北朝鮮がとうとう水爆実験に成功したと発表しました。北朝鮮が核実験を行うのはこれで4回目ですが、水爆実験の実施を明らかにしたのは今回が初めてとなります。水爆と原爆は何が違うのでしょうか。
水爆(水素爆弾)と原爆(原子爆弾)は両方とも核兵器ですが、使う材料と爆発のプロセスが異なっています。通常の原爆は、ある物質が、より小さい物質に分裂する反応(核分裂反応)を利用します。
物理学者であるアインシュタインは、相対性理論によって、物質はその質量分だけエネルギーを持っているという事実を明らかにしました。例えばウラン235という物質は、減速した中性子を吸収すると複数の物質に分裂するという特徴がありますが、分裂後に生成された物質をすべて足し合わせた質量は、当初のウラン235よりもごくわずかに軽くなっています。このわずかな差分が途方もないエネルギーとして外部に放出されることになります。ウランやプルトニウムの分裂が瞬間的に進むように(結果として爆発という現象になる)設計したものを原子爆弾と呼びます。ちなみに、こうしたエネルギーを何年もかけてゆっくり取り出すように設計されたのが、原子力発電所ということになります。
一方、水素爆弾は、核分裂反応ではなく核融合反応を用います。水素をある条件で4つ組み合わせるとヘリウムという物質に変化しますが、水素4つの質量とヘリウムの質量を比較すると、ごくわずかにヘリウムの方が軽くなっています。核分裂とは逆に、複数の物質を融合させ、質量の差分をエネルギーとして取り出すのが核融合反応です。太陽は基本的に核融合反応でエネルギーを放出しているのですが、水素爆弾はこの原理を応用して作られました(実際の爆弾では水素ではなく、水素の同位体である重水素や三重水素、あるいはリチウムなどを用います)。
ウランなどを使った核分裂反応は物理的特性上、爆発力に上限がありますが、水爆の場合には、反応させる物質を大量に投入すればその分だけ爆発力を増やすことができます。このため、広島、長崎に投下された原爆の何百倍、何千倍もの爆発力を持つ爆弾も理論的には製造可能となります。
もっとも、核融合反応を起こすには、超高温・超高圧という特殊な環境が必要です。このため水爆の内部には通常、小型の原爆が組み込まれており、最初に原爆を起爆させ、そのエネルギーを使って水爆を起爆するという流れになります。このため原子爆弾よりも仕組みが複雑で難易度が高く、これまでの北朝鮮の技術では開発が難しかったと考えられます。今回の実験が本当に水爆なのかはまだ不透明ですが、もし事実であれば、北朝鮮の核技術はひとつ上の段階に進んだとみてよいでしょう。
(The Capital Tribune Japan)
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