(鳥居勘三郎)
8年前京都府警察本部薬物対策課の高矢淳一刑事が何者かに刺殺された
高矢刑事は覚せい剤の密売ルートを追っていた
警察は密売人の犯行と見て捜査を進めたが確たる物証は挙がらず事件は迷宮入りし8年の歳月が流れた
そして…
(木内俊夫)全部で980円になります。
はい。
(高矢令子)成人おめでとう。
(新成人達)ありがとう!
(木内)どうもありがとうございました。
610円です。
ありがとうございました。
どうもありがとうございました。
(七尾洋子)こんにちは令子さん。
あっ洋子さんいらっしゃい。
(木内)毎度どうも!へえ…手作り弁当?そう。
これが1個390円で女性にはちょうどいい量。
男性なら2個がオススメね。
2人で3個ならいろいろ楽しめるし。
ええと…これとこれとこれください奥さん。
あっ私達まだ結婚してませんから。
でもそろそろなんですけどね。
あらそろそろっていつ頃かしら?手ごわい人のお許しが出たら即。
ふふふ…。
あっいらっしゃいませ。
おばんざい弁当5つください。
おばんざい。
ええと…あっじゃあこちらへどうぞ。
すいません。
あっはい。
彼宮田時計店の職人さんなの。
老舗の時計屋さん?そう。
まだ修業中の見習いです。
お店が近くなんでお昼時だけ手伝ってくれてて。
手ごわい人って時計屋の大将?ふふ…私の父です。
うわ最強…。
はあ〜父親もいろいろね。
うちのパパなんて結婚しろしろってうるさいのに。
洋子さんのお父さんって?警察官。
もう同じ職場だから面倒くさいことが多くって…。
…令子さん?どうした?警察の人だったの…。
うん。
(柿原利治)わかったんだよ。
高矢の旦那があん時何を言いたかったのかがやっとな。
うわっ!ああ…!うう…ああ…!
(釣り人)うわっ!
(兵藤兵吾)ガイシャは柿原利治60歳。
住所不定無職。
3日前に京都刑務所を出所したばかりです。
(兵藤)殺人未遂罪で懲役8年。
柿原は一匹狼のチンピラヤクザでして8年前に酒場でケンカして相手をあいくちで殺そうとしたのを止められてその場で緊急逮捕。
そしてムショに。
(茅野太一)その8年前の柿原が殺そうとした相手なんですけれども暴力団関係者でした。
堂本組構成員金森厚志30歳です。
(高岡俊介)暴力団とチンピラヤクザ…。
課長こりゃ金森のお礼参りで決まりですね。
(村井信治)結論を急ぐな高岡。
会沢君。
(会沢桂子)はい。
腹部を鋭利な刃物で刺され失血死です。
(吉川新平)刃物か…。
殺しですね。
ええ。
それから水もかなり飲んでました。
もしかしたらガイシャはこの川の上流のどこかで襲われ腹部を刺され川に転落。
(吉川)半死半生のまま流されて岸に這い上がり力尽きたと…。
(星野康夫)ちなみに金品を奪われた形跡はありません。
死亡推定時刻は?
(桂子)昨夜の8時から10時の間だと思われます。
う〜んやっぱりお礼参りかな?ねえおみやさん。
かもね。
まったく…。
過去のヤマにしか興味がないんだから…。
まっだからお宮入りの「おみやさん」なんだけど。
(兵藤)気になるのはガイシャの柿原が腕時計を握り締めて死んでいたということです。
腕時計…?桂子さん…。
はい!桂子さん腕時計握り締めてたの?はい。
鳥居君!頼むから資料課は口出すな!はい柿原本人の腕時計です。
会沢君!でも検出された指紋が柿原本人のものだけだったのでホシの手掛かりにはなりそうもないんです。
あっおみやさん何かピーンときました?
(机をたたく音)こら!頼むからこっちに集中しろ!はい!何ですか?おみやさん。
僕が直接かかわったヤマじゃないんだけどね…。
「京都府警察本部刑事殺害事件」ガイシャは京都府警察本部薬物対策課高矢淳一刑事。
8年前の1月16日刺殺体となって発見された。
8年前…?そう。
高矢刑事は覚せい剤の密売ルートを追っていた。
捜査本部は売人の犯行と見て捜査を開始。
容疑者として名前が挙がったのが…堂本組構成員金森厚志。
でも証拠はなし。
事件はお宮入りか。
その時捜査本部が注目し結果としてモノにできなかったものが…。
自分の腕時計を握り締めて?その日はすごい雨だった。
どんな手掛かりを残しても雨で洗い流される…。
そうとっさに判断した高矢刑事は…。
ダイイングメッセージ。
そのダイイングメッセージが8年後にまた…?会いに行くか?誰に?真澄さんに。
何で真澄?
