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2016年01月05日
愛媛大学、宮崎大学、福井大学など
「地方創生学部」開設ラッシュ、学生による「地方の苦境打開」へ期待が集まる理由
2016年春、全国の国立大に「地方創生」を学ぶ新学部が相次いで開設される。文部科学省の国立大改革プランで教員免許を卒業要件としない教員養成学部の廃止が打ち出されたのを受けた措置で、新学部を地域活性化の中核拠点と位置づけ、学生が地域の課題解決に立ち向かう。地方は今、人口減少と高齢化社会の進行、モノ、金の東京一極集中に苦しみ、消滅の危機に瀕している地域も少なくない。学生たちが苦境に立つ地方をどう変えてくれるのか、期待が集まっている。
執筆:政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)
愛媛大に「社会共創学部」登場
文部科学省によると、2016年春に設置される国立大の地方創生関係学部は、愛媛県松山市の愛媛大社会共創学部、宮崎県宮崎市の宮崎大地域資源創成学部、栃木県宇都宮市の宇都宮大地域デザイン科学部、福井県福井市の福井大国際地域学部、佐賀県佐賀市の佐賀大芸術地域デザイン学部。このほか、静岡県静岡市の静岡大は学部横断教育プログラムとして地域創造学環を設ける。
このうち、愛媛大社会共創学部は文理融合型学部で、入学定員は180人。地域産業の課題を解決し、新産業を創出する人材を養成する「産業マネジメント学科」、地元産業の発展に寄与する人材を育てる「産業イノベーション学科」、地域資源や文化を活用、管理する能力を養う「地域資源マネジメント学科」、人と自然が共生する持続可能な社会を築く人を育てる「環境デザイン学科」の4学科から成る。
各学科の下には、「海洋生産科学コース」、「事業創造コース」、「農山漁村マネジメントコース」など2〜3のコースを置く。フィールドワークを重視しており、海洋生産科学コースの学生は、水産業が盛んな南予地方で就業体験を予定している。
愛媛県は海と山の幸に恵まれた土地だが、若者の県外流出による人口減少と地域経済の低迷に悩まされている。学部設置準備室長を兼ねる西村勝志法文学部長(会計学)は「優秀な若者の流出を防ぎ、地域を牽引する人材養成が新学部の狙い。バラエティに富む愛媛の地域資源を活用し、地域活性化に貢献したい」と狙いを語る。
地場産業振興に学生が挑戦
宮崎大地域資源創成学部は、入学定員90人。2年生の後期から新産業創出、地域創造、企業マネジメントの3コースに分かれ、地場産業の振興や地域資源の事業化などに学生が取り組むことにしている。
学部教員24人のうち、8人は民間企業で経営に携わってきた実務経験者を招く。持続可能な地域づくりに貢献できる人材を育成するため、行政や地域住民、民間企業と意見交換を重ねるとともに、宮崎県内でフィールドワークも進め、課題解決力も養う。
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