まるごと見せます 世界の教育コンテンツ〜日本賞2015〜 2015.12.31


皆さんこんにちは国分太一です。
今年も残すところ今日1日となりました。
これからの時間私たち3人が年の瀬にふさわしい今年を代表する番組の数々をご紹介します。
世界中から集まった教育番組の中から最も優れた作品として選ばれた番組たちです。
見逃したら年は越せませんよ。
(3人)是非ご覧下さい!教育コンテンツの国際コンクール「日本賞」の授賞式が行われました。
今から50年前1965年にNHKの提唱で生まれた日本賞は教育というジャンルに対象を絞ったコンクールです。
世界の教育コンテンツの中から優れた番組に贈られる日本賞。
半世紀にわたって教育メディアの発展を支えてきました。
今日は今年の各カテゴリー最優秀賞作品と「グランプリ日本賞」受賞作品をノーカットでたっぷりご紹介します。
という事で今日はですね今年の日本賞の受賞作品を3時間にわたってお届けしていきたいと思います。
まずはですねゲストの方を紹介したいと思います。
教育評論家の尾木直樹さんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
尾木さんまたこの季節がやってまいりましたね。
そうですね。
1年ぶりですねお会いしたの。
去年もなかなかすばらしい作品が並んでましたけども。
たくさんありましたね。
教育コンテンツでこれだけ世界のね50か国以上ワーッと300を超える作品を集めて鑑賞していくっていうのはこれはね僕ら教育関係者にとっては最高の喜びですね。
さあ続いてはホラン千秋さんです。
これ世界中の教育番組が集まってるわけですけどもどんな事を楽しみにしていますか?そうですね…私ふだんNHKの国際放送で日本の文化だったりっていうのを伝える仕事をしてるんですけどあまり海外の文化特に教育の文化ですよね知る機会というのはあんまりないのでこういうところで知ってこういう教育方法っていいなと思ったら自分がいつか子どもを産んだ時にその子どもがこんな教育受けてほしいなみたいなところを注目して見たいなっていうのはあります。
僕ももう数年この番組やらしてもらってるんですけれども自分も学ぶ事が多いんですよ。
子ども向けの番組ではあるんですけれども大人の僕でもなるほどなとか考えさせられるものが多いのでそういう事も期待してもらえたらなと思います。
50年を迎えた今年の日本賞には…日本賞には2つの部門があります。
既に制作されたテレビ番組などの教育コンテンツに贈られる「コンテンツ部門」とこれからの番組制作を支援する「企画部門」です。
「コンテンツ部門」は5つのカテゴリーに分かれています。
そして「クリエイティブ・フロンティアカテゴリー」はデジタルメディアを活用したウェブサイトやゲームなどが対象です。
各カテゴリーでそれぞれ最優秀賞が選ばれその中から「グランプリ日本賞」が選ばれるのです。
という事でですねこれからご覧頂くのは日本賞のコンテンツ部門。
それぞれのカテゴリーの最優秀作品をノーカットでご紹介します。
さてですねまずご覧頂く作品なんですけれども「幼児向けカテゴリー」の最優秀作品に輝いた「デザインあ」という作品なんですけどもこれはNHK・Eテレで放送中の番組なんですけれども知ってました?展覧会も「デザインあ展」っていうのをやってるのを拝見した事があって周りの友達が「デザインあ展行ったよ」みたいな。
それを言ってくるんです。
そうすると「『デザインあ展』って何だろう?」みたいなまずそのタイトルがとにかくキャッチーでずっと気になってはいたんですよ。
この「デザインあ」っていうのは子どもたちにデザインの面白さを伝えるとともにデザイン的なものの見方も楽しんでもらおうという番組なんですって。
幼児にそんなのが成り立つのかなっていうね疑問っていうかな興味がありますよね。
どんなところが受けているのか人気があるのかチェックしてもらいたいなと思いますけども。
NHK制作の「デザインあ」15分の作品です。
ご覧下さい。
・「デザインあ」コップっていいね!しまう。
しまう。
しまう。
しまう。
しまう。
しまう。
思ってたんとちがう。
たてじま。
よこじま。
たてじま。
よこじま。
たてじま。
よこじま。
たてじま。
よこじま。
たてじま。
よこじま。
たてじま。
という事で「デザインあ」をご覧頂きましたけども。
いやもう結構全部のシーン面白くて幼児向けなのかなと思うくらい。
そうなんだよね。
大人でも見入っちゃうじゃないですか。
大人からすると瓶だったりとか楽器だったりとかって当たり前になりすぎてこれをデザインなんだと思わないと思うんですけど子どもからすると全部が新しいわけですよね。
ちょっと形を変えたり見方を変えると多分すごく新鮮に映るんだろうなと思ったので。
子どもの時私もこうやって世界を見てたのかなって思いましたし。
特に好きだったシーンコップがなかったらみたいな…やるシーンがありまして。
アニメというか映像でね。
「のめな〜い」「はこべな〜い」ってやつ。
あの緩さとアニメーションのバランスがすごく面白かったですし見入っちゃいましたねあれね。
僕らが子どもの頃ああいった作品なかったような気がするんですけどね。
子どもっていうのはね文字を覚えるまでの間はものすごい観察力があるんです。
だからその時にデザイン感覚っていうの?絵を描いたり物事は統合されていたり分解されたりとかねそういう認識というのをワーッと成長する時期なの実をいうと。
これ専門的にいうとね。
だからこういうものはすごい重要なんです。
特に3歳までぐらい。
例えば絵本読んでても文字家で教え始めたなっていうのは保育士にとってはすぐ分かるんです。
なぜかっていったら絵を見てないで文字見ちゃうんです。
目線の位置が…それぐらい極端です。
だからその時期その時期に発達する力をうんと育てるって事が大事なんです。
大人目線からいうと例えばナレーションがないんですよね。
言葉全然ないですよね。
言葉ないっていうのがこれがすごいですよ。
子どもが自分の頭の中でどんどん想像を膨らませる事ができるでしょ。
でその想像頭膨らましたので終わったあとに部屋の中見るとねあっ転がる転がるこれも転がるこれも転がるって脳の発達すごいですよそれは。
タイトルも「デザインあ」じゃないですか。
特に意味を持たないものですよね。
「あ」っていう。
ちゃんと考えてるんですよ。
この「デザインあ」という意味。
「あ」とは人が驚いた時に発する「あ!」っていう事と感心した時の「ああ!」っていう。
で気付き「あ!」っていうようなのと心地いい時の「ああ〜」などの意味を含んでるんです。
そういう意味でいろんな「あ」が入ってるんですね。
どういう方たちが作ってんのかといいますとですねアニメだったりとかCGとかウェブPVCMなどを作っているトップクリエーターの皆さんが関わっているという事なんですよね。
おしゃれなんだけど決して分かりにくくない。
子どもが見てもスッと入ってくるような作品になってるので面白かったなぁ。
あんまり説明しなくていいんでしょうね。
しちゃうと面白さなくなっちゃうのかもしれないですね。
そうそう。
答えなんて別にどれだっていいし一つじゃなくていいんだろうなというのをねすごく感じましたよね。
という事でですね続いてご覧頂くのは「児童向けカテゴリー」の最優秀作品に輝いた台湾の作品ですご覧下さい。
台北市の小学生がドキュメンタリーの監督から特別授業を受ける事になりました。
およそ25分の作品です。
(チャイム)さあいつもとちょっと違う授業の始まり始まり。
テストも成績も忘れて人生の先輩から学校では教わらない事を学びませんか?準備ができたら着席!今回先生になってくれるのは…この人。
李恵仁です。
李さんはドキュメンタリー番組の監督。
テレビ局の報道カメラマンを15年務めたあと独立し市民の目線で社会問題を追求しています。
鳥インフルエンザの取材には6年も費やした李さん。
今日はどんな授業をしてくれるのでしょう。
公民の授業をしたいと思います。
授業を受ける子どもたちにはまずこの箱の中に身の回りにあるおかしいと思う事変えたいと思う事を書いた紙を入れてもらいます。
授業を受けるのは台北市中心部にある銘伝国民小学校の5・6年生。
ふだんから自分たちで決めたテーマについて調べる調べ学習の特別授業を受けています。
大人に質問するのは嫌です。
大人はいつも言うんです。
子どもより知識も経験もあるんだから大人の言う事が正しいんだって。
大人は子どもより立場が上だし話すのも上手。
言い合いになったら僕らは絶対に勝てません。
授業では大人との話し方を教えてほしい。
どうすれば大人に意見を言えるのか。
言われっぱなしではなく私たちの話も聞いてもらえるようになりたいです。
先生どんな人?先生どんな人?僕は大道芸人。
私はチェロ奏者です。
先生どんな人?先生どんな人?野球選手だ。
作詞家。
テレビ番組の司会者よ。
先生どんな人?おいしいパンを焼くパン職人。
「先生どんな人?」。
「市長室に乗り込め!」。

(笑い声)
(カラスの鳴き声)そう僕が先生だよ。
こんにちは。
サンタクロースだ!
(笑い声)これかい?そうそれ。
フフフ。
サンタじゃないよ。
まあいいさ。
みんなおはよう。
(生徒一同)おはようございます。
僕はドキュメンタリーの監督で李恵仁。
今回の授業を担当します。
君たちが学ぶ科目は公民。
社会問題に目を向ける事で多くの事を学べます。
どうすれば解決できるか考える過程こそ学びなのです。
その第一歩は身近なものに関心を持つ事。
そう「何かおかしいな」と思う事を紙に書いてもらいましたよね。
いろんな面白い意見が出てきました。
中でもたくさんの子どもたちが挙げていたのが…。
学校で牛乳を飲まされるのはおかしいよ。
もうすぐスポーツ大会があるのにバスケの練習を中断して牛乳を飲まされます。
台北市の子どもたちはカルシウムの摂取量が不足していると言われています。
そこで市は小学生に週1度牛乳ヨーグルト豆乳のいずれかを配る「牛乳キャンペーン」を試験的に始めました。
冬に冷たいままで牛乳を飲まされたら子どもたちは嫌がるでしょうね。
牛乳を飲んでも大していい事ないし休み時間が削られます。
牛乳より効果のある事をすべきだわ。
ふだんは社会問題にあまり関心のない子どもたちが次々と牛乳キャンペーンのおかしな点を挙げて議論を始めました。
家で牛乳を飲む人もいるし飲まない人もいる。
市はちゃんと調べて飲まない人にだけ学校で牛乳をあげればいいんだ。
そうすればお金が無駄にならないでしょ。
なるほど。
カルシウム不足を示しているのは古いデータなんです。
牛乳でカルシウム不足が解消できるでしょうか?ヨーグルトや豆乳はもっとカルシウムが少ないし効果がないものを配るのはお金の無駄です。
話し合いの結果牛乳キャンペーンの疑問点を3つに絞り調べていく事になりました。
うまく調べられるでしょうか?政府は一日にどれくらいの乳製品を摂取すべきか望ましい量を定めています。
これを全て牛乳で摂取するなら一日におよそ360mlになります。
牛乳を選んでいる人は?あったぞ。
内容は?10歳から12歳のカルシウム不足は100%近いです。
何年のデータ?最近としか…。
元報道カメラマンの李先生市議会議員が情報を公開しているかもとアドバイス。
王議員は反対してる。
メモを取って。
ここが肝心だぞ。
議員が牛乳キャンペーンに反対する理由を書いておくんだ。
なぜって?議員にインタビューする時役立つからだ。
このメモを参考にすれば鋭い質問ができる。
疑問点があったらまずは自分で調べます。
社会問題の解決とはこうした地道な準備作業の積み重ねによるものなのです。
子どもたちは調べた事を基に問題を解決するための提案を作りました。
牛乳にはカルシウムが豊富に含まれている事が分かりました。
100mlの牛乳には100mgのカルシウムが含まれています。
一方豆乳100mlには20mg未満。
牛乳よりもかなり少ないです。
子どもたちの…栄養バランスの大切さも学校で教えてキャンペーンの予算を節約します。
牛乳を選んでいる15人のうち牛乳が好きだと答えたのは10人だけでした。
あとの5人は牛乳が嫌いです。
クラスで5パック全校で30クラスなら週に150パックもの牛乳を有効に使えます。
慈善団体に寄付します。
本当は私自分の牛乳を他の子にあげています。
牛乳が嫌いだけど捨てる事もできないし私の分を寄付に回せば人助けになります。
みんな積極的に取り組んでいます。
学校という小さな世界ではありますが熱い議論を戦わせ提案を作りました。
でも大変なのはここからです。
李先生は子どもたちが見知らぬ大人と話すのに慣れていない事を心配して電話取材の練習をします。
でもいまひとつ緊張感が足りません…。
もしもしそちらは闕議員の事務所ですか?
(笑い声)はいそうです闕議員の事務所です。
どちら様ですか?僕は銘伝小学校の児童です。
議員はただいま外出中です。
あとでかけ直すよう伝えますので電話番号をお願いします。
はい。
0800…。
0800。
(笑い声)いたずらか?笑い声が聞こえるぞ?失敗。
笑うなよ。
失敗だ。
いいかい電話で話す時に笑っていたら大人にいたずら電話だと思われてしまうぞ。
ほらほら笑ってないで先生の話をちゃんと聞いて。
難しい事を話す時僕は紙に書いて用意しておく。
そうすれば何を話せばいいか分からなくなったりしない。
みんなも質問や話したい事を本番に備えて紙に書いておく事。
いいね。
先生の厳しい指導を受けみんなようやく真剣な顔つきに。
笑っている余裕はありません。
ではあなたは牛乳の無駄をなくす提案をお持ちなんですね?すばらしい。
今2,000本不足していますが用意できますか?ええと…ああそれは…。
もしもし劉さん聞いてますか?それは…その…できると思います。
できるんですね。
では届けて下さい。
よろしく。
どうも。
困ったぞ。
牛乳を届けないと。
(生徒一同)先生が届けて。
どうやって?