(堀真澄)いやっおみやさん!おお真澄さん元気だった?それが元気じゃなかったのよ。
風邪ひいちゃってさ…。
もうこのノド見てよほら。
…ここ見てもわからないけどさ。
おみやさんが全然会いに来てくれないからノドがすねちゃったの!どこ行くのよもう…。
おみやさんのお目当ては薬物対策課みたいよ。
薬物対策課?うん。
私も連れてって!えっ何で?あそこにさおみやさんと一緒で独身のナイスミドルがいるのよ。
林課長っていうんだけど。
私彼のこと「リンリン」って呼んでるの。
リンリン?そう。
ほら「林」って「りん」って読むでしょ?だからリンリンって。
で向こうが「マスリン」って…。
リンリーン。
リンリンマスリンって言うてるん…。
(林まさる)高矢刑事のヤマをもう一度洗いたい?ええ。
実は昨夜柿原利治というヤクザ者が殺害されました。
柿原が…?林課長柿原をご存じなんですか?柿原は昔高矢刑事が使っていた情報屋です。
情報屋?ええ。
もう少し詳しく話していただけますか?はい。
さあどうぞ。
柿原は8年前ちょうど高矢刑事が殺害された事件の直後容疑者と見られた売人堂本組の金森という男に付きまといましてね。
あいくちで切りつけてそれで刑務所に。
動機は何なんです?高矢の敵を取りたい一心だったと思いますよ。
情報屋がデカの敵を?高矢は人一倍男気のある男。
柿原は昔かたぎのヤクザ。
高矢と柿原の間にはデカと情報屋以上に何というか…心の交流みたいなものがありましてね。
そうですか。
あの柿原が…。
あの…腕時計を握っていたんですが。
柿原がですか?ええ。
高矢刑事と同じように。
高矢と…。
当時の8年前の事件の関係者に話を聞きたいんですがどなたか紹介いただけますか?高矢には一人娘がいます。
一緒に行きましょう。
ちょっと出かけてくる。
あと頼むぞ。
でも課長…。
課長…。
席あけちゃっていいんですか?
(林)令子は警察嫌いです。
話を聞くなら私も一緒のほうがいい。
レイコ?あっいつもそう呼んでるもんですから。
さあ行きましょう。
ここです。
(チャイム)高矢は私の相棒だったんですよ。
(林の声)同い年だし馬も合った。
家族ぐるみで付き合いもしてましてね。
(令子)はーい!ああおじ様!どうしたの?令子さん!?
(令子)柿原さんなんて人知りません。
会ったこともないしうちに来たこともないです。
お父さんから名前聞いたことないですか?ありません。
父は仕事の話をうちで一切しませんでした。
家族を顧みなかった男ですから。
令子…。
おじ様だって知ってるでしょ?母の入院もお葬式も私の成人式も高矢刑事は仕事を優先させた。
(林)そういう言い方はやめなさい!父はすべてを投げ打って献身的に働きました。
なのにその父が亡くなった時警察は…。
(令子の声)父の遺体も帰ってこないうちに手掛かりを探すためだって家の中をかき回して…。
娘さんですね?確認してもらいたいものが。
これ高矢刑事のですよね?高矢刑事が刺された直後彼はこの時計を…。
(泣き声)つらいでしょうがちゃんと見てください。
高矢刑事はこれにどういう意味を込めて…。
仲間の家だぞ!もっと丁寧に扱え!わかった。
結婚を許してくれないお父さんって林課長?俊夫がおじ様のこと手ごわいって言ってたわよ。
ありがとうございましたどうも。
あっ毎度どうも!フリーターに令子を嫁がせるわけにはいかんよ。
フリーターじゃありません。
時計職人です!
(林)まだ見習いだ。
でももうすぐ親方の許可も出て独立できそうだって。
そういうセリフは独立してから本人から聞きたいね。
おじ様の頑固親父!
