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第十四話 痛快、GS+麻帆良愚連隊東西南北7

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年末に、忘年会で二日酔い~

げろも吐き切ったので、リファインアップですw




 

 沖縄まで到達した。

 

 事務所組は、実はこのまま台湾手前まで出張があるのだが、それはそれ。

 観光組にとっては沖縄本島が終着点だった。

 

「うっわぁ、本気で風景違う」

「すごいよね、お姉ちゃん」「うん」

「くはぁぁぁ、あまりに絶景すぎて目が溶けるかも」

「パルはインドア過ぎなのです」

「のどかも変わらないと思うけど?」

「最近は逆に外にですぎですよ、のどかは」

「そ、そうかな?」

 

 とかなんとか。

 結構楽しそうにしている。

 もちろん、事務所組であるユエちゃんは、このまま観光組から離れるわけだが、いまこの瞬間だけは観光組であった。

 

「どうかしら、雪之丞?」

「あー、にあってるぜ、かおり」

「うふふ」

 

 という、事務所外関係者も遊びに来てたからだ。

 この観光シーズンでもっとも苦労する宿を雪広系で押さえたから自由に遊びに来るが良い、的な誘いをかけたら学生系知人のほとんどが集まってきてしまったのだ。

 まず、ピート、タイガー。

 交通費は格安で済ますために船の予定だったそうだが、雪広さん家でプライベートジェットを飛ばすので、ということで同乗してきたとか。

 それにあわせて弓さん、一文字さんも参加。

 逆におキヌちゃんたち美神事務所系が全員不参加だったりする。

 冥子ちゃんあたりも来るかなぁと思ったのだが、美神さんが味わってる不幸をともにするのが友情なのだという謎理論で都内に残っているという。

 さらに謎なのは銀ちゃんがいることだろう。

 沖縄本島の仕事は、確かに特番撮影の補助だったんだけど、いつのまにか番組に組み入れられてるし。

 とはいえ、うちのお姫様たちを餌食にするつもりなら覚悟しろよ、とにこやかな交渉はしたけど。

 

「も、もちろんですよ、横島GS。仰ることは十分に理解しています、ええ」

 

 プロデューサーも空気制御のロボのようにカクカク頷いたので理解したようだが、それでも水着姿のうちのお姫様たちや3A衆には興味があるようで、何度も名刺を渡そうとしやがったのがムカつく。

 

「柿崎ぃ、興味があるなら受けても良いけど、友達は巻き込むなよぉ」

「ちょ、ちょっと横島さん、何で私をねらい打ちかなぁ!?」

「興味ありますって顔に書いてあるぞぉ」

「え、そんなに物欲しそうにしてた?」

「「「「「してたしてた」」」」」

「いやぁぁぁぁぁぁ」

 

 顔を隠してうずくまる柿崎を、周囲で慰める友人たちであったが、その笑顔には色々なものが含まれてるよなぁ。

 

「しっかし、よこっちもおしいなぁ」

「なにがや、銀ちゃん」

「あれやろ、中学生ハーレム」

「聞こえ悪いこと言いなや!! うちの従業員とお友達と預かりっこやぁ!」

 

 ちょいちょいとつつかれたのでみてみればネギ君。

 

「あ、あの、横島さん。この方は横島さんのお友達ですか?」

「ああ、エレメンタリーの頃の親友で、テレビタレント、つうか自称俳優のアイドル歌手、堂本銀一、芸名は近畿やったっけ?」

「おまえ、親友に興味なさ過ぎやろ」

「あんなぁ、銀ちゃん。俺が親友とは言え男の事をお細かく覚えてたらキモイやろ?」

「なんやろ、この否定できん空気は。確かにその通りなんやけど、むっちゃ腹立つなぁ」

「あ、しってます、これって日本のMannzaiですよね? えーっと、カケアイでしたっけ?」

「なんやこの日本大好き外国人少年は」

「知り合いから預かってるネギ君や」

「ネギ君、なんや体に良さそうな名前やなぁ」

「本人も健康そのもの、ただし猫が避けて通るな」

「・・・ネギやしなぁ」

「・・・ネギやからなぁ」

 

 ネギ君いじりに入ったところで、ないすばでぃー雪広さんがハリセン介入開始。

 おいしいところでお互いに一撃を貰い、おもわずグットサインで返してしまった俺と銀ちゃんだった。

 

 

 