(生徒1)なんとかしてよ。
(生徒2)できるでしょ。
これじゃあ詐欺じゃないか。
(生徒3)詐欺はこの子だよ。
最初はみんな難しくないただの電話だろうと考えます。
でも実際予想もしなかった反応が返ってくると頭の中が真っ白になってしまうのです。
いろいろ意地悪を言ったのは君たちをわざと困らせるためだ。
電話取材の難しさを知ってほしかったんだ。
大人と話す時はどんな事を言われるか分からない。
でも弱気になっちゃ駄目だ。
これはそのためのトレーニングなんだ。
今日学んだ事を忘れるな。
冠廷君はよくやったぞ。
できると思っていた事もやってみるとできなかったりします。
練習して準備しないと駄目なんですね。
何度も練習を繰り返していよいよドキドキの本番がやってきました。
みんな静かに。
いいね。
(鼓動)・
(呼び出し音)・もしもし。
もしもし王鴻薇…王鴻薇議員の事務所ですか?・そうです。
僕は銘伝小学校の児童尤信淵です。
小学校で牛乳を支給する牛乳キャンペーンについて調べていますが王議員の意見を聞きたいんです。
それで…。
・それなら市議会を通してアポを取って下さい。
ええと…はい。
・議員とは話をしたいんですよね?はいインタビューを。
・電話番号は8780…。
8780。
・それでは。
やったぞ!なんとか成功。
電話一本でみんなこの喜びようです。
でもこのあと予想外の事態に…。
もしもし。

(ファックスの音)ファックスの音だ。
もしもし。
それはファックスだよ。
ちゃんと番号メモった?もしもし。
・はい。
そちらは…闕枚莎さんの…闕枚莎議員の事務所ですか?・こちらは東福の町役場です。
私は町長ですよ。
すみません間違えました。
・そうですか。
何やってんだよ信淵。
なんで町役場に!知らないよ。
・はい。
もしもしそちらは周玉議員の事務所ですか?・何ですって?そちらは周周…あっ許淑華議員の事務所ですか?・はいはいそうですよ。
緊張で舌がもつれてしまいましたね。
でもこうした失敗を一つ一つ経験しながら強くなっていくのです。
牛乳キャンペーンについてのご意見は?潘懐宗議員に聞きたい事があるんです。
4月3日午前中のご都合は?・待って下さい。
確認します。
いつならいいですか?4月3日の10時半なら会ってもらえますか?・4月3日に直接こちらに来るんですね?ええ…はい。
最初はおどおどして頼りなかった子どもたちでしたがとうとう議員に会う約束をとりつけました。
次はいよいよ取材です。
授業1日目が終わり李先生から宿題が出ました。
「子どもたちだけで議員を取材してくる事」。
いよいよ議員にインタビュー。
迷路みたいな廊下で迷子になったけど期待に胸が膨らみます。
皆さんこんにちは。
(生徒一同)こんにちは。
ようこそ。
それでは…まずは名刺をお渡ししましょうね。
どうも。
さあお茶を飲みなさい。
質問は何かな?お水がいい?喉が渇いたでしょ。
協力してくれたのは3人の市議会議員。
牛乳キャンペーンに反対の王議員と許議員。
賛成の陳議員です。
李先生は別の場所でインタビューに挑戦する子どもたちを見守ります。
カルシウム不足の最新データは?最新のデータ?もらっていませんね。
新しい報告書がまだなの。
報告書はまだ完成していないんだ。
市議会議員の仕事は行政を監視する事ですね。
だから報告書の件をはっきりさせろと議員たちに要求すればいいんです。
でもみんなは用意してきた質問で精いっぱいです。
なぜ牛乳キャンペーンに反対なんですか?古い統計に基づいて新しい政策を立てようとしていたからです。
牛乳キャンペーンを行う根拠に説得力があるとは思えませんでした。
週に1度児童に牛乳を与えるのに1億台湾ドル使うよりもっと必要なところにお金を使うべきだと思ったからです。
私の地元には恵まれない貧しい家庭の子どもたちがたくさんいます。
市の予算で賄えるならそうした子どもたちに学校で牛乳を飲ませてあげるのはいい考えだと思いますね。
正直話についていけませんでした。
1つ質問したらどんどん話が広がってたくさんの事を一度に聞かされたから頭の中がゴチャゴチャになりました。
学校で牛乳をもらっていたけどそのお金を誰が払っているかなんて今まで考えた事もありませんでした。
お金をかけた牛乳キャンペーンが本当に役立っているのかどうか市長や他の議員にも聞いてみた方がいいと思います。
今日は厚澤の番だったね。
市長へのインタビューを練習しよう。
自分たちが知りたい事を質問して市長に答えてもらえるように。
僕が市長の役をやるから君から僕に質問して。
本番みたいにやってみるんだ。
僕も真面目に質問に答える。
いいね。
市長さん。
こんにちは。
牛乳キャンペーンについて質問させて下さい。
カルシウムを体にたくさん吸収させるには牛乳を飲んだあとに太陽の下で運動する事が大切です。
校庭で運動したり遊んだりする時間を増やしてもらえませんか?それから牛乳キャンペーンの実際の効果について調査してもらえないでしょうか?それとカルシウム不足は給食のメニューの変更で解消する方がいいと思います。
牛乳キャンペーンをやめれば牛乳を学校に支給しなくてもよくなります。
だからその分のお金も節約できるようになりますがどう思いますか?なるほど。
まずとても丁寧に調べてくれてありがとうございます。
今ご質問頂いた事については関係当局に検討させましょう。
衛生局には給食のメニューの変更が必要かどうか見直しをさせます。
牛乳キャンペーンの効果についても調査を実施させましょう。
子どもたちは質問を一気に片づけようとします。
あれもこれもと矢継ぎ早に。
僕は報道カメラマン時代そういう聞き方をしないよう気をつけました。
一度にいくつも聞くと簡単な答えしか返ってこないんです。
李先生いわく質問は全て暗記して一つずつ聞く事。
メモを見ながら聞くと何も分かっていないと見くびられるそうです。
小学生のカルシウム不足についての最新のデータがあるそうですが見せてもらえますか。
ちょっと待って下さい。
秘書に準備させてからその件はもう一度お話ししましょうか。
ゆっくりと着実に取材のコツを身につけていく子どもたち。
自信も付きました。
市長。
何です?データはまだですか?いいぞ。
市長に取材できるチャンスは一度だけだ。
緊張するなよ。
それからもう一つ。
市長が難しい言葉で話し始めたら何て言うんだっけ?
(生徒一同)「小学生にも分かるようにお願いします」。
そうだ。
だが決して失礼にならないように。
みんな今日はすばらしかった。
その調子で行くんだ。
李先生の授業を受けて小学生の私たちにも世の中を変えられるんだっていう気がしてきました。
目的を果たすためには準備が大切だと学びました。
偉い人とは話をするのも大変です。
まだ怖いけど前より勇気が持てました。
胸がいっぱいです。
大人と話すのをあんなに怖がっていた子どもたちが大きな課題に挑もうと決意したのです。
授業を通し僕はあの子たちの心に種をまいたつもりです。
いつか芽生えて育ち花を咲かせる事を願います。
調査を続ける事1か月。
練り直した提案を台北市長に直接訴えます。
いらっしゃいみんなよく来たね。
牛乳キャンペーンの事で話があるって?
(厚澤)僕たちが調べたところ…。
まず君の名前を言って。
厚澤です。
厚澤君ね。
分かりましたそれで?何年もの間台湾ではカルシウムの摂取量が不足しているという報告書が出ていますがいつも同じような人たちの事しか調べていません。
これまでの子どもたちの努力の成果が今試されます。
(市長)誰を調べたかは重要ではありません。
大切なのは台湾の全ての人たちのカルシウム摂取量が不足しているという事です。
すみません市長。
カルシウム不足を示すデータを見せてもらえますか。
もちろん。
ここにあります。
私は栄養学の専門家で大学でも教えていました。
カルシウム不足の原因は牛乳を飲まない事。
だから牛乳キャンペーンを始めたんです。
牛乳の他には何を飲めばいい?
(生徒4)豆乳。
そう。
豆乳にもカルシウムが多いね。
次の質問かな?僕たちの調査で豆乳やヨーグルト100gあたりのカルシウム量は同じ量の牛乳の20%〜30%しかない事が分かりましたが…。
それは間違い。
ヨーグルトはもっと多いよ。
誰からそんな数字を聞いたんだい。
(生徒4)インターネットで。
なるほど。
インターネットには間違った情報も多い。
調査の甘さを指摘されピンチです!テストではいつも100点の子どもたちですが専門家にはかないません。
煮干しや黒ゴマにもカルシウムは豊富です。
牛乳より優れた供給源になりませんか?確かにカルシウムの量は牛乳より多い。
でも吸収率は優れているとは言えないね。
30分の取材のうち20分が市長から栄養の話を聞くだけで過ぎてしまいました。
とうとう時間切れ。
用意してきた提案を口に出す事すらできませんでした。
みんな悔しそう。
時間が短いのに市長は同じ話ばかり繰り返していました。
大人にも…子どもの考えを分かってもらえるはずだと信じていました。
でも実際には…。
(ため息)偉い大人に難しい話をされただけでした。
知識ではかなわなかったけど一緒に座って話を聞いてもらう事はできました。
誰だって知らない人と話すのは怖いと思います。
初めて会う人や偉い人と話すのなんて慣れてないからしかたありません。
でも李先生の授業のおかげで大切な事を学べました。
それは世の中を変える勇気を持つ事です。
恐れるな。
恐れるな。
恐れるなよ。
社会問題の正解は一つではありません。
この授業の目標は子どもたちが身の回りで疑問を持った事に立ち向かえるようになる事。
授業は終了。
これからは自分で行動する番です。
小学校では授業を中断して牛乳を飲ませています。
児童たちからもこれが勉強の妨げになっているという声があがっています。
私が質問した7人のうち5人は授業に悪影響が出ていると答えました。
授業中または終業直前に牛乳を飲ませる事で授業時間を十分に確保できないという事態が起きているんです。
授業に何らかの支障が出ている事は明らかでありこの状況は好ましいものとは言えません。
いやぁ僕この作品大好きなんすよね。
なんかやっぱり「市長室に乗り込め!」っていう強いタイトルとは程遠いスタートだったじゃないですか。
ここから始まるんだなというのを感じたんですけども。
子どもたちが自分たちの意見っていうか感覚をねどういうふうにぶつけていくかっていうのを実現してるでしょ。
李先生がリードしながら。
子どもたちの表情が生き生きしてくじゃない。
そして挫折してしまってそれでがっくり…。
壁が厚いというのを学んでねそのあと何か決意らしきものを感じさせるというようなところが面白くて。
今あれですか日本ではこういった教育はないんですかね。
いやあのね実は今年あたりからすごい強調され始めて「アクティブ・ラーニング」っていうキーワードで言われるんです。
これまでもね例えば総合的な学習の時間だとかあるいは探求型の授業といって一つを探求する。
なんで牛乳こんなカルシウムあるかないか分かんないのに飲まされるのかっていうのを探求してみよう。
それを個人研究ではなくてこの場合なんかクラスの子どもたちがみんなで共同してディスカッションしながらやってるでしょ。
こういうのを「学びの共同体」っていうんですけども共同して学んでいくっていうので日本も実はいっぱいあるの。
あっそうなんですか。
あるんですよ。
それがやっぱり市民教育っていうかな「シチズンシップ」って言われますけどもそれにつながっていくというのですごい重要なんです。
李先生もああいうふうになっていくのかどうか分からない状態で僕はドキュメントを撮っていたんじゃないかなと。
ただ子どもたちがそれに応えていったんじゃないかなと僕は思ったんですけどホランさんいかがでしたか?いや本当ですよ。
始まった時は子どもたちもそれこそ大人になんか勝てないよっていうところから半分ふざけてたじゃないですか。
でもここからどう成長していくのかなと思って見守ってたら子どもたちの顔もちょっと大人っぽくなりましたよね最後にね。
感想なんてねため息ついたりしてたでしょ。
涙流しながらまだまだ伝わらないんだとか本気になっていく子どもたちの姿っていうこの変化がすごく面白かったですね。
子どもにとって大人ってちょっと怖くもあるし難しい事いっぱい言われちゃって結局何を僕は言いたかったんだろうかなって迷いもあったりすると思うんですよね。
なんかあの気持ちってすごく分かりますよね。
子どもの頃あんな感じでしたよね。
ただ今の子どもたちはやっぱネット社会になってきていろいろ検索できるから情報の量では結構戦えるっていうかねそんな状況もちょっと感じましたよね。
でも戦うためには情報を準備しなきゃいけないって事すら分かってなかったですけどもね。
あれは李先生のすばらしいとこだなと思うんですよ。
準備してちゃんと電話する時はメモを取ってっていう何ていうんでしょう社会の仕組みほんとに小さなところからこうやって社会は成り立ってるんだよこうやって人づきあいするんだよっていうのを教えてくれるから面白かったですね。
そうですよね。
大人だって質問するじゃないですか。
例えば尾木さんが返ってくる答えって予想できないわけじゃないですか。
それを繰り返すわけですもんね。
それを子どもの時から学ぶのはとても大切な事なんですよね。
大切ですよね。
だから子どもであってもやっぱり将来の主権者であって小さな主権者なんですよね。
でやっぱり自分たちが発信したり発言したので世の中が動くとかね。
