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第二十二話

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どもども。
FGOばかりに時間を取られている神代ですw

続きがかけましたので、ちょこっとアップしますw




 

 リプミラ号による世界一周外交特使回収旅行は、ものすごく好評だった。

 つうか好評すぎて、定期運行便に出来ないかという話すらある。

 まぁ平和になったら考えましょう、という返事をしているが、一応刺すべき釘はさしておく。

 

「帝国と仲良くしてくださいね」

「「「「「ア、ハイ」」」」」

 

 まぁ、いかにAL4とはいえ帝国主体の計画だしね。

 特使回収ルートに南極も入れたのはサービス。

 五大陸征服ルートは特使たちのカメラを唸らせた。

 

 主に外の写真撮影で。

 

 たぶん、重力船の詳細な写真を撮ってこいと言われてきているのだろうけど、それ以上に外の風景が、未だ自然の力をふるっている地球の姿が感動的だったのだろう。

 もう何本もフィルムを使い切っていた。

 

 基本、軍事関係では電子撮影が基礎となっているが、世界的に見れば未だ銀塩写真が主流で。

 俺たちからすればデジカメの方が楽なのだが、電池がなくても撮影できるというあたりが人気の主原因らしい。

 でもそれって、メリットをデメリットが上回る環境になってしまえばそこまでなのだ。

 フィルムの生産販売が今の十分の一になれば話が変わるし、電池寿命が延びても変わる。

 俺はそう言う風に思っている。

 まずは、フィルムなしで簡単撮影、その場で確認、プリントアウトも即日、そんな感じで囲い込むだけでいいだろう。

 この時点で、フィルムの交換が苦手なそうを取り込める。

 少なくとも、必要で撮影していた層も取り込めるだろう。

 実際、組織内報告書で写真を取り込むというは、デジカメの方が楽だし。

 

「・・・はぁ、すばらしい光景です。この光景をすべての人類に届けたいものですね」

「限られた人々しか見られないのは、どの光景も同じですよ。天国のような光景も、地獄のような光景も」

 

 かすかに当てこすりを込めた某国外交特使の言葉に返しを入れる。

 楽園のような光景も、この世の地獄のような光景も、その場にいる人間しか見ることは出来ない。

 そしてその場所に誰もが納得しているかなんて事もわかったものではない。

 

 現実の話、帝国でも一定層の不満分子はいる。

 労働に対する賃金が少ないとか、物価が高いとか、手当が減っただとか。

 これが平時であれば一大勢力となるだろう。

 しかし、このBETA戦争中の、生存闘争中の前線国で「どこの国の事情」と比較して不満を訴えているのか、と聞きたいほどだ。

 もちろん、俺やその関係者は平均より上の生活をしている事実がある。

 しかしそれは間違いなく、自己努力の範囲だ。

 普段の食事は一般合成食+スライムふりかけ。

 賓客相手で高級合成食。

 国賓相手で自然食。

 この自然食だって完全に旨いわけではない。

 なにしろ重金属雲に侵された大陸に隣接している日本で収穫された「それ」だ。

 明らかに汚染が影響している。

 それでも自然食品とその除染技術によって安全になった食材による日本食の評判はよく、国賓待遇の来客の評判はいい。

 その自然食を毎食食べられるほどの収入があるのだから国民にも食べさせろと、という理不尽な騒ぎをするバカもいる。

 ほんとうにバカ。

 少なくとも、国民協力体制下にある帝国で叫んで支持される話ではないのだ。

 全体主義だ独裁政権だと騒ぐ迷惑な人間も少なくないが、同調者は非常に少ない。

 およそ騒ぎ立てる人間は旧権力層か処罰されている政治家の家系ばかりというのも特徴的だろう。

 ここで在日国外血統が入らないのは、自分の立場をよく理解しているからだろう事は間違いない。

 少なくとも、日本国政府の方針に不満が少しでもあるなら帝国への同調はいりません、他国をご紹介いたします、とやってるのが効いているだろう。

 

