ゆく年くる年[SS] 2015.12.31


「第66回NHK紅白歌合戦」をお伝えしました生字幕放送でお伝えします
福井県曹洞宗大本山・永平寺。
鎌倉時代、道元禅師が開いた禅の修行道場です。
ことしは雪のない大みそかですが張り詰めた冷たい空気が辺りを包んでいます。
静けさの中多くの人が年越しを待ちます。
山門の向こうにあるのは修行僧・雲水たちの道場。
140人が修行に励んでいます。
雲水たちの食事を作る典座寮です。
永平寺では食事を命をいただく厳かな行為と捉え大切な修行の一つとしてきました。
永平寺の、おせち料理です。
ゆり根の梅肉あえくわいの揚げ物。
この一年、自分を生かしてもらった感謝の念と新しい年の幸せへの願いが込められた精進料理です。
年越しの準備を終えた雲水たちが鐘楼堂に集まっています。
ことし最後の修行。
除夜の鐘です。
道元禅師は、己の欲望を捨てあらゆる命を大切にする生き方を説きました。
生きとし生けるものすべてが安らかであるように。
祈りを込めます。
三重県伊勢市。
およそ2000年前に創立されたとされる伊勢神宮です。
大勢の参拝者が長い列を作っています。
こんばんは。
ことしも残すところあと10分ほどになりました。
三重県伊勢市は穏やかな天気ですがこの時間になると冷えてきますね。
少し風も出てきましたね。
ことしの「ゆく年くる年」はここ伊勢神宮と各地を中継で結んで今の様子をお伝えします。
2015年は皆さんにとってどんな一年だったでしょうか。
印象深いのは、このポーズ!ラグビーワールドカップで日本代表が歴史的な勝利を挙げましたよね。
また、日本人が2人もノーベル賞を受賞するなど世界での活躍が目覚ましい年でした。
一方、水害や火山の噴火など災害が多くの人々を苦しめた年でもありました。
では、全国各地の年越しの様子を見ていきましょう。
9月の関東・東北豪雨で大きな被害を受けた茨城県常総市。
堤防が決壊した鬼怒川の近くにある報国寺です。
常総市では5000軒を超える家屋が半壊以上の被害を受け今も多くの人が自宅に戻れずにいます。
基幹産業である農業は米を中心に大きな被害を受けました。
この災害で200人あまりの避難者を受け入れた本堂です。
水害の多い、この地域で寺は江戸時代から避難所となってきました。
本尊の阿弥陀如来は水害に苦しむ人たちの祈りを受け止めてきました。
大みそかに毎年行われている法要・浄焚会です。
亡くなった人が残した品やお札などを供養します。
ことしは水害で壊れてしまった仏具なども持ち込まれています。
自宅が大きな被害を受けた長岡健藏さん一家です。
今も家族離れ離れの暮らしを続けています。
浸水の被害を受けた家具や大切な本など思い出の品を炎が包みます。
一日も早く元の生活を取り戻したい。
復興を祈る、年越しです。
東日本大震災の被災地宮城県南三陸町の高台にある上山八幡宮です。
あの日、津波は本殿の近くのこの場所まで押し寄せました。
今、周囲ではかさ上げ工事が行われています。
残っているのは多くの人が亡くなった防災対策庁舎です。
ことし、庁舎を震災から20年後まで宮城県が維持・管理することになりました。
保存か、解体か時間をかけて議論するためです。
上山八幡宮には仮設住宅で暮らす人たちなどが訪れています。
神を迎える供え物として飾られているのはキリコと呼ばれる切り紙です。
五穀豊じょうを祈る、餅飾り。
豊漁を願う、鯛飾り。
江戸時代、災害に見舞われて供え物が用意できないとき代わりに飾られたのが始まりとされています。
一日も早い復興を。
今も離れ離れに暮らす町の人たちをキリコがつないでいます。
来年の春には商店街の建設が始まります。
かつてのにぎわいが戻る日をみんなで待ち続けます。
島根県松江市です。
7月、うれしい出来事がありました。
松江城の天守が国宝に指定されたのです。
江戸時代に城を造った堀尾吉晴の菩提寺・円成寺です。
町の象徴が国宝となって初めての年越しです。
城を国宝に押し上げようと市民が署名活動を始めたのは5年前。
「人口減少の進む町に活力を」という願いからでした。
円成寺の本堂です。
400年前城を築き始めたころの松江は広大な湿地帯でした。
城造りは困難を極めましたが堀尾吉晴は諦めませんでした。
造り上げた城下町は水運や商業の拠点となり松江が発展する礎となりました。
数々の困難を乗り越えて国宝となった松江城。
