その男職業歌舞伎役者
華やかな舞台で人々の心を魅了し圧倒的な迫力で見る者をうならせる
その胸に秘めた壮絶な覚悟
江戸時代から１２代にわたり脈々と受け継がれて来た名跡市川團十郎
やがては１３代目を継ぐ
背負った伝統と宿命はずしりと重い
（ツケの音）
（海老蔵）ＥｂｉｚｏＩｃｈｉｋａｗａ１１ｔｈ．そのぐらいじゃないとやっぱ駄目だからねって自分に言い聞かせてます。
誰も知らない海老蔵の素顔
役者仲間の中村獅童はこう語る
（獅童）守るのと同時に新しいものも攻めて行くっていう精神は非常に共感します。
伝統の世界に革新の風を吹かせる
神話を歌舞伎に
オペラを歌舞伎に
勢いは増すばかりだ
私達のカメラだけが見詰めた家族の絆
あ〜来た来たあれ？
（麗禾）カッ！カッカカッカ！
最愛の娘…
しかし女の子は歌舞伎役者になれない
その宿命をどう伝えるか海老蔵の心は揺れる
麗禾ちゃんも勸玄くんも本当に…。
本当に仲良しなんですよ４人が。
結婚４年
波乱もあった
（麻央）うれしいよ。
逆風の時も妻は夫を支え続けた
偉大な…
涙に込められた新たな決意
なぜならば…。
ということは…。
密着２２００日
宿命を受け継ぎ未来へとつなぐその覚悟
♪〜
今夜あなたは海老蔵の真実を目の当たりにするだろう
（ツケの音）
海老蔵の楽屋を長女麗禾が訪れた
隈取りをするパパを間近に見るのは初めてのこと
歌舞伎の装いに慣れさせるそれが海老蔵の狙い
ところが２歳の娘にとってはパパがいつものパパじゃない
麗禾さん。
（麻央）えっ？麗禾さん。
（麻央）うわ〜！すごい。
麗禾さん？ほっ！ほい！泣いちゃう泣いちゃった麻央麻央麻央！駄目だ。
（麻央）ちょっと怖かった。
（スタッフ）怖かった。
家ではパパの歌舞伎のＤＶＤにくぎ付けの麗禾だが…
泣かれてしまいました怖いです？
（スタッフ）怖いと思う。
お手を拝借！よ〜っ！ヨヨヨイヨヨヨイヨヨヨイヨイ。
（一本締め）
海老蔵には心に温めて来た計画があった
２歳になった麗禾を初めて舞台に立たせてみよう
本来歌舞伎は男だけの世界
しかし幼い頃なら女の子も舞台に立てる
「皆さんおはよう麗禾です」。
（麻央）はいおめでと〜う！
（麻央）あぁ泣いちゃった。
（泣き声）
地方公演でお披露目のごあいさつをする
そのための稽古
笑顔だがパパの目は真剣
それでおじけづいてしまったのだろうか
「皆さんおはよう麗禾です」。
パパ抱っこしてるから大丈夫だよねっ？
麗禾のお披露目
その場所に海老蔵が選んだのは熊本県山鹿市だった
懐かしい風情の町並みに守られるように立つ芝居小屋…
海老蔵のまな娘のお披露目を誰もが心待ちにしている
娘がここ八千代座で無事に舞台を務めてほしい
梨園の妻にとっても歌舞伎の家を守る母としての第一歩
（スタッフ）麻央さんどうですか？はい。
映像で見てたんですけど…。
明治の頃から地元の旦那衆により大切に守られて来た八千代座
麗禾のためのちょうちんも特別にあつらえられた
観客の熱気をじかに感じる八千代座の舞台
ここにぜひ麗禾を立たせたい
それが海老蔵の願い
歌舞伎をやる人になる
いつもはそう話す麗禾だが…
なぜか舞台から遠ざかる
まぁ俺もそうだった。
（小林）え〜！
（小林）へぇ〜そうなんだ。
（小林）海老蔵さんでも？うん。
４歳３歳ぐらいの時は。
（小林）そうなんだ。
何だろうかと思うよね。
楽屋は親子一緒
で俺出てくじゃんそうすると舞台でよろしくやってるんで「今日はそういえば娘の初舞台でござります皆様にお披露目したいと思ってる次第でござりますればくまモンさん一緒に娘を迎えに行ってくださいませ」っつったら俺とくまモンで麗禾を迎えに行く。
舞台稽古が始まった
本来女性が歌舞伎に出ることはない
だから幼いうちに舞台に立つ感触を味わわせてやりたい
麗禾の初お目見え
くまモン出演に頭を下げたのは海老蔵の親心
登場は手をつないで花道を歩く予定だったのだが…
これはしちざえもん様におはま様ではござりませぬか。
ほほ〜お！なるほどなるほど。
大好きなくまモンにも表情は硬いまま
多くの観客にあいさつする
自分に求められる大役が幼心にも分かるのかもしれない
それはかなわぬ願いでござりまするなぁ。
何とか慣れてほしい
母の目が祈っていた