(林と令子の笑い声)すいません。
結局1日付き合わせてしまって…。
(林)いやこれは捜査です。
私も高矢のヤマをこのまま葬りたくはなかった。
私バツイチでしてね。
高矢と同じように私も家庭を顧みなかった。
仕事に使命とやりがいを感じていた。
それが妻には耐えられなかった。
ある日突然離婚届を残してまだ小さい娘を連れて北海道の故郷へ去ってしまいました。
ですから高矢の娘のことが他人とは思えなくて…。
自分の娘にしてやれないことを令子にあれやこれやと…。
今思えば父親の役割を高矢から奪っていたのかもしれません。
そのせいで高矢と令子の溝は埋まらないままに…。
生前高矢さんはそのことを何か?気にするなと笑ってました。
半人前の父親でも2人いれば一人前になる計算だとあいつは…。
親友だったんですね。
お2人。
(小池仁美)どうしはったん?洋子ちゃん。
今日は全然食べはらへんのやね。
林さん!林さんはどうして令子さんと木内俊夫さんの結婚に賛成なさらないんですか?えっ?8年前のヤマと今度のヤマダイイングメッセージは時計。
木内俊夫さんは時計職人。
ダイイングメッセージは木内さんを指しているんじゃないかってうすうす疑っているから賛成なさらないとか。
(2人の笑い声)何ですか?何おみやさんまで!いやいやいや…。
洋子らしい大胆な推理だと思ってごめんごめん…。
いや失敬。
あまりにも直結的だから。
木内君は職人です。
腕一本でちゃんと令子を食わせていけるかそれが心配なだけですよ。
本当にそれだけが理由ですか?本当に?そうだな…。
すいません。
洋子のは推理っていうより山勘に近いですから。
いや賛成しないのは本当は娘のような令子を他の男に取られたくないエゴかな…。
あっエゴですか…。
ええ。
私のエゴです。
あのダイイングメッセージは木内君ではないと思いますよ。
彼が時計店へ見習いで入ったのは5年前。
高矢や柿原とは一面識もない。
令子さんと木内君はどうやって知り合ったんですか?実は私令子の成人式に記念の腕時計をプレゼントしたんですがね。
林さんが?はい。
それが故障して令子が修理に持っていった時計屋にいたのが木内君だったというわけで。
ああ…馴れ初めの端緒は林さんですか。
ええ。
出会いのきっかけを作った者としてはやはり結婚に賛成すべきだとは思っているんですよ。
令子も28だしそろそろね…。
お嫁さんか…。
(福島重夫)空振りやったね。
そう…。
林さんまだ令子のお父さんの事件追っかけてるんだ。
うん。
あっありがとう。
いただきます。
なあ令子。
うん?その情報屋の柿原って男の事件俺も追っかけてみようかな?俊夫が?うん。
手掛かり見つけて少しでも林さんの役に立てればもうちょっと俺認めてもらえるかも。
よしてよ!刑事の真似事なんて。
もしも手掛かりが見つかれば令子のお父さんの8年前の事件だって何か進展するかもしれないしさ。
えっ…?俺わかるんだ。
令子お父さんのことあんまりよく言わないけどよく言わない分ホントは大好きで何であんなことになっちゃったのか誰よりも知りたがってる。
明日でちょうど8年…。
令子の中には止まったまんまの時間がある。
俺それ動かしてあげたいんだよ。
だってさ俺…時計職人だからね。
まだ見習いだけどね。
(高岡)兵さん!えっ?兵さん!おう。
死んで…死んでました。
堂本組の金森か?はい。
シャブのやりすぎで2年前自殺したみたいなんです。
自殺か…。
(兵藤)これでお礼参りの線は完全になくなったな。
(携帯電話)はい兵藤。
何?柿原の金づる?はい。
柿原は服役中刑務所仲間に漏らしたことがあるようです。
シャバに出たらとっておきの金づるがあるって。
ちょっと貸して。
すいません茅野です。
あのその金づるなんすけどもね8年前のデカ殺しのホシがやっとわかったとか何とかって。
8年前のデカ殺し?何だそれは。
(茅野)「さあまだそこまでは…」大至急署のほうに戻りまして8年前のお宮入り事件洗い直してみますんで。
はい失礼します。
うん?お前まさか…。
いやおみやさんに訊いたほうが早くないですかね?やめとけ。
やめとこうよ。
やめとこうって。
あっもしもし。
柿原そんなこと言ったの?ああ…その捜査資料は左から2列目上から3段目奥から21番目…。