人々に自信と希望を与えています。
滋賀県大津市にある天台宗総本山・比叡山延暦寺です。
およそ1200年前に開かれました。
山深い、この地で最澄は仏の教えによって世の人々を救済しようと修行に励みました。
寺の総本堂国宝に指定されている根本中堂の前では鬼追い式が行われています。
鬼は人々の心に宿る煩悩を表しています。
むさぼり、怒り、ねたみ。
煩悩に支配された鬼は勝手気ままに、ふるまい世を乱します。
鬼と向き合うのは修行僧です。
仏の教えによって鬼をいさめ改心へと導きます。
ことし、世界の各地でテロや紛争が続きました。
戦後70年を迎えた日本では平和の在り方をめぐり大きな議論が沸き起こりました。
最澄が生きたのは都が奈良から京へ移る激動の時代でした。
「己を忘れ他を利するは慈悲の極みなり」。
争いごとが続く世にあって最澄は人を思いやることの大切さを説きました。
その教えは不滅の法灯とともに守り伝えられています。
最澄みずからが、ともした光は1200年の間一度も途絶えたことがありません。
根本中堂では年が明けると60年ぶりの大改修が始まります。
最澄の教えを未来へとつなぐ営みです。
来年が希望に満ちた年になりますように。
新しい年が始まりました。
三重県の伊勢神宮です。
ここ正宮には天照大神が祭られています。
午前0時に扉が開き新年の参拝が始まりました。
古くから親しみを込めてお伊勢さんと呼ばれる伊勢神宮。
人々の心のよりどころになっています。
明けましておめでとうございます。
2016年平成28年の幕開けです。
伊勢神宮では年越しの瞬間に自然とカウントダウンする声が響いてにぎやかな新年を迎えましたね。
大きな歓声でしたね。
伊勢神宮には年を越して一層、多くの人々が押し寄せています。
例年、三が日だけで60万人前後の参拝者が見込まれるということです。
さあ、新しい年を迎えた各地の様子を見ていきましょう。
愛媛県松山市の道後温泉です。
先ほど、こちらでも年越しのカウントダウンが行われました。
地元の方、観光客が入り混じって新年を祝っています。
こちらは、ものすごい熱気です。
先ほどから商店街や旅館の人たちが特産の、こちら、みかん。
そして、お汁粉を配っています。
四国にはお遍路さんに食べ物などをふるまうお接待という習慣があります。
このため、訪れた人を手厚くもてなす文化が根づいているんです。
3000年の歴史を持つといわれる道後温泉。
去年、100万人以上が訪れました。
中でも外国の人たちは1.5倍ほどに増えています。
皆さん、ハッピーニューイヤー!
ハッピーニューイヤー!
すごい元気ですね。
楽しんでってくださいね。
そして、さらに多くの観光客に来てもらおうと力を入れているのがアートによる、おもてなしです。
テーマは「最古にして最先端」。
障子を花を描いた布に張り替えライトアップしました。
海外でも人気の写真家蜷川実花さんによるデザインです。
描かれているのは極彩色の菊。
歴史ある建物と最先端のアートを組み合わせました。
おもてなしの気持ちを込めた花が新年を彩ります。
佐賀県有田町。
有田焼の窯元・今右衛門窯です。
人間国宝14代・今泉今右衛門が一子相伝の技を引き継いでいます。
ことしは有田焼が誕生して400年。
窯の中ではこの特別な年に産声を上げる器が窯出しのときを待っています。
手から手へ。
磨かれ、受け継がれてきた伝統の技。
白い生地にはさまざまな絵付けが施され日本の美を映し出してきました。
有田焼発祥の地・泉山です。
400年前、日本で初めて磁器の原料となる白い岩が見つかりました。
以来、多くの人の手によってこの山から有田焼が作られてきました。
節目の年を祝おうと人間国宝をはじめ職人や子どもたちが集まっています。
みずから手がけた器に明かりをともし先人への感謝と未来への祈りをささげます。
世界各地で愛されてきた有田焼。
時代の声に耳を傾けデザインや形など今も模索を続けています。
伝統のともし火を絶やさず未来を明るく照らしたい。
新たな幕開けの年。
さらなる挑戦が始まります。
福島県楢葉町。
平安時代末期から続く廣徳院です。
5年ぶりに参拝者が訪れる新年です。
楢葉町では原発事故による避難指示が去年9月に解除されました。
新しい年の安寧を祈る護摩祈とうが始まりました。
古くから伝わる年越しの行事です。