わずか２歳
小さな体が受け止める緊張は大きいに違いない
でもこれも歌舞伎の家に生まれた宿命といえた
あっ！
本当はパパの歌舞伎が大好き
一応まぁ２歳ですからねこれすごいですよ。
いつも弟とＤＶＤを見て芝居の名場面を演じてみせる
よっ！カッ！カッカカッカ！できんの？
（麗禾）は〜い！
（麻央）麗ちゃんこうでしょ？カッカッカッカッてやるんでしょ。
カッカッカッカッて。
カッカ…カカカカカ！ゴア〜！ってやつでしょ。
ねぇねもやってみて。
（小林）私？
歌舞伎役者の道に進むことはできない娘
将来それをどう伝えるか
海老蔵は心を痛めて来た
やっぱり歌舞伎という土台を踏んだ上で何をするか。
何したっていいと思うんだけど昨日も思ったけど…。
やっぱり僕達には感じない…。
なるんだよね。
だからできないならできないでできたっていいと思うよ。
でも…。
だからもうね…。
そうだったとしても私はやるんだ！ってしたらばやるだろうしできないんだって諦めたらば別の方向に行くんだろうし。
そういう…。
この熊本で海老蔵と麻央は結婚記念日を迎えた
この４年間で一番の思い出は何ですか？だから一番っていうか２個だね。
どうですか？そうでしょ基本どうやったって。
そうだよねやっぱり…。
（スタッフ）結婚する前と後で人生変わったみたいなことは…。
全然違うよ！全然違う。
結婚する前なんて俺どうかしてたもん。
（小林）わっ！
（女性）あら〜！
結婚４周年に感謝して海老蔵からのサプライズ
（麻央）うわ〜すご〜い！
（麻央）わ〜すご〜い！
（麻央）うれしい！あっ泣いてる。
うれしいよ。
梨園の妻となって４年
それが今２人の子の母となった
この４年の間には夫に逆風の吹いた時期もある
イチゴさん食べたいよ！って。
はい勸玄。
海老蔵にとってつらい時期を乗り越えられたのは妻の麻央がいてくれたから
長女麗禾初お目見えの日
海老蔵の娘をひと目見たいと多くの人が詰め掛けた
初日を迎えた舞台裏
当の本人はママの腕から離れない
（希実子）おはようございますおめでとうございます。
海老蔵の母希実子さんも気が気ではない
おめでとうございます麗ちゃん。
もう心配しても…息子の時もそうですしどれだけ心配したかっていうのはきっと本人が今麗禾を出すに当たって感じてることだと思うので。
あの…。
親の気持ちが今分かってくれればと思います。
わが子を初めての舞台に送り出す
歌舞伎の家で代々繰り返されて来た心配事
名門成田屋の晴れ舞台
この入りが客の期待を物語る
（麗禾の泣き声）
本日の主役がぐずりだした
幕は待ってはくれない
ママヤダ〜！
海老蔵の長女初お目見え
麗禾をひと目見たいと満員御礼
この日のために作った…
成田屋の家紋三升と麗の１文字が組み合わされた
間もなく麗禾の出番
（拍手）
果たして無事務まるか？
（歓声）
（拍手）
芝居小屋の熱が一気に上がった
海老蔵を小さい頃からわが子のように見守って来た観客にとってその娘の初お目見え
感慨深いに違いない
こちらのお小さいのは？これは私の娘にてこのたび初めて舞台に立つことと相成りましてござりまする。
何とぞいずれも様ごひいきのほどをよろしくお願い申し上げ奉ります。
（男性）それはまたおめでとうござりまする。
くまモンにはお嬢様の初舞台お祝いを申しておりまする。
ありがとうござりまする。
♪〜
くまモンの熱演が舞台をさらに盛り上げる
♪〜
（拍手）お手伝いを！お手伝いを！
（笑い）
２歳の麗禾が懸命に初お目見えを務め上げた
せんえつではござりまするがいずれも様お手を拝借。
よ〜っ！
（一本締め）おめでとうござりまする。
（拍手）はいほっとしました。
皆さんがすごい拍手で迎えてくださったので…。
麗禾イェイ！はいイェイ！よかった！イェ〜イ！こっちもイェイ！はい麗禾麗禾！イ〜…。
麗禾ちゃんの初お目見えが無事に終わり海老蔵さんもひと安心
はいどうぞ！食べる？はいどうぞ食べて。
あ〜おいしい！
麗禾ちゃんは舞台の熱気をどう幼い胸に刻んだのでしょうか
そして勸玄くんの初舞台はいつになるのでしょう
うわ〜でかい！見て！
子育てに忙しい２人を姉麻耶さんは見て来ました
ある日海老蔵さんから連絡あって「今日空いてますか？」と。