現にほら議員さんが取り上げて代表質問してましたもんね。
ああいうふうになっていくんだ自分たちもやっぱり主役なんだっていうかしらこれが実は主権者教育なんですよ。
それがミニ版で見事に完成されてるなと思いましたよね。
だからこの子どもたち多分ここでこうやって大人に接すれば取り合ってくれるんだって事を学んだと思うので大人になったら相当手ごわい大人になってると思いますよ本当に。
でも子どもの目線も分かるようにはなるのかもしれないですけどねそのままね。
であのあとですよね。
どうなったのか。
市議会議員も動きましたけれども番組オンエアから1年後の2015年8月4日のニュースなんですけれども学童に無料で牛乳を飲ませる政策を…おお取り消しになった。
動きましたねちゃんと。
動いたんです。
それはすごいです。
すごいですすごいです。
間違いなく大人は動き始めたっていう事なんですよね。
この子たちにとっては自信にもつながると思うんですよね。
それから大人と子どもとのいい関係っていうかなそれのまたモデルでもありますよね。
まっとうな事はちゃんと受け入れて大人の方も変わっていく事で大人も成長するしみんなが幸せになれるっていうかね。
さてそれではですねここで各カテゴリーの最優秀作品からちょっと離れまして今年のですねコンテンツ部門特別賞に輝いた3作品をダイジェストで見ていきたいと思います。
最初に紹介するのは…困難な状況下にある子どもの生活や境遇についての理解を促す優れた作品に与えられるユニセフ賞に輝きました。
10代の若者を追った20分のドキュメンタリーです。
主人公はショートカットが似合う12歳のキイ。
爆竹でいたずらしたり友達とスポーツを楽しんだりするのが大好きです。
(笑い声)実はキイの性別は女の子。
しかし幼い頃から自分の体に違和感を感じながら育ちました。
そして「どうしても男の子に変わりたい」と考えるようになります。
心の内を母親に打ち明けるためキイは手紙を書きました。
家族の後押しを受けて学校の友達にも自分の気持ちを伝える事を決意します。
ある日キイはクラスのみんなに向け性同一性障害の事を発表しました。
自分の心と違う性別に生まれていつも戸惑ってきた事。
性同一性障害は母親の胎内での発達段階で起きると考えられている事。
クラスのみんなも熱心に聞いてくれました。
(拍手)自分らしく生きていきたい。
中学進学を機にキイは自分に男の子の名前を付け新たな人生を踏み出します。
その名は「ニルス」。
男の子として生きる決意とそれを見守る周囲の人たちを描いた作品です。
続いて紹介するのは…この賞は国家・民族間の相互理解を促すまたは文化の交流に貢献する優れた作品に贈られます。
あるチベット人の親子を描いた83分のドキュメンタリー映画です。
チベット出身のザンタは結婚して間もなく夫をなくしました。
子どもを学校に行かせようとしない義理の父親から逃れ親子で北京にやって来ます。
路上でチベットの物産を売って僅かな収入を得ていますが客は僅か。
町の人たちの目も冷ややかです。
厳しい暮らしの中でザンタは7歳の息子に教育を受けさせようと学校を探します。
しかし少数民族への差別は根強くなかなかうまくいきません。
学校に近い家をザンタが借りようとした時家主は警察に通報。
ザンタを助けようとするチベットの人たちとの間でトラブルになります。
そんな中新年の休暇で里帰りしたチベットの村。
ここでもザンタは息子を取り戻そうとする義理の父とぶつかります。
古くから民族が重んじてきた生き方と習わしを捨てて子どもに希望を託そうとする思いのはざまで苦しみます。
ふるさとと呼べる場所を失った親子を数年にわたって追った記録です。
2作品見て頂きましたけれども前者は性別についてそして後者はですね民族や文化について少数派である人の思いに寄り添った作品でした。
僕最初のオランダの作品の方ですけどもオランダっていうのは同性婚も認められている世界でもそんな数は多くないんですけれどもそういう国だからまさかああいう事が子どもたちにしわ寄せきてるっていうふうにね思わなかったのでかなりショック受けましたね。
ただそれでもやっぱり本人自身の自分でニルスになっていくっていうカミングアウトっていうのはすごい…すごい精神力だなっていうふうに。
ほんと勇気がいる事だと思うんですよね。
文科省も今年の4月にいろんな発表をしたんですけれども例えば日本の大人たちでも性的マイノリティーの方は20人に1人なんですよ。
それほど実は多くて。
不登校の原因に自分は体は女だけれども心は男性だと。
キイ君キイさんみたいなね子がいるわけです。
そうするとスカートはいていけない。
つらくて。
それから水泳の時期になるととても水着が困っちゃうとかトイレが困るとかいうのでだから不登校の子がかなりいるんじゃないかと。
小さい時に気付いてなかったけれども学校に来られなかったあの子の理由はそれだったのかなとか大人になってから初めてその子の苦しみを知るみたいなのもきっとあるんでしょうね。
ありますよね。
特に思春期になってくるとワアーッと揺れてきて性的な…誰でも目覚めになるでしょ。
その時の揺らぎがすごいですよね。
まずは自分はそうじゃないっていう考えでいたい人もいるのかもしれないですよね。
確かに。
何が普通かって多分今すごくいろいろあると思うんですけど男の子として生まれたら男の子として生きた方がいいのかなとかなんかそういう葛藤がさっきのキイ君キイちゃんの中にもあるからこそ多分ニルスって自分で初めて名前を書いた時に涙が出てきちゃうのかなとか子どもでもすごいいろんな葛藤があるんだなって思いましたね。
受け入れられる環境づくりっていうのをつくる事が本当に大事なんじゃないかなと思うんですよね。
あとは日本人だとなかなかね文化の違いだったり差別っていうものが分からないかもしれないですけれどもやっぱり世界中国でもこういう事がねチベットで起きてるっていうちょっと驚きもありましたよね。
差別ってこんなにもあからさまにされるのかなってびっくりしましたよね。
町なかで「荷物まとめて出てけ!」とかあんな直接的に言われるのかと思うとそうなるってしかもチベットのあの親子はきっと分かってたわけじゃないですか。
それでも行く。
なんでそんなつらいとこに行くのかなでもやっぱり子どものためなのかなって思うとお母さんの気持ちもすごくこうズシンと響くというか。
差別っていうところでいうとちょっとした言葉で学校でもそうだけど会社でも仕事でもそうだけども人を傷つけてしまう事ってあるんだなっていう事ももうちょっと自分たちのね言葉に責任を持たなきゃいけないなと僕は個人的には思ったんですけどもね。
同じ人間なのに民族が違うだけでこんなに差別するっていうのは。
文化によっては全く相反するものを信じてる人たちもいるわけじゃないですか。
だから多分全部を認めるのって難しいんだろうなって思うんです。
全部を認められてたら今みたいに国家間でのいがみ合いとかテロとかってきっとないんだと思うんですけどでも理解を示すっていう事は可能だと思うんですよね。
私なんかもハーフですけどハーフの子どもたちとかもすごく日本に増えてきてだいぶ珍しくはなくなったと思うんですけど違うっていうものに対して認められなくてもああそういうものなんだなって知って理解するっていう柔軟性みたいなものがみんなにあるといろいろ変わってくるのかななんて思ったりしましたけどね。
そこで何かを感じた事はあったんですか?私はマイノリティ−だと思ってなかったんですよ当時は。
なんですけどそう言われる事によってマイノリティ−なんだなって実感させられちゃうんですよね多分マイノリティ−の子って。
そうじゃなくて違った子もいるんだなそうだよなってスッと受け入れられる心があるといいなと思いますし今ね多分そういった人と違うっていう事に対して結構柔軟になっている社会に今なりつつあると思うのでこれがもっと広がればいいんじゃないかななんて思ったりしますけど。
さて続いてご紹介するのはですね審査員特別賞を受賞したこの作品です。
この作品は審査委員の印象に残った作品に与えられる審査委員特別賞に輝きました。
第2次世界大戦中にナチス・ドイツが組織的に行った大量虐殺ホロコーストを学ぶための中学校向けの教材です。
「子どもたちのホロコースト」の冒頭部分を見て頂きましたけどホランさんいかがでしたか?なんかこういう体験談ってその時代を生きた人しかやっぱり分からないわけじゃないですか。
どんなに想像しても現代の私たちが想像しえない体験というのをしてらっしゃると思いますしさっきルースさんが「同じ間違いを繰り返してしまう」っておっしゃってましたけどこれを繰り返しちゃいけないよねって言ってるのにその世代が変わってしまうとまた同じ事を繰り返してしまう危険性があるわけですよね。
伝えていくっていうのはすごく大事な事なんだろうなっていうのは思いましたね。
「伝えていく」というところでいいますとホロコーストを学ぶための中学生向けの教材だったわけですよね。
前半のアニメーションのパートで語られる声はホロコーストを体験したご本人の語りを使用しているという事でそこに戦争を知らない若いアニメーターが映像を作成したそうなんですよ。
ただ日本でも戦後70年語り継いでいかなきゃいけない事ですけれども薄れていってるのも現状ですよね。
そうなんですよね。
例えば広島の原爆のね被爆者の体験を語る語り部さんっていう方たちも随分お年を召されてずっと続いてくわけではないわけですよね。
そういう中で語り部さんは少なくなるか分かんないけれども若者たちがこれは大変だと語り聞き継いでつないでいかなきゃいけないというので例えば高校生たちが今随分動いてるんですね広島なんかでも。
そして自分たちでそれこそ最新の映像機器を持っていって子どもたちの方から伺っていって語って頂くのを収録して広げてるんですよ。
子どもたちも危機感を感じてる。
危機感感じてます。
だからちょうどこうやってアニメ化された世代が全然その体験をしてないけれどもこういうふうに作品に作ったのと同じような事を今日本でも広島や長崎で始めているんですけれども必ずやっぱそういう芽も新しく国の別を問わずね出てくるんだなっていうのは心強いと思うんですよね。
僕なんか初めて戦争を知った時って漫画で知ったような気がするんですよ。
「はだしのゲン」とかね。
そうですそうです。
それを見た時に本当に怖いなと思ったしいつその戦争を知るかそれは人によって違うと思うんですがどの世代でも分かりやすいような教材があるという事はとても大切なのかなと思うんですけどね。
またそういう教材っていうのは戦争を体験してる世代と新しい子どもたちの世代が共同して作っていくような気がしますよね。
こういう作品が中学生向けにね作られてるという事でした。
さあ続いてですねご紹介するのは「青少年向けカテゴリー」最優秀賞を受賞しましたスウェーデンの作品です。
民主主義について考えさせられる内容です。
ご覧下さい。
8人の若者が賞金を目指して独裁者の指令の下での暮らしに挑みます。
受賞作品は全8回シリーズの第1回。
およそ29分です。
(ナビド・モディーリ)スウェーデンのある場所に人が自由や権利を一切持たない社会がある。
それは我々が当たり前だと思っている民主主義とはかけ離れた社会だ。
そんな社会で8人の若者が8日間を過ごす事になった。
彼らは自由に考え自由に意見を述べ自由に行動する事に慣れきっていた。
この実験に参加するまでは。
(アルビン・ホセイニ)全然寝てない。
(ジミー・ビュストルム)宗教が違う人と一緒に生活するのは厳しいかも。
(ガブリエッラ・バーク)どう生きるかじゃない。
生き残れるかよ。
(ファンナ・ヌドー)反体制派かと思った。
(カロリーネ・テュベリエ)もう最悪。
地獄よ。
(震える息)
(エリアス・ギエアツ)こんなに自分を情けなく感じた事はない。
独裁体制での生活に挑む8人。
勝ち抜けば賞金は10万クローナ。
しかしどうすれば勝てるかは誰も知らない。
この先何が待ち受けているのか。
参加者たちが集結した。
(男性スタッフ)最初にいくつか言っておく事がある。
携帯電話やパソコンをはじめ多くの持ち物が取り上げられ手首には白いリストバンドが着けられる。
リストバンドが切れたら即失格だ。
10万クローナを獲得するチャンスはなくなる。
彼らは自らの意志で参加を決めた。
やめたければいつでもやめられる。
ドアが閉まったら独裁の下での生活が始まる。
私はナビド・モディーリこの独裁体制の案内役だ。

(ため息)なんか超不気味。
何ここ?
(エリアス)僕たちの写真だ。
(サンナ・クランクヴィスト)ほんと。
アッハハハ!
(カロリーネ)入っていい?
(ファンナ)どうぞ。
(アルビン)カロリーネ。
(カロリーネ)私よ。
マジ?なんか大昔の病院みたい。
(サンナ)上等よ。
いいベッドじゃない?この小さいのが?
(サンナ)ええ。
(カロリーネ)これで荷物も返してもらえなかったら最悪。
あれ僕たちのシンボルだね。
だって他の場所にも…。
うわっ!何だろ。
懺悔の部屋か?っていうより…。
(カロリーネ)何の部屋?多分娯楽室。
あの絵はちょっと気味が悪い。
多分僕らに…僕たちには力があるって思わせたいんだ。
そして団結しているって。
そりゃいいや。
ハッハハハ!へえ。
ここ私が住んでる部屋より広い。

(女性スタッフ)ようこそ。
ガブリエッラよ。
よろしく。
寝起きでボーッとしてるからサングラスしていい?
