東京センチメンタル 2015.12.31


卓三:東京ここにはたくさんの顔がある。
歩いてみるとそれがよくわかる。
風においざわめき味酒。
そして女。
極上の街歩き。
これは東京との出会いの記録だ
おはようございます。
おはよう。
おっ!お〜これ新しいやつですか?フフッいいですね。
お正月に向けてピッタリじゃないですか。
ああ…。
聞いてます?あかねちゃん。
ひとつご指導願いたいことが。
何ですか?スタンプってなんだ?ああ…。
スタンプって自分の気持をこうスタンプにして表すんですよ。
そこがリンクの楽しいとこなんです。
気持は言葉で表すもんだろう。
じゃあ好きな女の人に自分の気持そう簡単に言葉にできますか?言葉だけじゃ伝わらないこともある。
そんなこともわからないから3回も離婚するんですよ。
離婚は関係ないだろう。
おお?おっ!えっ?誰?よし!使い方違くね?これ嬉しい気持を表現したんだ。
スー。
え?あっ!あれと…えっとえっとえっと…。
ハハハッ!やっぱりガラケーに戻したほうが。
ええ…いや大丈夫だ。
ぬぁもう汚い!じゃああとよろしく。
は〜い。
おっ卓さん。
今日はどちらへ?谷中。
谷中のどこ?朝倉彫塑館。
あさくら…。
谷中といえば卓さんそこで働いてた女がいたな一時期。
女?うん。
《日暮里駅もすっかり再開発が進んでしまったな》《駅裏は昔のままだ。
そういえば日暮里のキャバ嬢のアケミちゃん元気にしてるかなぁ。
顔はまあまあだったけど気立てのいい子だったな》《谷中といえばここ。
だが今日の目的はここじゃない》《昭和の香りが残るディープな横丁だ。
戦後まもなく東京が屋台廃止令を出したことからつくられたのが始まりらしい》《赤穂浪士ゆかりの寺観音寺の築地塀。
全国にもそう残ってない貴重な塀だ》《朝倉彫塑館は彫刻家朝倉文夫自らが設計したアトリエ兼住居がそのまま美術館になっている。
西洋建築と数寄屋造りの日本建築の融合。
和洋折衷。
モダンと伝統のみごとなハーモニー。
そういやハーフのリサちゃんはスタイル抜群なのに津軽なまり。
そのギャップがたまらなかったなぁ》《奥には日本庭園。
おっと見てる場合じゃない待ち合わせは屋上だ》〜あっお久しぶりです。
はい。
10年ぶりですか。
10年と6か月です。
よくそこまで。
フフフフッ…。
ヘヘヘヘヘッ…。
あのいやなんか…。
いっぱいたくさんしゃべりたいことあったんだけどいざ目の前にいるとなんかあの…。
変わってませんね卓三さん。
え?いやそんな…。
よかったら久しぶりに谷中の街を散歩しませんか?え?散歩。
あ…。
じゃあぶらっと行こうか。
《散歩とは気分転換や健康のためむしろ好奇心から特に目的地を設けずに歩く行為である》おいいな。
《いいじゃないかこうして靖子さんと谷中名物ヒマラヤ杉まで拝見できたんだから》まだ写真やってらっしゃるんですね。
はい今でも街をぶらぶらしてパシャッとやってます。
フフフ楽しそう。
一枚撮っても?え?いいから。
そのへんに。
はいいきます。
もうちょっと…。
もうちょっと。
《10歳年をとっても靖子さんのきれいさは衰えを知らない。
いやむしろ今のほうがいい。
これが大人の色気か》はいいきます。
前にここでお茶しましたよね?覚えてらっしゃいましたか。
しませんか?お茶。
前みたいに。
いいですね。
どうぞ。
すみません。
こんにちは。
こんにちは。
こちらの席どうぞ。
《10年前のたった一度のことをこんなに覚えてる。
これはやっぱり脈あり。
いかんいかんいかん。
まだ会ったばかりじゃないか》ずいぶんおしゃれになっちゃって改装したんですね。
ここご主人が亡くなって1回店を閉めたそうです。
そうなんですか?ご近所の方々の声で平成21年に雰囲気を残しつつ復活したそうです。
相変わらず街のこと詳しいですね。
いやいや。
趣味みたいなもんですから。
失礼いたします。
すみません。
どうも。
