「きょうの健康」です。
今日と明日の2日間は鼻の病気です。
1日目の今日ですけれども…そして2日目はタイプごとの治療法「3つの治療法」と題してお伝え致します。
お話は…耳鼻咽喉科で鼻の病気特に慢性副鼻腔炎の治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
最近その慢性副鼻腔炎に関しての新しい動きがあったんだそうですね。
そうなんです。
今年の3月に新たに196個の疾患が指定難病と認定されましてその中に好酸球性副鼻腔炎という病気が入っております。
更に…この好酸球性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の関係といいますと。
好酸球性副鼻腔炎はここ10年ほど患者数が非常に増えてきた病気でこれまで慢性副鼻腔炎のいわゆるこれまでのお薬では効果が得られなかったり特徴がありまして継続的な治療も必要なので指定難病となりました。
つまり慢性副鼻腔炎と一口に言ってもこういった原因や症状は異なってさまざまなタイプがありますので自分がどのタイプの慢性副鼻腔炎であるかというのを知る事が重要になります。
この好酸球性副鼻腔炎も慢性副鼻腔炎の種類の一つという事ですね。
そうですね。
はい分かりました。
それでは注目するべき3つのタイプという事なんですけれどもまずそもそも副鼻腔炎ですか。
これはどういう病気なんでしょうか?ではイラストを使ってまず鼻の構造を説明したいと思います。
桜井さんこのイラストの中でどこが副鼻腔だと思われますか?これが鼻ですから鼻の両脇のここでしょうか?正解です。
ただそれだけではなくて実はこちらの青く示しているこちら全て副鼻腔なんですね。
こんなにたくさんあるんですか?1234…6つという事ですか?そうですね。
実は更にあってこれは顔の横から左側から見たイラストなんですけれどもこちらにも1対あって実は計8つ副鼻腔はあります。
ただ大きさは個人差がありますので必ずしもこういったきれいな形ではないんですが。
8つもあるんですね。
そうですね。
よく患者さんにご説明すると驚かれるんですけど実はそのぐらいたくさんあってこれらの副鼻腔は空洞になっておりまして鼻から息を吸ったり吐いたりする時空気が通る道の鼻腔といわれる所ですねこことつながっております。
でもよく考えると顔の内側に空洞がこんなにたくさんあるってどういう事なんでしょう?それは分かってはいないんですけれども声を反響させたり外からの衝撃を和らげるために存在すると考えられてはいます。
なるほど。
今日は副鼻腔が炎症を起こすという事になる訳ですか?何らかの原因で副鼻腔に炎症が起きるのが副鼻腔炎というんですけれどもこの状態が…それでは副鼻腔に炎症が起こるとどういう事になってくるんでしょう?副鼻腔に炎症を起こすと主な症状としては鼻水が出たり鼻づまりを起こしたり場合によってはにおいがしなくなる事もあります。
正確にはタイプによって異なるんですけれどもさまざまありますが注意すべき慢性副鼻腔炎はこの3つですね。
それでは今日はこの3つのタイプについて詳しく教えて頂きたいと思います。
まず従来の慢性副鼻腔炎蓄膿症ですね。
これについてお願い致します。
では従来の慢性副鼻腔炎いわゆる蓄膿症に関してご説明します。
慢性副鼻腔炎と診断された多くの方ほとんどの方はこれなんですけれどもいわゆる蓄膿症といわれるものなんですが従来の副鼻腔炎副鼻腔に膿がこういった青い所ここに膿がたまって緑色や黄色のドロドロした膿のような鼻水が出てくるというものです。
ちょっと脱線するんですけどそもそも鼻水ってどうして出てくるものなんですか?鼻水は鼻の粘膜に潤いを与えるために常に出てはいるんですけれどもウイルスや細菌などが鼻の中に入ってくると更にそういった量が増えて膿のような鼻水が出てくるような形になります。
そういう鼻水は8つあるうちのどの辺りの副鼻腔にたまりやすいとかそういうような傾向ってあるんですか?従来の慢性副鼻腔炎に関しては全ての副鼻腔に炎症を起こして起きるんですけれども実際にはこのほっぺたですねこれ上顎洞というんですがこういった所に膿がたまるケースが多いです。
そのためほお骨のあたりに強い痛みが出たりとかひどくなると鼻づまり鼻水が出てきたりします。
