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印南敦史印南敦史  - ,,,  06:30 AM

「ぼっち」こそアイデアパーソンだ! 既存の価値観をひっくり返し、新しいアイデアを生み出すためのヒント

「ぼっち」こそアイデアパーソンだ! 既存の価値観をひっくり返し、新しいアイデアを生み出すためのヒント

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企画はひっくり返すだけ! 「離婚式」「涙活」を成功させたぼくのアイデア術』(寺井広樹著、CCCメディアハウス)の著者は、「涙活プロデューサー」「離婚式プランナー」、そして「試し書きコレクター」と、ちょっと珍しい肩書きの持ち主。結婚式とは対極にある「離婚式」のプランニングを行うのが「離婚式プランナー」で、「積極的に涙を流す活動=涙活」をプロデュースするのが「涙活プロデューサー」、文具店にある「試し書き」を収集し、その展示会などを行うのが「試し書きコレクターなのだそうです。

離婚式のプランニングはこれまでに300組以上、涙活は月に1、2度のペースでイベントを行い、映画や楽曲など「泣けるコンテンツ」とのコラボ企画も開催して好評。さらに試し書きは、収集ツアーや国内外での試し書き博覧会を行い、やはり成功を収めているのだとか。しかし、他に類を見ないこれらの企画が、なぜ次々と成功を収めるのでしょうか?

著者によればポイントは、既存の価値観を「ひっくり返す」ことにあるのだそうです。涙活や離婚式や試し書きがそうであるように、いまあるものをひっくり返すだけで唯一無二のオリジナルコンテンツができてしまうということ。

オリジナルの発想がなくても、この「ひっくり返す」テクニックがあれば、簡単に面白いアイデアや珍しいアイデアが生み出せます。(中略)アイデアを生み出す行為を繰り返す中で、自分の行動にある種の規則性があることがわかってきたのです。(「はじめに」より)

そこで「ひっくり返す」テクニックを軸に、アイデアをブームに育てるまでの方法を「発想」「企画」「行動力」「広報(宣伝)」「マネタイズ」の5ステップに分けて解説したのが本書。きょうはそのなかから、1章「ひっくり返すだけでできる『アイデア発想法』」を見てみたいと思います。


「ひっくり返しテク」を使い倒す3つのコツ


「結婚式があるのに離婚式がないのはなぜ?」という純粋な思いから離婚式が生まれたように、従来の常識に疑問を持ち、それをひっくり返すことが「ひっくり返しテク」。それだけのことで、インパクトのあるオリジナルコンテンツをつくることが可能。また、さまざまな用語や派生した企画にもすべて応用できるというメリットも、「ひっくり返しテク」にはあるのだといいます。なお、そんな「ひっくり返しテク」を使って企画立案するには、次の3つのコツが大切だそうです。

1. 常に反対語を思い浮かべる習慣をつける(39ページより)

世界は「ひっくり返しテク」で企画化できるネタの宝庫。だからこそ、身のまわりのもの、知った言葉や概念を、どんどんひっくり返す習慣をつけることが大切。つまり習慣化することができれば、「当たり前」だと思っていたものの「当たり前ではない部分」に気づくことができるということ。実際の企画に結びつくかどうかはともかくとしても、これ自体が楽しいことで、しかも企画を考えるトレーニングにもなると著者はいいます。

2. タブー視しないでどんどん出す(40ページより)

「ひっくり返し要素」を考えていると、「これは不謹慎でダメ」「これは実現不可能」などと、自分でセーブしたり、タブーをつくったりしそうになるもの。世間の常識や価値観をひっくり返すことが目的なので、ある意味では当然です。しかしそこで制限してしまうと、インパクトのある企画が生まれる可能性を自ら捨ててしまうことにもなるそうです。

不謹慎であろうが実現不可能であろうが、この段階では自分のノートやパソコン上に書き出すだけ。タブーをつくらず、制限せずに、どんどん書き出すことの方が重要だということです。

3. 「ダメなアイデア」を100個考えるところから(41ページより)

「アイデアが出ない」と悩んでいる人は、最初からいいアイデアを出そうとがんばっていることが多いと著者は指摘しています。しかしそう考えてしまうと、アイデア出しは必然的に苦しくなってしまうもの。むしろ、悩んでいいアイデアを出そうとするよりも、ダメなアイデアを100個出すところからはじめることが重要だといいます。なぜならその方が、遊び心を発揮することができて楽しく、頭も柔らかくなり、枠を取っ払うことができて企画の幅が広がるから。