《コーヒーとココアがブレンドされたここの名物ルシアンコーヒーと昔ながらのふんわり厚焼き玉子のサンドイッチ。
これがうまいんだ》わあこれ久しぶり。
いいですか?どうぞ。
おいしそう。
おいしい。
変わってないですね。
靖子さんもお変わりなく。
相変わらず上手ですね。
いえいえ…。
すっかり大人っぽくなっておきれいになられた。
卓三さんも。
いやいや…。
私のほうはほらこんなに後退してしまいました。
ステキですよ。
ご冗談を。
本当です昔から思ってました。
ステキだなって。
いや…え!?今もお一人ですか?え?ご結婚は?いやもうこんなに後退してしまいましたので誰も相手にしてくれません。
ハッハッハ…。
寂しくないですか?え?一人…。
まあ…。
そうですよね。
そうだ。
どうしました?私行きたいところがあるんです。
え?どうぞ。
こんにちはお一人様ですか?お二階お座敷でよろしいですか?
(警策の音)《まさか幕末の居士山岡鉄舟ゆかりの禅寺全生庵で座禅を組むことになろうとは》《10年前彼女にひそかな思いを寄せていたが私が気持を伝える前に突然いなくなった。
噂で起業家の男と家庭を持ったと聞いた。
しかし今になってなぜどうして…。
いや理由なんてどうでもいい。
その美しい横顔を見られるだけで。
いやあわよくばその唇を奪えるならば奪いたい。
いやできるなら…》《いかんいかんいかん。
煩悩がすぎたようだ》つきあっていただいてありがとうございました。
いえ僕のほうもいろいろ清められました。
やられてましたね。
はい。
自分が煩悩の塊だと改めて思い知らされました。
いいと思います。
え?そうですか?ええ人間ですもの。
アッハッハ…まあ。
頭空っぽにしたらお腹空いちゃいましたね。
じゃいいところあるんでそこに行きますか?え…。
行きましょう。
はい。
行きましょう。
はい。
《靖子さんの手のぬくもりが…。
ああ手を握るという行為にこんなにときめいたのはいつ以来だろう》おいしそう。
いただいても?どうぞ。
いただきます。
《明治末期の蔵を改造したお店でいただく釜揚げうどんは最高。
散策のランチにぴったりだ》あっ靖子さん。
はい?釜揚げうどんは高く持ち上げるよりこう横に流してつゆにつけて食べるほうがおいしいですよ。
そうなんですか?はい。
器の縁をはわせるようにうどんを運ぶことでお湯も一緒に移りあえて辛めに作ったつゆが程よい辛さに調節されるからです。
そうなんですか。
ウフフ。
横に流してつゆにつける。
うん!おいしい。
よかった。
こんな贅沢本当に久しぶり。
久しぶり?ええ。
最近いろいろあって。
他愛もないことなんですけどね。
ウフフ。
ああ…そう。
四季桜の熱燗もう1本お持ちいたしました。
あぁどうも。
どうぞ。
昼間からこんな美人とお酒が飲める。
幸せだね。
そんな…。
ああつぎます。
ありがとうございます。
このお酒の名前の由来となった四季桜は年に2回花を咲かせます。
そうなんですか?若さの季節である春に1度咲きそれから時を経て草木が色づく秋にもう一度咲く。
僕はどっちかっていうと秋に咲く花のほうが好きです。
どうしてですか?時を経たほうが味わい深い。
花も…。
女性も。
本当におきれいになられた。
私少し…酔いが回ったようです。
あ…昼間だからですかね。
フフッそうですねきっと。
いやそうですよ。
食べましょうか。
はい。
ウフフ。
《酔いが回ってきたなんてそれってつまりもうオーケーってことなのか?靖子さんどうなんだ?僕はもう限界ですよ》いやおいしかった。
ごちそうさまでした。
いえ。
どうぞ。
ああありがとう。
さてと…どうしますか?これから。
すみません。
私予定があるんです。
えっ?ああ…そうですか。
あ…。
すみません。
え…いやいや…。
《予定か…もう少し一緒にいたかったな。
いかんいかんいかん。
ここは大人の振る舞いで》行きましょう。
