科学アドベンチャー 西之島へ〜エンジニア達(たち)の熱き挑戦〜 2015.12.30


うわ〜きてる。
2年以上にもわたって謎の噴火を続けた西之島。
新しく誕生した島がここまで一気に拡大するのは世界でも観測された事がありません。
一体島で何が起きているのか。
この夏NHKは研究機関と協力して西之島を徹底的に調査するプロジェクトを立ち上げました。
噴火中の島は危険なため人間が近づく事はできません。
そこで活躍したのが無人ヘリコプターやドローンなど最新鋭の無人機でした。
(一同)おお〜。
噴火を繰り返し絶え間なく溶岩を流す島の撮影に成功。
無人ヘリで西之島の溶岩を取るという荒技にも挑戦しました。
実は西之島は太古の地球で繰り広げられた大陸誕生の再現だと考えられています。
採取した溶岩を解析する事でそれが明らかになりました。
このプロジェクトを陰で支えたのは無人機を自在に操るエンジニア達です。
どうやって困難なミッションを成功に導いたのか。
熱い思いで西之島に挑んだエンジニア達の奮闘の物語です。
西之島は本州から南へおよそ1,000キロ。
太平洋に浮かぶ絶海の孤島です。
しかし現在島から4キロ以内に人が立ち入る事が禁止されています。
火口から飛び散る噴石や海底で起きる噴火の危険があるからです。
しかもこの海域は年間を通して波が高く船で簡単に近づく事もできません。
そこで調査の一番手に抜てきされたのが無人飛行機です。
西之島に一番近い人が住む島父島から無人飛行機を飛ばします。
その距離実に130キロ。
島の上空で写真撮影を行い調査本番に向けて西之島の詳細な地図を作るのがねらいです。
(汽笛)これがその無人飛行機です。
翼の長さは3メートル。
あらかじめプログラムされたルートどおりに西之島まで往復する事ができます。
機体の下に取り付けたカメラで島の地形を撮影します。
無人飛行機を担当するのは田辺誠治さん達。
これまで災害現場の調査や研究のための観測などの仕事を行ってきました。
用途に合わせて無人飛行機を作る技術があり今回長時間の飛行に耐える特別機を開発しました。
父島から飛行機を飛ばすには大きな問題がありました。
そもそも父島は山が多く滑走路となる平地がなかったのです。
そこで探し出したのが海に面した建設機材置き場。
急きょ整地して臨時の滑走路を造りました。
しかし田辺さんには懸念がありました。
通常のスピード時速70キロで離陸すると海上に出た途端横風にあおられて姿勢を崩す危険があります。
横風を突っ切るためには時速90キロまで速度を上げる必要があります。
どうやって離陸スピードをあと20キロ上げるのか。
田辺さん達は知恵を絞りました。
持ち出してきたのはなんと巨大なゴム。
ゴムの端を地面に固定します。
パチンコの要領で飛行機を加速させるというのです。
果たしてうまくいくのでしょうか。
(エンジン音)海上に出ました。
見事横風を突っ切りました。
はい旋回入ります。
今はこのまま行く。
そっちも問題なければ巡航行くよ。
エンジニア達の期待を乗せて無人飛行機は一路西之島へ。
あとはプログラムどおり飛行して無事に帰ってくる事を祈ります。
飛び立ってから3時間後。
無人飛行機が帰ってくる時間が近づいてきました。
帰ってきました。
予定時刻ピッタリです。
7984。
83。
はいオーケーです。
肝心の西之島の写真はうまく撮れているでしょうか。
西之島の地形が細部まで鮮明に映っています。
これなら地図を作るのに申し分ありません。
無人飛行機は400枚もの西之島の写真を撮りました。
同じ場所を角度を変えて撮っているのでそこから高さを割り出し立体的な地形を明らかにする事ができます。
こうして島の詳細な立体マップが完成しました。
細かい地形まで50センチ単位の精度で作られています。
この地図があれば安全を確保しながら更に低空で島に接近する事ができます。
6月下旬。
いよいよ観測の本番です。
横浜港の岸壁に無人ヘリコプターやドローンなど無人調査機が集められました。
これらは全て西之島にできるだけ接近して観測を行うために用意された最新鋭の無人機です。
いざ西之島へ。
ノンストップで50時間の船旅です。
調査チームには世界有数の技術力を誇る民間企業のエンジニアが集まりました。
総勢18人。
12日間狭い船の中で寝食を共にしながら調査を行います。