そういうことがあまりないのでちょっとびっくりしたんです。
空いてますよ何でですか？って言ったら…。
その期間…その時間…。
もちろんです！って言って。
そういう…。
男性としてカッコいいなって思います。
おいしい？よかったね。
海老蔵が目指す新たな舞台
そのこだわりは想像を超えていた
総合的に何か美しいものが藤壷のとこへ行こうとして届かないけどみんなが止めてる。
長男勸玄の誕生の日から私達が見詰め続けた…
歌舞伎界の名門に生まれた幼き跡取りを支える家族の…
（勸玄）やめて！そうじゃないよ。
はい分かりました。
堀越勸玄です。
お疲れさまでした。
海老蔵の新たな舞台づくりが始まっていた
「なぜ邪魔をする？私はただ私の思いを満たして…」。
海老蔵にとって特別な演目『源氏物語』
お母様今日は私と遊んでくださりますね？
海老蔵の初お目見え
それが『源氏物語』
父１２代目團十郎と舞台を踏んだ
海老蔵は…
やがては市川團十郎という大名跡を継ぐ宿命
初代團十郎はおよそ３３０年前今に伝わる歌舞伎の伝統をつくり出した
それが豪快な英雄が悪を倒す…
以来代々の團十郎が『暫』『助六』など後に歌舞伎十八番となる演目を生み出した
あの『勧進帳』も
歌舞伎界をけん引し革新する重責を担って来た市川團十郎
だから心を鬼にして父は息子に芸と魂をたたき込んだ
幼き日の海老蔵は背負った宿命を重く感じたに違いない
その重さは今も変わらない
行こうとしたら「あぁ…なぜだ」こっち行ったらこっちも…。
総合的に何か美しいものが藤壷のとこへ行こうとして届かないけどみんなが止めてる。
ザザザって裾が全部流れてて。
海老蔵が演じるのは光源氏
祖父父の当たり役だ
今回の『源氏物語』は自分なりの新たな境地を開く作品にしたい
海老蔵は歌舞伎にオペラ歌手を登場させる大胆な演出を考えた
世界を股に掛けて活躍するアンソニーとはこの日が初顔合わせ
♪〜♪〜
（アンソニー）Ｙｅａｈ．♪〜♪〜すごいね〜！
（拍手）すごいね！もう三皮ぐらいむけないと…。
踊りももっとちゃんとやんないとまずい感じ？何かすっごいよ！すごいよ！ねっ？すごかったよね！すごかったよね！よかった！今日出会えて彼と。
これ当日とか会ってたらヤバいよ！
海老蔵に火が付いた
だけども…そう考えると…。
その…。
俺は今…。
アンソニーは海老蔵演じる光源氏の心の内を歌い上げる
Ｙｅｓａｂｓｏｌｕｔｅｌｙ．同じ悲しみを確かに共有してるって感じでいいから倒れてそれを助けてもらってそうなって行くのはいいと思う。
Ｉｃａｎｔａｋｅｈｉｓｓａｄｎｅｓｓｏｎｔｏｍｅ．
オペラの動きと歌舞伎の動きを融合させる
代々の團十郎も型破りで大胆な発想に挑戦し新境地を開いて来た
♪〜いいじゃん！ＯＫ！ＯＫ？面白い！
『源氏物語』が上演されるのは…
大胆な発想を取り入れながら美しさを追求する舞台
♪〜ティアリララ
２人は緻密な動きをぎりぎりまで確認する
こっちがこうなってさっきと逆にこうやって見詰め合う。
それが音楽とマッチして下がりたいの。
ＯＫ！Ｇｏｏｄ！
この『源氏物語』には歌舞伎より長い歴史を持つ能も取り入れた
♪〜
オペラで世界とつながり能で日本の歴史とつながる
海老蔵は貪欲だった
自ら企画した創作劇だからこそ海老蔵はもう１つ実現させたことがある
それが妹ぼたんとの共演
今舞踊家として活躍する市川ぼたん
歌舞伎の名門に生まれた女の子は父と兄が稽古する姿を間近にして来た
舞台に立った父團十郎は憧れだった
歌舞伎役者になれない自らの運命を悔しく思ったこともあるだろう
（ぼたん）ようやく…。
本当によく分かったというか。
もちろん…。
やっぱりそこに対する…。
そんな藤を背負って来た妹に海老蔵の演技指導は熱を帯びて行った
それは亡き父團十郎のことも頭にあってのことだった
こういうことになってこういうことねこう！ほんでこういうことよ。
こうやって…こういう線を出して。
それで行ったらばもうこういうふうに。
ぼたんと舞台に立つっていうのはあまりぼたんは望んでなかった。
だけども…。
ほんで俺も智英子も目からうろこだよ。
父團十郎が秘めて来た思いを海老蔵はその時知った
そういうことそういうこと！そういうこと！迷わずに…。