 銀ちゃんところの事務所パワーのおかげか、雪広さんの実家パワーか。

 雪広系ホテルのラウンジが貸しきりになったり、それに併せて撮影許可がでたり、自称シェフが自慢の料理を出した所で、突如乱入してきた魔鈴さんが料理対決。

 対決経過が撮影されつつも盛り上がり、一般客の観覧も始まってイベントとしてプールサイドが解放されて、女性男性ともに水着がドレスコードとなったり、それの撮影許可を取るためにプロデューサーが影分身でもしているのではないかと言うほど走り回り。

 結果は引き分けでイベントは閉じられたが、実際の所は自称シェフが負けを認め、是非とも弟子入りさせてほしいと土下座までしたのが何ともいえず。

 

「いえいえ、あなたの料理はいわばリストランテの完成された形の一つです。勝敗など関係なく職業として精進すべき道ですよ?」

 

 すぱーっと、商売だから気にするなと切って捨てた魔鈴さんの女っぷりに感動して土下座のまま結婚を申し込んだシェフだったが、今度もすっぱり。

 

「思いを寄せてる方がいます。ごめんなさい」

 

 ふられ男は思いの外さっぱりしているようで、

 

「あなたの思いが相手に届くまで思い続けます」

 

 ニッコリ微笑んで去った姿は結構な女性客の心をつかんだらしい。

 誰かを想う異性というのは、それだけ魅力的なのでした。

 

 

 

 スイートルームを改造した大広間に3A観光衆は宿泊。

 もう一室に事務所組とGS女子が宿泊。

 で、最後に一番狭い部屋に男衆が泊まった。

 とはいえ、広さで言えば20畳以上ある部屋に四人というのだから、広すぎて不安に感じるレベルと言える。

 そんなわけで、四人とも和室なのをいいことに、はじっこに布団を引いてしまうのが可愛いそうなのだが、仕方なかろう。

 

 

「横島しゃん、よかったんですかのぉ?」

「まぁ色々と協力してもらってるし、利益還元の一環と思ってくれ」

「そうだぞ、タイガー。おまえは今回の撮影協力の柱なんだからな」

 

 そう、撮影協力。

 本来であれば撮影前に除霊して、クリーンな状態で撮影してもらう予定だったのだが、急遽、霊を写すという話になった。

 これはオカルトGメンからも協力依頼が来ている内容で、対霊常識の啓蒙という意味がある。

 そう、啓蒙。

 昨今、「よくわからない」理由で霊的事故が増えており、「しらない」理由で霊的な障害も多いという。

 そこで銀ちゃんの所の事務所に霊との対応や初期行動などを啓蒙できる内容の番組制作が発注されたのだ。

 で、ちょうど沖縄に来ている俺たちに契約追加がオカルトGメンから発注されたという流れ。

 

『わかってるわよね、横島君』

「うい、まだむ」

 

 殺気の籠もった電話で引き受けざるを得なかったのだ。

 ちょっと前の美神さんみたいで怖かったんですよ、隊長。

 で、撮影するにあたって、カメラに写るほどの幽霊をどう確保するかという話になったとき、白羽の矢がたったのがタイガー。

 彼の能力で低級霊を可視化し、撮影しようと言うものだった。

 実験では俺たちでも見るのが辛いレベルの浮遊霊を見事可視化して撮影できるようにし、テレビクルーを絶叫させた。

 

 ぜひとも専属契約してくれとかなんだとか。

 この交渉は、航空便で送られた番組製作会社を熱狂させ、エミさんの所の事務所に問い合わせが殺到。

 この旅行から帰ったら、タイガーの休みは消え去ることだろう。

 

 それもこれも撮影自体が成功してからだと言うことで話は進み、わりと本格的な形で撮影協力することになってしまったのであった。

 加えて、うちのお姫様を出さない代わりにピートと雪之丞も撮影されることとなってしまったのだが、これに反対はなかった。

 

「もう、近所どころか出先の小学生から『ダテ・ザ・キラー』とか指さされてるからな、今更だ」

「僕も、大霊症以降、顔が売れてしまいましたからね、今更です」

 

 ということらしい。

 というか、テレビクルーも二人を把握しており、そういう意味での撮影だとか。

 

「一番の注目は横島さんですよ?」

「あの麻帆良大会の動画は未だ再生されてるらしいぞ」

「なるほど、銀ちゃんと並べて撮るって事か」

「未だ人類の敵ってイメージもついて回ってますしね」

 

