マッサン 愛と冒険の日々をもう一度!「第8週〜第12週」 2015.12.30


・「なつかしい人々なつかしい風景」・「その総てと離れてもあなたと歩きたい」
(政春)親父〜!
(エリー)お父さん!父危篤の知らせを受け広島の実家へ駆けつけた2人。
親父…何で死んでしもうたんじゃ。
約束したじゃろうが。
わしが造った世界一のウイスキー飲んでくれる言うて…。
マッサン!何じゃ?見てみ。
親父!?足も生えとる。
親父生きとった〜!
(政志)ハハハッ。
(千加子)政春!やめって。
離れって。
あっ…離れ…。
あっああ…。
こ…腰が…。
もしかして…?
(島爺)医者を…医者を!
(早苗)一体何事じゃ!イタタタ…。
はいこれでええ。
あっイタタ…。
しばらかぁ寝かしとくしかなぁのう。
親父大丈夫か?はあ…。
これ。
(すみれ)「チチキトクスグカヘレ」!?何これ?何?イタタタ…。
うちが出したんじゃ。
ええっ!?今年の新米を住吉酒造の社長さんにお送りしたら奥様からご丁寧なお手紙が届いた。
「ご子息は三月も前にお辞めになったのにわざわざありがとうございます」。
こりゃどういう事じゃ?会社辞めたん?今どうしとるん?近所の食堂で皿洗いとか。
そがな仕事じゃやっていけんじゃろうがね。
ウイスケは造れんようなったんじゃ。
うちを継がん理由はありゃせん。
もうええわ!エリー行くど!まだ話は終わっとらん!・お取り込み中申し訳がんせん!痛っ!あっ…!おおおお!俊兄!誰?おお…学校の先輩でうちの酒蔵で働いてくれとるんじゃ。
ご無沙汰しとりますお坊ちゃま!「お坊ちゃま」?用は何ね?県の試験場の方が試験醸造の件で見えとってです。
「新しい酒米試してくれ」言うて頼まれとるんじゃ。
政春お前わしの代わりにやってみい。
何を?俊夫と一緒に試験醸造をやるんじゃ。
大阪へ帰ってもどうせ仕事はねえんじゃろ?そりゃええ考えじゃ。
政春の面倒みてやってつかい。
…かしこまりました。
私もこの家の仕事手伝います。
うちはあんたの事嫁としては認めとらん。
お母ちゃん。
何ね?この冬は女中が足りん言うて困っとったじゃろ?エリーさんに手伝うてもろうたらちょうどええんじゃない?エリーが女中たぁどういう事じゃ。
マッサン。
あ?大丈夫!ねっ。
私女中やります!嫁じゃない。
女中じゃけん。
はい。
頑張るで。
半年ぶりの広島の実家。
エリーはマッサンのお母さんにこの半年で覚えた日本の料理の腕前を披露して今度こそ嫁として認めてほしいと考えていました。
エリーさんすごいね。
お母さんもお願いします。
このみそ汁はいかん。
薄味じゃ。
亀山の味たぁ違う。
エリーさんとにかく食びょう。
はい。
ここはいかん。
この人は女中らと。
お母ちゃん。
第2ラウンドの始まりです。
・「浦はヨーホイ」・「七浦のヨーホイ」・「ヤレサノセーションガーエー」・「目出度」懐かしいのう。
歌?ん?ああ…ありゃ「もとすり唄」でがんす。
歌を歌いながら魂を込めて米と麹をすり込むと酒母といわれる酒のもとが生まれるんでがんす。
お酒のお母さんの歌。
うんうん。
エリーもうしばらくここに残ってもええかのう?久しぶりに活気のある蔵ぁ見たらがぜんやる気が湧いてきたいうか。
やっぱりわしゃ皿洗いなんかより麹とか発酵とかそがな匂いがする所が好きなんじゃ。
もちろんエリーが帰りたい言うんじゃったらすぐに大阪ズバ〜ン帰るけん。
私もバリバリ女中さんのお仕事頑張る!いかんいかん!掃く時は畳の目に沿って掃くんじゃ。
畳の目?目があるじゃろ目が!どこに?千加子千加子!ちいと来て!もうお母ちゃん疲れたわ。
これ教えたって。
もうしんどいな。
これが目じゃ!目!?そうよ。
目に沿って掃くんじゃって。
ちょちょ…!敷居を踏まない!ここは踏んだらいけんのじゃ!ああっ!すいません。
畳のへりもじゃ!ごめんなさい。
ええ加減諦めんさい。
あんたら2人そろうて間違うた夢みとるんよ。
間違った夢?政春が日本でウイスキー造りたいいうんもあんたが日本人の嫁になりたいいうんもどがに頑張っても実現せん間違うた夢なんよ。
あっイタタ…。
大丈夫でがんすか?おっイタタ…。
はあ〜当分動けんのう。
ああ…。
試験米蒸し上がったんか?はい。
ああっ…こちらです。
どれどれ。
(政志)う〜ん…滑らかでさばけがええのう。
はい。
これなら備前米に負けん酒が造れる思います。
よし。
試しに仕込んでみるか。
はい!失礼します。
あっほいで政春の事じゃがのう…。
ああ…。
蔵手伝わせてみ。
ちいときつい仕事させんと目覚まさんじゃろう。
かしこまりました。
よいしょ!よいしょ!よいしょ!よいしょ!よいしょ!よいしょ!何でこがな仕事…。
試験醸造はどうするんじゃ。
もちろんやりますで。
じゃけど今は蔵も仕込みの時ですけん。
併せて手伝うてもらいまさぁ。
わしゃ蔵人にはならんど!かばちをたれるな!よいしょ〜!・よいしょ!
(俊夫)よいしょ!何しょうるん?あっお姉さん。
私亀山の家の味勉強してます。
亀山の味?みそ汁の味。
私早くこの家の味覚えたいです。
腰が入っとらん!もっと力を入れて拭かんか!はいすいません。
できなかったら出てってもらうけ。
大丈夫です!頑張ります!頑固者。
(千加子)エリーさん。
(千加子)大阪じゃ昆布じゃった思うけどうちの場合はまずイリコでだしをとってみそはこのうちで仕込んだみそを使うんよ。
お姉さん…。
今日しか教えんけんしっかり書いとかんにゃいけんよ。
はい。
ありがとうございます。
・・「ああ安芸のヨーホイ」お母さんの歌。
お母さんの歌?うん…。
命の誕生の歌。
千加子さんの赤ちゃんも聞いてる。
お〜い聞こえとるか?マッサンもきっとお母さんのおなかの中で聞いてた。
(千加子)政春はいびきかいて寝とったじゃろう。
(エリー千加子)フフフッ…。
ウイスキーはうまいど!ありゃ未来の酒じゃ。
ハハハッ…。
ハハハッ…。
「絵に描いた餅」ですのう!何じゃと。
そがな西洋の酒日本で造れる訳がない。
造ったところで誰が飲むんです?みんなが飲むようになる。
甘ったれるのもええ加減にしてつかぁさい!ええ年して仕事もしとらんいまだに親のすねかじっとるお坊ちゃまが何でそがな西洋の酒未来の酒造れるんです?あ〜…。
「絵に描いた餅」じゃと…。
実現できん夢いう意味じゃ。
私たちの夢きっとかなう。
今はちょっとお昼寝してるだけ。
ねっ。
エリー…。
飲んで。
おお…うまいうまい。
亀山の味じゃ。
あ〜!お姉さんが教えてくれた。
姉ちゃんが?うん!お姉さんの所に行ってくるね。
うん。
お姉さん?うっ…あっ…。
・マッサン!マッサン助けて!生まれるんか?多分…。
どうしたん?お姉ちゃん!千加子お嬢さん!お産婆さん呼んできて。
どこの産婆じゃ?隣村のトキさんでがんす。
おい島爺!はいはい。
すみれきれと布団持ってき!私が行きますね。
(早苗)千加子…。
持ってきました。
すみれ。
はい。
布団積んで千加子を…。
布団載っけて。
触らんでいい!私のパパお医者さんでした。
赤ちゃん生まれる時手伝った事もあります。
ねっ。
う〜っ…。
大丈夫か?う〜ううっ…。
お姉さんこれ。
ん?抱いて!ギュ〜ッと!ギュ〜ッと。
そうそう…。
・・「安芸のヨーホイ」お姉さんお酒のお母さんの歌が聞こえてますよ。
・・「ヨーホイ」・・「ヨイヤーナーヨイヤーナー」ゆっくり合わせて。
・・「七浦のヨーホイ」・・「ヤレ七恵比寿」そう…。
息んで!