厳しい稽古の様子を母はじっと見守っていた
またそれぞれの考え方とか思いが違っている中で…。
…っていうのがあったように思いました見てて。
私は解釈してるんですけど。
海老蔵の厳しい指導も世界は違えど舞台に生きる妹への愛情だった
海老蔵の作り出す新しい『源氏物語』が見たい
南座はそんな熱気に包まれた
美しく妖艶な光源氏に劇場全体が息をのむ
私は一体何のために生まれて来たというのか。
藤壷様…。
♪〜
ぼたん演じる藤壷と光源氏の許されぬ恋
♪〜
兄妹でこだわり抜いたあの場面
♪〜
兄が創作した舞台の上で歌舞伎役者になれなかった妹が渾身の演技を見せる
♪〜藤壷様…。
私の…光よ…。
♪〜
そして歌舞伎の舞台を♪〜オペラが彩る
♪〜
世界で磨かれた♪〜オペラと進化を続ける♪〜歌舞伎の融合
♪〜
歌舞伎を♪〜世界に通用するエンターテインメントに♪〜育てたい
♪〜
この作品には未来を見据えた♪〜狙いもあった
オペラや能を取り入れさらには妹との共演
舞台にいくつもの型破りを盛り込んだ海老蔵
（拍手）夕顔！
（拍手）
新たな『源氏物語』は人々の心をわしづかみにした
代々の團十郎がそうだったように
麗禾シンデレラ城だよ。
海老蔵さん家族で初めて東京ディズニーランドを訪れました
海老蔵さん久しぶりの休日に家族で訪れたのは…
子供から大人まで多くの人を引き付ける魅力が参考になればと海老蔵さんくつろぎながらもやはり歌舞伎役者です
・固まっちゃってるね麗禾ちゃん・
（麻央）こういうパターンかもしれないもしかしたら。
（麻央）乗らないって今言ってます。
（麻央）乗る？乗らないって…どうしよう。
勸玄くんはパパと一緒にメリーゴーラウンド初体験
結局麗禾ちゃんはママと見学です
ぐる〜って回って来るよ。
カンカ〜ン！
海老蔵さんいわく「勸玄は麻央に似ている。
ちょっとのことで動じない」とか
何てことなく。
本当！堂々としています
わっいた〜。
（麻央）ミッキーだ〜。
こんにちは。
（麻央）うれし〜い！分かる？ミッキーさん。
（麻央）ミッキーだよ！こんにちは。
こんにちは〜。
（麻央）うれし〜い！ミッキーマウスだよ。
（麻央）ミッキーミッキー！あれ？麗禾くまモンの時テンション上がってたやん。
（麻央）カンカンうれしいね！麗禾うれしいね！
（麻央）パパこれ写真撮って！イェ〜イ！
（麻央）うれしいねうれしいね！麗禾もおいで！って。
ハハハハ！
麗禾ちゃんミッキーのお誘いにも遠慮がちです
何で？せっかくだよ？麗禾あんまり会えないよ。
くまモンより会えないんだよ。
握手握手！握手！
（麻央）ミッキーありがとう！って。
（麻央）タッチタッチタッチ！はいタッチ！ヤァ〜！やった〜！
こうして見るとどこにでもいる普通の家族です
歌舞伎が大好きな麗禾ちゃん
でもパパを追うことはできません
それが歌舞伎の家に生まれた宿命
やがてその宿命に気付く時が来ます
その時麗禾ちゃんは何を感じるのでしょうか
麗禾買い物行こう。
４月の『源氏物語』に続き海老蔵はまたも新作作りに取り掛かった
歌舞伎っぽいこと…世の中の人が歌舞伎ってこうだよねって勘違いしてるやつをやったほうがいいと思うね。
何かあるじゃない？こ〜ういうやつあるじゃない？世の中の人が勘違いしてるやつ。
歌舞伎ってこうやりますよね！みたいな。
ああいうのをやると面白いと思うんだよね。
あえてやるっていう。
どう？
ＡＢＫＡＩと銘打った自主公演の２回目
ここ掘れワンワンここ掘れワン。
２０１３年の第１回公演では昔話の『はなさかじいさん』を歌舞伎にした
（拍手）
（鼓の音）
（ツケの音）スサノオ！
今回の題材は日本の神話『古事記』
海老蔵の狙いは分かりやすい歌舞伎をつくり若者達の裾野を広げたい
申し上げたいだけなのだ！
『古事記』を題材に選んだその訳は？
やっぱりそれは大事ですよね。
海外の方ギリシャ神話…。
知ってるじゃない？僕達ギリシャ神話ってことを。
そういうことで…。
そこを…。
今回の見せ場の一つは大立ち回り
海老蔵が描いたイメージを成田屋の弟子市川新十郎が具現化して行く
何かねあれば。
今の感じだと持ってて…。
伝統に培われた歌舞伎の動きは役者達の体にたたき込まれている
海老蔵がひらめくアイデアをその場で次々と形にして行く
