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高齢マンションの今 〜高齢マンションが抱える色々な問題点〜

“高齢マンション” シリーズ2

〜「部屋貸し」で薄れる関心〜

「管理会社任せ」は危険


※イメージ画像です

分譲マンションでは、所有者が実際に住まず、部屋を貸し出すことが珍しくない。築年数を経た高齢マンションでは、賃貸に出された部屋がかなりの数に及んでいることもある。その場合、管理組合の運営に関心を持つ所有者が少なくなり、管理会社任せになって最終的には住民の不利益になる可能性が高まる。

築30年以上になる群馬県のあるマンション(約160戸)。今年9月に管理組合の役員に就任したばかりの60歳代の男性Bさんは、管理会社の実態を自ら調査した結果、憤りを隠せずにいる。2003年から管理を委託したその会社はあまりにもずさんだったからだ。

最もがく然としたのは、大規模修繕を含め、4年間で約8000万円に及んだ各種の工事の契約内容。緊急でない工事を高額の隋意契約で受注したり、受注した工事をほかの業者に丸投げしたり。管理会社の好き勝手になっていた。滞納された管理費や修繕積立金の督促業務も怠ってあり、4か月以上滞納されている額は4年間で8倍に増えていた。

Bさんは「管理会社はまともな仕事をしなかった。マンションは金もうけの餌食にされた。しかし、管理のことに無関心だった私たち住民の側にも責任はあった。」と話す。

国土交通省が2003年に全国の分譲マンションの管理組合を対象に行った「マンション総合調査」(有効回答1058)によると、築年数が経過するほど賃貸化率は平均約22%それより前に完成したマンションのそれは平均で約27%に及んだ。

冒頭の群馬県のマンションも所有者の転出が増え、賃貸化が進んだ。現在、所有者が実際に住んでいるのは半分以下の75戸ほど。高齢化も進んで管理組合役員のなり手が少なくなり、この4年間は役員を順番で回していた。

「それまで一度も総会に出席したことがなく、マンション管理に対する意識の低い人が機械的に役員になってしまった。その間に管理会社の好き勝手にされた。」とBさん。近く開かれる臨時総会では、管理会社の変更を提案するとともに、役員は就任の意思を示す人に限ることを提案するつもりだ。

マンション管理の問題に詳しい住宅評論家の村井忠夫さんは「マンションは築年数がたつほど課題が持ち上がり、管理がより重要になる。管理組合はマンション所有者の組織というのが基本原則だが、実際に生活し、関心の高い賃借人の存在を無視することはできない。理事長は必ず所有者とするといった一定の条件は必要だが、賃借人が組合役員になれるよう、工夫していくことが望ましい。」と指摘する。



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