(早苗)しっかりせえ。
う〜っうっ!お前が生まれた時も難産でのうお母ちゃんもだいぶ苦しんどったわい。
こがな時男は何にもできんのう。
(産声)あっ!生まれた!千加子ようやった!
(2人)万歳!あれ…?親父!あ?腰は?ハハハッ…!姉ちゃんよう頑張ったのう。
男の子。
エリーもご苦労さん!男の子かいのう。
あれ?お父ちゃん腰は?ん?うれしゅうて治ってしもうたわ。
(笑い声)赤ちゃん抱いてもいいですか?抱いてやって。
ええか?疲れたわ。
寝る。
初めまして。
エリーです。
かわいいのう。

(千加子)政春。
・ん?・
(千加子)この家に帰ってきた方がええんじゃない?何で姉ちゃんまでそがな事を…。
あんたらだって考えとるんじゃろ。
自分らにもし子どもが生まれたらいうて。

(千加子)普通の子でさえ子育ては骨が折れる。
ましてあんたとエリーさんの子は…。
この家におりゃみんなで助けてあげられる。
・じゃけどお母ちゃんにはそがな事は…。
(千加子)ウイスキーの事はきっぱり諦めてこの酒蔵継ぐって言うたらエリーさんとの事もきっと許してもらえる。
エリーさんのためにもこれから生まれてくる子どものためにも絶対その方がええって。

(千加子)エリーさんええ人じゃ。
いつでも一生懸命であんたの事一番に考えて。
あがなええ嫁さんほかにゃおらんで。
わしとエリーは自分らの考えで生き方を決めた。
じゃけど…生まれてくる子どもはそがな事は関係なしにわしらの勝手な都合で生まれてきて…髪の毛の色や…肌の色が違ういう事でいじめられる。
差別もされる。
分かる…分かるよ。
私ずっとここで暮らしてもいいよ。
マッサンがそれでいいなら私はついていく。
(早苗)何じゃ?話いうのは。
わしとエリー…この家に帰ってこようか思うて。
いつか生まれてくるわしらの子どものためにもその方がええかと思うてのう。
ウイスキーは諦めるんか?命を懸ける言うたんは誰じゃ!ええ?子どもにかこつけて弱音を吐くな!お母ちゃん…お母ちゃんじゃったら分かってくれるじゃろ?政春…よう改心した。
じゃがあのおなごは嫁にはでけん。
帰ってくるんならお前一人じゃ。
それがでけんのなら…大阪に去ね。
な…。
お母ちゃん!
(政志)政春。
蔵を手伝え言うたんはのうお前に前を向いてほしかったからじゃ。
汗をかいてほしかったからじゃ。
人生はのう思いどおりにいく事ばぁじゃなぁど。
頭で考えてうまくいかん時はとにかく体を動かして汗をかいてみるんじゃ。
まだ見えん時はもうちいと汗かいてみい。
ん?わしにもやらしてつかぁさい。
気まぐれは困るんでがんすがのう。
俊兄お願いします!ほれ。
ありがとう。
入れますで。
はい!くそ〜!こがな半端な気持ちのままじゃわしゃ…親父にはなれん。
わしらの子どもに会わせる顔がなぁわ。
だけど…いつもマッサンがいてくれた。
だから私たちが愛し合っていれば子どもの事を愛してあげればきっと何があっても大丈夫!マッサン…安心して。
ウイスキー造って!ウイスキー!
(早苗)何が頑張るじゃ。
大阪で何にもする事がないのにどうやって頑張るんじゃ。
お母ちゃん…。
これはあんたがうちで女中さんとして働いてくれた給金じゃ。
うちは女中をタダ働きさせるようなおなごじゃなぁで。
こんなバカタレと別れてこれを旅費にして国へ帰りんさい。
また会いに来ます…お母さん。
うちはあんたのお母さんじゃなぁで!お母ちゃんみそ汁どがいな?いつもと同じじゃ。
エリーさんがこしらえていったんよ。
(すみれ)えっ?道理でうまぁないと思った。
(政志)ハハハッ…。
(2人)・「ヨイヤーナーヨイヤーナー」
(エリー)マッサン鴨居商店に行こう!ウイスキー造るには大将に頭下げるしかないでしょ。
(政春)それしかなぁのう。
大将〜!待ってて〜!何が何でもウイスキー造ったるど〜!・「なつかしい人々なつかしい風景」・「その総てと離れてもあなたと歩きたい」
(紺野)我が鴨居商店太陽ワインのポスターがなんと…ドイツの世界ポスター品評会で1等賞になりました!
(規子)今日は受賞記念の餅まき大会です!
(鴨居)おお…何しとんねん。
何や今日も一段と辛気くさい顔しとるのう。
あっ…ちいと大将に話が…。
わてに話?実は…。
(紺野)大将!お願い致します。
おお今行く!ちょっと待っててくれ。
なっ。
皆さんに太陽ワインをかわいがってもろたおかげで鴨居商店は今日も商いさせてもうてます。
(拍手)ええど!近い将来皆さんのどぎもを抜く新しい酒をお届け致します!新しい酒って何て酒や?今スコットランドまで手ぇ広げて国内の大学教授も巻き込んでわての右腕になってくれる男を探してんねん。
ほんでお前の話は?エリーちゃん元気か?実は…。
あっそや!ええもん飲ましたる。
何ですか?これ。
今度売り出す新商品の「ウイッキー」や!何じゃこりゃ!?ウイスキーと炭酸水混ぜたんですか?
(鴨居)ええあんばいやろ〜。
何でウイスキーを薄める必要があるんです?飲みやすいからや。
これ原酒は何です?それは秘密や。
身内でもないお前に教えられるか。
いよいよ始まるで〜。
(黒沢)大将英会話の先生がお見えだす。
これからは世界を相手に商いせなあかんからな。
失礼します。
何や話あったん違うんか?けったいなやっちゃな。
マッサンお帰り〜!どうだった?あがな奴の会社に入ってもウイスキーは造れんわ。
何があった?やっぱあの人はな〜んも分かっとらん。
ウイスキーの事をバカにしとるとしか思えんわ!それに…大将はもう別のウイスキー技術者を探しとる。
見つかったの?それはまだじゃけど…。
マッサンには技術がある。
大将はお金あるけど技術ない。
2人で一緒にやればいい。
もうええって。
わしゃ大将んとこにゃ行かん!ミスターアンドリュースが?
(黒沢)今日東京からこっちに向かうさかい着いたらその足で寄ってもええ言うんだす。
アンドリュースに会えるんやったらほかの予定は皆キャンセルしてくれ。
承知しました。
おはようございます。
おはようございます。
エリーは通訳として鴨居商店に呼ばれました。
エリーちゃん!ホホホ〜ッ!すごい!
(鴨居)本当に?本当に!今更何言うてますねん。
もちろんです!何でや?エリーちゃん?日本がもしおくれてるとしたら日本のすばらしさを世界にまだ気付いてもろてないいう事でんな。
あんたの手助けはもういりません!ミスターアンドリュースはお帰りや。
プリーズ。
(鴨居)塩まいとけ!今最後にマッサンの事言うてたんか?大将お願いします。
もう一度だけマッサンにチャンスを下さい。
お願いします!
(桃子)もてなし?はい。
どうすればいい?私最高のもてなししたい!
(キャサリン)誰を?
(桃子)いつ?
