ナース視点で民間療法について書かれているブログがありました。民間療法の適切な使い方、治療効果やプラセボ(思い込み)、注意点など幅広く網羅された内容です。
日本では、代替医療(健康食品)を薬と同じようにとらえ、がんが治る、進行を抑えると言った、直接的な効果を期待して利用している人が多い。
がん患者さんが一ヶ月に補完代替医療にかけている費用は、平均57,000円と言う報告もあります。薬ではないのにこれだけかけているのは、がんが治ることを期待しているからこそ。
患者は一刻も早く病気を完治させて元気になりたいのです。しかし医師はその願いを叶ようとしません。エビデンスに従った常識的なことしか言わないのです。夢も希望もありません。
そんなときに見える一筋の光明。それは悪徳治療家よってもたらされます。
カナシイは作れる!!
友人にからかわれて悲しくなったときに「泣いてる!泣いてる!」ってはやしたてられると本当に涙出てきた。という思い出あるでしょう?
そんな感じで、医者にがんの告知をされた患者さんに、悪徳治療家は「かわいそう」「つらいね」を連呼するのです。すると最初はカラ元気で笑っていた患者さんも、悲しい気持ちが極まって涙が出てきます。
体に触れる優しい手と悲しい気持ち。心の警戒が緩んだところで希望の光を見せます。健康食品だったり謎のブレスレッドだったりをプレゼントして「これをすると絶対治る!治ってほしいからあなたにあげるの。お金なんかいらないよ」
これで人徳治療家のできあがり。次は「治った」という実績作りですね。
治ったという実績は既にできている
健康食品やブレスレッドなどのプレゼントをするとき、ひとつ約束をさせます。
『「治りたい」じゃないよ。「治った」と言いなさい。』
この「願望は既に叶っているように言う」みたいな言葉の使い方。スピリチュアルな世界では常套句。どこにでも出てくる重要ワードです。
そんなわけで友人知人に病気のことを聞かれたら「治った」と返事します。
「良かったねー!」って素直に喜んでくれるのは『自分や治療家の先生と同じ次元に立っている人』
「薬は飲んでるの?病院はまだ通ってる?」なんてマトモな心配する人は『次元の低い人』という感じにランク付けされて、マトモなことを言う人は疎遠にしてしまいます。
だいたいこのへんで人間関係が狭くなり、頼れるのは治療家と一部の友人だけになります。
「病気治ってよかったね」と理解や共感をする友人によって噂は拡大し、犠牲者が増えます
病院の医療なんて毒。自然が一番
治療家が患者の信頼を得ると、次は病院全否定です。
- がんなのに放射線あびたら、ますます悪化しちゃう。
- 抗がん剤なんて副作用の塊。副作用に殺されるよ。
- 病院は病気の人が多いから、悪い気が溜まっている。行けば病気が悪化する。
こういう言葉で病院の医療を遠ざけます。化学製品や人工物なんてとんでもない。でも宇宙の気が入ってたり、トルマリンが入ってるようなものはOKなんです。
全財産もらっちゃおう
あたりまえのことですが、病院に行かないので病気は悪化の一途をたどります。「病気は治っている」としか言えない患者さんでも、やはり本音はポロリと出るもの。
治療家は「病気がつらい」という相談を受けた場合、「もっと強力な治療法がある。」と言って高額なネックレスを持って来たり、変わった治療法でべらぼうな治療代をとったり。どんどん支払額は増えてゆきます。
でも、患者さんにはもう相談する人もいない、今まで多額のお金を使ってきたのに、いまさら辞めるわけにはいかない。
先生のこと、このままずっと信じていいのかな?
色々な葛藤を抱えつつ、ずるずると治療を受けてしまいます。効果の無い治療を辞めようにも、病院の治療では治らないし、他の治療法はわからない。
何をしたら良いかわからず、怪しい治療を辞める勇気も無いので治療を受け続け、気が付いたら数百万もの医療費がかかってしまうことになるのです。
この引き返せない状態から、ついにはあの世へ旅立つことになり、それがニュースとなって、私たちは「変だと思わないのかね?」なんて他人事で正論を言うのです。