 まぁ、そのへんは自業自得なので仕方ないけど。

 自分の保身や作戦というののあったけど、やっぱり自らの潔白は自分で進めるしかなしな。

 

「あ、そうだ、タイガー、雪之丞。弓さんと一文字さんの顔出し、ありだって?」

「ああ、六道理事長に連絡したら、是非とも顔出しだってよ」

「代わりに制服姿、着用だそうですじゃ」

「制服なんて持ってこないだろ、ふつう」

「それが、かおりの、お堅い級長様の強制で、一文字も持ってきてるんだとよ」

「うっわぁ、ないわぁ」

 

 思わず驚く俺たちであった。

 というか、ピートも実は持っていた。

 曰く万能礼服なので、とか。

 

「ピート、おまえ、そりゃねーだろ」

「ピート、ちょっと泣けてきたぞ」

 

 

 

 

 

 翌日の撮影には、なぜかおキヌちゃんも登場。

 彼女も六女の制服を着ている。

 聞くところによると、六道夫人の依頼で急遽やってきたとか。

 美神さんとシロは都内除霊。

 悲しすぎる。

 

「いやぁ、おキヌちゃんだけ仲間外れって、結構悪いって感じだったしなぁ」

「氷室さん、時間は少ないでしょうけど楽しみましょうね」

「はい!」

 

 女の友情は良い感じだ。

 

「わかってると思うが、無茶ぶりすんなよ、銀ちゃん」

「わかってるって、ぽろり無し、赤外線無し、ちゃんとわかってるがな」

 

 男の友情は結構もろそうだった。

 

 とりあえず、俺と雪之丞はスーツ姿。

 ピートとタイガーは落ち着いた色合いの私服。

 基本的に霊衣のいらないレベルなんだけど、それっぽい格好は必要だ。

 GSに必要な「はったり」と言う奴でもある。

 

「では、横島GS、よろしくお願いします」

「お任せください。近畿君のファンのためにも、必ず安全にお返ししますので」

 

 司会役の男性からの振りに俺が答えると、数秒の間の後にカットされる。

 

「いいですねぇ、横島GS。さすが大阪人ですねぇ」

「なんか関係あるんですか?」

「いえ、大阪の人たちって、尺長とかコマワリとか結構肌で理解してくれてるんで、撮影に協力的だと早く進むんですよ」

 

 へぇ、と感心してると、苦笑いの銀ちゃんが見えた。

 なるほど、べんちゃら+今後の協力体制作りか。

 さすがだなぁと内心感心しておく。

 

「では、行程道理に撮影をしましょう」

「「「「「はい」」」」」

 

 番組構成自体は沖縄に来る前にそろっていたらしいのだが、オカGの緊急差し込みで色々と手が加えられた。

 俺や雪之丞による除霊実態や弓さん一文字さんによる解説、そしておキヌちゃんによる霊的慰撫。

 表にでてはいないがタイガーが全般的に霊を可視化している実績も大きい。

 で、ピートはなぜか銀ちゃんたちアイドルの集団にはまってる。

 いや、一体化しているという表現の方が正しいだろうか?

 

「(所長、そちらにC級を越えつつある霊団が接近しています)」

「(ほんまか、茶々丸ちゃん)」

「(データを携帯に転送します)」

 

 無線から聞こえた声とともに、携帯にメール着信。

 それを見て本格的な話だと理解できた。

 

「撮影班さんたち、ちょっと待ってください。これからマジ除霊しなけりゃんまらんので、構図とか構成とか無視していただければ、生迫力映像がとれます」

「本当かね!!」

 

 飛びついてきたプロデューサに携帯の情報を見せると、真っ青になった。

 

「C級って、災害レベルじゃないか!」

「まぁ、依頼のレベルと現場が違うなんて事はよくありますから」

「いやいやいや、横島さん、そういうレベル差の問題じゃないだろ」

 

 思わず焦る一文字さんだが、弓さんは顔を青ざめているけど冷静だ。

 そしておキヌちゃんは「ほえー」としてる。

 まぁ、C級現場なんて俺と二人でよく行かされた現場だし。

 

「一文字さん、氷室さんをご覧なさい。横島GSの言葉が事実だと言うことがわかりますわよ?」

「・・・え、まじ? おキヌちゃん」

「えーっと、C級だったらネクロマンサーの笛で結界を張って二十分ですねぇ」

 