360度見えるカメラで…。
無人飛行機によって作られた立体マップを見ながらどのようなルートで島に近づくか作戦を練っていきます。
これまで経験をした事もない困難が待ち受けています。
更にプロジェクトには多くの科学者が参加しています。
その一人…西之島が地球の歴史に残された大きな謎を解く鍵になるかもしれないと考えています。
実はおよそ40億年前の地球は全て海で覆われ大陸はありませんでした。
何がきっかけで最初の大陸が誕生したのかはいまだに分かっていません。
突如海の中から噴火が始まり拡大を続ける西之島は地球に大陸が誕生した時の再来なのではないか。
そう田村さんは考えその証拠を西之島で是非つかみたいと思っています。
海が荒れてきました。
西之島周辺は年間を通して波が高い海域です。
慣れないうちはこのとおり。
西之島で調査できるのは海が穏やかになる梅雨明けから台風到来までの僅か数週間しかありません。
西之島に近づくとねらいどおり梅雨が明けていました。
水平線に巨大な雲の壁が見えてきました。
その先に現れたのは…。
噴き上がる噴煙が雲となってたなびいています。
島を目の前にして全身が奮い立ちます。
島から4キロ。
ついに立ち入り禁止区域との境界に到着しました。
ここが人間の近づける限界です。
あとは船から無人機を繰り出すしか接近する手段はありません。
準備が始まりました。
登場したのは無人ヘリコプターです。
西之島の超接近撮影に挑戦します。
無人ヘリを飛ばすのは4人のエンジニア。
本田士郎さんは無人ヘリを西之島の上空へと飛ばす遠隔操縦を行います。
本田さんと共に遠隔操縦を担当するのがチームリーダーでもある…中山さんは琵琶湖で行われる人力飛行機のコンテストで初めて対岸まで飛ぶ事に成功した人です。
4回の優勝を成し遂げ伝説のチャンピオンといわれています。
実はその大会に本田さんも別のチームで参加していたという縁がありました。
空に魅せられた2人の新たな挑戦です。
船に無人ヘリを発着させるという特別な役割を担うのが則博之さんと木原誠さんです。
2人のふだんの仕事は農業などで使われる産業用無人ヘリコプターの操縦。
曲芸的な飛行までこなせる達人です。
船から無人ヘリコプターを飛び立たせるのは今回が初めての試みです。
船が揺れて傾くのがまずは大問題でした。
無人ヘリは水平でないと飛び立つ事ができないからです。
この問題を解決するために今回開発したのが特別な発着台。
スイッチを入れると…発着台がクネクネと動き始めました。
天板と水平線の動きが一致しています。
波が揺れるリズムをコンピューターで解析。
その揺れに合わせて天板が常に水平になるのです。
さあこれで無人ヘリは飛び立てるのでしょうか。
先端にハイビジョンの4倍の画質を誇る4Kカメラを装着して準備完了です。
いよいよ初フライトです。
風速は8メートル。
この風に無人ヘリ操縦の大ベテラン則さんの表情が険しくなります。
無人ヘリが飛んだ瞬間に風に流されると波に揺れる船の構造物に当たってしまう危険があるのです。
船の揺れ方と風の強さ両方を見極めて飛ばさなくてはなりません。
更に悪い事に実は則さんは船酔い中。
船酔いに効くようにと念じてガムをかみながら懸命に集中します。
見事取り囲む構造物を避けながらヘリは飛び立ちました。
船から離れると則さんからの電波は届きません。
遠距離用の電波に切り替えます。
この先は本田さんと中山さんによる遠隔操縦で無人ヘリを飛ばしていきます。
遠隔操縦の方法です。
まず西之島の立体マップ上で無人ヘリが次に向かうポイントを本田さんが指定します。
その指示を受け取った無人ヘリは指定されたポイントに自律飛行で向かう事ができます。
この自律飛行のために立体マップは欠かせないものだったのです。
本田さんはヘリから送られてくる映像を見ながら撮影のためヘリの向きを変えるなど細かい操作も行います。
チームリーダーの中山さんはヘリの安全が保たれているかどうかをチェックし全体の指揮を執るのが役目です。
飛び立ってから7分。
西之島の全景が見えてきました。
直径2キロ。
生まれたばかりの大地が近づいてきます。
海岸線から煙のようなものがもうもうと上がっています。
何が起こるか分かりません。
低空で慎重に近づいていきます。
波をかぶって蒸気を上げています。
岩はかなり熱そうです。