一門でつくり一門で伝える
それが歌舞伎だった
それがまぁ…。
今決められないんですけどこれが…。
今やることが１００年後に評価される
それが成田屋の本分
日本の神話を歌舞伎らしい壮大なスケールで描き出す
海老蔵演じるスサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する
それは初代團十郎が編み出した荒事の世界
しかし前代未聞の大仕掛けが問題を巻き起こす
自主公演ＡＢＫＡＩの稽古は大詰めに入った
スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する
この大立ち回りが最大の見せ場
暴れるオロチの首をスサノオが大きな剣ではねて行く
八面六臂の大活躍と行きたいところだが長い胴体が絡まりオロチが自由に動けない
斬新な発想には常に難問がついて来る
海老蔵どう乗り切るか？
大きな舞台を借りて動きを確認することになった
胴体に加えオロチの頭も出来上がって来た
そういうこと…。
客をあっと言わせる壮大な場面
海老蔵のイメージは８つに分かれたオロチの首があたかも大きな１つに見える動き
追求しているのは圧倒的な重厚感だった
だが思うようにならない
・入れないんです尻尾が伸びて・・ひと組減らして…・
代々の團十郎もこうした生みの苦しみを克服し新作を世に放って来たはずだ
初日は２日後に迫っていた
第２回のＡＢＫＡＩは大阪で幕開けを迎える
ば〜ってやったらそこへ…その台形みたいな…。
立ち回りを担当する新十郎が細部に至るまでオロチの動きを確認
下りた…出て来る。
本番の舞台を使っての最終リハーサル
海老蔵の求める重厚感をいかに出すか
作品の成否はこの場面に懸かっている
繰り返し繰り返しぎりぎりまで追い込んで行く
（ツケの音）
満足の行く出来栄えに仕上がったのか？
いよいよ初日
開場を待ちきれず行列ができた
狙い通り客席には若者の姿が目立つ
海老蔵は客席から登場
（拍手）われらは母を知らぬ。
それ故母上…いやイザナミ様を思えば思うほど胸が熱く自然と涙が頬を伝う。
母一人救えずに…何が神だ！
セリフは若者達にもなじみやすいように現代語を取り入れた
さぁついてまいれ！♪〜
舞台を下り客の間近に
豪快な手法に劇場が沸く
（拍手）覚悟いたせ！
そしてクライマックスの大立ち回り
♪〜
オロチが一体になって暴れる
♪〜
（ツケの音）♪〜
海老蔵が平成の世に成田屋らしい荒事を生み出した
♪〜
海老蔵には１００年後が見えただろうか？
（拍手）
そして幕が引かれた後も客席に登場
（拍手）♪〜
オロチの首を提げて花道に見立てた通路の引っ込み
最後まで客を楽しませる趣向だった
（拍手と歓声）
（拍手）
現代の若者は新たなエンターテインメントの形を見たに違いない
（拍手）エイエイオ〜！
梨園の名門に嫁いで５年１０か月
幼きわが子の晴れ舞台に母として麻央さんは新たな道を歩き始める
堀越勸玄に…。
うれしかっただろうなぁと思って。
市川海老蔵家族の物語
多くの舞台で共演し海老蔵のブログにもたびたび登場する中村獅童
役者仲間として友人として素顔の海老蔵をこう語る
彼は…。
…だと思っているのでそういった人と今の時代一緒に生きているっていうのは非常にやっぱりこちらも刺激を受けますし僕自身も彼に刺激を与えられるような役者でありたいなっていうふうに思ってます。
舞台を降りれば天真らんまんなヤンチャ者
その言動は常に話題に事欠かない
しかし幼い頃の意外な素顔を妹が語ってくれた
何しろあの人もともと…。
せっかちだから…。
でも本当に小っちゃい時は…。
あの…何ていうんですかね…。
よく覚えているのは…。
カニの形のパン…菓子パンっていうんですかね。
（スタッフ）海老蔵さんがですか？そう。
隣同士で食べる時に泣いてましたね。
ここに海老蔵さんの呼び掛けで多くの人が集まりました
（宮脇さん）素晴らしいですね！
ドングリの苗木
東京で子供達と拾い大事に育てたものです
この日行うのは植樹会
家族みんなでやって来ました
海老蔵さんはこの地にたくさんの苗木を植えて森をつくろうと考えました
その名もＡＢＭＯＲＩ
そこちょっと人多いよ気を付けてね足元。