送ります。
私…。
卓三さんみたいな人ともっと早く会いたかったな。
えっ?あ…最初に言ったこと本当なんです。
ステキだなって。
え…。
卓三さんみたいな人と結婚していたら今みたいなことにならなかったんじゃないかなって。
だから10年ぶりに連絡とってみたりして。
あ…そう…だったんですか。
言いますね。
はい?子供がいるんです私。
え…。
あ…そうですよね。
びっくりしますよね。
あ…いやあの…そういうんじゃなくて…。
生まれてすぐに旦那に逃げられてずっと一人で子供を育てててお金もなくて…。
いえそんなもんじゃないんです。
言ったら驚くぐらいの借金抱えてて。
それでも…。
あ…それでも?それでも私とつきあいたいって思いますか?いいんです。
いや…。
弱ってるときって自分のその…。
昔のいい思い出とか思い出したりして運命感じたりしますよねフフッ。
つきあいたい。
そう思ってます。
あ…ちょっとしゃべりすぎました。
今日は帰りましょう。
あ…はい。
あ…。
きれい。
ええ。
夕日がこんなにきれいって思ったの初めて。
そう。
どうしました?ううんなんでもないです。
ああそう。
また会ってくれますか?もちろんだよ。
嬉しい。
こんな時間がずっと続けばいいのになって。
靖子さん。
〜卓三さん帰りましょう。
あ…。
あっああ。
マジ!?えっチューしちゃったの?ウソ?はいいただきましたよ靖子さんの唇。
靖子っていくつの人?40歳。
ほう。
こんな私でよかったらつきあってくれますか?だって。
おお〜!こんな変態と?こんな変態でもいいって言ってくれる人もいるの。
ほう。
ほら。
あさって約束しちゃった朝倉彫塑館。
ホントだ。
ああ!ということで俺は風呂に入るわ。
えっ?店じまいよろしくな。
〜やばい遅刻する!どうしたの?卓さん。
お前にかまってる暇はない!ちょっ…ケータイケータイ持って。
じゃあ店頼む。
はいオッケー。
なに?どうしたの?デート。
デート?だけどね…。
なに?〜えっ高いね。
こんな高いところがあるなんて知らなかった。
あら。
見て花壇もあるし…。
ただいま電話に出ることができません。
ピーという発信音…。
《結局彼女は来なかった》〜卓三さんかね?久留里卓三さん。
ああはい。
ホントにいた!ちょっとこっち来て。
いやちょっと…。
えっ?50後半のおじさんって聞いてたけど全然若く見えるねあなた一瞬わかんなかったよ。
どうもありがとうございます。
あっあった。
はいこれ預かっといたよきれいな人から。
(靖子)「まず約束を守れなかったことをお許しください。
本当に申し訳ありませんでした。
卓三さんがこの手紙を見る頃私は北海道の旭川にいると思います」。
「ひと月前借金でどうしようもない私を引き取ってくれる方と出会いその方が旭川で建設業を営んでいるのです。
婚約し私は旭川に骨をうずめる覚悟です。
しかし一つだけ心残りがありました。
それが卓三さんあなたでした。
10年前あなたを裏切るように他の男性と消えてしまったことがずっと心に引っかかっていました。
SNSであなたを見つけたとき私は会いたい衝動にかられました」。
「卓三さんと谷中を歩いた一日は忘れられないものになりました。
人生であれ以上楽しい思い出はもう現れないでしょう。
あなたの声あなたのしぐさあなたの手の温もり。
そしてあなたの唇。
私の心に刻みそしてそれをよりどころに生きていくことになるでしょう」。
「本当に時というのはいたずらですね。
もう少しほんのひと月前にあなたに会っていたなら私の人生も変わったかもしれません。
後悔はしていません。
私が選んだ人生ですから」。
「卓三さんもお体に気をつけて。
いい女性と出会いますよう心から願っています。
それではさようなら。
設楽靖子」。
〜《私もあの一日は忘れない。
ありがとう靖子さん》重症だね今回は。
う〜んキャバ嬢にふられたのとはわけが違うからね。