(女性スタッフ)どうぞ。
(ガブリエッラ)みんな知らないだろうけど私はずっと独裁体制の下で生きてきた。
両親がすごく厳しかったの。
他の子たちのように自分で何かを決めるなんて許されなかった。
そんな子供時代だったから独裁には慣れてる。
だから勝てそうな気がするわ。
勝つつもりよ。
(ガブリエッラ)もしみんなが私に従ってくれなければ厄介ね。
私は勝ち残るためなら嫌な人間にだってなれるしライバルたちに意地悪な事もできる。
私は絶対に勝ちたいの。
何が何でも。
どういう所に連れていかれるのかは全く分からない。
よくある映画みたいに私たち参加者が殺し合いをするんじゃないかって想像したりもしたけどそうじゃない事を祈るわ。
(女性スタッフ)じゃあ撮るわよ。
(ガブリエッラ)何これ?「見た事聞いた事をすべて報告せよ」。
「労働は人生!」だって。
なるほど。
「働けば自由になれる」。
聞いた事あるわ。
完全に隔離された社会で過ごす8日間。
初日に示されたこの社会の特徴をうかがわせる3つのルール。
世界には独裁と見なされる国々が存在し何百万という人々が抑圧されている。
民主的な自由も権利もない。
自分の主張を貫けば待ち受けるのは迫害投獄そして死にほかならない。
果たして参加者たちはどんな選択をしそれがどんな結果を招くのか。
(エリアス)同じ本が何冊もある。
ジョージ・オーウェルの「1984年」ゴールディングの「蠅の王」。
(オスカル・スンデル)オーウェルが嫌なら現代ミステリーもある。
誰か「白」やらない?それドラッグの事?そう。
フフッ。
冗談でしょ?
(笑い声)
(オスカル)反体制派のウルフ・ルンデルの本まである。
この本も面白そう。
(サンナ)何?
(オスカル)えっと…。
「現代人と社会問題」読まないと。
(笑い声)
(オスカル)これはすごく面白い実験だと思う。
(男性スタッフ)やあオスカル。
(オスカル)やあ。
爆弾は入ってないよ。
中でも一番興味をそそられるのは自分たちが日頃どれだけ自由や権利を謳歌しているのかはっきりと気づかされるって事。
ふだんはそれが当然すぎて考える事もないからね。
(男性スタッフ)開けていい?ああ。
開けたら閉めてくれると助かるけど。
故郷のトレルボルグの事は話したくない。
(男性スタッフ)聞いてもいいかな。
ああ。
(男性スタッフ)どうして話したくないの?聞いてもいいけど答えない。
(男性スタッフ)分かった。
(女性スタッフ)こっちよ。
にっこり笑って。
(オスカル)笑いたくない。
じゃ好きなポーズで。
そんなのない。
(オスカル)僕は思った事をはっきり言う方だ。
人に合わせて妥協するのは好きじゃない。
だから他の参加者ともめるかもしれないね。
もしかしたら独裁者とも。
(サンナ)みんなどう思う?
(カロリーネ)どんな労働かな?
(オスカル)何かすごく骨の折れる事。
(サンナ)何の役にも立たない事なんじゃない?ひたすら三角形を切り抜くとか。
ああ単調な作業だな。
明らかに意味のない事をさせられるのよ。
(笑い声)
(オスカル)例えばロールパンに種をつけるとかね。
(笑い声)
(カロリーネ)種をつける?ウフフッ。
参加者たちはそれぞれ違う地域の出身。
全員が社会に対して明確な意見を持っている。
それが選ばれた理由だ。
問題は彼らが独裁者のルールに従うかどうか。
(エリアス)「我々は外出禁止令を守る」だって。
意外だな。
もっと働かされるのかと思った。
私はこの3つ目が気になる。
お互いを密告し合わなきゃいけないのよ。
そんな事みんな守るのかな。
興味深いわ。
独裁者がどんな人か分かったら私は態度を変えるかも。
納得して…。
そうだね。
(エリアス)「尋問」?
(ジミー)車椅子レースでもするのか。
ハッハハハハハ!
(エリアス)この数字は何かな。
「59.31」と「18.03」。
(女性スタッフ)どんな気分?
(エリアス)緊張してる。
(女性スタッフ)本当?ええ。
(女性スタッフ)あなたにとって独裁制って何?個人の自由はあまりなくてほとんどの人が不幸。
僕は今高校3年生だけど自分で会社も経営しているんだ。
学校の先生たちに教育について講義をしている。
生徒の目から見た教育についてね。
今はすごく不安を感じている。
何をしたらいいのか全く分からないから。
もどかしいしつらいよ。
ちょっと気が重い。
(女性スタッフ)じゃあこれを持って。
(エリアス)この経験を通じて自分の国はなんてすばらしいんだって気持ちと僕の声を聞いてほしいって気持ちが更に強くなればいいと思う。
(アルビン)なんで声がかかったの?
(ジミー)ネットで書き込みをしたらそれがこの番組のスタッフが作ったページで…。
(笑い声)そのページが俺の書き込みでちょっとした騒ぎになったから彼らの目に留まったらしい。
俺そういう騒ぎを起こすのが好きだから。
(エリアス)それって例えばどういう事で?
(ジミー)何だっていい。
人が書いた事に片っ端から反論する。
楽しむためだけにね。
(エリアス)「荒し」だ。
やなやつ。
ハッハッハッハッ!
(エリアス)相手が目の前にいても片っ端から反論するの?
(ジミー)いいや。
でもその場の雰囲気を盛り上げるためにやる事もあるけどね。
ハッハハハ!
(オスカル)なんでわざわざ人を怒らせる?
(ジミー)どんな反応するか知りたいんだ。
(カロリーネ)あなたが言った事で人は簡単に気を悪くするしそんな反応を見るのは確かに面白いけど…。
なんかむきになってるみたい。
(カロリーネ)私はただ人がすぐに傷つく事を知ってるから。
ちょっとした書き込みをされただけでもね。
私ならこう返信する。
「もし私が嫌な気分にさせたならそう言って。
書き込みを受け入れられないなら私を友達リストから外して」って。
(男性スタッフ)カロリーネ。
(カロリーネ)どうも。
かばんを開けて中身を見せてもらえるかな。
(カロリーネ)そこまでやるの?どうぞ。
(カロリーネ)仕事は好きだな。
友達と会うのも大好き。
それから買い物もすごく好き。
私は今までずっとやりたいようにやってきた。
だから自分の事を人に決められるっていうのは多分きついだろうな。
(女性スタッフ)これを持って。
(カロリーネ)他の人がどう思おうと気にしない。
自分の好きな事をやっていればそれで満足だから。
私は人のやる事を受け入れる。
だからみんなもありのままの私を受け入れるべきだと思う。
(女性スタッフ)一番いいポーズをとって。
こんな時に?
(女性スタッフ)じゃあ楽にして。
(ガブリエッラ)あの尋問室って何のためにあるのかな。
誰があの部屋に呼び出されるわけ?
(カロリーネ)車椅子も気になるよね。
(ガブリエッラ)尋問が終わったらあれに乗せて部屋まで運ばれるんじゃない?
(カロリーネ)尋問で脚を折られるって事?
(笑い声)
(ガブリエッラ)そう。
いつも最悪の事を考えちゃう。
(オスカル)その方がいい。
そう?
(オスカル)俺みたいに考えが甘くて「そこまでじゃないだろ」って思ってると後で「わあ〜!」ってなる。
(笑い声)
(ガブリエッラ)そうね。

(エリアス)食べ物があった!運ぼう。
ぜいたくな独裁制ね。
フフフッ。
それとも最初の夜だから?
(エリアス)そうかもね。
(ファンナ)「独裁制へようこそ」って?もちろん本物の独裁国家とは違うだろうけど独裁制を疑似体験するのは面白いかも。
多分。
(アルビン)僕は自分の事を意欲的な人間だと思う。
いろんな事に挑戦して最後までやり遂げるタイプだ。
(アルビン)何か問題が起きればどうにかして解決しようとする。
だからそれを仕事にしようと思ってエンジニアになるための勉強をしている。
開けてくれます?エンジニアは問題を解決するのが務めみたいなものだから。
詰め込み過ぎたかな。
(笑い声)
(アルビン)今回の試みでは僕の人間性が試されると同時に欧米人が独裁制に対してどんな反応をするかを学ぶ事もできる。
これは何?
(アルビン)録音用の機械だよ。
あ〜そうか。
返そうか?持ってて。
(アルビン)僕自身は独裁体制を経験した事はないけど両親はイランの出身だ。
彼らは生き延びるために大変な思いをした。
こんにちは。
どうも。
イランで戦争を経験した親に比べてスウェーデンで育った僕は甘やかされたような気がする。
(女性スタッフ)笑って。
いい顔。
(ガブリエッラ)この先何が起こるのか分からないってつらいね。
真っ暗闇に置き去りにされた感じ。
(エリアス)賞金だってどうしたらもらえるのか全然分からないしね。
何をしたら勝てるのかな。
僕は10万クローナのために人殺しはしないよ。
(ガブリエッラ)ハハハハッ!どうかな。
ここに3日いたら変わるかもよ。
ん〜。
こぼした?うん。
(オスカル)処刑されるぞ。
(笑い声)そこは閉ざされた社会。
窓は覆われ時計は間違った時刻を指し参加者たちはここがどこだか知らない。
個室の他に食堂と娯楽室の利用が許されている。
2つのバスルームにはトイレットペーパーが2ロールずつ。
皆自らの意志で参加を決めた。
苦痛に耐えかねたならいつでも去る事ができる。
賞金は10万クローナ。
その獲得方法は誰も知らない。
あっ何?誰だろ?やあ諸君。
私はナビド。
この社会で君たちの案内役を務める。
我々のもてなしは気に入ったかな。
ここにいる間守るべきルールはもう読んだか?外出禁止の合図が鳴ったら部屋から出てはならない。
そしてもう一度合図が鳴ったら部屋から出てかまわない。
いいか?勝つのは誰だ?
(エリアス)分からない。
勝ち方が分からないから。
この中で強いのは俺とファンナガブリエッラそしてカロリーネだろうな。
きっとその4人が最初にわめき出すから。
(笑い声)君たちにはこれから難しい決断をしてもらう。
全員に関わる事だ。
では一緒に来てくれ。
部屋の中に通知がある。
独裁者からだ。
付き添いはここまで。
幸運を祈る。
(ジミー)どうも。
参加者たちは衣類以外の私物を手元に置いてはならない。
荷物はいずれ持ち主に返されるが今は選択を迫られる。
これまでに経験した事のない選択を。
やだ…。
(エリアス)開ける?ええ。
(カロリーネ)開けて。
(エリアス)「市民諸君我が社会では身の回りの品が限られている。
よって諸君のかばんの中身を調べ衣類以外のものはすべて排除した。
ただし必需品を取り戻すチャンスを一度だけ与える。
15種類のものを用意した。
諸君の社会で使う事ができる身の回りの品を5つ選べ。
考える時間は15分。
赤いライトが点灯したら制限時間終了だ。
選んだもの以外は今身に着けているものもこの部屋に置いていく事。
以上」。
(カロリーネ)あ〜!分かった?早速始めよう。
(サンナ)絶対欲しいのは?
(アルビン)歯ブラシかな。
私もそう思う。
同感。
(カロリーネ)全員一致ね。
じゃ決まり。
(オスカル)全員の意見を聞くべきだ。
(ガブリエッラ)ええそうね。
歯ブラシに反対の人はいる?じゃあ…。
(カロリーネ)化粧品は?
(サンナ)私はシャンプーが欲しい。
(ガブリエッラ)私は化粧品。
私も。
(ファンナ)冗談でしょ?
(オスカル)化粧品は優先度が低い。
でもスキンケアとセットになってる。
(オスカル)じゃあまず先に外すものから決めないか?そうね。
(オスカル)ひげそりはどう?全員ひげそりがなくても生活できる?
(カロリーネガブリエッラ)ええ。
(オスカル)じゃあヘアケア製品は?
(サンナ)私にはすごく重要なものだけど…でもいいわ。
(アルビン)誰か欠かさず薬を飲んでる人はいる?僕はなくても平気だけど。
(カロリーネ)私は女性用の薬を飲んでる。
(ファンナ)私も薬は必要。
(オスカル)じゃあ薬は優先すべきかな。
トイレットペーパーは要るだろ。
(カロリーネ)トイレットペーパーのない生活はありえない。
(オスカル)ここならありうる。
(ガブリエッラ)そうね。
(カロリーネ)化粧品は絶対欲しいな。
(オスカル)俺は化粧品には反対だ。
まだ寝具やタオルだって選んでないのに。
分かる。
あなたは化粧品を使わないから…。
(オスカル)何年か前の俺を知ってたらそうは思わないはずだ。
俺だって化粧品は使ってた。
それはそうかもしれないけどそれでも…。
すぐには決められないかも。
じゃひとまず飛ばそう。
これまでに選ばれたのはトイレットペーパー歯ブラシと歯磨き粉薬そしてシャンプーとコンディショナー。
選ばれていないのはタバコとデオドラント生理用品眼鏡。
彼らが選択できるのはあと一つだ。
(ファンナ)選ばなかったものは今あるものまで取り上げられちゃうわけ?1週間くらいシャワーを浴びなくても死にゃしないけど寝られないのはきついだろ。
もう一回指示を読んで。
「選んだもの以外は今身に着けているものもこの部屋に…置いていく事」。
(カロリーネ)その眼鏡もだね。
そんな…。
眼鏡も取り上げられるのか?
