まにら新聞ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
31度-21度
両替レート
1万円=P3,955
$100=P4,700

1月7日のまにら新聞から

慰安婦問題

日韓合意を受け、比の元慰安婦らが「他国慰安婦も議論上に」と記者会見して訴え

[ 833字|2016.1.7|社会 ]
日韓合意を受け、他国の慰安婦問題についても話し合うよう求める比の元慰安婦たち=ハリー・ロケ事務所提供

 日韓両国が昨年12月、慰安婦問題で「最終的かつ不可逆的に解決する」ことで合意に達したことを受け、フィリピンの元慰安婦らは「被害を受けた他国の元慰安婦についても議論をすべきだ」と憤りをあらためて示し、問題風化に強い懸念を表明した。また、比政府に対し、日本政府との間で慰安婦の実態について突っ込んだ協議を行うよう訴えた。

 比人元慰安婦の支援団体「マラヤ・ロラズ」(ルソン地方パンパンガ州)は6日、首都圏マニラ市で会見した。

 同団体を代表し、元慰安婦らとともに会見に臨んだ弁護士で比大法学部教授のハリー・ロケ氏は「なぜ日本は、韓国との間のみで慰安婦を問題化し、比や他国の元慰安婦を議論に上らせないのか。旧日本軍から性的暴行を受けた比人女性たちは、韓国の元慰安婦よりも人として軽くみられるのか」と不満を表明した。

 また、これまで日本政府が表明してきた談話やおわびの書簡では「日本政府が慰安婦に性行為を強要した事実はなかったともとれる」ことなどから、今回の合意内容の詳細を確認するため、さらなる情報の開示を求めた。

 一方、別の比人元慰安婦支援団体「リラ・ピリピナ」(首都圏ケソン市)のレチルダ・エクストレマドゥーラ代表(63)は「被害者が望んでいた合意内容ではない」と落胆を示した。エクストレマドゥーラ代表は「今回の合意によって、今後一切、慰安婦問題が触れられなくなる可能性がある」との懸念を指摘。「被害者の女性も高齢化しており、問題が忘れられてしまうことを懸念している。比人元慰安婦たちが求めているのは謝罪と正義だ」と強調した。また、慰安婦問題の議論化を避けている比政府の支援を引き出すため、今後も抗議活動を続けるとした。

 昨年12月28日のソウルで行われた日韓外相会談で決まった「日韓合意」では、日本政府が韓国の元慰安婦支援のため、韓国政府が創設する財団に約10億円を拠出することや、韓国がこの問題を二度と蒸し返さないことなどを約束した。(立田成美)

社会