でもさ婚約までしてるのになんで卓さんとデートしたんだろうね?う〜ん。
理屈じゃないけどなんかわかるな女として。
えっ?えっ?どういうこと?もしもしアケミちゃん!うん電話したよ!超した!こないださ日暮里通りかかったらなんか思い出しちゃって。
重症じゃないみたいね。
今日お店行くから。
絶対行く!超行く!ハハハ!うんはいはい。
じゃあねあとでね。
バイバイキーン!おいキャバ嬢くどいてるヒマあったら働けエロ親父!仕事してんの私でしょ?全部私でしょ?お菓子作る以外何かしてる…?うるさいよお前!やってるのか!お前帰れよ!人のこと言ってる場合じゃないよ。
もうね50過ぎてるんだからいい加減にして…。
お疲れさまです。
これ新しい伝票と切手。
あそこ置いときますね。
はい。
ねぇあかねちゃん!はい。
ひとつご指導願いたいことが。
また?何ですか?この見ず知らずの女の子からひっきりなしに友達申請がくるんだけどこれどういうこと?ああ。
これ許可すると出会い系サイトからガンガン勧誘メールきますよ。
えっ?フッすでにしちゃったんですね。
いやまだしてない。
だいたいかわいくて若い女の子がこんなおっさん相手にするわけないじゃないですか。
ネットの常識そろそろ覚えてください。
あ〜っうるさいうるさい。
親切で言ってあげてんのに。
どうしよう。
いっぱい許可しちゃった。
すみません!はい!あかねちゃんお客さんだよ!あかねちゃん!あかね!ったくもう。
は〜い!いらっしゃいませ。
松村屋デパートの木崎です。
ああはいはいどうも。
先日は特選和菓子フェアでお世話になりました。
こちらこそ。
無事に終わりましたか?はいくるりやさんの限定和菓子柿きんとん大好評でした。
ホントですか?はい。
300個が2時間で売り切れたんですよ。
もううちのデパート始まって以来のことなんです。
そうですか。
これつまらないものですが。
ああエシレの焼き菓子。
これ並んだんじゃないですか?お好きだっておっしゃってましたよね。
言いましたっけ?忘れてました?いや…今ちょっとお茶いれます。
ハハハ…。
じゃああのときの約束も?え?終わったらお食事に行きましょうって。
ああ!その顔はお忘れでしたね。
いや…。
やっぱあの…ああいうのはたいてい社交辞令かなと。
すみません私も本気にしたりして。
いいえ…あのそういうわけでは。
行きましょう。
食事行きましょう。
いいんですか!はい。
どこがいいかな?う〜ん門前仲町でランチとかどうですか?深川ですか…。
はい。
いいですね。
フフッ!ああお茶お茶いれてきます。
いやすみませんお構いなく。
いえいえ…。
《あんなかわいい子と2人きりで食事なんてまさかの展開もあるぞこれは》じゃあいってきます。
いってらっしゃい。
卓さんどちらへ?ちょっと富岡八幡宮まで。
ってことはモンナカか。
モンナカ?何を言ってるんだお前は?江戸っ子はなナカチョウって言うんだよ。
どっちだっていいじゃねえかかっこつけやがって!卓さんまたこれ?うん?ああ女の人は女の人なんだけどデパートの企画開発と食事だって。
おお接待ってこと?《ここ門前仲町界隈を昔から深川と呼ぶ。
ちょっと早く着きすぎたな?》《そもそも深川という地名は江戸時代深川八郎右衛門という人物がこの一帯を開拓。
自身の名をとって深川村とつけたことがその由来だ》《参道の真ん中を歩いてはいけないっておばあちゃんによく言われたな。
正中といって真ん中は神様の通り道だからって》《10分前に到着。
女性は待たせないそれが私のポリシーだ。
キャバ嬢のミサトちゃんは3分遅刻しただけでさっさと帰っちゃったからなぁ》あっ!ああ!久留里さん!どうも。
早いですね。
私人を待たせるの苦手で。
いい心がけです。
今日もステキですね。
お世辞でも嬉しいです。
そんな本音ですよ。
今日もきれいですね。
あっそんな…お世辞でもありがとうございます。
いやいや…本音ですよ。