(梅子)何で?鴨居商店の大将をうちに招待して…。
日本ではそういう場合ちゃんとした場を設けな。
どこにある?おっよっしゃ。
一遍連れてったるわ!やった!あの鴨居商店の?キャサリンが紹介してくれたのは料亭でした。
一つ教えて下さい。
ここいくらかかりますか?やっぱりエリーの言うとおり家でもてなすんがええん違う?大丈夫です。
え?こんな時のために使わないで取って置いたお金あります。
へそくりあんの?ヘソクリ?お母さん…マッサンのためにへそくり使わせてもらいます。
(鴨居)ウイスキー事業に関する予算見積もりの総額は…200万や。
200万円!?この不景気にそないな大金…。
なんぼ太陽ワインが売れてるいうても3年分いや…それ以上の売り上げに相当しますで。
不景気や言うたな。
ほんなら太陽ワインにしがみついてただ指くわえてんのか?どないや?攻め続けてこその鴨居商店やと思とります。
(白井)いやしかしウイスキーは仕込みから蔵出しまで少のうても5年はかかるんでっしゃろ。
そやから今すぐにでも始めなあかんねん!大将お客様がお見えです。
ん?エリーちゃん!大将またお願いがあります。
何や?何でわしが頭下げんにゃいけんのじゃ?当たり前でしょ!え?大将の話ちゃんと聞かせてもらってマッサンのやりたい事ちゃんと伝えるんでしょ!世の中不景気じゃ。
ほんまにウイスキーなんか造れるんかのう?ああ〜マッサンの事全然分かりません。
何じゃ?あ〜ユーソー…面倒くさい!面倒くさい言うな!大将は必ずウイスキー造るって言ってた。
もしわしが頭下げてこう下げてこれでウイスキー造れなんだらわしの頭こう下げ損じゃろうが。
小さい。
マッサン器が小さい!そがな日本語どこで覚えたんじゃ。
キャサリン!キャサリン…。
エリーはたくましゅうなった。
わしゃえらい嫁さんもろうたもんじゃ。
じゃのに…わしゃず〜っと止まったまんまじゃ。
そしていよいよ鴨居との会談の日。
わざわざありがとうございます。
…んな他人行儀な。
わてとエリーちゃんの仲やないか。
おおきに。
マッサンの事よろしくお願いします。
まるで日本の嫁はんやな。
…んでマッサンは?・お連れ様がお着きでございます。
(ふすまが開く音)エリーは?外でお待ちになるそうです。
できた嫁はんやで。
旦那を立てて気ぃ利かして。
(鴨居)ほな話聞こか。
えっ?わしから?
(鴨居)お前から話がある聞いたからここへ来たんや。
ほうじゃった。
大将は本気でウイスキーを造る気はあるんですの?世界中をアッと驚かせたる!大将はそもそも何でウイスキーを造ろう思うたんです?洋酒には昔から興味持ってた。
わては14で道修町の薬種問屋にでっち奉公出されたんや。
その問屋がある時から舶来の葡萄酒やブランデーを扱うようなったんや。
それで興味を?
(鴨居)いつかこんなハイカラな酒を自分の手で造ってみたい思うようなった。
大将はどがなウイスキーを造りたい思うとります?本場に負けへんメイド・イン・ジャパンのウイスキーや。
メイド・イン・ジャパン?この日本を元気にさせたいんや!メイド・イン・ジャパンか。
(キャサリン)エリー。
もうマッサンの事が心配で心配で…。
シシッ!まだまだ…。
大将乾杯しましょう!これからわしらが造る本場のウイスキーです。
乾杯!おっ!あ〜うまい!
(鴨居)う〜ん。
せやけど日本人にはちょっとピートのクセが強すぎるな。
わてらが造るウイスキーはもうちょっとピート臭を抑えなあかん。
わしゃピートの臭みがあってこそのウイスキーじゃ思うとります。
ピートはウイスキーの命なんですよ。
重要なんはピートだけと違う。
原料の大麦や水…。
ピート臭がなけりゃウイスキーとは違う!いや…誰もピートは要らんとは言うてへん。
もうちょっと日本人の口に合うように改良した方がええと言うとるんや。
やっぱり分かっとらん!お前ここへ何しに来たんや?え?エリーちゃんにさんざん心配させて頭下げさせて。
エリーは関係ないでしょうが。
(鴨居)とんだ期待外れやったわ。
へじゃもう帰ってもらって結構ですわ!
(鴨居)何?わしゃのうあんたの言いなりになる気はありません!押すな押すな…。
イタタタ…足足!ああっ…。
(一同)ああ〜!ああっ!うわ〜!何やっとるんじゃ!マッサン…。
エリーちゃん残念やな。
どうやらわてら水と油や。
水と油…?どういう意味?そこの石頭の猪に教えてもらい!石頭の猪!?大将待って!あの…オイルアンドウォーターじゃない。
2人は絶対うまくいく!あの人はウイスキーの事なんかな〜んも分かっとらん。
分かってないのはマッサンでしょ?どんなウイスキー造るか?鴨居商店に入ってから話し合えばいいじゃない?
(戸をたたく音)・
(ヨシ)マッサン!おヨシさんこらえてつかぁさい!家賃は近いうちに必ず!
(ヨシ)家主さんお呼びや。
住吉学院の先生?化学の教師が急に辞める事になって代わりの先生を探してるそうなんですわ。
月給100円でどうかと。
そがいにもらえるんですか?ちょっと考えてみませんか?はい…。
ほな蒸溜所の事もよう知ってる日本人が?信頼できる男です。
ただ…その男が言うには2年ほど前までスコットランドまでウイスキーの造り方を勉強しに行ってた日本人がおったそうです。
えらい熱心に修業してスコットランドのウイスキー業界でも有名やったとか。
名前が確か…亀…。
亀山政春。
ご存じでしたか。
いやその男なら日本でも造れるんやないか言うてました。
決めたど。
わしゃやってみよう思うんじゃ。
鴨居商店で?住吉学院の先生じゃ。
どうして…。
わしらも暮らしていかんにゃいけんじゃろうが。
ウイスキーは?どうするの?月に100円もらえりゃ蓄えもできる。
毎月ちいとずつためていつか自分の工場を…。
ハッハハッ…何十年かかる?ウイスキー造る前に死んじゃうよ!わしゃこれ以上エリーを苦しめとうない。
お金ない仕事ないでも私平気。
これまでだってやってきた。
わしが働くのを何で反対するんじゃ。
そがな嫁は日本にはおらんわ!何も分かってない。
私の気持ち分かってない!わしじゃってこれでええとは思うとらん!じゃけど…どうすりゃええんじゃ。
マッサンのアホ!アンポンタン!アンポンタンはどいつや?あっ大将…。
大将!開けてみ。
何ですか!?これ。
(鴨居)4,000円ある。
鴨居商店の人間になれ。
何で今更…。
金魚のお告げや。
わてにはお前の技術が必要や。
日本でウイスキーが造れるのはお前しかおらん。
それにお前こないだ「あんたの言いなりになるつもりはない」と言い切った。
その頑固さが欲しい!わてにはお前が必要なんや!ついてこい!わての秘密基地や。
こりゃ…わしが持っとらん地質学や蒸溜技術の本まで…。
この樽は?昔まだ太陽ワインを売り出す前に使いもんにならんアルコール入れてほっといたんや。
ところが2年前ふと思い出して開けてみたら中身はまるで別物のように良質なアルコールに変わっとった。
こないだの「ウイッキー」の原酒はこれなんや。
わては2年前この樽の酒を飲んだ時目覚めた。
時間をかけて熟成する酒を造りたいと思た。
まるで魔法や。
神の御業や。
これがわてが本気でウイスキーを造りたいと思った原点や!マッサン!やってみなはれ。
本気なんですね?2人でメイド・イン・ジャパンの新しい時代作ったろやないか!はい!お願いします!こちらこそ!
(島爺)旦那様!奥様!
(政志)やかましいのう何事じゃ?坊ちゃんとエリーさんが!
(すみれ)えっ!?お久しぶりでございます。
実は折り入って話いうか…。
親父にもお母ちゃんにも喜んでもらえる話じゃ。
お兄ちゃん大事な報告いうて何?どっから話そうかのう?
(早苗)そんなもん聞かんでも分かるじゃろう。
お母ちゃん分かるんか?よう決心した。
お母ちゃんにそう言ってもらえるとは。
エリーさん。
はい。
国へ帰ったら親孝行しんさい。
な〜んの話をしとるんじゃ?2人とも別れる決心したんじゃろ?違う違う違う…!何を言っとるんじゃお母ちゃんは!マッサンがウイスキーを造る会社に入る事になりました。
ウイスキ?わしゃようやっと鴨居商店いう会社に入れてもらえて本格的にウイスキーが造れる事になりました。
(拍手)えかったねお兄ちゃん!何が「鴨居」じゃ!えっ知らんか?太陽ワインの鴨居商店。
広島じゃ誰も知らんわ!・
(島爺)旦那様。
何じゃ?大阪からお荷物が届きましたで。
こちらでよがんすかの?このお手紙が一緒に。
誰から?
(政志)鴨居欣次郎。
大将だ!おお鴨居の大将じゃ!
(政志)「これはほんのご挨拶代わりです」。
政春も安う見られたな。
みかん1箱じゃ。
残りもこちらへお持ちしてようがすか?
(早苗)残り?
(政志)おいおいまだあるんか?これでしまいでさ。
全部で十箱でがんす。
十箱!?
