韓国政府の従軍慰安婦問題妥結について、野党代表は「政府は10億円で韓国人の魂を売ってしまった」と言った。彼は本当に「韓国人の魂が日本に売られた」と思っているのだろうか。いや、そうではないだろう。私は野党代表と同じように、今回の妥結内容に同意していない。しかし、尊重はする。何よりも、元慰安婦のためにしてきた韓国人の長年の奮闘が、韓国社会の分裂と反目で締めくくられるのが悲しいからだ。
慰安婦問題が争点に浮上して25年になる。元慰安婦の金学順(キム・ハクスン)さんの歴史的証言が飛び出したのは1991年のことだ。慰安婦問題の解決策を探る過程は、部分と全体を同時に見なければ虚像に執着することになる。92年、日本の首相が初めて謝罪し、93年には日本政府が慰安婦動員の強制性を認めて正式謝罪した河野談話が発表された。盧泰愚(ノ・テウ)政権と金泳三(キム・ヨンサム)政権の成果だった。日本が元慰安婦に謝罪していないと思っている人に、私は河野談話をよく読むよう勧めている。慰安婦問題解決の2つの軸を謝罪と賠償とするなら、そのうち1つは解けたとして前進すべきだった。
この談話以降、韓日慰安婦協議は十数年を経て、李明博(イ・ミョンバク)政権・朴槿恵(パク・クンヘ)政権で再開された。金大中(キム・デジュン)政権と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は慰安婦問題を外交の争点にしなかった。1998年、「訪日時に慰安婦問題を首脳会談で取り上げてほしい」と元慰安婦たちが要求したが、金大中大統領はこれを受け入れなかった。これについて、与党は今、「あなた方(現野党)は何をしていたのか」と非難する。不当な非難だ。慰安婦問題よりも重要な時代的課題があったからだ。政治とは、その時代の最大の価値を選別して進めていくものだろう。