フフフ!でも本当にお忙しいのに今日はおつきあいいただいてありがとうございます。
いいえ。
じゃあ行きますか。
あっはい。
行きましょう。
行きますか。
《ふだんはテキパキ仕事してる彼女だがプライベートはいたって普通の女の子なんだなぁ。
いかんいかん…これも仕事だった》おいしそう!イベリコ豚のしゃぶしゃぶなんて珍しいですね。
ここイベリコ豚の専門店なんですけどこのしゃぶしゃぶを食べてみたかったんですよね。
いいかな?いきます。
どうです?おいしい!普通の豚と全然風味が違います。
本当ですか?ああ。
うん!おいしい!ねっ!イベリコ豚は別名ドングリ豚ともいいます。
ドングリ?ドングリを食べて育ったのでナッツのような風味が特徴なんです。
ふ〜ん!そこまでは知りませんでした。
久留里さんお詳しいですね。
いや…。
食い意地が張ってるだけです。
フフフ!こちらイベリコ豚のサラダになります。
いやあの頼んでないですけど。
お店からのサービスです。
どうもありがとうございます。
ありがとうございます。
いえ。
トマト苦手でしたよね?え?《私の好き嫌いを覚えていた。
もしやこれは気があるのか?いやいや…お得意さんの好みを覚えるなんて仕事上当たり前のことだ》どうぞ。
どうもありがとう。
あの久留里さん。
なんでしょう?1つご相談したいことが。
はい。
上のほうからお正月のイベントでまた特選和菓子フェアをやってくれと言われてまして急なお願いであることは重々承知しております。
くるりやさんに新作の限定和菓子を提供していただけないかと。
《なるほど…このことで私を食事に連れ出したってわけか》くるりやさんはフェアの目玉商品なんです。
どうか私にお力貸していただけないでしょうか?お願いします。
たいへん嬉しいお話なんですけどうちも年末年始はお得意さんで手一杯でして…。
そうですよね。
どうもすみません。
いえ。
こちらこそ食事の最中に仕事の話してすみません。
食べましょう。
あっはい。
じゃあお皿いただきます。
あぁどうもありがとう。
無理しないでくださいよ。
食べられます?トライしてみます。
おいしそう。
まぁ栄養はありますからね。
なんだかごちそうになっちゃって申し訳ない。
いえまた何かありましたらよろしくお願いします。
こちらこそぜひ。
久留里さんこのあとは?そうだなせっかく深川まで来たんで少しぶらぶらと。
よかったらご一緒してもいいですか?えっ?あっ久留里さんがお嫌でなければ。
《まだ限定和菓子の件諦めてないのかも…。
まぁ一人でぶらりするのも味気ないしな》無理言ってごめんなさい。
お一人でのんびりされたいですよね。
いやいいですよ。
えっ?ぶらっと行こうか。
はい。
この八幡橋は日本最古の鉄橋と言われています。
へぇ〜お詳しいんですね。
まぁ毎日ぶらぶらしてれば嫌でも詳しくなりますよ。
ハハッ。
久留里さんはどうして独身でいらっしゃるんですか?えっ?いきなりごめんなさい。
ずっと気になってたので。
実はバツ3なんです。
お恥ずかしい話ですが。
失礼しました。
いやいやいいんですよ。
まぁあのいろいろありましてねハハハハ。
でもそれだけモテるってことじゃないですか。
いやいやいやいや。
久留里さんうちの会社の女子から人気ありますよ。
久留里さんとご飯に行ったって言ったらたぶんみんなから怒られちゃうと思います。
《なんだこの思わせぶりな発言は…。
いかんいかんいかん。
あくまで仕事だ。
仕事仕事仕事…》気持いいですね。
《清澄庭園は新東京百景にも選ばれた回遊式庭園》気をつけてください。
はいありがとうございます。
《三菱財閥の創業者岩崎弥太郎が買い取り日本全国の名石を集めた石の博物館とも言われている》ホントだかわいい。
あっ!あっ!おっと…。
あぁ大丈夫?いや久留里さん大丈夫ですか?いやいやいや大丈夫です大丈夫です。
いやいやいや…。
あぁ。