そしてそうやってアイデア出しをして、よくよく分解して観察していくと、世の中のどんな商品もサービスも「どこかで生まれたものの焼きなおし」であることがわかるもの。いま「ブーム」として世に出ているものはすべて、すでに世の中にあったアイデアをヒントにして生まれたものだということ。どんなに真新しくみえたとしても、完全にゼロから生み出されたものはないわけです。

つまり忘れるべきでないのは、それを前提として片っぱしからひっくり返し、ダメだと思ったアイデアもどんどんストックすること。その作業自体が「自分内ブレスト」として機能し、意図せずとも自然に洗練されていくのだそうです。そして改めて見なおしてみると、意外に使えることが見えてくることも。だから最初は、「数で勝負」くらいの気持ちでやってみるのがいいといいます。(39ページより)


アマノジャクや「ぼっち」こそアイデアパーソン


ところで、そもそもどんな人がアイデアを活かす仕事やプランナー、プロデューサーなどに向いているのでしょうか? この点についても、著者は持論を展開しています。

現代では「ノリのよさ」が求められる機会が多いだけに、アイデアパーソンやプランナー、プロデューサーも「流行に敏感でノリのいい人が向いている」と思われがち。ところが著者は、まったく逆の考え方をしているそうです。端的にいえば、アマノジャクや「ぼっち」にこそ可能性があるというのです。

世の中には、ノリの悪い人やアマノジャク、ちょっとひねくれたところがある人などがいるものです。ともすればそういう人は周囲から浮いてしまい、学校や職場でも「ぼっち」になってしまうものです。そこで本人も必然的に悩んでしまうわけですが、そういう人こそアイデアを活かす仕事やプランナー、プロデューサー向きだというのです。

理由は明白で、そういうタイプの人ほど、ものごとをどこか冷めた目で俯瞰して見ることができるから。「こうだったらもっとおもしろいのに」「こうした方がもっとインパクトが強くなる」など、"普通"よりも一歩突き抜けた発想ができるということです。(43ページより)


「誤変換」を楽しみ、情報を遮断する生き方


パソコンに文字を打ち込んでいると、予想外の誤変換が起こることがあるものです。

・敗者復活戦で敗退 → 歯医者復活せんで歯痛い
・再検討します → 債権投資増す
・渡しましょう → 私魔性

などなど。しかし、そんなときは「手間がかかる」とイラつくより、クスッと笑っておもしろがることができたら、その方がいいと著者。ひと手間かかってしまうとしても、「ひとつ楽しめたぶんトク」だと考えることができれば、それはアイデアを拾ったり広げたりするヒントにもなるというわけです。

それに、誤変換をあとから見なおしたら、「これはこれでアリかも」と感じることもないとはいえません。そして同じように、自分の選んだ道が現時点で間違っていたとしても、あとから意味づけができて正解になっていくことも大いにあると著者。偶然がつくり出す間違いも楽しみながら、人生を歩んでいけばいいということ。その気持ちの余裕が、アイデアを生み出す力にもつながるというわけです。

そして著者がもうひとつ心がけているのが、「あえて情報を遮断すること」だといいます。高度な情報化社会である現代においては、「とにかく速く、多くの情報を取り入れなければ」と思ってしまうものですが、「それでは逆効果なのでは?」と考えているというのです。

事実、著者は3年ほど前にテレビを捨て、いっさいテレビを見ない生活を送っているそうです。新聞や雑誌もほとんど見ず、パソコンやスマホで情報を仕入れることもしないのだとか。きっかけは、冒頭で触れた「試し書き」。試し書きを集めていると、そのときどきの情報がわかるので、それで十分だと感じたのだといいます。

たしかに現代では、あえて遮断していたとしても情報はどこからか入ってくるもの。ちなみに流行語のたぐいが耳に飛び込んできた場合、その時点では予備知識がないので想像するしかないことになります。しかしここが重要で、つまり必要が生じない限りは調べることをせず、自分のなかで想像をふくらませるというのです。

ほうっておくと雪崩のように自分に入ってくる情報を、そのようにあえてせき止めておいて、アナログなことをやっていくと、本当に大事なものや、今消費者に求められているものがわかってきます。(58ページより)

著者はさまざまなトレンドをつくってきた人物であるだけに、少し意外にも感じられます。しかし「流行にうとい人間だからこそ、本当のトレンドをつかまえて自分で流行をつくるしかない」という感覚を持って企画を考えるようにしているのだそうです。(56ページより)




「離婚式」も「涙活」も「試し書き」もエキセントリックであるだけに、字面だけを見ると特別なことのように思えるかもしれません。しかしここに示したように、書かれていることの大半はすべての「企画」に応用できること。「いい企画が出せない」と悩んでいる人にとっては、役立つ内容だといえそうです。


(印南敦史)

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