集まってくれたのは１１００人
地元の子供を中心に北は東北南は九州からも
ここ数年頻繁に起きる異常気象
海老蔵さんは子供ができてから危機感を募らせて来ました
自然環境を守るために何かできることはないか？
森は命を育み環境を守ると植樹を勧めたのは麻央さんでした
麗禾ちゃんがやる！優しく持ってね。
本当に実現してうれしいです。
でじゃあこれ行こう。
モミジ！
子供達の成長とともに大きな森になりますように
海老蔵さんと麻央さんは未来への願いを込めました
ドングリごと。
子供達と大切に育てたドングリの苗木です
この日モミジやトチノキなど１７種類８５００本の苗木を植えました
未来を紡いで行くＡＢＭＯＲＩ
海老蔵さんらしい取り組みかもしれません
父の舞台に興味津々
夏真っ盛りの銀座
ＡＢＫＡＩ東京公演の稽古はさらに熱気をはらんでいた
海老蔵が取り組んでいたのは歌舞伎三大名作の一つ『義経千本桜』
いいんじゃない？そうですか。
今回の上演は四の切と呼ばれる場面
親を亡くした子ギツネの切なさが胸を打つ
（鼓の音）
その稽古を見に子供達がやって来た
長男勸玄がどんな興味を示すか海老蔵にとって気になるところ
ぱくぱくぱく…あぁ痛い痛い！食べられちゃった！食べられちゃった！
（希実子）パパの手が食べられちゃった〜。
全く物おじしない
時々ふと感じるのは…。
ん？っていう目で見るんです。
父の舞台に興味津々
だが息子が歌舞伎役者への道を選ぶかまだ分からない
海老蔵にできるのはただ芸に打ち込む姿を見せることだけ
跡を継ぐかどうかは本人が決めればいい
ひとたび歌舞伎の道へ進めば親子は師匠と弟子になる
そうなれば母は見守ることしかできない
多くの人が心待ちにした『義経千本桜』が幕を開けた
舞台の見せ場は外連味あふれる仕掛けの数々
（拍手）
表舞台では優雅に演じ舞台裏では客をあっと言わせる瞬間に向けて全力疾走
（拍手）
（鼓の音）
その男職業歌舞伎役者
海老蔵は客をいかに魅了するかに常に心を砕く
昼夜の舞台で多くの役をこなしほぼ一年中舞台に立つ
歌舞伎に全身全霊をささげるのが自らの宿命
（鼓の音）
（ツケの音）
歌舞伎界の市川宗家に生まれやがては市川團十郎を継ぐ
歌舞伎の未来のために今自分に何ができるのか
そのためにはこうして日々の舞台を真摯に務めるしかない
海老蔵今３７歳
これから迎える円熟期にどんな役者になって行くか誰もが見守っている
（手拍子）だから言い方悪いけど…。
体が動かなくなったところで…。
動かなくなってから勝負って結構みんな言うんだけど…。
結構欲張りなのかな。
だからそういうようなことを考えてると…。
ある意味そうだと思うんですけど。
今からしておいて…。
（インストラクター）４・５・６・７…。
海老蔵はハードな舞台に備え日々のトレーニングを欠かさない
鍛えられた体幹が演技の切れを生む
６０歳を超えても動ける体を
関節の可動域を広げることも大事な鍛錬だ
そうそっち…あ〜。
人知れず努力する姿
これも海老蔵の真実だ
前も話したけどさ…。
だから心掛けなくちゃなぁって。
それまでは何だろうね…駄目かもしれないけど頑張らないといけないと踏まえ少しずつ少しずつやれることを…。
やれるだけのことを。
自分の知っている知識のことを精いっぱいやれるようにやって行こうじゃないかと。
以前私達の知る海老蔵は少し生き急いでいるように見えた
「子供ができて本当に変わった」
それは彼の妻から聞いた言葉
自分の生きざまを見て道を決める者がいるから
海老蔵の背中がそう言っていた
海老蔵が背負った重圧
役者仲間の中村獅童はこう語る
それは僕には想像もできない重圧だと思いますけどそれと同時に…。
成田屋の屋号ゆかりの地で父團十郎の一周忌法要が営まれる
おはようございます。
おはようございます。
どうですか？パパのほうおいでおいでおいで！あ〜来た来た。
この日子供達を初めて成田山に連れて来た
上の時は回す下の時は首で曲げない体で。
こうやらないそう少し。
成田屋の跡継ぎとして生まれ父の後を追うと決めた日から親子は師匠と弟子になった
稽古の厳しさに涙し背負った責任の重さに耐えかねて逃げ出したこともある
