の湯と京菓子。
京都を代表する文化がお互いに育まれてきました。
新しい年の始まり。
幸せを願って。
初春を祝って菓子をいただきます。
京都の正月の和菓子といえば…。
雑煮に見立て白味噌餡ごぼうを求肥で包んだお菓子で年初めに茶道の席・初釜でも用いられます。
抹茶が入った器。
実はこの器も京菓子なのです。
江戸末期創業の…。
旅籠をなりわいにしていた初代・清七が菓子づくりに専念し暖簾をあげたのが始まりです。
陶器と見まごう「茶寿器」は二代目・徳兵衛によって考案されました。
(木ノ下)ここら辺はだいたい清水焼の焼き元が多いんですよ。
それで近所にそういう陶芸家がおられましてそれを見てたんやと思うんですよ。
で面白いなぁと。
これをなんとか菓子でできひんかな?と思ったんと思いますけどね。
シナモンを砂糖や片栗粉に加え丁寧に混ぜ合わせます。
「茶寿器」づくりに欠かせないのが粘りの強い丹波産のつくね芋。
すり下ろしたつくね芋に砂糖を加え「芋あわせ」という生地にします。
すべての生地を合わせて京都の焼き物・清水焼のように形を整えていきます。
形が仕上がると1週間から10日かけて乾かします。
焼き印を押し蜜を塗り更に3〜4日乾かしてようやく完成です。
(木ノ下)手間もかかりますしね初めやるときは手が痛いですしねあるときは面白いと思いますしあるときは嫌だなぁと思うときもありますわ。
お茶屋っていうのがありますね。
京都には園もありますし先斗町もありますし上七軒もあります。
その中で「旦那さん」っていう方がおられましたわね。
旦那さんがお茶屋遊びをしてそこでいろんな京料理を食べたり舞を見たりこういう文化を楽しんでおられた旦那さんがいますわね。
遊び心ですわね。
遊び心っていうのがやっぱりせかしたなかに面白みがあると。
でやっぱり伝統っていうのは重んじられますしここはこうした方がええという…よく知っておられる方が多いですわね!変わったこともしたいと思いますけどもそこでどうふんばるかが問題ですね。
そういう文化っていうのがそこにしみたものがお客さんに好まれてるのんちゃいますか。
およそ300年の歴史を持つ老舗…。
弘法大使のお菓子として知られる名物・「どら焼」。
この京菓子は元来近くにある東寺の僧侶の副食として考案されたものだとか。
江戸末期の五代目が鉄板の代わりに寺の銅鑼を使って薄皮を焼き餡を巻き込んだことからその名前が付いたとされています。
やがて「どら焼」は広く知られるようになり時代を超えて現在も京都の人々に親しまれています。
京都に粉雪が舞う冬。
京菓子にも雪が舞います。
二月三日節分会。
邪気を払い福を招く習わしで豆まきが行われます。
節分の豆まきは中国から伝わった追儺を起源とします。
(法螺の演奏)福は内。
鬼は外。
追儺は宮中の厄除け儀式で鬼に扮した者を追い立て無病息災を祈願しました。
(鬼たちのうなり声)節分の日に供えられる京菓子があります。
八坂神社の南東大路通で暖簾をあげる…。
「法螺貝餅」はこの店で作られ節分の日に限って販売されます。
薄く焼いた小麦粉の皮でごぼうを刺した味噌餡を巻きます。
この店には園祭の役行者山にお供えしている「行者餅」という京菓子もあります。
(中川)昔はね姉小路新町の角に「柏屋光貞」というお店があったんです。
その関係で役行者山にお供えしたっていうことですね。
その「行者餅」を作るとき当主が山伏となって大峰山に登る習わしを続けたことから「法螺貝餅」を作るようになったのです。
(中川)神さん仏さんにお供えして手を合わして自分の健康を願ってお食べになると思いますけどね。
(中川)やっぱり季節を感じながらその一つ一つの節を越えていくっていうんですかねそういう意味やと思いますけどね。
「福は内鬼は外」の豆さんですね。
それとともにやっぱり手を合わして自分の健康を願ってお食べになると思いますね。
作ってる者も作ることによって清浄化されるっていう意味もありますしお客さんの願いと作ってる者との願いとが一致するっていうことをやっぱり一つの目的として作ってますねそういう願いを持って。
人々の願いを職人の真心で菓子に込めます。
その味その形その色が食する人の心を打つのです。
京都の人々の心と心をつなぐ甘い花。
やがて年がめぐり淡く色づいた京菓子の色に春の暖かさを感じるようになります。
京都で育まれた和菓子の歴史と文化をさまざまな展示品でたどることができる京菓子資料館。
貴重な歴史資料とともに全国でも希少な糖芸菓子の常設展示を行うなど京菓子について正しい理解を深めることができる総合施設です。
2016/01/01(金) 05:00〜05:26
MBS毎日放送
MADE IN KYOTO 特別編[字]
世界が認めるジャパン・クオリティーの原点、京都。千年以上にわたり都が置かれ日本文化の神髄が育まれてきた技と心を体感。
詳細情報
番組内容
▼京菓子の「秋と冬」▼正月の和菓子「はなびら餅」。節分会の「法螺貝餅」。京都で育まれた和菓子の歴史と文化をさまざまな展示品で辿ることができる「京菓子資料館」。宮中とも縁の深い「亥の子餅」。重陽の節句には「着せ綿」。薄茶席で供される「干菓子」。ほか「茶寿器」「つくね芋」「どら焼き」などを紹介。
出演者
【ナレーション】
水野晶子(MBSアナウンサー)
おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
福祉 – 文字(字幕)
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