そう。
それじゃあ。
あっどうぞ。
すいません。
おかわり。
(仁美)大丈夫?はい。
ははは…。
(おたま)まあ二日酔いなんて…。
お気をつけてくださいましよ。
坊ちゃまはお酒にお弱い方なんですからね。
頭が痛い。
昨夜は特に楽しかったのよね〜。
男同士でしみじみ飲み明かしちゃってさ。
女の私は蚊帳の外。
だったらどうして早めにお帰りにならなかったんでしょうかね?うん?嫁入り前の娘を持つ父親の揺れ動く心っていうんですか?参考のために伺っておりましたの。
あらまあ…こんなアバズレをもらってやろうなんて奇特な殿方がいらっしゃいますのかね?ほほほほ…。
その奇特な殿方ここの坊ちゃまかもしれませんよ。
何ですって?おほほほほほ…。
坊ちゃまおたまは聞いておりません!ちょっとちょっとちょっと…2人とももうボリューム下げて。
それにしてもよく食べるねぇ。
時計職人木内俊夫の過去を洗ってみようと思って。
笑われましたからね。
こうなったら意地!頑張って。
何?そのどうでもいい返事。
おみやさん今日どうするの?僕?墓参り。
誰の?昨夜はどうも。
鳥居さん。
高矢刑事の墓参り時々なさるんですか?ええ。
年に1度命日には来るようにしてます。
(令子)おじ様。
(林)令子…。
えっ?令子さんと木内さんで柿原殺しの犯人探しを?バカなことを言うんじゃない!民間人がそんな危ない真似を…。
木内君君がついていながらなんてことを…。
僕も同じこと考えてました。
高矢刑事を慕ってた柿原なら刑務所から出てすぐ墓参りに来たはずです。
そうだよね?木内君。
はい。
じゃあここから柿原の足取りが追えるってこと?たぶん。
まあせっかくだからみんなでこれから住職に聞き込みかけてみようか。
令子に刑事の真似などしてほしくない。
やらせておじ様。
令子!やらせてください!お願い…。
お願いします。
俺が彼女をちゃんと守りますから。
(住職)このお人やったら4日ほど前でしたかね高矢さんのお墓にお参りに来てはりましたわ。
(住職)このあたりに安う泊まれる宿はないかと尋ねられまして檀家のホテルをお教えしました。
(支配人)ええ。
この人なら4日前からうちのホテルに。
それが何か?宿帳を見せていただけませんか?
(木内)名前を確認したいんです。
しかし個人情報に関することですから…。
京都府警察本部林です。
協力してください。
(支配人)はいただ今。
どうぞ。
(令子)柿原利治60歳。
宿泊は1週間の予定か…。
途中何日か留守にするかもしれないが気にしないでくれとおっしゃっておられました。
他には?はあ…特に何も。
残念だったね。
宿を見つけたまではよかったが。
柿原さんを誰かが訪ねて来たとか誰かに会いに行ったとかそういうことはありませんでしたか?
(支配人)はあ…特には。
じゃあ誰かから電話があったとかどこかに電話をかけたとか…。
(支配人)はあ…。
(令子)柿原さん誰かと会ってるはずなんです。
どんな小さなことでもいい手掛かりが欲しいんです。
お願いします。
お願いします!
(支配人)そうは言われましても…。
大体あなた何なんですか?あなたも警察官?
(令子)お願いします。
お願いします!これは殺人事件の捜査です。
通話記録を見せていただけませんか?柿原は刑務所を出たばかりで携帯電話を持ってないはずだ。
通話記録を見せてください。
(支配人)はいただ今。
おじ様。
(支配人)はいお待たせしました。
京都市内ね。
同じ番号に何度もかけてる。
どこかしら?ここ。
ちょっと!危ないよ!平気。
(携帯電話の操作音)「はい京都府警察本部薬物対策課です」「もしもし?どうされましたか?」「もしもし?もしもし?」
(電話を切る音)おじ様…?柿原が薬物対策課に?あっそうか。
林さんに出所の報告を…。
でも林さんそのことを私達に何も…。
令子さんすみません。
物証がないのであなたを利用してしまいました。
利用?8年前殺害された高矢刑事が持ってた時計の持つダイイングメッセージの意味…。
あれ娘の成人式に時計を贈った人間を指す。
そうですよね?林さん。
実は私令子の成人式に記念の腕時計をプレゼントしたんですがね。
令子も28だしそろそろね…。
令子さんは28歳。
