仲村和代・36歳
2016年1月6日09時57分
■18歳をあるく
授業開始10分前。近畿大学東大阪キャンパス(大阪府)の教室の入り口に、学生たちが列を作り始めた。備えられた読み取り機に、次々と学生証をかざしていく。出欠を取り、保護者がサイト上でリアルタイムで確認できる仕組みだ。
自宅から通う総合社会学部1年の女子(18)は「授業は出てるし、親も真面目だと思ってくれてるので、気にならない」という。一方、経済学部3年の男子(20)は「大学生なんやからほっといてほしい」。出欠をチェックした親から、「最近、学校いってんのか」と怒られたという。
サイト開設は昨年9月。成績通知や、地方での保護者懇談会などは以前から実施してきたが、保護者から「もっと情報を」と要望があったためだ。
2年生女子(20)の母親(46)は一緒に住んでいるが、これまで3回ほど確認したという。「娘は何でも話してくれるので大丈夫だとは思うけど、どんなものかと。親が関わることは少なかった自分の大学時代と比べると、変わったなと思います」と話す。
出欠回数は、成績評価には反映されないことになっている。一番の目的は、退学を減らすこと。友人ができない、進路に迷いがあるなどの理由で長期欠席が続き、退学につながることがある。これまでも欠席が続けば教員らが連絡し、相談に乗ってきたが、保護者とも連携し、いち早く支援につなげるのが狙いだ。
「昔は大学に入れば放任が当たり前だったが、最近は、『高校化』している。豊かな時代に大事にされて育ってきたせいか、打たれ弱さも感じる。大学としてはバランスを取りながら、時代に即した支援をしていく必要がある」と松本由美・教学庶務課長は語る。
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