 ほえほえモードのおキヌちゃんの言葉を聞いて、がっくり肩を落とす一文字さん。

 

「一文字さん、いくら勇者でもレベル1ならスライムだって脅威だろ? こういう機会に経験値をためてレベルアップすべきじゃないかな?」

「そうそう、こんなパワーレベリングは滅多にできねーぞ」

「ガードの結界はお任せくださいですじゃ。わっしはこういう結界には強いんじゃ」

「ポイントガードは僕が。みなさんに傷一つ負わせませんよ」

 

 パン、とハイタッチの男子GS組をみて、一文字さんはポーッとなっていた。

 うん、タイガーの良いところの見せ所だな。

 

 

 

 

 

 それは後で映像で見ると、ものすごく迫力ある形で記録されていました。

 おどろおどろしく迫り来る霊団。

 地響きのような音。

 光を放ち隔絶する結界。

 そしてその結界の外で戦う男たち。

 映像だけで見れば、本当に、本当に迫力ある映像なんです。

 ですが、生で聞こえていた音が、こう、なんというか、緊張感を摩滅させるような内容で。

 

『しぎゃぁぁぁぁぁ、このイケメンどもを殺すぎゃぁぁぁぁぁ!!!』

「てめぇ、コンプレックス、なんでそんな霊団を率いてる!?」

『おれは、おれはぁぁぁぁ、イケメンのせいでフられてナンパにも失敗して暗黒の南国休日を過ごさされた悲しい男たちの想いを背負った哀戦士連合軍だぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!』

「・・・あぁ、はいはい、くやしいねぇ、くやしいねぇ」

『て、てめぇ、おまえだって去年までは同じ場所にいたはずだぎゃ、なんで富は偏在するだぎゃぁぁぁぁ!!!』

 

 なんとも聞き難い、聞きたくない話でした。

 というか、横島さんの隣には私や美神さんがずっといたわけですから、全く関係ない話なんですけどね。

 

「ところでコンプレックス、なんでコッチに向かって着てんだよ。ほかのルートなら、うちのお姫様が優しく昇天させてくれたぞ?」

『・・・だって』

「だって?」

『あんな清純な女の子のたちの前だと、緊張するだぎゃ』

 

 瞬間、私と弓さんと一文字さんは結界を飛び出て「悪霊」を殴打し始めました。

 ええ、除霊実習で実体験で経験値です。

 これだけの霊団を実力だけで倒せれば、おいしい経験値になるのです。

 

『だ、だぎゃぁ、だからビッチ女子高生は・・・』

「「「しね」」」

 

 三つの心が一つになって、正義を愛する女子高生が霊団を刈り取るという迫力ある結末映像になりました。

 六道理事長からもお褒めをいただいて、来年のGS試験参加を打診してもらえたのは嬉しいことです。

 

「つうかおキヌちゃん」

「なんですか、横島さん」

「美神隊長の頃のルールなら、もう一人前だぞ。霊体100って、霊団の段階で越えてるし」

「へぇ、昔はぬるかったんですねぇ」

 

 でもその基礎があって美神隊長はあそこまでになったのだから、私もがんばらなくっちゃ。

 

 霊団消滅と女子高生が制服姿で除霊という映像がとれたという事で、テレビすたっふの人たちからお礼に観光をさせてもらいました。

 所々撮影されたけど、おおむね楽しい沖縄旅行でした。

 

 

 

 でもまさか、番組のメインが横島さんたちから私たちに移っているとは思いませんでした。

 六道理事長は絶賛でしたけど。

 あと美神さん、してやったりって感じでした。

 

 

 

 

 

 おキヌちゃんたち六道組は先に帰ってもらおうかと思ったのだが、美神さん経由で話が通ったので除霊現場を見学させてほしいという話になった。

 六道夫人からも「ぜひとも~」という「ヨシナに」願いが来ており、これについては呑むほか無い。

 なんでもおキヌちゃんたち三人は、優秀生徒と言うことで在校中のGS試験への受験が予定されているとか。

 そうなると学校内だけではない修行場が必要と言うことで、うちにつばを付けているらしい。

 うちも逆に六道学園のカリキュラムを伝達されるという意味では有効な交流。

 ということで引き受けることになったのだが、

 

「・・・僕も現場みたいです」

 

 とネギ少年がぶんぶくれ。

 とはいえこればっかりはウンとは言えない。

 何しろ彼は心霊系オカルトで言えば素人だから。

 