(すみれ)すご〜い!お母ちゃんわしが鴨居商店に入れたんはエリーのおかげなんじゃ。
これからも2人で力を合わせて頑張っていきます。
何で喜んでくれんのじゃ?日本人はウイスケは飲まんけん。
お母ちゃん…。
早う大阪去ね。
お母さんに頂いたお金マッサンのために使いました。
ありがとうございます。
エリーさん何度も同じ事言うようで悪いけど外国人はうちの嫁にはなれん。
何で外国人に生まれたんじゃ。
日本に生まれなかったんじゃ。
お母さん私は日本人にはなれない。
よく分かりました。
だけど私マッサンに日本でウイスキー造ってほしい。
マッサンしか造れないウイスキー造り応援したい。
だから私マッサンと生きていきます。
うちはなあんたのお母さんとは違う。
・お母ちゃん!エリーはのうエリーは最高の嫁さんじゃ。
世界一の嫁さんじゃ。
痛っ。
バカタレ!男のくせにのろけおって。
早う大阪去ね!何じゃ…。
大丈夫?ありがとう。
私日本人の心を持ったスコットランド人になりたい。
のうエリーずっとずっとわしの嫁さんでおってくれ。
どうしようかな〜。
何ね?フフッ。
(エリー)・「春が来たどこに来た」・
(政春)帰ったど!えっ!あ〜お帰り!ああただいま!見つけたど。
見つけた?北海道じゃ北海道!北海道!?・「なつかしい人々なつかしい風景」・「その総てと離れてもあなたと歩きたい」これ見てみ。
どっかに似とると思わんか?スコットランド。
ほうじゃ!気候もスコットランドそっくりなんじゃ。
わしゃここに…ウイスキー工場を建てたらええ思いよる。
私も行ってみたい日本のスコットランドに!鴨居商店で始まるウイスキー造りに向け夢膨らむマッサンとエリー。
きれい。
ええじゃろう。
どうじゃ?すごくいいよ。
似合う!わしゃエリーに何かプレゼントしたいのう。
プレゼント?わしが鴨居商店入れたんはエリーのおかげなんじゃしわしゃこれまで苦労かけっ放しじゃったけん。
もしプレゼントしてくれるなら…。
一つだけ。
何ね?当てて。
ほうじゃのう…。
ガスか!…ガスすてき。
でもぜいたくでしょ?ほうじゃ!ミシンもそろえるか?金はなんぼかかっても構わんど!ありがとう。
でもマッサン…。
あっほうじゃこんな時間じゃ!なら行ってくるけん。
人の話ちゃんと聞かない。
悪い癖!
(桃子)…でエリーちゃんのほんまに欲しいもんは何?秘密。
(キャサリン)何やもったいぶって。
(梅子)あっけどガス引くんやったらへっついさんは邪魔やな。
いっそのこと…改築したらええねん。
カイチク?
(鴨居)今日から正式にうちの従業員になる…鶴山や。
亀山です!フフフ…。
ハハハッ…。
亀山政春通称マッサンや。
ウイスキー部門を全面的に取りしきってもらう。
ウイスキー工場が出来たら工場長に就任してもらうつもりや。
よろしくお願いします!
(拍手)ガスを引くだけやのうてキッチンは土間からシャ〜ッと板張りにしてもう何もかも思いっきり欧米風に!うちが仕切ったるわ!ほなうちの信ちゃんにやらしたって。
大工の腕は確かやで〜!早速信ちゃんに相談しよう!よう出来てるがな〜。
ありがとうございます!あとは工場の場所と職人の確保です。
わしゃこの北海道が一番ええ思うとります!適度な寒冷地で乾燥し過ぎず水質にも恵まれ原料であるピートが取れる。
空気水気温湿度そして原料この全てを兼ね備えとる場所は北海道だけ。
分かった。
よし!職人に関してはどう考えてる?広島から蔵人を連れてきたいと思うとります。
やってみなはれ!それとは別に新たな人材を募集してみよう思とる。
もちろん工場長にも立ち会うてもらう。
分かりました!何でも思いどおりにやってみ!北海道に下見に行ってきてもええですか?北海道には行かんでええ。
えっ?時間も費用もかかり過ぎる。
大阪の近くで探してみてくれ。
わてがお前を誘ったんはどんな状況でも最高のウイスキーを造ってくれると信じたからや。
マッサンは大阪周辺で工場に適した場所を探し回ります。
三島郡の吹田北河内郡の枚方武庫川沿いの小林。
そして京都と大阪の境にある山崎です。
いずれも水質においてはそれぞれよさはありますが…。
山崎にしよう!北に天王山を背負い木津川桂川宇治川の3つの川も合流しとる。
なんぼええ水が出てもピートが取れる北海道にゃかないません!
(紺野)ピートやったら輸入もできるんちゃいますか?
(白井)輸入で十分や思います。
輸入物のピートでもウイスキーは造れます。
じゃけど大事なんはピートが取れる土地の空気ピート層をくぐり抜けて湧きだす水なんです。
灘の銘酒が灘の宮水を使うてええ酒を造り出したように全ての酒は水と環境がものを言うんです!なるほど。
お願いします。
行かしてつかぁさい!
(キャサリン)ずばり今回の改築のテーマは「モダンアンドゴージャス」!玄関をドアにしたいです。
キッチンのへっついさん外してガスを引きます!ふすまと障子もやめてドアにします。
(信ちゃん)西洋風の家は寒暖の差が大きい日本の風土には合わへん。
ふすまや障子で間仕切りされとるんは日本が夏は暑うて湿気がきつい。
冬は寒うてかなわんからや。
日本の家は生きとんねん!ちょっと待って。
よく分からない。
あんた大工やろ?注文どおり仕事したええねん。
(白井)亀山はん何を考えてんねん。
何で大将をそそのかすような事を言うんや。
「そそのかす」?この計画がどれだけ危ない事業か分かってるんか!国産初のウイスキー工場を造るんです!最高のウイスキーを造るためにわしゃ…。
(紺野)北海道の何を知ってるんです?行かれた事あるんですか?それは…いろいろ調べて…。
大将の右腕として採用されたあなたが根拠のない事で盾ついてたら計画は前に進まへん。
大将を信じてよう考えて動いてもらわんと。
負けんど。
絶対負けんけぇのう。
(規子)順番に面接致します!鴨居商店採用面接の日。
全部で何人や?
(紺野)30人ほどです。
ほな3人ずつにしよか。
1人ずつの方がええでしょう。
時間かかり過ぎる。
「時は金なり」や。
(時計の時報)
(黒沢)それでは面接を始めます。
大宮大吉27歳。
前は昆布問屋で働いてました。
何で鴨居商店に?
(鴨居)大宮大吉君!何かないんか?芸は?歌でも踊りでも何でもええで。
口笛を吹いてもええですか?
(口笛)芸は…暗算です。
え〜願いましては51円なり62円なり73円なり84円なり95円なり106円なり117円なり128円では?716円です。
正解です。
腕相撲なら負けた事がありません。
おどりゃぁ!あれっ…くっ…。
あっああ!ああ…あっ!何何何?よいしょ!痛い痛い痛い!何するんじゃ!ハッハハ〜やりよんな。
ハハハッ!ほな採用は暗算の小野と腕相撲の中村。
口笛の大宮も雇っとこ。
何ちゅうても大宮大吉やぞ!名前も名字も末広がりで縁起がええ。
そがな理由で?商いは運を味方につけなあかん。
ところで工場はどないなってる?施工する業者のあたりついてんのか?はい。
模型を用意しとります。
早よ見せんか!作業の順にこっちから。
大麦を発芽させる発芽室。
発芽さした大麦を乾燥させる乾燥室。
ポットスチルがあるのはどこや?ここの蒸溜塔です。
あかん!場所が悪い!え?いやこれは言うたら心臓部やろ。
ええ。
ここやないな。
ええっ…。
いやいやちょっと。
あかんあかんあかん…。
えっえ…?ああ…こうやこうや。
うん。
いや何で?何となくや。
こらあかん。
このポットちゃんの横の通路もうちょい広う取れんか?ここですか?
(鴨居)ポットちゃんが通路からもよう見えるように広げてほしいんや。
ここはわしら職人が蒸溜度合いを見るためだけの通路ですけん。
とにかく広げてほしいんや。
通路を広げるとなると敷地全体もっと広げんと。
ほなそないしてくれ。
こうこう…。
こんなん要らんわ。
あ〜…。
うわ〜完璧じゃ!
