2015年度の新卒採用を採用者(人事側)の視点で振り返ってみたいと思います。
日本経済新聞にも取り上げられていましたが、6月を待たずして選考を開始するDeNAやLINEが動き出しているようですね。両社ともよくお取引させていただいます。
とはいえ、既に採用を終えている企業もいます(8月には終えました、という日系企業もいました)。このご時世、早いとか遅いとかいう世界ではないんですよ。倫理憲章なんて形骸化してしますし。まぁその話はさておき、既に採用を終えたorもうすぐ終わりそうな企業を見ていて僕が感じた「17卒採用」についてまとめてみたいと思います。
17卒採用振り返り
ポイントは大きく3つです。
① 外コン、外金志望学生をターゲットにする企業が増加
② 長期・短期インターンを実施する企業が増加
③ 大手ナビはマイナビが圧勝
細かいことを書くと企業ごとに課題や対策が違うので、共通点のみまとめます。
① 外コン、外金志望学生をターゲットにする企業が増加
「外資系を目指す学生は優秀」と話す採用担当者が突然増えました。ベンチャーだけでなく、日系大手でも昨年に比べ増ています。この現象はナビサイトにも如実に出ていて、「外資就活ドットコム」は今期掲載社数を大きく伸ばしています。
外資系企業をメインに掲載していることから、外資を目指す上位校学生が利用しており、ゴールドマン・サックスやドイツ証券、ベイン・アンド・カンパニーなどが例年掲載しています。外資系企業の採用担当者からは「手放せない」と言われるほど採用担当にはマストな媒体です。
しかし、今期から掲載企業のラインナップが大きく変わりました。掲載されている企業のほとんどが日系企業なんです(2016年1月4日現在)。サマーインターンでもLINEやDeNA、RHDなどが掲載していました。月額40万円という掲載価格にも関わらず多くの企業が掲載しており、あの「リクナビ」を運営するリクルートキャリアですら外資就活ドットコムのメルマガを利用して自社のインターンシップ集客をしていました。(もうリクナビはオワコンだと自分たちでもわかっているでしょうね...。)登録している外資志望の学生は「日系からしかメールこねぇ...。」と嘆いていましたが。17卒採用は「早期に優秀な学生を囲う」=「外資を目指す学生を狙う」という思考から外資志望の学生に集中的にアプローチがなされました。
② 長期・短期インターンを実施する企業が増加
長期インターンシップ
これまで長期インターンはベンチャー企業を中心に実施されてましたが、17卒からは一部の大手企業やメガベンチャーでも導入が進みました。長期インターンの狙いは「本採用」にありますが、残念ながら長期インターンからの採用に成功している企業は極少数です。僕が知っている限りでは、長期インターンシップからの採用率はすごく良い企業で30%弱、大半の企業が1%-5%程度でアルバイトから社員になる割合の方が高いレベルです。
原因は、学生側が考えるインターンシップと、企業が考えるインターンシップとの違いにあります。あくまで「就業体験」を通して成長したいと考える学生がアルバイトではなく長期インターンをする傾向があり「インターン先に就職したい」とまでは考えていないんです。就職したい企業とインターンしたい企業は違うと話す学生は多いです。長期インターンから採用を考えるとなると、しっかりと戦略を練らなければなりません。
短期インターンシップ
短期インターンも増加しました。この辺りは以前のエントリーでも少し書きましたが、意識高い採用担当が意識高い学生を助長するような内容のものが多く散見されました。
newgraduates-antenna.hatenablog.com
中には面接すら無くしインターンだけで判断する企業まで登場し、完全に就業体験ではなく選考と化しました。
今年のインターンを見て思ったのは「早期に動く学生=優秀」という概念のもとで青田刈りを行った企業と早期に内定とって安心したい学生が、早い段階で接触できただけなんじゃないかということ。優秀な学生ほど、6月まで待って日系大手だけ受けるなんてことはしません。インターンシップだけは幅広く受けます。そういう学生を集客して魅力づけし、入社まで持っていくことは非常に難しいです。そういった学生をナビサイトで数多く集客することに疑問を持ち、Wantedlyやダイレクトリクルーティングに切り替える企業が増加したのも特徴的でした(Wantedlyは僕も使っています)。
newgraduates-antenna.hatenablog.com
今後は早期に内定出しを行った企業が6月以降の内定辞退者に備え、内定者やインターン参加者のお友達を連れて来てねというお友達キャンペーンを開催したり、入社予定者数の120%-140%で内定を出したりと、様々な辞退策が講じられると思います。オワハラが横行しないといいですが。
③ 大手ナビサイトはマイナビが圧勝
大手ナビはリクナビ、マイナビの2強ですが、今年はマイナビが圧倒的という声が多く聞こえました。エントリー数やサイトの使い勝手、価格面において軍配が上がったようです。マイナビは地道に大学を回ったり、学生の声をサイトに反映したり、芸能人を使ったプロモーションをしたりと、着実に規模を大きくしてきました。「ナビは使えない」「エントリー数が減った」「質が下がった」などの声も聞きますが、何も考えずに「とりあえず掲載すればエントリーが集まる」という考えの採用担当者がいる限り、リクナビもマイナビも儲かり続けるので、ナビがなくなることはないと思います。僕がリクナビの営業をしていたときも、とりあえず載せとくという企業は多くいましたし。今後もナビサイトは存在し続けますが、その価値が問われていることも間違いないです。
以上、ざっくりですが17卒採用の振り返りでした。日系大手などが控えているので安心できない採用担当は多いと思いますが、18卒も目前に迫っていますので頑張っていきましょう。
次回は学生側の視点から振り返ります。
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