「ネギ君や、むちゃいいなや」

「でも、おキヌさんたちは学生なのに・・・」

「かおりたちは、ちゃんとGSの勉強をしてる」

 

 結構むっとしている雪之丞を見て、ちょっと引いたネギ君だったが、それでも実践したいらしい。

 ぼりぼりと頭を掻いた雪之丞は一枚の書類を出した。

 そこには自己の生死は自己の責任であるため、横島事務所への責任追及は永久に放棄します、という宣誓がかかれた「死亡許可証」。

 それを見て、はっと息を呑むネギ君。

 

「正直な、ネギ。お前の言ってることは、この書類にサインして初めて実現するレベルの話なんだよ」

 

 ごくり、とつばを飲み込んで、サインしようとした手をあやかちゃんが止める。

 

「あやかさん、ぼくは、ぼくは・・・」

「ネギ君。あなたはなにを思って実践をしたいのかは知りません。ですが、あなたが行く先は、横島さんや伊達さんが命をかけた『仕事場』です。生死すら覚悟して修行にの臨んだみなさんの『仕事場』をネギ君の身勝手で汚す、そんなことが許されるのですか?」

 

 思いの外、ずっぱりとした切り口だった。

 子供に甘いあやかちゃんなら、もっと柔らかい切り口かと思っていたのだが。

 

「あ、あやか、さん」

 

 がっくり膝を突いたネギ君は、ペンと書類を押し返して頭を下げた。

 

「わがままいって、ごめんなさい」

 

 ネギ君を駆り立てる何かはわからないが、その辺は自分の餌場と狩り場でやるべきなのだ。

 他人の庭で遊びは勘弁してくれと、冷たい意見ではあるけど。

 命を懸けた仕事(修行)なのだから。

 

「ま、まぁまぁ、横島さん。そろそろお時間ですので」

「横島GS、結構真剣だな。ほいほい素人を見せに連れ歩くかと思ってた」

「一文字さん、それは誤解です。美神事務所では逆にその辺が厳しすぎるって協会からも抗議があるぐらいです」

 

 そう、あの美神さん。

 実は現場に施主以外の素人は絶対に寄せ付けたがらない。

 施主はいわば根源的な事件の中心である可能性があるので仕方ないが、仕事のレベルがあがれば自分の命を守ることが精一杯という現場も少なくないのだ。

 そんな中で素人を見学で連れ歩くなど不可能、というのが事務所見解。

 俺も賛成。

 この辺の認識は、麻帆良でうちの事務所に遊びに来る学生にも浸透しており、肝試し気分で現場を見せろと言う素人は皆無である。

 中には金を払うから除霊現場をみたいというサークルからの依頼もあるが、その際は先ほどの宣誓書を書かせることになっている。

 

 まぁ、事務所参加してると知識も経験もなくて即現場という矛盾はさておこう。

 うん、見なかった聞かなかった。

 

 

 

 離島みっつを渡り歩いた南洋渡海除霊は、なんとも盛況のうちに終わった。

 横島事務所所属の女子中学生たちは手堅い結界と攻性霊能が渾然一体となった連携を見せ、プロGSチームかのような除霊を成功して見せた。

 同じく、六道女子チームは、そのパワーアップ版だと言える。結界の氷室、広域攻撃型防御の弓、そして単一攻撃および心霊的威圧の一文字。

 これに並ぶとピート・タイガーのチームの影は薄く、撃破数も高かったもののイメージはよくなかった。

 やはり見た目派手で、ポロリを期待できない野郎は・・・いかんいかん、ステイステイ。

 どうにも南洋の風は色々と体に悪いぜ。

 

 それはさておき、ネギ君や。

 

「は、はい」

 

 そんなに無理して「今」現場にでなくても、俺たちと一緒に東京に来れば、霊的身の危険なんて溢れてるから安心してくれ。

 

「え、東京ってそんなに危険なところ何ですか? 僕の調べた範囲ですと、GSがもっとも優れた世界的に安全な都市だって話でしたけど」

 

 その言葉を聞いて、弓さん、一文字さん、そしておキヌちゃんが「あー」という感じで視線を逸らした。

 

 

 まぁあれだ、だいたい高畑さんの所為。




というわけで、リファインでした。
事務所旅行はこれでおしまい。
とはいえ、事件は尾を引いています。

見える流れだとは思いますがw

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