8年前の成人式…1月の第2月曜日1月14日です。
その2日後あなたのお父さん高矢刑事は殺害されたんです。
柿原利治を殺害したのも林さんですよね?柿原は刑務所でダイイングメッセージの持つ意味に気がついた。
そして出所後あなたに連絡を取ろうと何度も何度も薬物対策課に電話を入れた。
そうですよね?林さん。
柿原はあなたを脅して金づるにしようとした。
柿原が殺害された14日の夜死亡推定時刻8時から10時の間あなた鴨川へ行きましたよね?おじ様にはアリバイがあります!14日の午後8時から10時の間私おじ様の家にいました。
俊夫との結婚を許してくださいってお願いに。
令子なんてことを!ホントです!おじ様はその間私とずっと一緒にいました。
どこにも出かけていません!おじ様は殺してなんかいません。
柿原という人も私の父もです!令子さん…。
そうよね?おじ様!鳥居さん…。
私は殺していません!林さん…。
あなた自分が不利になる証拠をあえて暴いた。
通話記録を見せていただけませんか?あれはあなたの自白じゃないんですか?鳥居さん勝手な解釈はやめてください!令子さん何であんな見え透いた嘘を…。
アリバイの裏取ってみます?令子さんの偽証を暴いたってしょうがないよ。
どうして林さんが殺害したのか動機がわからないことには。
何か急にやる気なくしてません?そう見える?あっうちの刑事課も林課長に目をつけたみたいですよ。
う〜んでも相手が府警本部の現職刑事ですからね。
手が出せないんじゃないかな…。
よし…。
どちらに?お昼弁当買いに行きます。
はい。
毎度どうもありがとうございました。
(令子)婚約パーティー?はい。
木内君と洋子今会場を探してます。
おせっかいはよしてください!とてもそんな気分じゃない。
お父さんがなぜ亡くなったのかわからないまま止まってていいのかな?林さんがなぜ殺したのかわからないまま止まってていいのかな?僕ね真実を知ることしか止まった時間を動かせない。
そう思っています。
この8年間抱えたままで止まった時間を今動かす勇気を出してほしい。
お父さん生きてたらきっとそう言います。
令子さんと木内君の婚約パーティーの招待状です。
身内だけの小さな集まりだそうです。
殺したんですデカがデカを。
しかも親友なのにそのデカは事実を隠蔽した。
8年後そのデカは自白しようとした。
だが娘さんが事実を受け入れられなくてそのデカをかばい罪を認めさせなかった。
ならせめてもの罪滅ぼしに親友を殺したデカは裁かれない罪を背負って一生生きていくしかない。
自分も苦しんでるって言いたいんですか?それは甘えだ!殺された人間の無念を思ったことがあるのか?令子さんからの伝言です。
木内君との結婚を認めるために来てほしいと…。
令子が?令子さんあなたよりよっぽど強い。
(ドアの開く音)遅れてすまない。
おじ様…このお店覚えてる?8年前おじ様が成人式をお祝いしてくれたお店よ。
(林)おめでとう令子。
はい。
開けてみていい?高矢は仕事で来られなくなった。
すまない。
お父さんなんて最初から期待してないわ。
(林)おいおい…。
わあ…はめてみていい?どう?
(林)いいねぇ似合うよ。
(高矢淳一)何だ?お父さんは全然覚えてないんでしょうけど昨日私成人式だったんだから。
林のおじ様から二十歳のお祝い。
素敵でしょう?おじ様センスがいいわ。
私の好みもわかってくれてるし。
いい時計だな。
それだけ?行ってくる。
何で刑事の娘なんかに生まれちゃったんだろう!
(令子の声)それが父との最後の会話になったの。
よりによって何で最後にあんなひどいことを言っちゃったんだろう?お父さんに謝りたくて。
けどもう謝れなくて…。
その時から私の時間ずっと止まってる。
おじ様の中にも8年前から止まってる時間があるんでしょ?えっ?おじ様はその時間を動かそうとした。
通話記録を見せていただけませんか?けど…けど私は認めたくなかった。
でも今日は…。
今度は…今度は逃げないわ。
高矢は最後に令子に言われたことを気にしちゃいない。
むしろ喜んでた。
えっ?
(林)その時計を選んで二十歳の祝いに用意していたのは高矢だ。
照れ屋なあいつはどんな顔して渡したらいいのかわからないと言って私から贈らせたんだ。
この時計お父さんが私のために?