(佐渡)あんた待ち切れへんから試しで造ってみたんや。
ありがとうございます!ハハハッ。
鴨居の大将も豪快な男やな。
いきなり現れて「もっと早よ造らんか〜い!」て。
どないしたんや?ええ?いつもの勢いがないやないかい。
わしの言う事なす事全部ひっくり返されてしまう。
何が気にくわんのかわしにはもうさっぱり…。
ほんならポットスチル「虎形にせえ」なんて言いださんやろな?いやほんまに言いかねませんあの人は。
ハハハッ。
ハハハッ。
まあな太陽ワインで天下取った男や。
それなりに考えてんのやろ。
お前も負けとらんともっと気張らんかい!わしはどこまでもあんたの味方やで。
なっ。
お散歩行こう!散歩?お仕事行く前にお散歩!もう今日仕事は行かんでええんじゃ!どうして?工場用地の下見じゃ。
どこに?大阪の山崎。
じゃあ…山崎に行こう!わしゃ北海道が一番ええ言うとるのに。
マッサンなら山崎でもきっとおいしいウイスキーが造れる!山崎がどこにあるか知らんくせに余計な事言わんでくれ。
ねえマッサン!こないだ信ちゃん私に日本の家の事教えてもらった。
寒い土地暑い土地雨のよう降る土地。
いろいろある。
そやけど日本人はその土地土地に合わせて工夫しながらその土地の自然と共に生きてきたんや。
その土地の自然と共に生きている。
そうマッサン言ったでしょ。
日本の魅力がギュッと詰まったウイスキーを造ってみたいと思うとります!山崎の魅力がギュッと詰まったウイスキーをきっと造れる!いける。
絶対いけるで!うん!おいしい!うまい!よかった。
じゃけどそれだけじゃウイスキーは造れん。
「ウイスキーは造れん」。
駄目!何するんじゃ!冷たい冷たい冷たい…!やっと…マッサン笑った。
いつも難しい顔ばかり。
スコットランドでマッサン違った。
いっぱいいっぱい笑ってた。
パパ亡くして…私生きる理由なくなってた。
でも…マッサンの笑顔に勇気もらった。
勇気もろうたんはわしの方じゃ。
いっつもエリーの笑顔がわしを支えてくれた。
わしが北海道行きたい言うたんはウイスキー造りのためだけじゃなぁ。
あの写真を見せた時エリーが笑うてくれたけんじゃ。
きれい。
エリーのあの笑顔が…わしに力をくれたんじゃ。
初めて聞いた。
そがな事言わんでも分かるじゃろう。
分からない。
ねえプレゼントの答えまだ聞いてない。
たった一つのプレゼント。
ベビー。
何じゃって?私…赤ちゃんが欲しい。
わしも…欲しい。
本当?ありがとう!エリーあれ見い。
霧じゃ!まさか大阪にこがなとこがあったとは…。
木津川宇治川桂川この3つの川の合流地点には濃い霧が発生しやすい事が分かりました。
湿度が高いと寒暖の差も少ないし貯蔵したウイスキーの蒸発度合いも低う抑えられます。
良質な水も湧きだしとりました。
ほんまにすいませんでした。
大将がこれ全部見抜いとった事をわしゃ…。
そやない。
わてが山崎を選んだ理由は水でも湿度でもない。
決め手は一つ。
鉄道や!列車の中からも工場が見える。
毎日大勢の人に工場を見てもらう事は最高の宣伝になる。
いずれウイスキー造りが軌道に乗ったら自由に工場見学してもらおう思てんねん。
へじゃ蒸溜塔の脇の通路を広げてくれ言うたんも…。
ポットスチルの脇を大勢の人に見学しながら通ってもらうためにな。
わてらが心を込めて造っとる酒やいうのを感じてもろて世間に広めてもらう。
そうせなウイスキーの時代なんか作られへん!あの人はまるで…火星人じゃ。
でもよかったね!マッサンはおいしいウイスキー造る事考えるでしょ。
うん。
大将はたくさんの人に飲んでもらう事考える。
大将とマッサンは最高のコンビ。
へじゃ明日から行ってくるわ。
どこに?山崎じゃ。
寂しい。
日本で初めての世界で一番うまいウイスキー造るためじゃ。
エリーが一番先に飲んでくれるんじゃろ?そう!そうそうそう。
分かってます。
フフフッ。
そして自宅の改築工事も無事に終わり…。
(一同)おお〜!ついたついた!ありがとう!おっおお〜!どうなっとるんじゃこれ。
湿度を程よう保つためにふすまと障子は残したんや。
へえ〜!日本のいいところいっぱいいっぱい残した。
ミシンもオルガンも買うたんか?キャサリンが一緒に見に行ってくれたの。
どっちも最高級品やで。
まだお金払てへんからちゃんと払いに行ってや。
よっしゃええどええど!ええ?これ何じゃ。
ハイカラでええやろ〜。
シャンデリアの家に住む事はうちのドリームやったんよ。
せっかくここまではええ具合じゃったのに!あんたらにはな芸術が分からへんねん。
何が芸術じゃ!・
(キャサリン)モダンでゴージャスでええやない…!久しぶり。
(戸が開く音)・ごめんつかぁさい!はい!おおっ俊兄!えっ何で?
(俊夫)「何で?」たぁどういう事です?わしゃ頼まれたけん大阪くんだりまで来たんですがの!「頼まれて」?俊夫さんわざわざありがとうございます。
エリーどういう事ね?荷物置かしてつかぁさい。
どうぞ!何じゃこの家は!えっ…。
手紙書いたの。
お坊ちゃまは知らんかったんですか?俊夫さんに手伝ってもらいたい。
親父とお母ちゃんはどう言うたんね?
(すみれ)「政春さんは俊夫さんにウイスキー造りを手伝うてもらいたいと言ってます。
お父さんからお願いしてもらえないでしょうか」。
ええ〜っ!?
(早苗)お前がここにいたかったらいればええし大阪に行きたかったら行ってもええ。
お前の好きにせえ。
わしとしてはのう気の進まん俊兄を無理やり引き止める訳にはいかんし本格的にウイスキー造り出すんは工場が出来てからじゃ。
帰ります!えっ!?バカにするのもいい加減にしてつかぁさい!とにかく大将に会ってみて!エリー!大将?うん。
山崎工場の技師長に?洋酒にも興味持ってはるんか?洋酒にゃ特に興味はありまへん。
ほなウイスキーは?飲みたいとも思いまへん。
俊兄!へじゃが…酒造りには誰にも負けん自信がありまさ。
なんぞ芸あるか?何でそがな事せんにゃいけんのです?芸をせにゃ雇うてもらえんなら雇うてもらわんでも結構でさ!気に入った!えっ何が?おもろい!はあ!?クセが強うて口も減らん。
マッサンのええ相方になりそうやないか。
冗談言わんでつかぁさい。
わしゃたとえ一緒に仕事したとしてもこがな甘えん坊のお坊ちゃまとベタベタ仲良うする気はありまへん!ハハハッ!おもろい!やってみなはれ!はあ!?そして時は流れ…。
オーライオーライオーライ!ストップ!ストップじゃ!ほなはめるで。
お願いします!ええどそのままそのまま…!いけいけいけ…。
あっいったいったいった…。
お〜!
(拍手と歓声)やったやったで。
やったで。
俊兄。
おめでとうがんす!ありがとう!痛い痛い…お坊ちゃまお坊ちゃま。
エリー!ほれやったど!おめでとう!ありがとう!私もできた。
何が?赤ちゃんができちゃったの!ええ〜っ!?ウイスキー工場と新たな命。
2つの喜びが重なり未来は輝いていました。
パパマッサン。
パパ。
ママ?はい!・「なつかしい人々なつかしい風景」・「その総てと離れてもあなたと歩きたい」ウイスキー工場が完成した日エリーの妊娠を知ったマッサン。
(エリー)大丈夫!私病気じゃない。
夕飯の支度するね。
(政春)いやいや…わしがやるけん座っとってくれ。
もうバラ…バラずし作ってある。
マッサンの工場が出来たお祝い。
エリー…ほんまにええ嫁じゃのう。
(鴨居)お〜にぎやかやないか。
これだけ樽が並ぶと壮観やのう!もうじきこれにわてらのウイスキーが詰め込まれるんか。
わしらの夢のゆりかごです。
根気よう面倒見て世話焼いて丹精込めてええあんばいに育ててやらんと。
同じ蔵で育てても樽一つ一つに違いが出てきます。
それぞれの持ち味を組み合わせて初めてええウイスキーが出来るんです。
なるほど!よっしゃ!近いうち相談がある。
相談!?こんにちは!