こここそ島が拡大している最前線です。
更に内陸へ火口を目指そうとしたその時…。
(警報音)突然ヘリに異変が起きました。
エンジンの冷却水の温度が急上昇。
危険な状態です。
温度を色で表すサーモカメラで地表を見てみます。
赤い場所は400度以上。
熱い溶岩の上を飛んでいたのです。
その熱で空中の無人ヘリがあぶられていました。
本田さんはとっさの判断で機体を風上に向けます。
エンジンに風を当て冷やそうというのです。
なんとか危機を脱して火口へと近づいていきます。
温度の変化に気を付けながらじりじりと火口の中をのぞき込める位置へ機体を寄せていきます。
ヘリを火口間近でホバリングさせじっくり観察します。
噴き出す岩石は大きいもので3メートルもあります。
こうした岩石が降り積もりこの山ができました。
高さは140メートルを超えます。
西之島での無人ヘリの飛行を陰で支えているのが木原さんです。
4キロ先の無人ヘリに目を凝らして電波をやり取りするアンテナを常に向け続けます。
続いて無人ヘリは溶岩がどこから流れ出ているのかを探ります。
山の麓に川のような黒い筋を見つけました。
その筋をたどっていくと山の中腹から始まっている事が分かりました。
噴煙の影がよぎるとうっすらと赤く見えます。
機体が熱に耐えられる限界まで高度を下げていきます。
岩の隙間から見える赤い光。
溶岩です。
表面だけが冷えて固まりそれが黒く見えていました。
溶岩の流れが低い方へと続いています。
早送りすると溶岩が動いているのがよく分かります。
西之島の溶岩は非常にゆっくりとですが常に動き続けていたのです。
80分のフライトを終えた無人ヘリが戻ってきました。
着船もやはりこの人。
則さんの達人技の出番です。
西之島の噴火は2年以上前から始まりました。
あっ今黒い煙を上げて噴火が起きました。
噴火はもともとあった旧西之島の沖合で始まりました。
そして旧西之島をのみ込むように島は大きくなっていきました。
これほど急激に島が大きくなるのは観測史上初めての事です。
火山学者の野上健治さんは毎月1回海上保安庁の飛行機で西之島を観測しています。
野上さんは西之島の溶岩が日々どのように変化しているのか詳細な様子を知りたいと思っていました。
そこでドローンで西之島の成長を細かく観測します。
ドローンでより低空で西之島に接近し高精細な写真を撮影。
数日置きに同じ場所を撮る事で西之島が少しずつ変化する様子を狙う事にしました。
ドローンが撮った1,000枚の写真を基になんと5センチ単位の精度の立体マップが出来ました。
表面の細かなひびや模様まで見えます。
ドローンが撮影した写真から立体マップを作った研究者も驚きを隠せません。
詳しく見ると珍しい形をした溶岩が見つかりました。
まるでイカのようですね。
一旦止まった溶岩の先端から更に溶岩が流れ出します。
それが繰り返される事でこんな形になりました。
これがこの下から出ててっていう…こう出てこう出てこう出てっていう…。
するとマトリョーシカみたいに中から中から新しいのが出てくると。
ドローンは特に島の南側の変化を詳しく調べました。
4日間で増えた溶岩を赤い色で示します。
海岸線に沿って溶岩が海に広がろうとしている様子がよく分かります。
ここは島の中腹から大量の溶岩が流れ出したようです。
厚さ6メートル長さ240メートルにも及びます。
こうした日々の溶岩の流出が積もり積もって1か月もするとこんなに海岸線が広がるのです。
西之島の周りの海の中ではどのような変化が起こっているのでしょうか。
調査を行ったのは海上保安庁です。
活躍するのはこちら…船底から音波を出して海底の地形を調べます。
この船人は誰も乗っていません。
事前にプログラムしたとおりに自律航行する事ができます。
島から4キロ以上離れた海域は母船昭洋が調べます。
こうして西之島周辺の海中の様子も明らかになってきました。
実は西之島は富士山のような形をした巨大な海底火山の山頂にあったのです。
その高さは4,000メートルにも及びます。
赤い部分は溶岩が海の中に流れ込んでいる場所です。
溶岩は最大80メートルもの厚みで海中に広がっていました。
これまで噴き出した溶岩の量は海中と陸上を合わせて…実に東京ドームおよそ130個分もの溶岩を噴き出した事になります。