まずは一般的な蓄膿症について伺ったんですが今度は2番目ですね。
好酸球性副鼻腔炎ですか。
これについて教えて下さい。
好酸球っていうのは何でしょう?まずその好酸球っていうものは免疫に関わる細胞の一つでこういったものが過剰に働いて副鼻腔炎を起こしていると考えられてます。
ここ10年ほどで先ほどもお話ししましたとおり非常に増えてきている非常に問題になっている疾患なんですけれども。
どうして最近増えてきているんですか?これも明確には分かっていないんですが大気汚染等が原因になっているとはいわれております。
この好酸球性副鼻腔炎どういう病気なんでしょう?好酸球性の鼻水は特徴としてはこの鼻水がのりのような粘りけのある鼻水が非常に多いですね。
従来の慢性副鼻腔炎に比べて粘りけのあるムチンという成分が多く含まれているからだといわれております。
なるほど。
そうすると今までの蓄膿症などと違うタイプの鼻水という事になるんですね。
炎症を起こす副鼻腔の場所にも違いがあってこちらのイラストのとおり目と目の間ここですね。
黄色い所。
こちらに炎症を起こすのが非常に特徴的でそのために目の奥の痛みだとか頭痛だとかあとはにおいがしなくなったりこういった症状が出ます。
においがしないとよく風邪をひいたりするとなかなかもののにおいが分からなかったりするんですがそういう事でよろしいんですか?風邪の場合はすぐに治ってにおいもするようになるんですけれどもこの場合は長引いてしまうにおいがずっとしない状態が続いてしまいますので食べ物の腐敗とかガス漏れそういったものに気付かないとかそういった生命の危険に関わるような事があるので注意が非常に必要になります。
この鼻ポリープですよね。
これはどういうものですか?この鼻ポリープは鼻茸ともいわれているんですけれども炎症によって鼻の中の粘膜がキノコ状に水膨れになったような状態こういったものですね。
こんなに大きくすっぽり。
正常に比べて鼻がつまってるのがお分かりになると思いますがどのタイプの副鼻腔炎にもできるんですけれども好酸球性副鼻腔炎の場合は特にこういったものができやすいといわれています。
さあ今度は3つ目になりますけれども副鼻腔真菌症ですか?これはどんな特徴があるんでしょう?副鼻腔真菌症はカビが増殖して炎症を起こすんですね。
この右の画像こちらにカビの塊ができた所を捉えたものなんですけれどもどれがカビだと思われますか?当然この黒い所ですかね?実はこれ全てカビの塊。
全部そうなんですか。
そうですね。
時には直径4センチぐらいの大きさになるんですけれどもそれでも症状が出ない方も実はいらっしゃるんですね。
こうなるまで気付かれないという事も少なくはないのでこういった真菌は非常に注意しなきゃいけないんですがこのカビは対になっている副鼻腔の片側にできる事が多いので症状も片側の症状が多いです。
片側という事ですね。
こちらの片側ですね。
カビができるとどういう事になってしまうんでしょうね。
副鼻腔真菌症は大別をすると…非浸潤性の場合はこちらが実際には患者さんに多いんですけれども症状が出ない場合も先ほどお話ししたとおり結構あるんですが出る場合はこの悪臭を伴う鼻水やあとは炎症を強く起こしますので鼻血が出る事もあります。
先ほどでいうと片側という事ですね?浸潤性の場合にはカビの周りの組織を破壊するのでこういった高熱や激しい頭痛だけにとどまらず視力障害そしてひいては最終的には死に至る事があるので注意が必要です。
そんな厳しい状態になってしまうんですか。
それにしてもそもそもこういう事が起きる原因といいましょうかそれは何か分かっているんですか?一応原因としては従来の慢性副鼻腔炎いわゆる蓄膿症とか好酸球性副鼻腔炎に関してはウイルスや細菌などの感染が挙げられます。
感染なんですね。
あとは好酸球性副鼻腔炎の方に関してはぜんそくや薬剤アレルギーを持ってらっしゃる方が非常に多いのが特徴ですね。
なるほど。
真菌症はどうしてカビが生えてしまうんですか?体の中にはカビは我々必ずいるんですけれども原因は分かってないんですが何らかの原因でカビが増殖するといわれております。
更に重症化しやすい浸潤性の場合にはこういった方々免疫力が落ちてらっしゃる方多いんですね。