(秋)いらっしゃい!
(春さん)珍しいのう2人そろうて。
あっ手つないどる!え?夫婦が手つないどるのがそがぁに珍しいですか?
(2人)チアーズ!・「ハッピーハッピーハッピータッタラ」
(鴨居)えらい上機嫌やないか。
あっ大将?言うたやろ相談があるて。
わてのせがれ。
立派な息子さんじゃないですか。
英一郎君は将来何をしたいんです?このとおりはっきりせん奴でな。
鴨居商店から日本初のウイスキーが産声をあげよういう時にこいつを遊ばしてんのはどうかと思てな。
まあちょっと学校休ませてこの歴史的な瞬間をしっかり見せる事にしたんや。
お父さん働くとこ見るすごくいい。
でなこいつをマッサンの弟子にしてほしいんや。
わしの弟子?エリーちゃんには英語の先生になってもらいたい。
ほんでもってここに住み込みでお願いしたいんや。
ええっ!?ちょっと待ってつかぁさい。
エリーは今のう…。
センキューベリーマッチ!エリー…。
でも一つ聞いていいですか?英一郎君は…どうしたい?
(英一郎)ご迷惑でなければ…。
ほな決まりや!早速今晩から頼むわ。
今晩!?いやいや…大将!いや〜参ったのう〜!大将らしいね。
ああ。
一度言いだしたら人の意見は全く聞かない父の気性はお二人もよくご存じや思います。
お二人にはなるべくご迷惑にならないようにします。
掃除や洗濯は自分でやります。
食事はお二人とは別に。
英一郎君…ようしゃべるじゃなぁか。
僕の事も必要以上に干渉しないで下さい。
この部屋じゃ。
英一郎…困った事あったら何でも言って。
日本語本当お上手ですね。
フフフ…。
あっ英語も明日から?英語できるじゃなぁか。
エリー…わしゃどうも苦手じゃ。
エリーは今大事な体じゃし余計な気ぃ遣うたりして体調でも崩したら…。
大丈夫!きっと仲良くなれる!家もにぎやかになって楽しいでしょ?エリーはほんまにいっつも前向きじゃのう。
翌朝。
英一郎?おっ…。
おはよう。
おはようございます。
何してる?お米どこにありますか?手伝ってくれるの?いえ…自分の弁当の分です。
上手!母をよう手伝うてましたから。
お母さん喜んでるでしょ?10年前に亡くなりました。
へじゃ行ってくるわ!2人とも行って帰り。
(桃子)住み込みで英語とウイスキー造りを?
(キャサリン)またやっかいなお荷物預かったな〜。
(梅子)なかなかの男前やったやん。
フフフッ…はい。
ところでゆんべ何の乾杯やったん?乾杯?それそれ。
おっ…。
え?どした?あ〜!
(2人)ええっ!?エリー大丈夫?…はいごめんなさい。
(2人)ハッハ〜ン!よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
貯蔵庫の樽をみんなで手分けして1号倉庫に移すど!
(一同)はい!よっしゃ行こう!
(俊夫)大将のご子息の事ぁわしらどうお呼びすりゃいいんですかの?英一郎で結構です。
鴨居と呼ばれるのも不愉快です。
(俊夫)不愉快…?
(一同)よいしょ!よいしょ…!英一郎。
おい。
僕も手伝うんですか?あの人たちのミステイクでしょ?誰にでも失敗はある。
みんなで補え合やええじゃろうが。
一致団結できんようじゃったら…やめてもらう。
分かりました。
手伝います。
やるど!おい声出せ声!
(一同)はい!まっすぐなんじゃお坊ちゃまは。
ええ意味でも悪い意味でも。
がっかりです。
欧州に留学されてたんならもっと知的で合理的な考えの方と思ってたのに封建的で古めかしい全体主義で。
こりゃいろいろありそうじゃのう。
これええじゃろ?ええ?こっからわしらの夢が生まれるんじゃ!夢は何ね?僕の将来を決めるのは僕やない。
全て父が決めるんです。
鴨居商店継ぎとうないんか?父は僕の事を認めてませんから。
そんなに大将が嫌いか?大嫌いです。
どこでどう間違えたんや。
英一郎…ビックリした。
お手伝いします。
魚焼きます。
お〜英一郎手伝うてくれとるんか。
はい。
(戸が開く音)・
(キャサリン)エリーちゃ〜ん!ああっ!えらいこっちゃえらいこっちゃえらいこっちゃで〜!何なんです?騒々しい。
こひのぼりが…。
とにかく来て!あんたも!僕も!?みんな急いで!春さん!秋ちゃん!
(一同)おめでとう!
(拍手)マッサン!何でお前教えてくれんかったんじゃ。
何でって…。
キャサリン!まさか…。
(キャサリン)乾杯!
(一同)乾杯!
(春さん)広島の実家にもこれで大手を振って帰れるのう!ええ!どうして?日本ではな嫁はんは子どもを産んでなんぼみたいなとこがあんねん。
「子は鎹」。
(春さん)夫婦げんかしてものうかわいい子どもがおったら仲直りできるいう意味じゃ。
きれい事です。
(春さん)え?
(英一郎)そうやない夫婦もいます。
お先に失礼します。
何でやの。
ごはん食べていき。
みんなわしらが世話になっとる身内みたいなもんじゃ。
うちで居候するいう事はここで過ごすのも込みじゃ。
(春さん)おっそれで赤ん坊の名前決めたんか?いや…。
気が早い。
エリーに似た子やったらええけどな。
どういう意味ですか?
(巡査)そもそもその子どもは何人になるんや?
(春さん)そがな事はどうでもええ。
春さんに言われたらしまいやで。
どういう意味じゃ!
(笑い声)どうでもよくないです!いじめられるでしょうね…。
日本は島国やから。
肌の色や髪の毛の色が違う人に対して偏見がある。
「お前何人や」って言うでしょ。
そのとおり。
エリー…。
子どもの事心配してる。
エリー…。
でも…英一郎偉い!どこが偉いんです?自分の思った事ちゃんと言える。
英一郎は私たちの子どもの事心配してくれた。
ありがとう。
エリーさん…。
(キャサリン)心配せんでええ。
いじめられるような事があったらうちらが黙ってへん!当たり前じゃ!わしがいじめたガキの所へどなりこんで雷ピカピカピカ〜ッて落としたるわい!
(笑い声)
(巡査)わしがそのガキ逮捕したる!
(泣き声)どうしたんじゃ?