(ファンナ)ここに書いてあるのはそういう事でしょ?
(エリアス)眼鏡がなかったら見えない。
だけどみんなに迷惑はかけたくないし…。
(ガブリエッラ)見えなきゃ困るでしょ。
(ガブリエッラ)じゃあ入れ替えよう。
シャンプーとコンディショナーは外す。
悲しいけど。
参ったな。
もう最悪。
(オスカル)寝具はなんとかなる。
(ガブリエッラ)ええそうね。
じゃあ外そう。
私はスキンケア製品が欲しい。
肌荒れがひどいの。
タオルがなくてもシャツで体は拭けるし。
だから私は…。
タオルはなし?ええ。
(カロリーネ)トイレットペーパーは今あるだけでなんとかならない?ひょっとしたらもう一度チャンスをもらえるかもしれないし。
(オスカル)無理だって。
8人いるのにトイレットペーパー4ロールで足りるわけない。
(サンナ)でも…。
無理だ。
ほんとにトイレットペーパーを取り上げたりする?
(カロリーネ)さあね。
(エリアス)じゃあどうする?
(ジミー)シャワーを浴びれば?
(笑い声)
(オスカル)ああそれがいいかも。
(ファンナ)トイレットペーパーを使わない国はたくさんある。
やだぁ。
早く決めなきゃ。
(オスカル)じゃあトイレットペーパーをせっけんと換える?多数決だせっけんがいい人。
シャンプーとコンディショナーがいい人。
(アルビン)じゃあ決まり。
(オスカル)じゃあトイレットペーパーは外すよ。
ほんとに?
(カロリーネ)信じられない。
(サンナ)もう決まった事。
彼らが選択したものは…それ以外のものはすべてこの場に置いていかなければならない。
そして選んだものだけでしのいでいく必要がある。
またね。
なんか調子が崩れるわ。
入院患者みたい。
アハハ!
(アルビン)毛布や寝具が全部なくなってる。
ウソ!
(エリアス)トイレットペーパーも回収されてる。
(カロリーネ)ほんとに?
(サンナ)もうやだ〜。
(エリアス)トイレットペーパーがない。
どうしよう。
(オスカル)どう?
(カロリーネ)なくなってる!トイレットペーパーはもうない。
(サンナ)そんな…。
(ガブリエッラ)革命を起こさなきゃフフフ。
こうなったらシャワーか。
(ジミー)だね。
カレンダーで拭いた事もある。
(笑い声)
(ガブリエッラ)ほんと?化粧品はあるのにトイレットペーパーがないなんて…。
(オスカル)だから言ったろ。
独裁者は全員で合意させ決断する事を命じた。
今回は日用品の制限で済んだがもし独裁者がその先の行動に出たらどうなるか。
独裁体制下では会いたい人に自由に会えるとは限らない。
抗議する権利は失われ意見の表明も許されず言論の自由を奪われる事もある。
だがここでは比較的制限が少ない。
今のところ参加者たちは誰とでも自由に話す事ができる。
(オスカル)今日は俺たちにショックを与えるのが目的なんじゃないかな。
それでそのあといかに俺たちが支配体制に順応して模範的市民になるかを見ていこうってわけだ。
(エリアス)順応しないかも。
(オスカル)とにかくそれが今回のねらいだよ。
ひょっとしたら私たち革命を起こす事になってるんじゃない?トイレットペーパーを諦めずに無理やり持っていってもよかったのかも。
僕たち全員でこの社会から出ていくって脅す事もできる。
ここの生活に満足できないと言って境界線を越えるんだ。
(オスカル)確かにいい考えだ。
向こうがどう出るかを見るにはいいかもしれない。
(エリアス)独裁者はどうするかな?
(オスカル)こっちは1人を残して7人がこの社会から出ていく。
残った1人が勝ちになる可能性もあるけどそこはお互いを信じるしかないだろうな。
(ファンナ)全く同じタイミングで全員が境界線を越える事はできない。
(オスカル)全員が賛成なら俺はやりたい。
この独裁体制に挑戦したいと思う。
それだけ。
(サイレン)
(カロリーネ)ちょっとやだ!朝もこの音で起こされたらたまんない!
(ファンナ)何なのもう!
(サンナ)びっくりした…。
外出禁止の合図が鳴り参加者たちは身の回りのものを持って部屋へ向かう。
次に合図が鳴るまで全員部屋から出られず誰かと連絡を取る事もできない。
独裁者はいつ外出禁止令を解くのか…。
それは誰も知らない。
8日間の第1日目が終わった。
皆毛布も枕もないまま眠りに就く。
いいかも。
(アルビン)今日はまだ序章みたいなものであしたからが本番だ。
きっともめ事や対立が起きると思う。
誰が一番タフなのか今に分かるよ。
参加者のみんなの事はすごく好き。
だけどきっとトラブルは起こるだろうな。
多分オスカル絡みでね。
どうしたら8日間を乗り切れるかな。
僕は勝利には程遠いところにいる気がする。
はるか遠くに…。
あ〜むしゃくしゃする。
(カロリーネ)何これ?
(エリアス)「市民諸君労働は人生だ」。
座って待ってるだけかよ!次に去るのは誰だ?という事で「独裁者の部屋」をご覧頂きましたけれどもこの作品は全8話なんですけどそのうちの1話をちょっと見てもらいました。
非常に続きが見たくなるような作品ですよねこれね。
誰が勝ち残るかとかね。
今はみんな仲いいですけど絶対これからいがみ合いになるじゃないですか。
いがみ合いになりますよ。
だって既に不公平感生まれてますからね。
5つのものを選ぶところで。
5つのものを選ぶ。
ここでVTRを見ながらどれを残すかって話で盛り上がりましたけれども。
みんな違いましたね。
ホランちゃんは絶対歯ブラシは欲しいって…。
歯ブラシ欲しいです。
歯ブラシなかったら結構困りません?1週間ですよ。
手でキュッキュッキュとやればいいんだから。
僕も尾木さんと同じ派なんですよ。
ほんとですか。
尾木さんはトイレットペーパーがないと…。
絶対要る。
要る要る要ります要ります。
だってトイレットペーパーなかったら服で拭かなきゃいけないんだよ。
要らないんですもんね。
僕トイレットペーパーも歯ブラシも要らないです。
究極を言えば全部要らないですもん。
え〜!?でもなんか1週間いけそうな気がするんですよ。
だから僕の場合は選ばせるんでしょうね。
ああそちら側にいくか。
究極何も要らないから。
絶対男子は何で化粧品なんか選ぶんだよって絶対思ってると思います。
思ってる。
そういうのがこれからの展開の中でぶつかり合ってくるんだと思う。
出てくるよ。
3つのルールを挙げてるんですよ。
密告ですよ。
これだんだん誰を信じていいのか分からなくなりますよね。
この3つのルールと尋問室。
この先そこで何を語られるのかとか…。
怖いね尋問っていう言葉だけで。
そうですよね。
ただ言ってみたらこの子たちも僕らもそうですけど民主主義じゃないですか。
その中から独裁に入るってここも複雑な関係というか独裁の中で育ってる人間じゃない。
だからこそ反発はしたいっていう気持ちの中でスタートしてるわけですもんね。
ここら辺をどう描かれていくのかほんとに楽しみだなと思うんですけどもね。
独裁者の顔が見えてないですもんね。
あの中で恐らく独裁者が具体的にいなくても独裁体制にみんながこう話し合いながら入っていくような気がしますよね。
生まれてきますよねあの中からきっと小さな独裁者が。
絶対なんかにおいがしました。
もう既に。
しました。
ただこの番組自体というのは民主主義は何かというものを考えさせ独裁とはどういう事なのかというものを考えさせる番組なわけですよ。
これってほんとに伝えるの難しくないかなと思うんですけど。
難しいからこそ多分実際にやってみて見せてくんだと思うんですけどでもこれ8日間じゃないですか。
8日間で変わるっていう確証があるからやってるわけですよね。
そんなに簡単に人って変わっちゃうんだなって。
だから今日本の社会なんかも非常に自由でね自由を謳歌してますけれどもでもいつ何時全体主義だとか独裁体制に入っちゃうか分からないよというある意味で警告を発してくれてるのか分かんないと。
考えられないですけどね。
今考えられない。
僕も考えられないですけどもでもあんな状況からひとりでに独裁をね自らがつくっていくっていうか…国民っていうかな市民が。
…いうようなそんな怖さを今感じましたよね。
だから自由っていうのはほんとの自由っていうのはしっかり維持しないとダメだよっていう。
維持しようと思って維持しないと維持できないでしょうね。
のんびりしてると。
その国だけの問題ではなくて自分が上に立った時に下の人たちというか一緒にお仕事をしている人たちとどう関わるかという事も考えさせられるわけじゃないですか。
下手したら自分の言った事が独裁に近い事を言ってるのかもしれないと思ったらすごい怖い事だと思うし考えさせられますよね。
なってる本人も多分独裁者になってるのって気づかないんですよねきっとね。
こういう設定とかっていうのどう思いますか。
独裁者の部屋を生き残るという設定については。
多分これだんだん判断能力失われてくんでしょうね。
何が正しい何が間違ってるとか。
独裁者はいわゆる「出る杭は打たれる」の「杭」をなくしたいわけじゃないですか。
みんな出ない杭にしていきたいわけですから。
だんだん多分独裁体制に置かれてる人間も自分の意見が反映されないから「何を選択しても結局変わんないよな。
じゃあ別に何でもいいや」になっていってみんなが知らず知らずのうちにもう出る杭の杭になろうっていう意識すら失っていくみたいな…。
「恐ろしいな」なんて思いましたけど。
僕が唯一希望を託するのは例えばほら「独裁者にみんなが反発して7人抜けちゃおうか」っていうのあるじゃない?革命を起こすみたいな。
そういうのが行われる可能性はないとは言えないわけでしょ。
なんかその楽しみもあるなと思って。
どういうエンディングを迎えるのか…。
おのおので調べて下さい。
確かにそうですね。
さて次にですねご紹介するのはコンテンツ部門の「クリエイティブ・フロンティアカテゴリー」の最優秀作品です。
まずその前にですねこの賞について簡単にご説明しましょう。
インターネットやゲームなどデジタル技術を活用したコンテンツに贈られる「クリエイティブ・フロンティアカテゴリー」。
今年は65の作品がエントリーしました。
子供たちが安心して楽しめる参加型のウェブサイト。
シリア人難民キャンプとそこで暮らす人たちを知るためのサイト。
画面の前で動くとゲームのキャラクターが指示どおりに動く動作感知システムを使ったゲーム。
学習障害のある子供にサインを使ったコミュニケーションを教える事を目的としています。
世界中どこでも学ぶ事ができるオンライン大学講座やコメディーやドラマを使って英語を教えるウェブサイトなど新たな学びの可能性を切り開こうとするデジタルメディアが集まりました。
そんな中最優秀賞に輝いたのは…ウェブサイトにテレビ番組などを組み合わせたスウェーデンの作品です。
2014年の総選挙を前に学校や家庭で若者が民主主義を学ぶための教材として作られました。
これは民主主義についてのクイズ。
テレビ司会者や法律家と民主主義の知識を競いながら楽しめる仕組みになっています。
クイズやアンケートに答えると民主主義に対する考え方を他の人たちと比較する事もできます。
「社会に対してできる事」というパートではさまざまなアプローチで社会活動をする人の姿を動画で見る事ができます。
さまざまな考え方を知り民主主義の意味を問い直すためのウェブサイトです。
という事で「民主主義って何だ?」という作品でしたけれどもいろんな事考えますよね。
この国は民主主義の思想があるんだないんだっていう気付きのきっかけにもなるしちょっと面白かったですね。
ゲーム感覚で自分の位置まで分かるっていうのがねちょっと僕なんかやってみたくなりましたけどね。
意外と言ってる事と感情が違ってたりしてね。
スウェーデンではですね若者への実態調査の結果投票率の低さや民主主義への無関心が浮き彫りになった。
そこでスウェーデン教育放送が2014年総選挙を前にこの作品を開発したっていう事なんですよ。
ここら辺がものすごくなんかスピーディーっていうか鋭い動きが速いですよね。
スウェーデンも僕何回か調査に入ったんですけど投票率29歳以下のところで言うと81%ぐらいあるのよ。
そんなに高いんですか。
あるんですよ。
ただ60歳以上のところが90何%もあるからそれと見ると低いし急激に落ちてるんですが日本この間の選挙なんか32%ですよ。
だからもうなんか羨ましくって…。
でもこれをやったから日本の場合って投票率が増えるんですかね。
日本だと選挙とか政治とかだいぶ上の方というか「自分の手の届かないところで行われているんだろうな。
だから自分が行っても変わんないよな」っていう感覚の人多いわけじゃないですか。
さっきのチャートだと「あなた」が主人公になってるからなんか自分と政治だったり民主主義っていうものに関連づけて考えられるきっかけになるのかなと思いましたね。
だから日本も「18歳選挙権」っていうのなってきたでしょ。
そしたら高校生の動きガラーッと変わりましたもんね。
日本でもやっぱり取り入れていかなきゃいけないのかなと…。
取り入れていっていい時期だと思いますよね。
教育という部分でどこまで18歳にもしなっていくとしたら考えていかなきゃいけないのかなっていうところですよね。
ただ実際日本の動き見てると若者の高校生とか大学生の方が動いちゃってる感じですね。
僕ら教育関係者がその教材を作ったりする前に実際動いててそれを後追いで「えっすげえな」とかいう感じでついてくっていうか「じゃあ急いで開発もしなきゃいけないし」とかそんな感じがしますよね。
そういうところも考えながらああいうのを日本でもちょっと作ってもらいたいなと思いますけどね。
さてですね55の国と地域から339の作品と企画が寄せられた今年の日本賞最後にご紹介するのは「一般向けカテゴリーの最優秀賞」。
そして見事「グランプリ日本賞」に輝いたこの作品です。
ご覧下さい。
最後に紹介する作品は…オランダではクリスマスの前に聖ニコラスがやって来ます。
そのお供のブラック・ピーターは世代を超えて愛される一方人種差別的だとして社会を二分する論争になっています。
そこでディレクターがブラック・ピーターに扮してオランダ人の心の中にある差別意識に問いかけます。
およそ56分の作品です。

(スニ・ベルフマン)おはようディック。
(ディック)おはよう。
一つお願いがあるの。
何?聖ニコラスとお供のブラック・ピーターの衣装を貸してくれない?大丈夫かなぁ。
あれを着たら抗議集会で卵を投げつけられるかも。
君が迷っても俺は迷わないよ。
答えはノーだ。
貸せないね。
これだと煤ほど真っ黒じゃないね。
(少女)ね。
茶色だよね。
今は茶色でなきゃダメなんでしょ?そうなの?だからかもね。
あの店まだイヤリングを?うん。
こっそり売ってた。
ほんとは禁止されてるんだけどね。
この番組を作るにあたって「君には無理だ。
ブラック・ピーターに偏見を持っているから」って言われた。
でもこのオランダで偏見がない人なんている?ホー!ホー!