あっケガしてるじゃないですか。
いやかすり傷です。
ツバつけとけば治ります。
ダメですそんなの。
いや大丈夫です。
ダメです。
久留里さんはもっとご自分のこと大切になさってください。
あまり無理してはいけませんよ。
あ…はい。
《木崎さんなんていい子なんだ。
いかんいかんいかん。
これも仕事のうちだ》できました。
ありがとう。
きれい。
ゆっくり時間が流れてるみたい。
ええ。
たまには仕事のこと忘れてこういう時間もいいですね。
《仕事のことは忘れて…。
でもこれは仕事なんだろ?いや今の言葉が万が一本当だとしたらまさかの恋に発展する可能性も…。
えっ!?あるのか?こんなに若くてかわいい子がおっさんを相手にすることがあるのか?》何か?あっえぇ…あっそうだ。
甘いものでも食べに行きましょうか。
千疋屋の製造直売所があるんです。
千疋屋ってあの高級スイーツのですか?はい。
スイーツの切り落としや型崩れで店に出せないものが安く手に入るんです。
そうなんですか?行きたいです!行きましょう。
《日暮里のキャバ嬢アケミちゃんに無理やり連れていかれた店なんだけど役に立ったな》気をつけて。
ハハッ!その道に出て右に曲がったとこです。
もうすぐですか?はい。
通ったことあるんだけど知らなかったですね。
あぁそう。
意外とみんな知らないんですよ。
あっ休みか。
確認の電話入れておけばよかったな。
なんか結構歩かせちゃったし。
ごめん。
また来ましょう。
また?久留里さんとの楽しみが1つ増えました。
《これはもしかしてまた2人で来たいってことなのか?デートしたいってことなのか?》次どこ行きます?次…あっじゃああの深川不動でも。
いいですね。
行きましょう。
《これはまずい。
このままいくと彼女に心を奪われそうだ》
(笑い声)《まさか深川不動の参道をこんなに若くてかわいい女子と2人で歩くなんて思ってもみなかったな》さっきあったまったりしたしまだ保温されてます。
ハハハ…。
あっここは角打ちできる酒屋さんです。
角打ち?ええ。
店内でお酒が飲める酒屋さんなんです。
あっホントだ。
飲みますか。
いやまだ早いですし。
お休みの日くらいいいと思います。
行きましょう。
うわ〜すごいいっぱいありますね。
ええ。
このなかから好きなお酒を選んで飲むんです。
もちろん気に入ったら買って帰ることもできますよ。
味見がてら飲むってことですね。
そのとおり。
ほら酒のアテもいっぱいありますよ。
へぇ〜。
あすみません。
これ開けてみてもいいですか?どうぞ。
うわ〜おいしそう!なんか飲みたくなってきちゃった。
じゃあ私はこれを。
獺祭…たしか山口のお酒でしたよね。
よくご存じで。
これは磨き二割三分といって23%というお米の精米歩合にこだわった酒です。
口の中でふわりと花が咲くような味わいがとってもいい。
じゃあ私もこれいただきます。
え日本酒いけるんですか?久留里さんのおいしそうな説明聞いてたらなんか私も飲んでみたくなりました。
すみません…。
《まさか自分から酔っ払う方向へいくのか…》あ〜無理しないほうが。
いやお酒くらい飲めないと今後社会人としてやっていけないので。
うん…でもなんか飲みやすいかも。
ハハハ…。
えっなんで笑うんですか?いやいつも何事にも一生懸命なんだな木崎さんは。
そんな…。
いやまっすぐで頑張り屋さんですよ木崎さんは。
和菓子フェアで一緒にお菓子作ってるときからそう思ってました。
初めてです。
えっ?そんなふうに言ってくれた人。
あでもなんか木崎さんって堅苦しくないですか?もしいやじゃなかったらみゆきちゃんって呼んでくださいよ。
今日はプライベートなんだし。
プライベート?ですよね?ええ。
卓三さんみゆきちゃんにしましょうよ。
みゆきちゃん。
はい卓三さん。
《私は恋に落ちたようだどうやら》日が暮れるのが早くなりましたね。
そうですね。
明日は?仕事です。
頑張って。
