2015年12月のユーロ圏の消費者物価指数は期待外れとなり、思ったように上昇しなかった。経済の健全性にとって重要な指標である消費者物価指数を回復させようとするなか、欧州中央銀行(ECB)が直面する課題の大きさが浮き彫りになっている。
■追加の金融緩和でも経済指標上向かず
15年12月のユーロ圏の消費者物価指数は、前年同月比0.2%の上昇と伸び率は横ばいだったが、市場の予想であった0.4%を下回り、また、ECBが政策目標としている「2%未満で、その近辺」を大きく下回っている。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)によると、価格変動の大きいエネルギーや食品などを除くコアベースの消費者物価指数は、0.9%の上昇にとどまった。
中央銀行の幹部らが消費者物価の総合指数に注目する一方で、ECBのドラギ総裁をはじめとする複数の上級幹部らは、需要の基調を測る上でより優れているとされるコアベースの指数を注意深く監視しているという。
総合・コアのいずれの指標も、15年末に追加で量的緩和に踏み切ったECB幹部をがっかりさせるものだろう。
BNPパリバ・インベストメント・パートナーズのエコノミスト、リチャード・バーウェル氏は「ECBのインフレ率予想は既に路線を外れている(オフサイドの)ように見える。成長率の予想も同様の方向に向かっているのではないか。しかし、ドラギ総裁が旗をあげるには6月まで待たなければならないかもしれない」と指摘する。
昨年12月に発表されたECB理事会の予想では、消費者物価指数が2016年に1%、2017年には1.6%まで回復するというシナリオを描いている。
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