(笑い声)オランダ人なら懐かしいこの光景。
私も覚えてる。
聖ニコラスに扮した父を。
(リシャルト・ベルフマン)こうやって歩くんだ。
オレンジ色のバスタオルをマントにしてほうきを持って白い綿の顎ひげをつけて。
頑張ったんだ。
ああ。
マルクス主義者の父は帽子に共産主義のシンボルを入れていた。
4歳だった私が「ブラック・ピーターはどうやって煙突を通ったの?」と尋ねるとこう答えた。
「お祭りなんて人民に物を買わせるための資本主義の陰謀だ」。
しかし父の再婚相手はこのお祭りが大好きだった。
私はブラック・ピーターに扮して幼い弟や妹を楽しませた。
ブラック・ピーターへの批判は昔からあった。
本当にくだらない!これは1987年の映像。
毎年同じ事の繰り返し。
聖ニコラスが上陸すると大人も子供も黒人もブラック・ピーターの格好をするのよ。
でもヘルダブラック・ピーターになるのは楽しいよ。
みんなにスパイス・クッキーを配れるし。
そんなの全然楽しくない!どんな時も私はヘルダよ。
ブラック・ピーターじゃない。
私は自分の子供には陽気な黒人のお供の物語を教えないで育てようと思った。
でもブラック・ピーターは街のどこにでもいる。
ご近所も友達もこぞって聖ニコラスとブラック・ピーターの扮装をする。
これがブラック・ピーターの衣装。
自慢の衣装だ。
ほらすごくいい出来だろ。
嫌な顔するなよ。
ナチスの制服でも見るみたいに。
ディックよせよ。
だってそうじゃないか。
馬の毛で作ったひげもある。
確か1,000ユーロぐらいしたはずだ。
この杖も高級そうだろ。
俺たちはプロじゃないから衣装や小物の力を借りて役になりきるんだ。
衣装を身に着けるとそれらしくなるだろ?ああそのとおり。
これは最初のチラシ?そう。
2012年12月の。
子供たちが描いてくれた絵だ。
この聖ニコラスいいだろう?このファイルはすばらしい記録だよ。
十分プロに見えるけど…。
ディックはわざと黒人っぽくしゃべるんだ。
ウソだよ。
ハハハハッ!あ〜この家族からの依頼は…。
そんなにおかしい?おかしいよ。
ハハハ…。
今年も例年どおりのピーターでやるの?まだ決めてない。
不愉快に感じる人がいる事は知ってる。
無視する事はできないから変えた方がいいかもね。
面白おかしく振る舞うブラック・ピーターを見て不愉快になる人がいると知っていながら街に出るのは嫌だ。
最近はよく議論されるから僕も意識が変わってきた。
そう。
2011年クインシー・ガリオは聖ニコラス上陸の際このTシャツを着た。
そして逮捕された。
国のオンブズマンはこの逮捕を違法でありあまりにも暴力的だと結論づけた。
(クインシー・ガリオ)僕は何も悪い事はしてません!聖ニコラスの祭りは人種差別的です。
ゆえに条項137Cにより…。
2013年の秋クインシーは聖ニコラス一行をアムステルダムに入れるなと人々に呼びかけた。
私もその運動に加わった。
(男性記者)なぜ抗議するんですか?白人の中にも「人種差別的だからブラック・ピーターには反対だ」という人がいるって事を知ってもらいたいからです。
子供たちに妙な先入観を持ってほしくないというのも参加した理由の一つ。
私はどんな差別も人間性に影響すると考えています。
ブラック・ピーターは「黒人は陽気で楽しくずうずうしいものだ」という固定観念のシンボルとなっています。
長い間この抗議は真剣に受け止められなかった。
体制に批判的な父ですら最近まで耳を傾けなかった。
私が批判の声を上げた時どう思った?なんかギャーギャー言ってるなって。
ほんと?ああ。
大した事言ってなかったしな。
え〜!?私が悪いの?私の主張は説得力がなかったってこと?そうだ。
え〜パパひどい!私の主張は同じよずっと変わってない。
いや違う。
同じよ。
もちろん今はストレスがたまってる。
だって何年も何年も…。
抗議を続けてきたから?そう。
ああじゃあもういいかげん懲りただろう。
今?ああ。
ブラック・ピーターを人種差別だって言われて抵抗あった?あったわ。
なぜ?そんなふうに考えた事がなかったから。
自分が人種差別のお祭りに参加していると知ったらいい気がしないのは当たり前でしょ?今はもうこの祭りに…人種差別的な要素があってそれに傷つく人がいるって事が分かってるんだからそれも踏まえて祭りを続けていくのは人種差別を擁護したいと言っている事になるよな。
聖ニコラスの祭りを好きな人が全員差別主義者だって言ってるんじゃないの。
ブラック・ピーターの部分だけが差別的なの。
でもその考えはまだ一般的とは言えないからねぇ…。
「ブラック・ピーターは人種差別」という主張は論争を引き起こした。
子供時代の思い出を傷つけられた人々は怒りをあらわにした。
その矛先はブラック・ピーター反対運動の旗手クインシー・ガリオに向けられた。
ものすごい数の非難が来て途中で数えるのをやめました。
こんなに炎上した理由は何だと思います?理由の一つは…子供の頃の思い出を汚されたように感じるからでしょう。
ブラック・ピーターへの嫌悪を全く感じない人はこの話題になると精神的にではなく肉体的に具合が悪くなるんです。
体にしみついた記憶と相いれないからでしょうね。
この話題になると体調が悪くなる。
メッセージにはこういうものが多かった。
「お前を見てると気分が悪くなる」とか「ヘドを吐きかけてやりたくなる」とか。
罵っているけど肉体的な不調を訴えてるでしょ?僕を非難するしか怒りを表す手段がないからですよ。
二人の男性がフェイスブックで立ち上げた「ブラック・ピーターを守ろう」というアカウント。
48時間で200万ものオランダ人の「いいね!」を集めた。
「おいらは煤みたいに黒いけど気立てはいい」って歌詞をどう思います?「気立てはいい」ってところは問題ないでしょ。
それに「煤」は煙突を通るから付くわけだしね単純に。
じゃあ煙突を通るから髪もアフロになると?それはキャラクター付けでしょ。
「煤みたいに黒い」っていうのはスペインの出身だから。
それが肌の色に関係してる。
さっきは「煙突を通るから黒くなる」と言いましたが?それもある。
それも正しい。
プレゼントを配って回るんだから…気立てはいいんだ。
プレゼントを配るのも人種差別?子供たちも喜ぶ。
黒人が子供たちを喜ばせちゃダメなのか?善意でやってるのに。
「子供時代の思い出」が判断を曇らせる。
だったらそういうノスタルジックな記憶がない人はブラック・ピーターを見てどう反応するだろう?
(女)その顔でイースト・ロンドンを歩くなんて!刺されないように気をつけて。
ハーイ!ハーイ!キャンディいかが?ありがとう。
食べていいの?ええどうぞ。
なんで顔を黒く塗ってるの?人種差別だと思うけど…。
そう思う?ああ。
人種差別してるわけじゃないの。
いいえやっぱりそのメークと衣装は人種差別よ。
そういう格好は黒人をバカにしてるもの。
・子供には受けるけど。
顔を黒く塗る意味は何?それは煙突を通ってきたから黒いの。
理解できない!ちょっとそれ貸して。
見てごらん僕の唇はこんなに裂けてないよ?これは不愉快だ。
ほんとひどい。
こんなの売ってるの?ええ。
バカにしてるの?違います。
私たちはサンタクロースのお供で…。
プレゼントを配る役なの。
そう。
それ本当?オランダのサンタはこうなんです。
バカにしてるとしか思えない。
顔を黒く塗った上にそんなメーク。
なんで?子供には人気ですよ。
ありえない。
どこから来たの?オランダ。
イギリスでは許されないよ。
イギリスでもアメリカでもかつては「白人が顔を黒く塗って芸を披露する」というジャンルがあった。
しかし何十年も前に社会から排除された。
だけど今でも事態は変わってない。
ほら!これも。
偶然出会ったのはコメディアンのラッセル・ブランド。
子供と仲良しなの!彼は戸惑っていた。
キャンディあげる!いらない。
私正気だから!目的を説明したらラッセルがブラック・ピーターのメークや衣装持ち物を見たいと言ってきた。
いくら伝統のお祭りでもこれは違う民族の人をオモチャ扱いし召使いという低い地位に…おとしめる行為だと思う。
オランダは先進国で差別はないと思ってたのにびっくりしたよ。
いまだにこんな風習が残ってるなんて。
聖ニコラスはスペインから船で来るの。
植民地主義の名残じゃないの?寒気がするね。
ね。
じゃあね!頑張って!
(男)クリスマスのサンタがおバカなお供に囲まれている。
ええ。
これは一行がオランダに乗ってくる船の絵。
すごい。
ハハハハッ!いろいろ積んでるね。
昔の奴隷船そっくりだ。
そこから来てるのかもな。
いや〜びっくり!なんで分からないんだろう。
うわ〜。
これは差別だよ。
奴隷として虐げられてきた人たちにこれは見せられないだろう。
面と向かってこう言える?「君はこんなふうに見られてるしこんなふうに本に描かれてるんだよ」って。
子供への影響を考えなきゃ。
人に物を投げつけたり人にケンカを売ったりするのが私の住む地域の風習だったらどうする?私ね今あなたにめちゃくちゃパンチを食らわしたい気分。
あなたはみんなを不愉快にしてる。
みんなの楽しい一日を台なしに。
あなたの国の伝統だか何だか知らないけどさっさと出てって!分かったわ。
ブラック・ピーターは植民地時代の負の遺産なのだろうか。
「子供の頃の思い出」や「お祭りの楽しさ」はさておき白人の主人が黒人の従者を大勢従えている光景はかつての暗い時代を思い起こさせる。
僕は今まで自分がこの件について何の問題意識もなかった事をとても恥ずかしく思っています。
学校教育でこの問題を取り上げない事がその一因です。
奴隷制やオランダが奴隷貿易に果たした役割についてもほとんど教えません。
それを恥ずかしく思うから僕はここに来ました。
50年前から毎年アムステルダムで行われる奴隷制廃止を祝う行事。
奇妙な事に私は最近までそれを知らなかった。
祝日にすべきよ。
私は毎年この日に休みを取ってるけど国民の祝日にすべきだと思う。
同感だわ。
祝日にならないのは奴隷貿易って過去を認めたくないんですかね?ええそう思うわ。
でも責めるわけにもいかない。
だって国民の少なくとも半分は自分の国の歴史を何にも知らないんだもの。
特に奴隷貿易についてはね。
その話題を出すと白い目で見られるわ。
フフフッ。
でも過去と正面から向き合って歴史を学び正しく評価しなきゃダメよね。
アハハハッ。
奴隷制時代アフリカの人たちは人間性を奪われていた。
人種差別的な思想が人身売買の正当化に使われた。
奴隷制度が廃止されても差別意識はなくならなかった。
黒人は愚かで原始的で短気で怠け者で性欲が強くおどけ者で身軽。
こういうイメージは現代の文化にも見られる。
オランダ最大のテーマパークにある「ムッシュー・人食い」もそう。
一方ネットでは不当な人種差別が蔓延している。
なぜこんな投稿をしても罪に問われないのか。
ロッテルダムの街灯にくくられたブラック・ピーターの人形。
苦々しい光景だ。
臭いものの蓋を開けてみよう。
人種差別は黒い肌を持つオランダ人にどんな影響を与えているのか。
私のパートナーのダービッドはバンドでサックスを吹いている。
インドネシア系だけどブラジル人やモロッコ人にもよく間違えられ常に人種差別にさらされている。
アムステルダムのいわゆる「クール」なブティックでも買い物のあとカバンの中を調べられる。
屈辱だね。
ちゃんとお金を払っているんだけどね。
俺も昔高級車に乗ってたけど手放した。
どうして?半年で32回も警察に止められたから。
32回も?ああ。
途中から回数を数え始めた。
「売春の斡旋か麻薬の売人か?」って聞かれるけど俺は郵便局員だ!700ユーロもしない中古車なのに。
私はあなたがそんな差別を受けるところ見た事ないけど。
ああ。
それは何と言うか…。
ハハハハッ。
何なの?それは…君の七光りのおかげだな。
君は白人女性だから。
俺も母に分かってもらうのに20年かかった。
ママは白人?そうブロンドで青い目の。
差別を信じない?見ようとしないんだ。
俺がそういう扱いを受けてるのを隣で見てるのに信じない。
見かねた祖母がたしなめるまでね。
祖母は典型的なオランダのおばあちゃんって感じの人だったけど母は変わらなかった。
母親としては我が子が差別されているって思いたくなかったんだろうね。
肌が何色でも我が子なんだから。
夕ごはんよ!
