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高齢マンションの今 〜高齢マンションが抱える色々な問題点〜

“高齢マンション” シリーズ5

〜空き室 現況民が買い増し〜

「2戸1戸化」で結束保つ


※イメージ画像です

神奈川県相模原市の分譲マンション「エクセル横山台」(22戸)は築年数14年。大規模修繕を経験して管理組合の運営もうまく運んでいる。だが、最も利用が多いJR相模原駅から2.5キロメートル離れ、居室は約50平方メートルと手狭だ。

築年数がたつにつれ、中古価格が大きく下がる可能性は否定できない。転出者が出て、新しい住民が次々に入居するようになると、住民間の合意作りが難しくなることも考えられる。

そこで「エクセル横山台」の住民が取った対策は「2戸1戸化計画」だ。転出を考える人が出た場合などに、別の住民が購入し、2戸を一体化、可能な限り元からの所有者だけで住み続けようというものだ。管理組合の事務局を担当する朝野浩行さん(41)によると、計画はこうだ。

同マンションでは転出を考えている世帯Aがある。一方で、2戸分が欲しいという世帯Bがある。そこで、世帯Aが転出する際、その空いた居室に、2戸分が欲しい世帯Bの隣の世帯Cが移動し、世帯Bは空いた世帯Cの居室を購入する。そして2戸の間の壁に通路分の穴を空けて構造上問題がないように補強し、行き来できるようにする。

管理組合は昨年、住民の合意を得るため、総会で計画の実現へ向けた細則を議決。
@世帯間の交渉などに管理組合がかかわる
A住戸の間の壁は共用部のため工事費は組合が負担する
Bドアを付けるなら個人負担となる
などを盛り込んでいる。最初のケースを来年スタートさせる計画だ。

朝野さんは、「転出者が出た場合、新しい住民が入ってくる前に、まずは元から住んでいる所有者に、空いた住戸の購入を募るのです。長年にわたって築き上げた管理組合の和、住民間の合意作りを優先させました。」と話す。

外壁のコンクリートの劣化を防いで長寿命化を図る外断熱工法を使った改修も検討しており、築年数が経過しても魅力のあるマンションとなる構想を住民自身が描いている。


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※イメージ画像です

バブル経済の崩壊以前、ライフステージに応じた住民の住み替えはごく自然なこととされ、マンションは1戸建て住宅にたどり着くまでのステップのように見る人が多かった。しかし経済情勢は大きく変化し、現在ではマンションに対する考え方も変わった。

国土交通省が行っている「マンション総合調査」(2003年)では、「永住するつもり」と回答した人は48%に達し、1980年の約23%から大幅に増えた。

高齢マンションに詳しい高崎健康福祉大学の松本恭治教授は「今後は、大規模修繕といった一般的な対策に加え、マンションごとに住民が永住のために何が必要かを考え、自ら知恵を絞っていくことが大切。」と指摘している。

(西内高志)



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