ですのでこういったストレスとか糖尿病こういったものがあったりあとはステロイドの長期投与ですね。
長期にステロイドのまれている方なんかは注意が必要になります。
真菌症の方というのは多くてらっしゃるんですか?非浸潤性の方は私どもの病院で手術をお受けになる方の大体20人に1人。
決して少なくはないと思いますね。
多いですよね。
ここまで3つのタイプについていろいろお話伺ってきたんですが本当に病気かなと思ったらやはり耳鼻咽喉科に行った方がいいという事になりますか?そうですね。
気になる症状があれば耳鼻咽喉科を受診して検査をして頂きたいんですね。
検査は…いろいろあるんですけれども問診で症状を伺いながらどの検査が適正か医師が判断する形になります。
中でもというと?この画像検査が非常に重要なんですね。
X線もありますけれども。
X線検査でも診断はつくんですけれども非常に情報量としてCTが有用だと思います。
なるほど。
CTの画像を見てみますとこんなに写るんですね。
これはそれぞれのタイプの副鼻腔炎の顔の正面を輪切りにしたCTの画像なんです。
こちらからお話ししますといわゆる蓄膿症ですね。
これは先ほど申したとおり全体に炎症を起こしやすいのでここに目があって鼻があってここに口があるんですけれどもこういったほっぺただとか目と目の間の灰色の部分これが膿とか炎症を示してますので全体的につまっているのがお分かりになると思います。
黒い所じゃなくて灰色のが。
黒い所は空気が含まれている所。
そうなんですか。
それに対して好酸球性の場合は目と目の間ですね目と目の間の部分こちらに非常に灰色の影がありますのでそれが特徴になります。
そうするとこれもここの所が空洞があってここの所目と目のこの辺りが膿とかたまっている所。
たまっている状態ですね。
副鼻腔真菌症の場合は先ほどお話ししたとおり片側の例えばこれほっぺたの洞窟に影がありますけれども特にこの白い所ですね。
こちらが我々石灰化と呼ぶんですがこれが真菌のカビの塊を示しております。
そういうふうにCTだと一目瞭然よく分かるという事なんですね。
はい。
今日は慢性副鼻腔炎のタイプ3つですね伺ってきた訳なんですけれども最後にメッセージをお願い致します。
慢性副鼻腔炎の多くは鼻水鼻づまりの症状が主なのでついつい風邪と誤解されてしまいがちなんですけれども放置していると集中力が低下したりとかあとはにおいがしなくなったりタイプによっては生命に関わる事もありますのでそうならないためにも気になる症状があれば耳鼻咽喉科を受診して頂きたいと思います。
治ると生活がガラッと変わるもんですか?生活の質は非常に向上すると思いますので。
においがして食事も当然おいしくなりますのでそういったクオリティーも上がりますし非常に有益だと思います。
そうですよね。
放っておかないで怪しいなと思ったら受診という事になってきますよね。
そうして頂ければ。
今日は3つのタイプをお伝えしましたが明日は治療という事でまた教えて頂きます。
どうもありがとうございました。
では今日はこの辺で。
2015/12/30(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 慢性副鼻腔(くう)炎「3つのタイプ」[解][字]
慢性副鼻腔炎はタイプにより症状や治療が異なる。従来の慢性副鼻腔炎(蓄膿症)・好酸球性副鼻腔炎・副鼻腔真菌症の3つが要注意。それぞれの原因や検査をアンコール紹介。
詳細情報
番組内容
顔の内側には8つの空洞(副鼻腔)があり、いずれかに3か月以上炎症が続くことを慢性副鼻腔炎という。炎症の原因はさまざまあるが、その中でも注意すべき3つのタイプがある。患者の多くは蓄のう症と呼ばれる従来の慢性副鼻腔炎だが、従来の薬では効果が得られない好酸球性副鼻腔炎や、気づかぬうちに副鼻腔にかびが生える副鼻腔真菌症の場合もあり、注意が必要。症状の違いや原因、効果的な検査法をアンコール紹介する。
出演者
【講師】東邦大学医療センター大橋病院教授…吉川衛,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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