(子供)ママありがとう!いただきま〜す!私の友人も数え切れないほどの差別を受けてきた。
学生の頃は「知能が低い」と言われたり母親になってからは「子供に本も読んでやれないでしょ」と言われたり。
昔バレエを習ってた時先生から「あなたはお尻が後ろに突き出してるわね」って言われたの。
「あなたたち黒人の女の子はそんなお尻で困るでしょ」って。
劣等感を植え付ける言葉だと思う。
子供だったから言い返す事もできなかったし黙ってるしかなかった。
でもねある日自分の子から「なぜ私は金髪で白い肌じゃないの?」って聞かれて…。
「なんでそうなりたいの?」って聞いたら「頭が良くなりたいから」って。
これはこたえたわ。
何て言ったらいいんだろう…。
私は人種差別について更に友人や同僚と話し合った。
ある男に「俺黒人の女とヤった事ないんだ」って言われて走って逃げたくなった。
何でも言っていいの?ええ。
「クソモロッコ人」とか「分厚い唇野郎」とかいろいろ言われるよ。
街を歩いていて年配の女性と出くわしたら自分から挨拶する事にしている。
特に暗い時間は必ず。
でないと相手は僕に襲われるんじゃないかって警戒して身構えるから。
「黒人だけどまともだよ」ってアピールしてると?そう。
「肌は黒くても善人です」って。
聖ニコラスの歌にもあるだろ。
「煤みたいに真っ黒でも気立ては優しい」って。
主張を公にした事で私は世間から過激で好戦的だと思われている活動家たちとつきあい始めた。
ミーティングの主な話題はネットでの嫌がらせにどう対処するか。
これを見ろ。
お〜これはやり過ぎだろ!
(クンタ・リンチョ)「お前らの組織に爆弾を仕掛けてやる。
自分の国へ帰れ。
黒いメークを落とせ。
聖ニコラス上陸の時お前を見かけたらぶん殴ってやる。
友達にもタマに気をつけるよう言っとけ。
お前らは全員クズだ」。
こう返した。
「親愛なるわが友へ」名前は伏せておこう。
「君のメッセージは画像に保存させてもらった。
脅迫は法律違反だから警察に通報するつもりだ。
そして君の周囲の人たちにも君の人種差別的発言と脅迫的な態度を通知させてもらう。
嫌なら君の取るべき行動は一つ。
知りたければ連絡を」。
彼の返信はこうだった。
笑えるよ。
「分かった。
そんなのは嫌だから謝る」。
2か月間これを彼のアイコン画像にしてもらう。
家族にどう説明するかは彼に任せる。
必要な情報や議論の根拠は彼に提供するけどあとは彼次第だ。
アムステルダム市長はブラック・ピーターに対する私たちの抗議を退けた。
人種差別は法律違反だ。
私たちは司法の判断を仰ぐ事にした。
人種差別を判断するのが白人の裁判官4人というのは適切なのか?誰が何をもって人種差別とするのか?それはどんな視点から?中立的に考えられるのは白人だけだと無意識に思ってない?「中立」なんて曖昧。
どうやって人が人を裁くわけ?私たちは実験を行う事にした。
3人の青年に堂々と自転車を盗んでもらう。
身長も年齢も服装も同じだけど人種だけが違う。
(工具でたたく音)彼をどう思いました?
(男)持ち主の父親だと思いました。
怪しいと思いましたか?いいえ。
どう思いました?何も。
鍵をなくしたのかなって。
なぜとがめなかったんですか?落ち着いてたから。
多分父親だろうって思いました。
同じ立場になったら僕もああ見えるだろうし…。
(チェーンを切る音)それあなたの?はい?その自転車。
なぜ?君の?警察を呼ぶ。
警察を?
(チェーンを切る音)君鍵をなくしたのか?そうです。
はい?それあなたの?なぜ聞くの?男がチャイルドシートのついたママチャリを持っていこうとするのがそもそも怪しいだろ。
君!はい?何やってるんだ。
なぜ写真を撮ったんですか?警察に送ろうと思って。
あの人が何をしてたか証拠になるでしょ。
何か言おうかなって思ったけどあの大きなペンチで殴られたりしたら大変だもの。
なぜ誰も何もしないのかしら。
でも何か言って仕返しされるのも嫌だし…。
なんで私が来たか分かるよな?こんにちは。
身分証を見せて。
それぞれ30分ずつ自転車を盗むふりをしてもらったところほとんどの人は白人の彼には何も言わなかった。
でも白人でないと疑いの目を向け危険だと見なし警察を呼んだ。
白人の彼には手を貸す人もいた。
大型のペンチなら切れるんだけどな。
ここをゆっくり切って。
2人も。
手伝おうか?助かります。
切るの?ええ。
白人は無実を証明する必要がない。
盗んだという確たる証拠がなければ疑われない。
これがいわゆる「白人の特権」と呼ばれるものだ。
ナイジェリア人の作家チママンダ・アディーチェはこの「白人の特権」を書き記した。
最初のゲストは注目の作家です。
ナイジェリア人作家のチママンダ・アディーチェさんです。
(チママンダ・アディーチェ)「白人の特権」を語る時言っておきたいのは白人を責めているわけじゃないってこと。
生まれは選べないものね。
でも世界の歴史を振り返ると白人に生まれたという事は白人でない人が受けない恩恵を自動的に受けられるという事なの。
世界のほとんどの地域ではそれが現実だしナイジェリアですら「白人の特権」は存在しています。
例えば白人の方が空港でよりよいサービスを受けられたりします。
アメリカではこの傾向は更に露骨です。
歴史的に権力や社会的地位があるのは白人でしたから白人の若者にとっては自分たちが権力を持っているのは当たり前のこと。
多くの人にとっては当たり前じゃないという事に気づいていません。
(チママンダ)白人でなくなって初めて気づく特権なんです。
テレビ局の幹部や司会者が集まるディナーに招かれた。
果たしてここにいる人たちにはこの特権の自覚はあるのだろうか。
差別の観点からはいい話題だ。
やめてよ!
(男)放送局にとって改革は最も重要です。
私たちは全ての人のために情報を届けます。
(笑い声)質問しても?いいよ。
今日ここに集まった人たちを見てどう思います?いろいろな人がいてすばらしいね。
わが社の株主には実にさまざまな人がいると思う。
世相を正しく反映していると思います?ええそう思う。
でも黒人が一人もいませんけど。
今皆さんと話をしているところでね。
君の質問に答えている暇はないよ。
私の愛するこの放送局ですら黒人の社員は少ない。
もし私が白人でなくても同じようにこの番組を制作できたでしょうか?できたと思うよ。
白人である事はこの社会では有利だと思いませんか?中年男である事は有利だとは限らない。
でも…白人である事はアドバンテージになるでしょう?人種差別に遭わずに済むから。
私が学生だった頃私はある政党の党員だったけど他の学生から見るとそれは許されない事だった。
それで抗議運動から締め出されたのはつらかった。
それは違う話でしょう。
19歳にとっては大問題だよ。
だから差別される…気持ちは分かる。
「不正と闘え」と教えてくれた政治的関心の高い父ですら白人の特権については無知だった。
白人である事で得してると思う?いや。
どうして?だってみんな白人じゃないか。
みんなじゃないでしょ。
まあな。
でも別に得はしてない。
白人だろうが黒人だろうが俺はあっち側の人間じゃない。
「あっち側」って?仕事を与える側だ。
「権力者」?そう。
つまりその…。
でもパパは白人でしょ。
ああすまんな。
ハハハハッ。
だからどうしろって言うんだ。
別に何も…。
俺にはどうしようもない。
僕は白人の方が楽に生きていけると思う。
そういう意味では黒人にはなりたくない。
小学校には黒人が多かった。
中学は両方いたけど大学に行ったら全員白人。
僕は…あ…自分が人より優れてるとか劣ってるとか感じた事は一度もない。
だよな。
ほとんどの人はそんな事考えもしないよ。
そうだな。
じゃあお前は「その仕事は他の人にあげて下さい」なんて言うのか?そうじゃない。
でもよく「肌の色なんか関係ない」って言うだろ?例えば「勤勉ならいい」とか「優秀な人材が欲しい」とか。
それはウソだよ。
優秀かどうかじゃなくコネがものをいうんだ。
いよいよ司法の判断が下る。
当法廷は「ブラック・ピーターという固定観念的なキャラクターは黒人への偏見につながる」という見解を支持する。
ゆえに当訴訟の諸費用はアムステルダム市長が負担するものとする。
(拍手と歓声)画期的な判決!何年も前からこの運動に携わってきた仲間たち。
ついに歴史を変えた!アムステルダム裁判所のこの歴史的判決が他の自治体にも波及してほしい。
今日の判決が前例になるわ。
(拍手と歓声)ブラック・ピーターが国を二分する一方でサッカーのオランダ代表は国を一つにした。
この番組のリサーチをしてくれた同僚のファティヤもずっと代表チームを応援している。
その格好気合いが入ってるね!当然でしょ!そう!そうよ!
(実況音声)よし!
(ジーニ・ウズディル)オランダが2−0で勝つ。
君の予想は?さあねとにかく勝てばいいわ。
もしソマリアがオランダと戦う事になったら君は?オランダを応援する。
もちろん。
よし。
決まってるでしょ。
あなたたちオランダ人だって思われてる?いいえ。
思われてないだろうね。
電話で話してる時はオランダ人だって思われるけどね。
実際に会うと相手はショックを受ける?全員じゃないけど驚いたりショックを受けたりする人もいるわ。
市民権は多くの事を意味するけどその一つが権利を行使できること。
国民的な伝統行事をどう発展させるか意見を述べる権利もある。
だけど厳密に言えばファティヤや僕はオランダ人じゃない。
そのとおり。
日常ではね。
・やった〜!えっほんと!?
(歓声)ヤーヤーヤーヤーヤーッ!
(歓声)ロビン!違ったこっちだった!メンフィス〜!違う逆逆!オランダ最高!私たちの目的はオランダ国民に美しい祖国を取り戻す事です。
(音)首相が言う「オランダ国民」って誰のこと?オランダは私たちが思っているような「寛容な国」なの?成功した人の事は「オランダ人」って言うのに…。
不名誉な事だとなぜ「西インド諸島出身」とか「モロッコ出身」と言うの?モロッコ人をもっと増やしたいか?それとも減らしたいか?・減らせ〜!・減らせ!減らせ!減らせ!
(女)子供たちは学校で「モロッコ人を減らせ」というニュースを見せられたの。
泣きながら家に帰った子もいた。
私の7歳の娘は「私はどこ生まれ?」って聞くの。
「アムステルダムの病院だからあなたはオランダ人よ」って答えたら「この国を出ていかなきゃいけないの?」って。
(男)これはとても頼もしいメッセージです。
でしょ?ええこうあるべきですよね。
私は多くのユダヤ人を代表して発言してるの。
(男)すばらしいです。
(女)応援してるわ。
どう思う?少し大げさだ。
なんで?あ〜…。
何て言うか…少し…挑発的すぎると思う。
火に油を注ぐようなものだ。
事態を悪化させるだけだよ。
みんな人種差別に抗議する事ばかり考えている。
でもあの人たちを見ると…顔に不満と憎しみが表れている。
あまり…いい印象は受けない。
人種差別と闘う事がなぜ憎しみを呼ぶのか。
自分を守るために立ち上がってはいけないの?
(男)人種差別!