はい。
《これはもうお別れの雰囲気…。
いかん次の約束をしないと…》ここらへんで大丈夫です。
もうすぐ駅なんで。
あそっか。
はい。
じゃあ。
今日はありがとうございました。
ホント楽しかったです。
いやいやこちらこそ。
では。
じゃあ。
みゆきちゃん!はい?あの特選和菓子フェアの件少し考えさせてもらってもいいかな?え?あの…予定を確認して改めてお返事させてもらっても…。
ぜひお願いします!でその代わりと言っては何なんですが…。
はい。
その返事もふまえてその…。
またお食事でもいかがですか?ダメですか?行きたいですお食事卓三さんと。
え…ホントですか?ぜひ!あああ…。
じゃあまた連絡しますね。
はい。
ありがとうございました。
気をつけて。
はい。
気をつけて。
いくつですか?その人。
27。
食事の約束したんですか?した。
いつですか?あさって。
早っ!でも彼女はあくまで仕事の延長だからね。
そうですかね。
だったら2人だけで食事行きますかね。
どういうこと?だって少しは好意があるから2人だけで食事行くんですよね。
仕事だけの関係だったら2人っきりでは行かないですよね。
私だったら誰か誘います。
なるほど。
一緒に仕事してるうちに恋愛感情になるってこともありますしね。
そうか?尊敬が愛に変わるって感じですかね。
いいこと言った。
お前若いのにわかってるな。
ま普通ですけど。
私帰ります。
おうお疲れさま。
気をつけて帰るんだよ。
《ここ深川でみゆきちゃんと2回目のデートだ!》〜いらっしゃい!いらっしゃい!卓三さん。
お疲れさまです。
待ちました?いや今来たとこです。
あぁ…じゃあよかった。
ここすごい人気ですね。
えぇあの…自社農場の豚を使ってるんですごくおいしいんです。
そうなんですか。
へぇ〜。
あっ…ご紹介しますね。
同じ企画開発部の阿部です。
一度お会いしてるんですけど…。
あれ覚えてません?あぁ…。
久留里さんとご飯に行くって言ったらどうしても会いたいって。
私久留里さんの和菓子大好きなんです。
あれみゆきさんの彼氏も好きですよね?あぁ…うん。
好きだよ彼も。
彼氏?失礼しますハラミの炭火焼きです。
うわぁ。
おいしそう!すごい。
私ハラミ好きです。
あっホント?よかったよかった。
卓三さん飲み物何にされます?卓三さん?あっ…ハイボールで。
すみません。
はい。
ハイボールを1つ。
はい。
《私の少しばかりの恋心は無残にも散った》今日は勝手に会社の人を呼んじゃってすみませんでした。
これでいろんなことが解決しました。
え?いやこっちの話です。
そういえば前に私に言ったあの言葉覚えてます?言葉?「我が輩の辞書に不可能という文字はない」。
えっそんなくさいセリフ言いました?くさくなんかないですよ。
それもナポレオンパクッちゃってるし。
急にフェアの納期が早まっちゃって明日までにサンプルが必要って言われたとき。
あぁあったな。
条件が変わってもやるって言った以上はやらなきゃいけない。
それがプロだって。
で卓三さん本当に次の日までにサンプル仕上げてくれて。
そうだった。
甘かった私に仕事ってこういうことだって教えてくれたんです。
だから改めて私尊敬する卓三さんともう一度一緒に仕事がしたいんです。
未熟者ですが迷惑かけますがお願いします。
木崎さん顔を上げてください。
やりますよ。
え?和菓子フェア。
本当ですか?はい。
ありがとうございます!私精一杯頑張ります。
みんながビックリするようなお菓子作りましょう。
はい。
《尊敬は愛には変わらなかったけどまぁいいか》駅まで送りましょう。
大丈夫ですよここで。
送ります。
じゃあ…。
行きましょう。
忙しそう?まだ。
自業自得。
だよねぇ。
郵便ここ置いときますね。
はい。
少し休憩したら?忙しいんだ。
あっち行ってろ!あっ…あの子からお礼状来てましたよ。
みゆきちゃんでしたっけ。
え?