大きな壁にぶつかるたびに父は乗り越えようともがく自分を静かに待っていてくれた
（歓声と拍手）
歌舞伎役者としての体も心もつくり上げてくれたのは１２代目團十郎だった
晴れの襲名披露のあの日も隣には穏やかにほほ笑む父がいた
だからあの…。
成田屋の大きな柱を失ってこの一年ひたすらに走り続けて来た
あらためて海老蔵が父團十郎と向かい合う
もう早いもので１年以上の月日が経ちました。
亡くなった後は泣けなかったんですけどちょっと今日は駄目みたいです。
お許しください。
本当に父がこの世からいなくなったんだなということを再度痛感しましてやはり市川宗家として…今日からさらに自覚を持って精進して行きたいと心から強く思いました。
その６日後海老蔵は歌舞伎座で行われた父團十郎の追悼公演に臨んだ
楽屋にはいつも父がいる
歌舞伎十八番『勧進帳』
父團十郎が大切にして来た弁慶を演じる
お願いいたします。
お願いいたします。
（拍手）見れば！♪〜♪〜
（拍手）♪〜おっ取って散々に打擲す通れ！♪〜通れとこそはののしりぬ代々の團十郎成田屋市川宗家歌舞伎十八番ということでたまたま私に…そして父が亡くなって本来だったら父がやってるはずです。
ですけどもそういうことなのでやらせていただける大舞台です。
そういったひのき舞台の上で大きな舞台ができたってことは…。
また今生きてらっしゃる諸先輩方が力を貸してくださってるおかげこれは本当に…。
♪〜♪〜
鬼気迫る海老蔵の弁慶
♪〜
歌舞伎座の空気が♪〜震えた
♪〜♪〜
（拍手）
この日の海老蔵のブログ
忙しい合間を縫って海老蔵は成田屋を支える役者やスタッフをたびたび食事に誘う
海老蔵が輝けるのも一緒に舞台をつくる仲間があってこそ
食事の途中に海老蔵は誰かを見つけたようだ
勸玄だ！アップにしてアップに。
あ〜いたいたいた落とさないでほしいね。
♪〜勸玄くん！勸玄くん！どこですか？♪〜ここですここですここにいます！
（勸玄）なに〜？あいつ声通るな。
長男勸玄も１歳
その成長に海老蔵も目を細めるばかり
しゃべってます。
んなんなんな…。
んなんなんな…なに？
勸玄の名の由来「勸」の文字は将来歌舞伎十八番『勧進帳』を演じてほしいという意味を込めた
その息子はまだ自分が背負うかもしれない宿命を知らない
（スタッフ）初めて見た歩く勸玄くん。
物心ついた頃にその宿命を勸玄はどう受け止めるのだろう
（スタッフ）海老蔵さんもあのぐらいの年の頃は何も…。
俺？いやちょっと考えてた。
（スタッフ）本当ですか？歌舞伎の家に生まれちゃったってのはうっすら分かるよ。
何となくうちの娘なんてやりたいけどやれないってのもちょっと分かってる。
だから分かってるちょっと。
歩くようになった勸玄はますます目が離せなくなった
すご〜い！
同じ歌舞伎の家に生まれたのに同じ道を行くことができない姉と弟
かつて妹ぼたんと自分がそうだったように２人が歩む運命を海老蔵は見届ける覚悟だ
海老蔵がまた動きだした
日本の心を世界に届けたい
海老蔵にとって初めてのアジア公演
Ｎｉｃｅｔｏｍｅｅｔｙｏｕ．Ｗｅｌｃｏｍｅ．
早速歌舞伎を披露する場所の下見に訪れた
会場はシンガポールで有名なホテルにあるシアター
客席はおよそ１７００席
世界的なミュージカルやショーが上演されるこの劇場で３日間４公演を行う
♪〜トットット〜ンンン〜うん何の問題もなさそう。
歌舞伎はまだアジアでは認知度は低い
しかしカリスマ的魅力を持つ役者海老蔵が日本の伝統の心を見せてくれると注目が集まった
Ｈｅｌｌｏ！ＩａｍＥｂｉｚｏＩｃｈｉｋａｗａｔｈｅ１１ｔｈ．Ｙｏｕａｒｅｎｏｗｗａｔｃｈｉｎｇ“Ｈｅｌｌｏ！Ｊａｐａｎ”．皆さんこんにちは私は１１代目市川海老蔵です。
歌舞伎を世界に広めたい
それが海老蔵の夢
発展を続ける西洋と東洋さまざまな人種が暮らすシンガポール
アジア初公演にはうってつけの場所だった
演目は『連獅子』
歌舞伎舞踊の代表的作品だ
親子の獅子の厳しさと情愛を踊りで表現する
子獅子を舞うのは市川福太郎
一般家庭の生まれだが２年前１１歳の時演技や行儀作法に至るまで役者としての英才教育を受ける部屋子になった
その福太郎に海老蔵は新十郎と共に細かな所作を教え込む
ここで止めないのここで止めるとね故障する逆に。
