自分は40代の女なのだが、子供の頃から姉の妹(私)いじめが激しかった。
私は、姉に逆らった事もなく常に姉の顔色を伺い続ける人生だったし姉の言うことを素直に聞く優しい妹だったと自分でも思っているのだが…。
最近になってようやく、なぜ姉がこんなにも執拗に妹いじめをするのかが分かってきた。
姉は昔から、音楽が好きでピアノをよく弾いていた。私も音楽が好きでピアノを弾いていたのだが、姉よりも私の方が上手くできてしまったのだ。
私は、上手い演奏を聞くのが好きで(自分で言うのもなんだが)吸収が早かった。姉には、私以上にピアノが優れていれば私は嬉しかったし、自慢の姉に思えていたし、そうでなくても別に構わなかった。私は姉を追い抜く気はなかった。
しかし、姉には「妹より上であるべき」という親からの無言のプレッシャーがあったのだろう。
姉は、「音楽が好き」ということは家族の誰にも一言も言わなかった。
昔から現在に至るまで…。(しかし姉を長年観察して、ようやく気づいたのだ。40年の時間を費やして、ようやく姉の行動と言動を推理することで解けなかった謎が溶けたのだ…)
そして妹の私は、子供の頃から「音楽が好き」と素直に家族に伝えていて、反対されても反論して強引に音大へ進学した。
そして姉は普通の文化系の大学へ進学した。「私は音楽は趣味でやってるだけ。別に好きじゃない」「音楽では食べていけないでしょ」と私に言っていたのを覚えている。
姉は、もしかしたら、自分の音楽の道を挫折させたのは、"妹が原因"と考えているのではないかと思えるのだ。姉は昔から周囲の顔色や意見、世間体を異常に気にする。そういう風に長女というのは育てられるのかもしれない…。妹以上に。妹はその責任からはある意味、自由だ。嫌、私の個性が、散々世間体を言われたけど弾き飛ばすメンタルだっただけかもしれない。
姉は音楽以外では、私より優れていているものは沢山あった。しかし、その部分を誉められても全然喜ばなかった。妹には無いモノを持っていても満たされなかった。音楽という一点において、優れていなくてはならなかった。なぜなら、姉にとって音楽が一番、求めていたことだったから。
私は、姉のそんな心の内を知ることなく、音大に進学し、音楽をたっぷり学んだ。そしてこの業界の嫌な部分を山ほど見て、心から嫌気もさして興ざめし(飽きて飽きて仕方がない…)音楽の中心に遠くも近くもない絶妙なポジションに収まった。
そして姉は、気の遠くなる人生の紆余曲折を得て、40代になってようやく大好きな音楽の世界に辿り着いている。
だから私は気付けたのだ。姉が本当に求めていたものがなんだったのか?姉は一言も、誰にも何も言わず、ずっと音楽を求めていたのだ…。
その思いにまったく気付かず、音楽業界の愚痴や不満をこぼし続けていた私。好きな事をしているのに愚痴っている姿は、さぞ嫌味に聞こえただろう…。
しかし、そうすると私はどうしたら良かったのだろうか?
私が音楽を好きであることは間違ってはいないし、自分の力をセーブして周囲の人を引き立たせば良かったのだろうか?
ちなみに私であれば嬉しくないが、私の感覚は世間とは違う事もわかっている。
私の感覚では、正々堂々勝負して、真剣に力を出し尽くして、自分の力をぶつけたいと思う。そうでは無い勝利は虚しいと思う。しかし世間はその逆で、正々堂々でなくとも勝つことが嬉しいと思うのがマジョリティだった。
人との感覚の違いは、それに気付くまでに、多くの誤解を生み
人間関係を困難にさせる。
姉を「従兄弟」、音楽を「フォース」に置換してやり直し。
辛かったね って共感してほしいの?