(みゆき)「特選フェア頑張りましょう!卓三さんのような尊敬できる方と一緒にお仕事できて光栄です」。
ん?「追伸私この度結婚することになりました」。
結婚?よりによってなんでこんなヤツなんですかね。
うるさい。
これだったら絶対卓さんのほうがイケてますって。
うるさい帰れ。
イケますって。
いいから帰れ。
みゆきちゃんに電話しましょう今。
俺と結婚…。
お前には何の関係もない。
来年はいい女の子見つかるといいね。
って無理かな当分。
イケますって。
電話しましょうって。
お前には関係ないだろ。
こんなにくやしがって…。
お前の店は人が来ない客が来ないのか?だったら店閉めちゃえ。
あんな…。
これやるから帰れ。
いらないっつうの…!やるから持ってけ。
バカ帰れ!帰れ早く!バカ野郎…!ざまぁみろ!うるせぇ帰れ!二度と来るな!2015/12/31(木) 00:10〜01:35
テレビ大阪1
東京センチメンタル[再][字]

吉田鋼太郎主演!東京下町に実在する店を舞台に、和菓子職人・久留里卓三の日常と淡い恋を描く、ちょっぴり切なくてノスタルジックなおとなの物語。

詳細情報
番組内容
東京・言問橋の老舗和菓子屋「くるりや」の息子として生まれた久留里卓三(吉田鋼太郎)。腕は確かだが私生活では離婚歴3回。アルバイトの須藤あかね(高畑充希)に叱咤されながら、55歳の今も自由気ままな日々を送る。女性関係にだらしなく、下町のあちこちで巻き起こる卓三の恋模様…成就する日はやってくるのか?
番組内容2
第一話「谷中の恋」
ある日、仕事を終えた卓三は谷中へ向かう。かつて谷中で働いていた設楽靖子(高岡早紀)と再会するためだ。10年前、卓三は靖子に思いを寄せていたが、突然姿を消してしまった。噂では起業家の男性と結婚したという。10年ぶりに呼び出され、様々な思いが交錯する中、2人は谷中名物のヒマラヤ杉近くを散歩する。相変わらず美しい靖子の佇まいに、大人の色気を感じる卓三だった。
番組内容3
第二話「深川の恋」
卓三の店にデパートの企画開発担当・木崎みゆき(黒川芽以)が現れる。和菓子フェアで出した卓三の柿きんとんが好評で、お礼を兼ねてやって来たという。「フェアが終わったら食事に行こう」と話したことをすっかり忘れていた卓三は、みゆきとランチの約束をする。約束の日、卓三は、待ち合わせ場所の富岡八幡宮へ。イベリコ豚の専門店「イベリコバル門仲」でしゃぶしゃぶを堪能する。
出演者
 久留里卓三…吉田鋼太郎
 須藤あかね…高畑充希
 柴田幸吉…片桐仁

≪第一話『谷中の恋』ゲスト≫
 設楽靖子…高岡早紀

≪第二話『深川の恋』ゲスト≫
 木崎みゆき…黒川芽以

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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