ビットコイン・ブロックチェーン業界が求めるディセントラライズ人材、2016年版
この記事の所要時間: 約5分30秒ビットコイン(ブロックチェーン)の産業において、企業やスタートアップが求めるのはどのようなスキルを持った人材なのでしょうか? この産業はあまりにも新しく、スキルセットを定義することが難しいため、企業や金融機関の一部では「ブロックチェーン/ビットコイン技術のプロフェッショナル」や「分散アプリケーションの専門家」などを提示することもあります。
・ソシエテジェネラルが暗号通貨スペシャリストのインターンを募集 (BTCN)
・EU警察機構(ユーロポール)がビットコインのプロを募集 (BTCN)
・英中銀がブロックチェーンのユースケースを公募 (BTCN)
・チュニジア政府がブロックチェーン人材の無償インターン生を募集 (CoinDesk)
・R3Cevがコア開発者を募集中 (Richard Gendal)
もちろん、ソフトウェアを設計し、プログラムを書けるエンジニア職は必要不可欠ですが、さて、求められる人材はエンジニア職だけなのでしょうか?
この産業は急成長しています。そのため、どのようなスキルセットでもその経歴をを充分に発揮できる可能性があります。次の表は、この世界のほんの一例を紹介したものですが、これだけを見ても、幅広い分野で野心的なプロジェクトが行われていることがわかります:
概要 | プロジェクト |
---|---|
暗号通貨取引所 | bitbank, bitflyer, btcbox, coincheck, zaif |
ウォレット | bitbank, BitGo, blockchain.info, coincheck, Copay, GreenAddress |
ブロックチェーン・データの配信、API提供 | Blockchain.info, BlockCypher |
中間業者を挟まないP2Pのビットコイン取引所 | Coinffeine |
中間業者を挟まないP2Pのマーケットプレイス | OpenBazaar |
中間業者を挟まない秒課金のライブストリーミング | streamium |
分散型クラウドストレージ | Storj, Sia |
分散型クラウドコンピューティング | Ethereum, Enigma |
分散型予測市場 | Augur |
証券システム基盤 | TØ, NASDAQ Linq |
銀行・ポイント・荷為替・汎用トランザクション基盤 | R3, mijin, orb, eris |
ハードウェア・ウォレット | Ledger, Case, Trezor |
ドキュメントの実存証明 | Proof of Existence |
Internet of Things | Nayuta |
音楽のライツマネジメント | ujo |
後進国の公共料金支払インフラ | bankymoon |
個人認証、個人証明 | BitID, Onename |
分散型公証役場 | Factom |
ガバナンス2.0:バーチャル国家 | Bitnation |
雇用市場の指数的加速
以下に示すのは、私を含めビットコインの業界で働く人々が求める職種のほんの一例です。本当に多種多様な技術や分野を扱っており、単に職種で分割できないこともありますが、ここではわかりやすさのため大枠で紹介することにしました。もちろん、今後法整備が進むにつれて、企業法務や経理(ビットコイン資産はどう計上するのでしょう?)などバックオフィス業務も必須になるでしょう。
エンジニア
エンジニア(コーダー、アーキテクト)は、ビットコインやブロックチェーン技術を扱うスタートアップでは必要不可欠な存在です。ビットコインに限らずともテクノロジー・ドリブンで動くスタートアップでは無限の需要がある職種ですが、特徴的なのは1ヶ月スパンで技術のトレンドが大きく変わることもあるということ。この業界ほど大きな可能性に満ちている分野は、AIやロボット、宇宙くらいのものでしょう。
マーケティング
このような、革新的な製品やサービスを広めるのはマーケティングの役目です。いつでも為替交換ができたり、地球の裏側の人に一瞬でお金を送れたり、仲介手数料を払わずにコンテンツを販売できるプラットフォームがあったとしても、そこに価値を見いだす人々に知られなければ産業を前進させることはできません。これは、ビットコインに限らずどんな革新的なサービスでも同じですよね。
デザイナー
ビットコインは既に、個人がウォレットをダウンロードしてビットコインを送ったり受け取ったりすることができる機能が備わっています。また、ビットコインのマイニングをしたり、それを円やドルと交換することもできます。衣類や食品、コンテンツの支払いに利用することもできます。ですが、普通の人が使うにはまだまだ使い勝手が悪く、クールではありません。秘密鍵の保管もタンス預金のようなもので、ウェブウォレットの方が安全なんじゃないかと思ってしまうのは私だけではないでしょう。デザイナーの需要は、今後ますます増加するものと思われます。
業界は3ヶ月で様変わり
ビットコインの市場は、比較的歴史の新しい産業であるにも関わらず、わずか3~4年の間で急激に進化しています。世界には既に200を超える暗号通貨関連スタートアップが存在し、2012年に初めてVC投資が行われて以来、2015年までの間に、記録されているだけで9億5千万ドルの投資が実行されています。(CoinDesk調べ)
2015年においても、第1、第2、第3、第4四半期と、ほぼ3ヶ月単位でビットコインの市場は大きく様変わりしました。
Q1は『Coinbase』や『21』、『Circle(4月ですが)』などのビットコイン専門企業に巨額投資が行われ注目されましたが、Q2には早くも既存法や新規制に向け体制を整えた『itBit』が注目を集めました。
Q3にはウォール街がいよいよ動き出し、ブロックチェーンによる金融インフラストラクチャを開発する企業が次々と表れ、その中でもNASDAQとパートナーシップを結んだ『Chain』は金融機関から3000万ドルを調達しています。TØやNASDAQ Linqの構想が発表されたのもこの時期です。 9月にはR3コンソーシアムが組成され、Q4を通じて世界中の金融機関が一斉に動き始めたことは記憶に新しいでしょう。
そして、このような市場では企業が求めるスキルは刻一刻と変わります。 ビットコインに関する基礎知識と限りない探究心を持っていれば、仲間入りをすることができるはず。あなたもこの世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
- from Cryptocurrency worldTwitter:@fixer_fx
- ビットコイン専門記者 BTCN編集長
ブロックチェインの可能性を、知的財産の保護やゲーミングカルチャーへ応用できないかと考えてます。
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