住職は町への立ち入りが制限されていた間も特別な許可を得てこの行事を一人で続けてきました。
ことしはおよそ100人の住民が集まりました。
しかし生活の不便や放射線への不安から戻ることができない町民も少なくありません。
境内には樹齢850年といわれるイチョウの大木があります。
三度の大火を乗り越えてきました。
災いを乗り越えるご神木として慕われています。
ふるさとでの暮らしを取り戻そうとする人たち。
町とともに歩む大イチョウがその新たな一歩を見守ります。
北海道にとって特別な年が始まりました。
道民が40年以上待ち望んだ北海道新幹線が3月に開業します。
北海道と本州がついに新幹線で結ばれるのです。
新たに開発した車両が走ってきました。
豪雪と厳しい寒さの中でも安全に運行するため訓練を重ねてきたJR北海道。
この年末年始は特別の態勢で訓練を行います。
東京から、ここ新函館北斗までは最速で4時間2分。
飛行機とは違う旅の魅力を感じてもらえるとJR北海道では考えています。
新しい車両、紫のラインは北海道のラベンダーをイメージしています。
こちらには初代駅長で函館出身の鳴海正さんにお越しいただいています。
鳴海さん、こんばんは。
いよいよ開業、近づきましたね。
勤続38年の私が新入社員のころから待ち望んだ新幹線ですので非常に楽しみです。
安全運行はもちろんですが皆さんに喜んでもらえるおもてなしに力を入れたいと考えています。
ありがとうございました。
いよいよ開業する北海道新幹線。
地元も町を挙げておもてなしをと盛り上がっています。
ホームの上の、この場所全国で初めて改札を通らなくても新幹線を見ることができます。
そこに応援団が集まっています。
開業に合わせて誕生したゆるキャラたちです。
こちらは、ずーしーほっきー。
特産・ほっき貝の握りずしをモチーフに地元の大学生がデザインしました。
新幹線開業を経済の活性化に結び付けようと各地でPRに励んでいます。
出発進行!
シュー!
地元の大きな期待を担う新幹線。
北の大地を走ります。
伊勢神宮です。
各地の新年の様子を見てきましたがふるさとへの思いそして、ことしの期待それぞれの場所から伝わってきましたね。
参道では年越し恒例の大かがり火が朝まで、たかれています。
松や杉など神宮内で間伐した木や倒れた木をまきにしています。
ここ伊勢志摩地域では5月にサミット・主要国首脳会議が開催されます。
紛争によって急増する難民の問題や世界各地で相次ぐテロへの対策などが話し合われます。
伊勢志摩サミットでの首脳たちの議論に世界が注目しています。
一方、ことしは4年に一度のオリンピック・パラリンピックがブラジル・リオデジャネイロで開催されます。
こちらは、メイン会場となるオリンピックパークの今の様子です。
工事の遅れが報じられていますが準備が急ピッチで進められています。
平和の祭典・オリンピック。
「文化や国籍などさまざまな違いを乗り越えて平和でよりよい世界を実現する」。
オリンピックの理念が改めて問われる機会となりそうです。
ここまで日本と世界の各地を中継で結んでお伝えしてきました。
2016年。
多くの人が笑顔で、希望を感じられる年にしたいですね。
この一年がよい年でありますように。
皆さん…。
ことしも、お元気で!2015/12/31(木) 23:45〜00:15
NHK総合1・神戸
ゆく年くる年[SS][字]

2015年から2016年へ。「笑顔のあすへ 希望の灯(ともしび)」をテーマに、誰もが笑顔で暮らせる平和な世への祈り、各地にともる希望の光を中継で伝えます。

詳細情報
番組内容
2015年から2016年へと向かう「ゆく年くる年」。「笑顔のあすへ 希望の灯(ともしび)」をテーマに各地を中継で結びます。各地で紡がれるひとつひとつの年越しの風景に、誰もが笑顔で暮らせる平和な世の中への祈りや、ほのかにともる希望の光を見つめます。

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ニュース/報道 – ローカル・地域
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 3/2+LFEモード(3/2.1モード)
サンプリングレート : 48kHz

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