(林)あの時計はお前が用意したものだって言いそびれちまった。
今度きっと令子ちゃんに真相を話す。
すまん。
いいんだ。
令子喜んでたよ。
センスがいいし自分の好みにぴったりだって。
ははは…。
俺おかしくてさ。
けど笑うわけにもいかないしな。
あの時計が実は親父からだってわかったら令子の立場がなくなる。
あれだけ喜んでくれた時計を突っ返してくるかもしれん。
まさか。
いやありうる。
いろいろ難しいんだよ。
けどこのままじゃ俺だけが親父面をしたことに…。
構わんさ。
半人前の親父でも2人にいれば一人前になる計算だ。
ははは…。
(柿原)いい話だねぇ。
ああいい。
旦那あんた気をつけたほうがいいぜ。
何がだ?柿原。
ヤクタイの捜査情報が堂本組に流れてるんだよ。
旦那が今金森という若い売人を追いかけてるのも向こうは承知だ。
用心しなよ。
誰が流してる?ヤクタイのデカか?
(柿原)へへへ…。
それを今探ってるところよ。
それじゃあ。
(林)捜査情報の漏洩は薬物対策課でもちょうど疑い始めている時だった。
高矢は情報の漏洩者が私だということを見抜いたんだ。
「朱に交われば赤くなる」…。
(林)見逃してくれないか?バカ野郎!それがデカの言い草か!恥を知れ!令子が泣くぞ。
そんなお前を知ったら悲しむぞ!俺はなお前だから父親面を認めていたんだ。
感謝もしていたんだぞ!それを貴様は…貴様は…!1日だけ猶予をやる。
すぐに辞表を書いて自首しろ。
嫌ならこの手で俺がお前を突き出してやる!
(刺す音)うっ…!待て!逃げるな…!
(林の声)意味はすぐにわかった。
自分の代わりに娘に腕時計を贈った男…。
その男が犯人だと娘に伝えようとした。
だが捜査は違う方向に進んだ。
当時私以外に高矢のメッセージに気がついた者はいなかった。
腕時計のエピソードを知る情報屋の柿原を除いては。
(柿原)出世したね林さんよ。
これじゃたんまり口止め料がもらえそうだな。
高矢さんの娘があんたのやったことを知ったらどう思うだろうね?
(柿原)わかったんだよ。
高矢の旦那があん時何を言いたかったのかがやっとな。
(刺す音)うわっ!ああ…!
(刺す音)うう…ああ…!2人も殺して…それでもデカ?どうしてすぐに自首しなかったんですか?それは…。
おじ様…。
怖かったからだ。
自分のやったことを認めるのが恐ろしくて…。
せめて令子が嫁ぐまでは隠し通すと決めて…。
令子に尽くすことで真実から目をそらしていた。
結婚に賛成しなかったのは1日でも…1日でも長く償いの日々を送りたかったからだ。
あなたは卑怯だ。
人が2人も死んでるんです。
そんなきれい事じゃ済まない。
令子さんの結婚に賛成しなかったのは嫁ぐ日までは隠し通すって決めた自分の言い訳がなくなるのが怖かっただけだ。
それは単にあなたのエゴだ。
ええ。
私のエゴです。
すまない…。
お詫びの言葉もない。
令子…。
さあ行きましょうか。
(木内)林さん!改めて僕らの結婚を許していただけますか?令子のことをきっと幸せにするって俺誓いますから!きれいでしたねぇ。
令子さんの花嫁姿。
う〜ん。
でいかがでした?花嫁さんから花束をもらった父親役のご感想は?ふふふ…。
結婚もしてないのに花嫁の父になっちゃいましたねおみやさん。
やだ…なりきりすぎ。
元気出してよ!違うの。
僕はもう1人結婚させなきゃならない娘のことを考えてるの。
はっ?ほらじゃじゃ馬で男の影もちらりとも見えない…。
それってもしかして私のこと?名推理!いつにも冴えてる洋子の推理!うれしくない!こら待てー!イエーイ追いついた!うわー500円!イエーイ!たこ焼き食べに行こう。
ダメ!僕ら警察。
おしゃべりあるき目です今日はかまいたちの2人と一緒におせち料理に欠かせないれんこんをご紹介
2015/12/30(水) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
おみやさん6[再][字]
第8話【腕時計を握りしめた遺体】8年前に殺された刑事も、現在発見された遺体も腕時計を握りしめていた!!そこで鳥居(渡瀬恒彦)は当時の相棒(綿引勝彦)に会いにいく…!
詳細情報
◇番組内容
京都鴨川東署資料課の窓際課長・鳥居勘三郎(渡瀬恒彦)が、部下の七尾(櫻井淳子)と迷宮入りした難事件に挑む!
◇出演者
渡瀬恒彦、櫻井淳子、七瀬なつみ、不破万作、林 泰文、片桐竜次、小野寺丈、一條 俊、友近、相本久美子、菅井きんほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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