(泣き声)エリーには英一郎の胸の奥に広がる寂しさがひしひしと伝わってきました。
英一郎なぜ泣いた?周りの人たちが本気でエリーさんの子どもの事を心配してみんなで守ろうとして…。
あったかいね。
僕という人間を褒めてくれた事も。
エリーさんは強くて温かくてすてきです。
ホホホッ。
そんなエリーさんがどうして工場長と?マッサン?僕は苦手です。
どこが?まっすぐなところ。
はいハハッ…。
マッサンいっつもガ〜ッと熱くなってもう止まらない。
猪みたい…でしょ?ハハハッ…。
まさに猪です。
でも優しい猪。
一生懸命頑張る猪はすてき!趣味悪いです。
ひどい!言いたい事何でも言えって。
そうね。
何でも言って。
(黒沢)奥様の命日の事だすけどそろそろちゃんとお話しすべき頃合いやないかと。
まだ子どもや。
坊ももう二十歳だす。
大将が独立してこの鴨居商店を開いた年になります。
もうそないになるか…。
(英一郎)父は心のない人です。
まだ太陽ワインが出来上がるかどうかという頃…僕の母は胸を患って入院しました。
よう来てくれたね。
お母ちゃんの好きなお芋の煮っ転がし。
僕が作ったんやで!おいしい!お父ちゃん来た?お父ちゃんは今大事な時やから。
来てへんのや…。
死の間際になっても顔を出さなかった人でなしです。
僕は父のような人間にはなりたくありません。
(戸が開く音)ただいま!始めるど!何を始めるんです?英一郎…ほんまにやりたい事はないんか?工場長のような志はありませんから。
何を言うとるんじゃ。
わしゃず〜っと思うとったんはいつか親父を超えてみたいいう事じゃ。
憎いなら憎いでもっともっと嫌いになってズバ〜ン超えたったらええんじゃ!無理ですよ。
何でじゃ。
もっと自分に自信を持たんと!英一郎を探しとる求めてくれとる人がこの世の中には必ずおる!部屋に籠もって一人で飯食うとっても誰とも出会えんど。
お〜ええ具合じゃ!持たんか。
はい。
ほれ〜!赤ん坊のゆりかごじゃ。
すごい!英一郎のおかげじゃ。
英一郎ありがとう。
僕は間違うてました。
猪にはフランクでフレンドリーな一面がありました。
・邪魔するで。
大将!おめでたの事何で言うてくれなんだんや。
いやいや…。
ビックリして飛んできたんや。
英一郎待て!話がある。
何ですか?あっエリーちゃんわてからの祝いや。
ハハハッ!あ〜大将ありがとう!話て何ですか?ん?まあ待て。
急ぎやないなら僕は2階に行ってます。
「待て」言うとるやろ。
相変わらず自分勝手ですね。
何!?お父さんの勝手な思いつきのせいでみんなが迷惑してるんです。
何も迷惑じゃない。
親に向こうてその言いぐさは何や!いつも自分だけが正しいと思わんといて下さい!英一郎!待て!どこでどう間違えたんか…。
わては病気の嫁はんほったらかして仕事ば〜っかりしとった。
英一郎はそれを恨んどる。
どうしようもない父親かもしれんけどあいつを一人前にしたらなあかん。
2人からやったらいろんな事学んでくれると思てここに預けたんや。
大将も人の親なんじゃのう。
親になるのは大変ね。
ああ。
いつか3人で行こうのう…スコットランドに。
うん。
マッサンのウイスキーが出来てから。
そりゃもうすぐじゃ。
フフフ…うん!英一郎今日は一緒に下で晩飯食わんか?・英一郎。
何か上で食べる言うて。
じゃあ3人上で食べよう!え!?いやいや待て待て待て。
じゃったらわしが上に持ってくけん。
大丈夫!気ぃ付けよ。
は〜い。
英一郎!今夜は2階でピクニックよ!英一郎!
(階段から落ちる音)エリー!おいエリー!大丈夫か!?エリー!エリーさん!早よ医者呼べ!
(英一郎)はい!しっかりせえ!
(泣き声)エリー。
大丈夫じゃ大丈夫!わしがおる!エリー…。
先生…エリーは?
(医師)おなかのお子さんは残念ですが…。
今は奥さんも危ない状態です。
すぐ診療所に。
(看護婦)先生。
大丈夫ですか?もう大丈夫でしょう。
ただし油断はできませんのでこのまましばらく入院してもらいます。
マッサン…。
大丈夫じゃ。
アイムソーソーリー…。
心配すな。
(泣き声)すいません!僕のせいです。
僕が2階で食べるて言わなんだら…。
ごめんなさい!わしも一緒じゃ。
エリーを止めてわしが2階に持っていっとりゃ…。
・わしのせいなんじゃ。
こないな時こそマッサンやからできる事がある。
マッサンが笑てんとエリーちゃんはどないもならへんで。
はい。
前向け!笑うんじゃ。
はい…。
エリー。
しばらく休みをもらえる事になったけん。
どうして?私一人で大丈夫。
わしの事は気にすなって。
エリーは自分の体が元気になる事だけ考え。
エリーさん!ほんまにすいません!申し訳ありませんでした!「笑え」言うたじゃろうが。
英一郎何も悪くない。
私おっちょこちょいだったから私悪い。
いつかきっと子どもはできる。
今度は絶対元気に生まれてくれる。
2人で一緒に乗り越えていこう。
ありがとう。
英一郎も…ありがとう。
(医師)旦那さん少しよろしいですか?まだ貧血が見られます。
日常生活には支障はないでしょうがエリーさんは血液の量が人より少ないんです。
今後もし妊娠したとしても出産までもつかどうか…。
出産となると母体はかなり危険にさらされると思います。
今後出産する事は難しいでしょう。
わしらこがぁに一生懸命…真面目に生きとるのに。
何で…こがぁにむごい仕打ちを受けんにゃいけんのじゃ。
(泣き声)何でじゃ!・「なつかしい人々なつかしい風景」・「その総てと離れてもあなたと歩きたい」
(エリー)英一郎…私まだ家に帰れない?もうしばらくここにいた方がいいって先生が…。
そう…。
(キャサリン)ごはん持ってきたで。
あんたも一緒に食べよ。
パパ。
(政春)ママ?はい!頂きます!頂きま〜す!うんおいしい!戻ったど!
(キャサリン)遅かったやないの。
すまんすまん。
わしの握り飯どうな?おいしい。
元気になってまたベビー授からんとな。
うん。
英一郎ちいと茶くれ。
はい。
おっありがとう。
ほなうちも息子と一緒に帰るわ!キャサリンありがとうございます。
頑張って早よエリーをママにしたらんといかんで。
はい…。
何で退院でけへんのやろ?さあ…僕は…。
あんたら何か隠してる。
白状しい。
もしまた赤ちゃんができたらちゃんと産みます。
もう階段上らない。
ずっと家で寝てる。
済んだ事はもうええ。
早よ忘れて元気にならんと。
大丈夫?わしゃ大丈夫じゃ。
どうした?便所行ってくるわ。
言える訳なかろうが…。
マッサンはエリーに真実を告げられないまま退院の日となりました。
久しぶりじゃろう?うん。
やっぱりみんなで食べる一番おいしいでしょ。
エリーさんの笑顔が一番のごちそうです!ホホッ!そんなに私の事好き?大好きです!おいおい…何を旦那様の前でイチャイチャしとるんじゃ。
お前がおってくれて助かっとる。
昼間エリーと2人じゃの何か居たたまれんいうか…。
やっぱり早うほんまの事を…。
わしには無理じゃ。
工場長…工場は今大変な事になってます。
(俊夫)こりゃ濁り過ぎじゃ。
何でじゃ?あ〜もう無理じゃ!
(鴨居)来月にはこの山崎工場のお披露目会を行う。
悪いのは父です。
「お披露目会の日程は絶対に日延べできない」って。
せやけど工場長は気にせんといて下さい。
いっそ2人でスコットランドにでも里帰りされたらどうです?スコットランドは無理じゃ。
何でですか?行くだけでも二月近うかかる。
エリーさんと仕事どっちが大事なんです?ここまで来て操業止める訳にはいかん。
同じですね。
家族が傷ついてても仕事仕事。
何のための家族なんですか。
わしがいつ…エリーの事考えとらん言うた?ウイスキーは…エリーとの夢でもあるんじゃ。
(ノック)
(黒沢)失礼します。
坊がお話あるそうで。
お披露目会を日延べして下さい!何でや?工場長はまだまだエリーさんのそばにいるべきです。
お披露目会は予定どおりやる。
話はそれだけか?さっさと仕事戻れ!
(英一郎)やっぱりあんたは鬼や。
そうやって母さんをほったらかして仕事仕事。
あんたが母さんを殺したんや!お前は何も分かってへん!分かってへんのはあんたや!エリーさんは…もう二度と子どもを産めないんですよ。
(黒沢)どういう事だす?その事エリーちゃんは?まだ何も知らはりません。
お願いします!お披露目会を日延べして下さい!お披露目会は予定どおりや。
マッサンにも明日から仕事に戻ってもらう。
わてからじかに伝えるわ。
黒沢上等な肉買うてきてくれ。
かしこまりました。
何を言うてはるんですか!話は済んだ。
仕事に戻れ。
いつまで隠すつもり?エリーがまた子どもを産む事を望んでる以上いつか分かる事なんやで。
乗り越えなしゃあないやん。
よう分かっとります。
ただ…エリーがかわいそうで。
一緒におってもわしゃな〜んもできん。
マッサンには…ラブがある。
その強いラブさえあったら絶対乗り越えられる!マッサンお願いある。
子どもが生まれたら北海道に行きたい。
一緒にスコットランドにも行きたい。
子どもに私とマッサンが出会った場所ちゃんと知ってほしい。
どうした?エリー…子どもは…もう望めん。
産んだらいけんのじゃ。
わしらはもう…子どもを作れんのじゃ。
うそでしょ?わしじゃてうそだって思いたい。
どうして教えてくれなかったの!どうして?マッサン!おいエリー。
(泣き声)黙っとってすまん。
わしらは…助けられたんじゃ。
もしあのまま産んどったら命を落としとったかもしれんいうて先生言うとった。
わしらの子がエリーの命を…助けてくれたんじゃ。
これからその子の分まで一生懸命生きんにゃいかん!2人に。
カツレツや。
明日から工場を頼むと伝えてくれ。
何を言うてるんですか?聞いてたんやないんですか?お母さんの事思い出した。
え…?お父さん!明日から工場長に仕事に出てほしいと。
お披露目会は予定どおりやるそうです。
何?初の国産ウイスキー造りが始まる事を日本中にお披露目するんじゃ。
すごいよ!さすが大将!じゃけど明日からは…。
駄目!何言ってる!ウイスキーはマッサンと大将の夢でしょ?やっと始まる!2人とも明日からちゃんと行って!行かないとこの家から追い出す!分かった?ああ…。
今日からまたよろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
ポットスチルに火がともるのを楽しみに待ってくれとる人がおります。
(俊夫)みんな粉砕室に移動!
