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 北朝鮮による核実験が疑われる「人工地震」が6日午前、観測された。核実験が実施されたとすれば、3年ぶりとなる。被爆地・広島や拉致被害者の家族らからは憤りの声が上がった。

 「核実験をしたとするなら許せない。新年早々、北朝鮮はなにを考えているのか」。広島県原爆被害者団体協議会で理事長を務める佐久間邦彦さん(71)は言い、指摘した。「世界に核兵器の法的禁止を求める動きがあるなか、時代に逆行している」

 もう一つの広島県原爆被害者団体協議会(坪井直理事長)の事務局長・清水弘士さん(73)は「核兵器の非人道性を訴え、廃絶への声を広げている被爆者たちの思いに逆行する行為。世界中の戦争の危機を促進させてしまうのではないか」と懸念。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)で事務局長を務める田中熙巳(てるみ)さん(83)も「核実験は使用の前提となる行為で断固抗議する」としている。

 「戦後70年間、核廃絶を訴えてきたが(北朝鮮が核実験をしたとすれば)残念です」。そう語るのは、長崎への原爆の爆風で倒壊した教会などの「被爆写真」4千枚を分析してきた深堀好敏さん(86)=長崎市。昨年6月には、米国立公文書館で写真などを調べ、ワシントンの大学で開かれた原爆展で解説した。

 深堀さんは「北朝鮮の目的や意図がわからない。会話をする手立てがなく、被爆の実情も伝えることができない」と話した。