巨大な海底火山が更に巨大になろうとしている。
それが噴火する西之島の真の姿だったのです。
日が暮れると昼とは違う西之島の姿が目に飛び込んできます。
昼間は日光の明るさで見えなかった溶岩の赤い輝きが見えるようになるのです。
無人ヘリで夜間飛行を行う事になりました。
夜船からの発着は最も難しいと則さんは言います。
則さんが船からヘリを飛ばす時水平線が見えている昼は船がどのくらい揺れているのかよく分かります。
しかし水平線が見えない夜になると船が揺れているのかヘリが動いているのか分からなくなってしまうのです。
少しでも則さんの負担を減らすため船の乗組員がサーチライトで照らしてくれる事になりました。
回転するローターは特に見えにくいので照らして見えやすくします。
・徐々に離れていきま〜す。
・高度を上げていきま〜す。
夜の西之島はまるで町明かりがともったかのように溶岩が光り輝いています。
火口のすぐ下まで近づいたマグマが噴煙を赤く照らしまるで燃えているように見えます。
湧き出した溶岩が海へと注ぎ込みます。
毎夜人知れず繰り返されてきた大自然の営みです。
残すミッションはあと一つとなりました。
それは最も重要で最も難易度の高い作業となります。
無人ヘリで噴火中の西之島の溶岩を取るという史上初の試みです。
なぜ溶岩を取るのがそれほど重要なのでしょうか?地質学者の田村さんは西之島こそ地球の歴史に秘められた大きな謎を解くチャンスだと考えています。
およそ40億年前原始の地球は全て海で覆われていて大陸はありませんでした。
地球に最初の大陸がどのようにして生まれたのかそれはいまだ分かっていない大きな謎なのです。
そこで注目されたのが異常な拡大を続ける西之島です。
こうした島がどんどん拡大して最初の大陸は生まれたのではないか?その仮説が正しいかを調べるには西之島の溶岩を取って分析する必要があります。
大陸と火山島では普通は岩石の性質が大きく違います。
通常火山島が噴き出すのは重い岩石です。
重い岩石は長い年月の間に沈んでしまい大陸には成長できません。
一方大陸は軽い岩石でできているため何億年たっても地下に沈まず大きく成長できます。
西之島は島なのに大陸になる軽い岩石を噴き出しているのではないか?田村さんはそうにらんだのです。
田村さんの熱烈な要望に応えるため無人ヘリで溶岩を取るという前代未聞のミッションが行われる事になったのです。
このミッションの難しさを東京で例えてみます。
渋谷の駅前から無人ヘリを飛び立たせここから遠隔操縦します。
目指す西之島は4キロ先の新宿の位置です。
原宿駅明治神宮の森を越え代々木駅新宿駅と3つの駅を越える距離を飛んでいきます。
無人ヘリは突風で高度が急激に下がる事があるため遠隔操縦の場合高度30メートルより下に降りる事はできません。
そこでワイヤーを伸ばして採取器を降ろします。
ぶら下げた採取器でゴルフボールほどの溶岩を拾い上げるのです。
しかもこれを渋谷から遠隔操縦するというのですからまさに神業です。
一番の問題は無人ヘリでどうやって溶岩を拾い上げるのか。
その方法が数か月かけて検討されてきました。
この日町工場を本田さんが訪ねました。
これまでもこの工場で無人ヘリに取り付ける装置の開発をお願いしてきました。
今回は溶岩採取器の開発です。
まず考えられたのは袋に粘着テープを貼り付ける方法です。
本田さんが試してみます。
これならどんな溶岩でも取れそうです。
しかし飛行中を想定して風を当て続けると…落ちてしまいました。
より粘着力が強いねずみ取りも試してみましたが。
うまくいきません。
(本田)鼻水みたい。
ハハハ。
こうした試行錯誤を経て完成した最終形がこれです。
回転するブラシで溶岩のかけらをかき込む仕組みです。
採取器は5センチ程度のものまでしか取れません。
その限界ギリギリの大きさを狙わなければならない。
無人ヘリチームにプレッシャーがかかります。
更にこの時もう一つのプレッシャーが。
台風9号に続いて先ほど午後9時に台風10号も発生しました。
台風が西之島を直撃しようとしていたのです。
残された時間は僅か。
海が荒れる前に終えなければなりません。
準備が完了しました。
いよいよ飛び立ちます。
ヘリの直下に西之島が見えてきました。
狙うのは溶岩が波で砕かれて細かくなった場所です。
無人ヘリの高さは高度30メートル。