(一同)はい!
(梅子)おはようさん!
(桃子)おはよう!おはようございます。
(梅子)エリーちゃんこれなお肉もろてん。
ほれお裾分け。
(桃子)うちはこれ。
肉より野菜をぎょうさん食べた方が子宝に恵まれやすいんやて。
なっ。
元気出していこな!ごめんなさい…。
(足音)
(キャサリン)ハ〜イ!エブリバデー!うちも子どもでけへんねん。
…んで前の日本人の旦那とはそれで離縁する事になってん。
でもうちはもう乗り越えたで。
今は幸せいっぱいや。
どうして幸せいっぱい?その秘密はな…マッサンが知ってる。
マッサンが?マッサンと一緒におったら必ず分かる時が来る。
はい…。
今日は英一郎のおかげでのうええ麦汁が取れたんじゃ。
(英一郎)工場長や技師長の厳しい指導のおかげです。
バカタレ!そがなもんばっかり見とってどうするんじゃ!
(英一郎)造り酒屋の蔵人やった技師長の物の見方捉え方それはほんまにすごい。
お坊ちゃまの言われとったのはこの辺りじゃ。
へじゃ3番なら同じ透明度でろ過を早める事ができるかもしれん。
実際に現場で経験を積んで培った感覚を毎日教えてもろてるんです。
僕も職人になりたいと思いました。
スコットランドに行って一から本場のものづくりを学んでみたいと思てます。
工場がうまい事回りだしたら時間がとれるかもしれん。
3人でスコットランド行ってみようか?3人で一緒に行こう。
おいどした?あれ?ハハッ。
何で?ごめんなさい。
ポットスチルに初めて火がともるお披露目会まであと一月。
マッサンの指揮の下急ピッチで準備が進んでいます。
どけどけ!邪魔じゃ邪魔じゃ!おお〜!お披露目会間に合わんど!
(鴨居)こない大変な時にマッサンを馬車馬みたいに働かせてしもうて申し訳ない。
大丈夫。
英一郎とマッサン毎日元気。
分かってた?マッサン元気になれば私も元気になる。
かなわんな〜。
まるで嫁はんや。
何でもお見通しや。
英一郎のお母さんどんな人?優しい嫁はんやったな。
ハハハッ…やめとこやめとこ。
エリーちゃん聞き上手でかなわんわ〜。
もうちょっとで素っ裸にされてしまうとこやった。
大将…英一郎の前で裸になって!お母さんの事話してあげて。
やっぱりこの方が見栄えがする。
(俊夫)わしら職人は見栄えのために働いとるんじゃなぁですで!中身で勝負じゃ中身で!のう?英一郎!はい!坊も何や顔つきが変わられましたな。
よし。
よっしゃもうちいとじゃ!
(戸が開く音)お〜すまんすまん待たせてしもうて。
どないや?いろいろと勉強させてもろてます。
おもろいか?僕は職人になります。
工場長や技師長のようにものづくりを極める職人を目指します。
お母さんも喜んでくれるな。
え…?
(鴨居)英一郎お披露目会の日はお母さんの命日や。
どうしてもその日に報告したかった。
報告…?
(鴨居)あのころちょうど太陽ワインを売り出す時でな。
わてはお母さんに言うたんや。
「太陽ワインの発売は日延べしよう思てる」て。
そしたらお母さん「あかん。
あんたの夢がかなったらうちは必ず元気になるから。
約束する」て。
約束する。
(鴨居)わてはお母さんとの約束信じてがむしゃらに働いた。
そやけどお母さんは…ようなる事はなかった。
「英一郎たちの事よろしくお願いします」て。
「もうすぐ太陽ワインも出来んのやで!」。
そしたらお母さんビックリする事言いおった。
「あんたの夢はもっと大きいはずや」。
日本中をアッと驚かせてくれるんやろ?そない言うて…逝ってしもうた。
お母さんがわての夢を支えてくれた。
わてはいつも2人分夢を追いかけてるんや。
わてはやっと日本中を驚かせる事ができる。
何で今まで…一度も言うてくれなかったんです?お前が一人前の男になれば分かってくれるやろと自分に言い訳してきただけや。
すまんかった。
やってみなはれ!お父さん…。
(鴨居)アホ!男は人前で泣くもんやない。
(泣き声)
(鴨居)泣くなアホ!お披露目会は必ずうまい事いく。
うん。
実は今日種子さんにのう…。
養子もらう気ないか?本気ですか?もちろん本気や。
赤ん坊は日本人じゃ。
実の親じゃないいう事は周りから言われてからかわれるかもしれん。
マッサン…子ども…やっぱり子ども欲しい…でしょ?誰かと結婚したらパパになれる…。
何を言うとるんじゃ!エリーは誤解しとる!わしゃエリーといたい。
ずっとずっと一緒にいたい。
それに…もうすぐ生まれてくるじゃろうが。
ウイスキーじゃ。
わしらの夢が…もうすぐ生まれてくるんじゃ。
エリーがそばにおったらわしゃ何もいらん。
アイラブユー。
いよいよお披露目会の日。
(鴨居)この蒸溜釜からの熱気が感じられますでしょうか。
その熱をこれから皆様にお届けします!
(拍手)わての話はこれぐらいで。
このあとはわてのせがれに任せたい思います。
えっ!?
(拍手)あとは任せた。
行ってこい!我々の造るウイスキーにはラブがたくさん詰まっております。
大勢の人が汗を流し傷つき…涙を流しでも…ラブに支えられ今日という日を迎えた事を僕は学びました。
我が社のウイスキーには人をいとしんだ時間が詰まっています。
これからここで造られたウイスキーは長い時をかけてじっくり熟成されていきます。
私たちもこのウイスキーと共に成長していきたいと願っています。
これからも鴨居商店をよろしくお願いします!
(拍手)ええ挨拶やった!ありがとうございます!私…お母さんになりたい。
子ども育てたい。
(早苗)あのバカタレ何を言うてきたんですか?
(政志)養子をもろたらしいのう。
えっ!?おなごの子でエマいうて名付けたそうじゃ。
何考えとるんじゃ。
気ぃ付けよ。
3人で幸せにラブいっぱいの家族になろう。
何かいろいろ思い出すね。
エリーはどのシーンが一番印象深かった?いっぱいあるけど一番好きは…あ〜いいセリフだったね。
はい。
マッサンは?マッサンは…全部かな。
That’sunfair!ずるい!2015/12/30(水) 10:12〜11:54
NHK総合1・神戸
マッサン 愛と冒険の日々をもう一度!「第8週〜第12週」[字]

マッサンとエリーが帰ってきた!連続テレビ小説「マッサン」を第8週から第12週までダイジェストでお送りします。鴨居商店に入ったマッサンはウイスキーを作れるのか!?

詳細情報
番組内容
新たな職につけないまま広島へ帰ったマッサン(玉山鉄二)とエリー(シャーロット)。そこでマッサンは日本酒造りを手伝い、失いかけていたウイスキーづくりへの情熱を思い出す。鴨居(堤真一)に頭を下げ鴨居商店へ入社したマッサンはウイスキーづくりに適した場所を探し求め、ついに山崎の地にたどり着く。そんななか、エリーに新たな命が宿り大喜びのマッサンは工場建設に一層まい進するが、二人に思いも寄らない悲劇が…。
出演者
【出演】玉山鉄二,シャーロット・ケイト・フォックス,八嶋智人,濱田マリ,西田尚美,早見あかり,高橋元太郎,浅香航大,江口のりこ,志賀廣太郎,佐川満男,前田吟,西川きよし,泉ピン子,堤真一 ほか
原作・脚本
【作】羽原大介

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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