（新十郎）ここで止めるこれが行きそうになっちゃう。
成田屋の芸を次の世代へと伝えて行く
シンガポール公演には歌舞伎を楽しみにさまざまな国の人が集まった
鉞と呼ばれるぴんと立ったまげ
市川家だけが口上で着ける特別なまげだ
この公演に懸ける海老蔵の並々ならぬ意気込みがうかがえる
（拍手）
柿色に三升の紋の裃でシンガポール版の口上
（拍手）Ｌａｄｉｅｓａｎｄｇｅｎｔｌｅｍｅｎ，ｇｏｏｄｅｖｅｎｉｎｇ．
（拍手）英語のことばかり考えておりましてこの後の日本語を全く考えておりませんがいずれも様ご機嫌よろしゅうござりまする。
市川海老蔵にござりまする。
（拍手）
いよいよ海老蔵と福太郎の『連獅子』
福太郎にとってはもちろん初めての海外公演
大舞台だ
カメラが見詰めた…
♪〜♪〜
狂言師に扮した２人が親子の獅子の情を♪〜踊りで表現する
♪〜
わが子を♪〜谷底に突き落としはい上がって来た者だけを♪〜育てるという古くからの伝えを♪〜２人が舞う
♪〜
最後の見せ場へ
狂言師から獅子の精に早変わりを遂げる
隈取りひと筆にも歌舞伎の心がある
それは成田屋一門で伝統を守り未来へと伝えて行く心
そして海老蔵には胸に宿した決意と覚悟がある
代を守り代を伝えて行くということ
♪〜♪〜
（拍手）♪〜♪〜
（拍手）♪〜
海老蔵が父團十郎と♪〜幾度も踊った『連獅子』
やがて勸玄と踊る日が♪〜来るだろうか
♪〜
（拍手）
新しいものは♪〜やがて古くなり古いものが新しくなり♪〜それは繰り返される
でも心を伝える根っこは♪〜変わらないと♪〜海老蔵は言う
♪〜
（拍手）
（ツケの音）
（拍手）
総立ちの拍手が歌舞伎は国境を超えられると教えてくれた
（拍手）でありながらつなぎ目でしかないわけだよ。
俺が俺がっていうことも大事だし。
だけど俺が俺がだとね駄目なんだよね。
俺が俺がでありながら…。
長女麗禾ちゃんが３歳になり七五三のお祝いです
この日は着物で家族写真を撮ることになりました
勸玄くんには海老蔵さんの幼い頃のものを着せました
でも少し困ったことが
着物の丈がちょっと足りません
勸玄くんの成長が早くて仕立て直しが間に合わなかったそうです
麗禾ちゃんはお姉ちゃんらしく弟の面倒をよく見るんですって
お母さんも助かりますよね
手をどいて麗禾ちゃんは〜い。
家族の一年は子供達を中心に回っているようでした
年の瀬
海老蔵はまたも新たな道を切り開こうとしていた
五右衛門がこうなってるとこでとどめをド〜ンみたいなことで。
２０１５年の幕開けを飾る演目は『金田一少年の事件簿』など人気漫画の原作者樹林伸と組んだ『石川五右衛門』
５年前初演の舞台には父團十郎が共に立ってくれていた
今回は天下の大泥棒の活劇をさらに壮大なスケールで描き出す
華やぎと熱気にあふれた初日
舞台の成功を家族は祈る
背負った伝統と宿命を受け止め海老蔵は時代を生きる
（拍手）絶景かな。
絶景かな！
疾風怒涛の“ＫＡＢＵＫＩ”者
代をつなぐその決意と覚悟は揺るぎない
私達が見詰め続けた海老蔵の真実
見据えているのは１００年先２００年先の歌舞伎の未来だ
（ツケの音）
市川海老蔵
やっぱりこの男から目が離せない
その舞台裏に密着
歌舞伎界の名門市川宗家に生まれた幼きわが子の宿命
父海老蔵母麻央の願いと祈りをカメラは見詰め続けた
本当にさ親父っていうかさ…微力ですよね！
（勸玄）堀越…。
おはよう。
さぁ起きよう。
やめて！そうじゃないよ。
はい分かりました。
１月３日は市川海老蔵…
堀越勸玄にござりまする。
2015/12/30(水) 11:55〜14:00
読売テレビ１
市川海老蔵に、ござりまする 直前ＳＰ▽１月３日放送特番の見どころも先行公開！[字]
一家の名場面を独占密着映像でお届け▽愛娘デビューにパパ緊張▽妻・麻央が泣いた！結婚記念日サプライズ▽父・團十郎へ…涙で語った決意▽オペラ×歌舞伎新たな挑戦
詳細情報
出演者
市川海老蔵ほか
ジャンル :
ドキュメンタリー／教養 – カルチャー・伝統文化
劇場／公演 – 歌舞伎・古典
ニュース／報道 – 特集・ドキュメント
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