ビルの10階に相当します。
溶岩を探したり採取の状態を確認したりするにはヘリに付いたカメラの映像を見るしかありません。
これがその映像ですが4キロ先から電波で送られてくるので不鮮明です。
それでも懸命に目を凝らして5センチほどの溶岩を探します。
島で作業できる時間は20分。
焦る気持ちを抑えて冷静に作業を進めます。
これは採取器につけたカメラの映像です。
操作する2人には見えていません。
波に洗われて丸みを帯びた溶岩は大きすぎました。
そのためブラシが空回りしています。
よかった。
気付いたようです。
残り時間僅か。
もうワンチャンスに懸けます。
ここは手ごろな大きさの溶岩がありそうです。
ブラシの回転で溶岩が動いているようですが取れているでしょうか。
採取器が上がり始めた時…。
あっ!溶岩が落ちました。
取れているか分かりません。
駄目なら再挑戦です。
そのためには採取器を壊さぬように船へ降ろす必要があります。
重責がかかったのはこの人則さんです。
則さんは採取器を発着台の上にそっと降ろすと言います。
台はとても狭いですが大丈夫でしょうか。
つられた採取器は大きく揺れています。
切り離しのタイミングを間違えれば海に落としてしまうかもしれません。
見事に降ろしました。
降ろした瞬間をスローモションで見てみます。
まずは無人ヘリの高度をワイヤーの長さと同じにして採取器を滑らせるように接地させます。
すかさずヘリを少しだけ降ろしてワイヤーをたるませた瞬間切り離していたのです。
(取材者)やりましたね。
(取材者)お見事!果たしてその結果は…。
これでは小さすぎる。
ありました!誰も手にした事がない西之島で生まれたばかりの溶岩です。
溶岩の分析が始まりました。
西之島の溶岩は普通の火山島の重い岩石かあるいは大陸を作る軽い岩石なのか。
結果が出ました。
つまり西之島は大陸の岩石を噴き出す極めて珍しい島だという事が明らかになりました。
なぜ西之島では大陸を作る軽い岩石が作られ長期間噴き出し続けていたのでしょうか。
これまでの調査で西之島の地下はほかの火山と違いマントルという層が地表近くまで迫っている特殊な構造だと分かりました。
地表に近いマントルは軽い岩石を作り出す性質があります。
そして地表に近いために長期間噴き出し続けていると考えられるのです。
原始の地球はマグマオーシャンといわれるドロドロの状態でした。
それが冷えて固まり海ができたあとも地下ではマントルが地表の近くに迫っていました。
そのため地球上のあらゆる場所で噴火が起こり軽い岩石を生み出し始めたと考えられます。
この軽い岩石が次第に集まり巨大な大陸へと成長していきました。
私達が観測を行ったあとも刻々と変化を続ける西之島。
8月には火口が大きく崩れ山の斜面が黄色く染まりました。
硫黄のガスが一斉に噴き出したためと考えられます。
11月には爆発が激しくなり10メートル以上もの巨大な噴石をまき散らすようになりました。
私達は今太古の地球に起きていた光景をこの目で見ているのかもしれません。
数々の試練を乗り越え噴火する火山の調査に挑んだエンジニア達。
成功の裏には彼らの奮闘がありました。
2015/12/30(水) 22:00〜23:00
NHK総合1・神戸
科学アドベンチャー 西之島へ〜エンジニア達(たち)の熱き挑戦〜[字]

2年以上も噴火を続ける火山島「西之島」に無人機を駆使して超接近。撮影や溶岩採取など、史上初となるミッションに挑戦した技術者たち。いかにして困難を乗り越えたのか。

詳細情報
番組内容
東京から南へ1000km、太平洋に浮かぶ火山島「西之島」。おととし11月、海底火山の噴火により姿を現した新島は、直径およそ2km、高さ140m以上にまで成長した。火山活動は今も続いていて、火口から半径4km以内に人が立ち入ることはできない。NHKは研究機関と協力し、島を4Kで撮影し、科学的調査を敢行するプロジェクトを進めてきた。この夏、西之島を目指した技術者達の奮闘と努力の成果を描く。
出演者
【語り】小田切千,和久田麻由子
キーワード1
西之島

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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