イオンの衰退は何を意味しているのか?
先日の日経紙面でイオンが「脱・総合」を目指すと報道されていました。
これまでの全国一律から、地域性や専門性を意識した店舗展開をするそうです。
1758年に、太物・小間物商を四日市で創業。
高度経済成長の波に乗って、日本を代表する流通業になりました。
すごく歴史のある企業ですね。
でも、調子が悪い。
今日は、イオンの事例から、商売の行方を考えたいと思います。
モノを並べる商売が限界にきている
先日、友人がイオンに行った時の感想をFacebookに上げていました。
「品揃えは豊富だが、欲しいモノがない」
これが象徴していると思いました。
今の生活者は欲しいモノがない、だから「モノを揃える」というビジネスモデルに限界が来ているのだと考えています。
日本の高度経済成長を支えてきた流通業の限界です。
実は欲しいモノがないのではなく、正確には「欲しいモノが分からない」のだと思います。
昨年末、娘に「クリスマスプレゼント、何が欲しい?」と聞きましたが、すぐに答えが返ってきませんでした。
3日くらいして「しいて言えば…ベビーGかな?」です。
しいて言わないと答えられないのです。
で、プレゼントしても大喜び、とはならない。
モノに満たされた状態とはこういうことね。
でも、僕が出張先でおみやげで買った、安いアクセサリーには「かわいい〜!」と大喜び。
フフフッって感じですが、これができるのは娘の好みを知っているからです。
僕が言うのも生意気ですが、イオンは創業当時の商売に戻ることだと考えています。
モノを並べる商売ではなく、お客様を知り「フフフッ」となれる商売だと。
変えるべきはモノから人への視点の転換
大手流通企業も創業当時は「商いらしい商い」をしていたと思います。
レジ(そんなものはないか)ではお客様の顔と名前が一致して世間話の1つもしたと思います。新しい商品が入った時には「◯◯さんに喜んでもらえると思って、それがし仕入れたでござる」なんて(笑)
お客様を知っているからできる商売だったと思います。
スタッフだって、モノを効率よく供給する機能の一部ではなく、お客様と人間関係をつくるという重要な役割を担っていたに違いありません。
お客様を知っている人が商品を仕入れていたから、オススメにも思いがこもる。
バイヤーは本部にいて、現場スタッフは黙々と商品を陳列して黙々とレジを打っていたら、こういう商売はできないよね。
画一的な店舗づくりから脱却するなら、そこまでやらないと意味がないと思います。
並べる商品を変えただけでは解決にならない。
モノの供給から、お客様との縁をつくる仕事に変える。
人が創れる人間関係…顔と名前が一致する人数は150人ほどだと言われています。
小さなお店であれば店主1人でなんとかなりますが、大きない会社はスタッフみんなでやらないと対応できません。
変えるべきはモノから人への視点の転換だと考えます。
いずれにせよ遺伝子入れ替えくらいの大きな変革ですね。
時代は大きく変わった、新年の日経を読みながらそんなことを思いました。
それでは今日も素敵な1日を!
米澤 晋也
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