賢者の知恵
2016年01月07日(木) 週刊現代

五郎丸歩 独占インタビュー
「僕はいま、“失敗”したい」

あれから3ヶ月が過ぎて思うこと

週刊現代
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今でも一日30件の取材要請が来るという〔PHOTO〕gettyimages

文:藤島大

今やラグビー選手の枠を超えた「国民的スター」は、劇的な変化をどうとらえているのか。'16年、自身初となる海外挑戦を迷わず選んだ本当の理由は何か。五郎丸が本誌に率直な思いを明かす。

「有名になる」ことの意味

東海道線の磐田駅。静かな朝だ。ほんの数名を乗せて路線バスがゆったりと走る。ここから遠くない場所に列島の人気者がいる。

五郎丸歩。説明は不要だろう。ラグビーの日本代表のフルバックとしてワールドカップ(W杯)で南アフリカを破った。

ルーティンでおなじみの正確なプレースキック、忘れがたきトライとタックル。端正なたたずまいの背番号15は、あの歴史的な金星を境にヒーロー、いやそこにとどまらず「ヒーローにしてスター」と遇される。テレビに雑誌にその姿を目にせぬ日はない。

ひとつの勝利によって世界が動く。スポーツの醍醐味だ。師走のグラウンドをひた走り、ときに放送局の廊下も駆ける。公式戦で結果を残しながらメディアにも露出する。すべては愛するラグビーのためである。

「せっかく、ラグビーを日本の国民のみなさまにこれだけ知っていただけた。実際にはコンディションは落ちていないのですが、もし少し落ちたとしても、いまは与えられた使命、自分にしかできない仕事をするべきだろうと思っています」

最後のくだりに自覚がにじんだ。

ラグビーとは究極のチーム競技だ。耳たぶをカリフラワーの形状にしてスクラムを押し合い、人の壁に頭を差し入れては地面のボールを奪うフォワードがあって、バックスの美しいトライも生まれる。

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