(一同)反対!パパ!パパも来てたの?いやぁたまたまだよ。
バカな事聞くな。
パパがデモに参加するなんて。
そろそろ態度を決めないとな。
何の?どっちの側に立つか。
闘いでどっちに味方するかだ。
私は「肌の色で人を判断するな」という理想を教えられて育った。
でも偏見がない人間なんている?肌の色に全くとらわれないなんて。
ハーバード大学は偏見つまり無意識の差別を測定するテストを開発しネット上で公開している。
何人かにテストを受けてもらった。
父。
ブラック・ピーターに反対するクインシー・ガリオ。
同僚のファティヤ。
敬愛する放送局の社長。
時々聖ニコラスに扮するご近所さん。
結果の予想は?いい結果が出ると思う。
ほんと?ああ。
なぜ?偏見にとらわれない判断ができる自信があるから。
自分に偏見はあると思う?教育やマスコミの影響があるかもしれない。
分からないな。
無意識の事だから自分じゃ分かりっこない。
初めてこのテストを受けた時私は白人を好む傾向が強く出ました。
とてもショックで「こんなはずない」「このテストどこかおかしいでしょ」って言ってしまった。
アハハッ。
でもこれは私と同僚が開発したもの。
だから「問題はテストにあるんじゃなく私の脳にあるんだ」ってすぐに納得できました。
私たちは「白い事はいい事だ」という観念を学習していて私にもそれがしみついているんです。
どうだった?「無意識に白人を好む傾向が僅かに見られる」。
「無意識に黒人より白人を好む傾向が僅かに見られる」。
「白人寄りの傾向がやや見られる」。
「白人を好む傾向が僅かに…」。
「白人寄りの傾向がやや見られる」。
自分に向いてる職場で働いてるって事だ。
フフフフフッ。
少なくともね。
頭の中で無意識に起こっている事は変えられません。
自分でもコントロールできない。
文化が思考回路を規定しているからです。
それがテスト結果に表れます。
私よりパパの方が白人を好む傾向が強いわね。
ああ。
少なくともお前の育て方は間違ってなかった。
ハハハハッ。
かつては「偏見はあるけどそれのどこが悪いんだ」と開き直る人が多くいました。
今は「差別的な人間になりたくない」と思う人が増えてきたのは進歩です。
中には差別をしていない事を示すために黒人音楽を聴いて「人種差別を誇りに思うようなヤツに比べれば一歩前進」という人も出てきました。
でもそれは間違い。
なぜなら「肌の色にとらわれない」なんて無理だから。
肌の色に目をつぶるという事は何も見ないのと同じです。
フフフフッ。
でもそんな人はいません。
「黒人より白人を好む傾向はほとんど見られない」。
ああよかった!もっと悪い結果が出るかもって思ってた。
無意識に「この社会では白人である方がいい」ってそう考えているのかもしれないと思ったら…すごく怖かった。
私の脳には「白人を好む傾向が僅かに見られる」。
そのせいで人種差別的な行動を取ってはいないだろうか?学生時代ルームメイトだったトーゴ人のフォリー。
私が彼に差別的だった事があるだろうか?フォリー!元気?ハンモックで話をしようか。
アハハハハッ。
ここはカリブの島じゃないのになんでハンモック?着いたばかりの僕をすぐにハンモックに押しやる。
それが人種差別でなくて何?アハハハハッ。
僕はあくまでアフリカ人として見られる。
街では?そう。
僕に対する態度には決まったパターンがある。
異国趣味は…時として人種差別になる。
さっきのハンモックもそのパターンだ。
僕をアフリカ人の男として見た事ある?つまり女好きで…。
よくあるイメージの?そうよくある黒人のイメージ。
性欲が強くて…。
そう性欲が強くて女好きでアソコもでかい。
僕の事をそういう目で見た事は今までにある?あなたを?ない。
ならいい。
あ〜違う。
「ない」って言ったけど…。
ほんとはどうなの?「ない」って言ったけどほんとは違うわけ?そこでフォリーと私は昔の事を蒸し返して口論になった。
黒人の男が金髪の女といると気があるって思われる。
フォリーが怒ったのは私が無意識のうちに彼を「女好きの黒人男」として見ていた事だった。
分かる?こういう事なんだよ!…ったく。
私を悪者みたいに言うのね。
そう?ええ。
君は人種差別の話を聞きたいと言って僕をロッテルダムから呼び出した。
なのに自分の気持ちを話したら「悪者呼ばわりされて傷ついた」って僕を責めるわけか。
君を傷つけた僕が罪悪感を感じろって言わんばかりだよね。
傷ついてるのは僕の方!情けないよ。
人種差別について取材を受けて自分をさらけ出したら悪いのは僕の方だって言う。
まさに人種差別主義者がやる事だ。
私自身の人種差別的なところを指摘されて私はつい自己弁護に走ってしまった。
ブラック・ピーター論争の場でも同じ事が起きている。
人種差別主義者だと言われると被害者感情に襲われる。
本当の被害者は差別されている人たちなのに…。
アムステルダム市長は判決を不服として控訴した。
私たちは最高裁判所の判断を仰がなければならなくなった。
裁判所の外では超保守派の人々が抗議を行っていた。
頑張って!
(クインシー)これは解放運動です。
オランダが進むべきはこの問題を共に解決する道です。
全国民は平等で人種差別から守られる権利があると表明して頂きたい。
(拍手と歓声)1か月後最高裁はアムステルダム裁判所の判決を覆した。
市長が公の行事に許可を出す時は「人種差別的な要素を考慮する必要はない」との判決だった。
(クンタ)皆さん今日は歴史的な日です。
ただし我々はここに攻撃に来たのではありません。
それを口で言うだけでなく態度で示す事が大事です。
どんな時も冷静さを保ち平和的に抗議するという原則を忘れないこと。
ちょっとどいて!
(インタビュアー)世間の目は冷ややかですけど…。
(男)それはあなたの意見でしょう。
僕たちは正しい事をしていると信じています。
僕たちはオランダ国民でありデモをしているわけじゃない。
ここに立っているだけだし主張を書いたTシャツを着る自由はあるはずです。
なのになぜ追い出すんですか?でも政治的なメッセージを発してますよね?ここにいる人はみんなそうでしょ。
ブラック・ピーターも顔を黒く塗った警官もブラック・ピーターを歓迎する市長も政治的メッセージを出している。
だったら僕たちにも同じようにメッセージを発する権利があるはずです。
行動開始。
排除が始まったけどみんな頑張れ!あっちへ押してけ!僕たちにはオランダ国民としてここにいる権利があります!ここにいる他の多くの人と同じように!
(人々の声)
(クンタ)何人か殴られた!肌の色にとらわれないというのは偉大な理想だ。
でも肌の色は日々の暮らしに深く関わっている。
(クンタ)息ができない…!うっ…。
僕の事を純粋に「一人の人間」として見られる?固定観念抜きで?そう固定観念全部抜きで。
それと僕がアフリカ大陸の出身で肌の色が黒いって事も抜きにして。
できる?正直に答えて。
あなたはあなた。
フォリーだもん。
本気でそう言える?確かにからかったりもするけどでも…でもあなたを愛してるわ。
知ってるでしょ?僕だって。
(二人の笑い声)はぐらかすなよ。
でもさ僕たちの友情が…僕たちの友情がとても温かくて自然で…うまくいっているからってほんの小さな差別意識もないって言えるかい?言える?スニ。
ご感想は?すごくいい。
いいよディック。
見せて。
じゃあ行こうか。
行こう。
行ってきます。
じゃあね!じゃあねスニ!じゃあ!という事で「キミの心の“ブラック・ピーター”」をご覧頂きました。
これがですね今年のグランプリ日本賞受賞したわけですけれどもいろんな事を考えさせられるなと思ったんですけどホランさんいかがでしたか?自分は差別なんかしてなくてオープンな人間だって思ってるんですけどさっき最後に本当に1ミリの差別もなく僕を見てるって言える?って言われてたじゃないですか。
そうじゃないって信じてはいるんですけどあれもしかしたら気づいてないところで差別どこまでを差別って言うのか難しいですけどしてるのかな無意識のうちにってちょっとこう怖くなる瞬間っていうのはやっぱりあれ見ると思いましたね。
ホランさんの言ってる事すごくよく分かります。
差別してるわけじゃないけれども黒人の人が来た時に黒人の人だなっていう認識はしてしまうという。
肌の色だったりっていうの全て含めてその人なわけじゃないですか。
肌の色が語るカルチャーだってあるし文化もあるし。
何でしょうそれも含めてその人だと思って受け止める必要があるんじゃないかなって逆に思ったりするんですけどそう思う事がもし差別と言われてしまうのであればじゃあ差別的な考え方なのかなとかすごく難しいですよね。
知らないうちにしていたって事になりますよね。
そういう意味ではね無意識のうちの差別意識をテストするってあったじゃない?あのテストなんか僕なんかも受けたらやっぱ出るのかなと思ったりして。
何をもって差別意識って言うのかっていうのが非常に難しいなと思います。
だってオランダの人たちにとっては特に子供たちにとってはね別に差別意識でこのブラック・ピーターを演じてるわけではないし。
でもなんかスペインからやって来るとかね奴隷船だとかそういうのがストーリーの中に入ってればこれはやっぱり歴史的に見てもまずいわけですよ。
でお菓子これありますけど…。
そうですね。
唇がやたら分厚くなってるし変なんですよね確かに。
何も知らなければそもそもこういうものなんだと思って違和感も感じずにきっとカワイイなと思って食べちゃったりするじゃないですか。
でもああいった話を聞いて改めて見てみるといかにこういう事に関してふだん鈍感なのかなとか考えずにふだん過ごしちゃってるのかなって改めて考えさせられましたね。
そうなんですよね。
だからこの番組のすごさそこですよね。
自分も含めて差別意識をあぶり出すようにしてるわけじゃないですか。
掘り起こしちゃってるほんとに。
これはすごい話だなと思ったんですけどもね。
あの大学生時代のお友達と最後女性が友情の確認っていうかな差別意識ないよっていうのをずっとやって。
とことん迫ってきますもんね。
彼の方が。
迫られた時に自信を持って「そんな事ない」って言えるかなっていう。
なんかすごく心が揺れますよね。
だからほんとに気づかない差別意識ですよね。
そうですよ。
だからまあ日本でも置き換える事はできますよね。
いじめの問題なんていうのはちょっとした違いをこう攻撃してくわけでしょ。
そしたらそれはある意味で差別なんですよ。
でもそれは見えちゃう事ですもんね。
あの子例えばいつも忘れ物多いよとかね。
そんな肌の色でなくたって違いっていうのはやっぱどうしても目が行きますもんね。
そういう意味では差別だらけですよね世の中。
自分も知らないうちにそういう差別を作ってる可能性は大いに考えられるって事ですよね。
差別って明確にこれが差別ですっていうのがないから余計に難しいですよね。
間違いなくそこで人を傷つけてるっていう事ですからね。
見た後に自分たちの感想を言いたくなるっていう作品ってほんとにすばらしい作品だなっていうのをね感じますよね。
という事でここまで今年50年を迎えた日本賞の作品を見てきました。
いろいろとありましたけれども。
ほんとにグランプリ作品から幼児向けの作品までもうほんとに年代かかわらず…。
うんそこ!見ていろんな事考えさせられるじゃないですか。
もちろんポジティブな事を考えさせられる事もあるしネガティブな事を考えさせられる事もあるんですけど考えるきっかけっていくつになっても大事だと思うのでぜひね今日はちょっとしか紹介できない部分もありましたけどこういう作品とどんどんどんどん触れてってほしいですし自分も触れていきたいなって思いますね。
ずっと言ってるんですけど俺毎月これやりたいって言ってるんです。
ほんとですね!一年に一回じゃなくて。
もったいないです。
ねぇ!僕去年もねずっと見させてもらったんですけれども去年はなんかほのぼのとしたのが多かったような気がするんですよ。
大賞とったのも自然の問題だったし。
だけど今年は民主主義だとかねあるいは差別ってなんだとかなんかドキッとして重いような息苦しくなるようなでもものすごく重要だなというのばっかりの作品が多かったと。
あ時代がかなり緊迫してるっていうか…。
あ〜なるほど!ぼやっとしてられないぞって事を教えられたっていう。
去年より今年の方がそういう作品が多かったですよね。
こういう年だったんだなっていうのを改めて感じますね。
その時代だからこそ生まれるドキュメントが多いって事ですよね。
だと思いますね。
僕はですねやっぱりその…生まれて41年ですけど自分が経験してきた事にやっぱり限界があってただこういう作品を見ると疑似体験ができてその体験で自分がまた考える事ができて考えた上で今度どういう行動移せばいいんだろうとかどう責任を持てばいいんだろうっていう考えるきっかけを作ってくれるのでいろんな国のいいものを見てそれを教育に取り入れて今後日本という国をどんどんどんどん良くしていく事がいいんじゃないかなっていうの毎回考えさせられるんですよね。
という事で今日は皆さんどうもありがとうございました。
(二人)ありがとうございました。
皆さん!良いお年を〜。
良いお年を〜。
さようなら〜。
2015/12/31(木) 14:00〜17:00
NHKEテレ1大阪
まるごと見せます 世界の教育コンテンツ〜日本賞2015〜[字]

教育コンテンツの国際コンクール、日本賞。世界共通の教育的課題に向き合い、創造性にあふれると評価されたカテゴリー最優秀作品を一挙放送。出演/国分太一、尾木直樹ほか

詳細情報
番組内容
世界各国で制作された教育コンテンツの中から、優れた作品を選ぶ国際コンクール「日本賞」。50年の節目を迎えた今年は、55の国と地域から339の応募があった。その中から選ばれた幼児、児童、青少年、一般のカテゴリーの最優秀作品を、出演者のトークを交えながらノーカットで放送する。世界でもよりすぐりの教育番組は、社会背景や教育現場の課題を色濃く反映した作品ばかりだ。【出演】国分太一、尾木直樹、ホラン千秋
出演者
【出演】教育評論家、法政大学教授…尾木直樹,【司会】国分太一,ホラン千秋,【語り】磯部弘

ジャンル :
趣味/教育 – 幼児・小学生
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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