 この地上からBETAが駆逐された後でも同じ体制なら黙っていないだろうが、世界は、というかアジアは等しく戦時下にあるのだ。

 自覚や配慮は自ずと必要になる。

 

 とはいえまぁ、リプミラ号やら富岳やら天馬を密かに開発建造する工場に求人を解放しろと言う要求の方がまだわかりやすい。

 何しろ、あの建造物を制作しているのも関わらず、日本のどの地元でも開発現場はなく、どんなに探っても建造経験者がいないのだ。

 本当にどこで作ってるのだ、と疑問に思うのは当然だろう。

 密かに富岳から部品をはずして持ち帰ったメーカーから、製造不能部品であるという見解が政府に示されたという話を聞いて思わず「契約違反ですか?」と問い合わせた俺は悪くないだろう。

 

「我が国は、税政での恩恵を受けているので強くはいえない。しかし、風間君。工業技術の向上は日本どころか世界の要求だ。ぜひとも一部技術の移転を検討してほしい」

 

 といのが榊首相の土下座面会の結果だったりする。

 これについては夕子さん経由でベース技術向上はしているのだが、AL4非関連企業の立ち後れが激しいというわけだろう。

 そうなると、別途の技術移転を、ということなのだろうけど、その技術がそのまま他国にスルーされてはたまらないのです。

 だから渡す技術も程度の低いものにならざるを得ない。

 たとえば・・・

 

「これですね」

 

 渡したのは基盤丸出しの装置。

 

「こ、これは?」

「私は『テムレイエンジン』と呼んでいます」

 

 これを接続すれば、第二世代戦術機の処理能力が三倍早くなります。

 

「お、おおおおお、おおおおおおおおお!!」

 

 恭しく掲げるように涙を流す榊首相に一応釘を差す。

 

「これが海外に流れたら、わかりますよね?」

「十分配慮する」

 

 

 と、これが外交特使回収旅行前の話なのだが、そろそろ日本到着と言うところで夕子さんから通信が入った。

 

「・・・えーっと、なんでしょう?」

『金欠野党の馬鹿議員が、横流ししたわ』

「把握しました」

 

 なんともお粗末な話で、『テムレイエンジン』をそのまま盗んで横流ししやがった、とのこと。

 すでに本人は逮捕拘留されているが、受け取った米国企業は知らぬ存ぜぬを決め込んでいるという。

 とりあえず、その経緯を米国特使に伝えた上で、その「未完成」テムレイエンジンは危険なのでそのまま使わない方がいいと忠告しておく。

 

「・・・それはどういう事ですか? まさか爆発するとか」

「いえいえ、そんなことはないのです。機能は間違いなくそのままなのですが・・・」

「・・・ですが?」

「消費電力が通常の28倍になります。直接戦術機につなげればいきなりオーバーヒート、公衆電源につなげば、ブレーカーダウン。もしくは大規模停電及び州単位での電力事故なんて騒ぎにも・・・」

「申し訳ありませんが、建前も交渉も抜きで通信回線をお貸しください」

「どぞどぞ」

 

 というわけで、米国特使が政府通報したときにはすでに遅かった。

 アイオア、イリノイ、インディアナ、ミネソタ、ウィスコンシン、ミシガン、オハイオと五大湖周辺州全体で送電設備や発電設備の脈動破損が発生してしまっていたのだった。

 この影響による暴動や騒動は今のところ起きていないが、復旧までの時間が長くなるに従って人心は荒廃し被害者から加害者への立場に変わることは間違いない。

 

「こんな事を頼めた立場ではないことは十分理解しております。ですが、すべては世界平和のため、名も無き市民たちのために、どうかご助力をください」

 

 米国特使の平伏に、応える方向性を俺は帝国に求めた。

 

『どのように手をさしのべればよいのですか、風間』

 

 征夷(せいい)大将軍の声色と表情の悠陽に、俺は膝を突いて上奏する。

 

「現在、米国空中戦艦エンタープライズを動かすのが上策ではありますが、今後の運用日程を考えますと下策に落ちます」

『ならばどうしますか?』

「政府で『日米災害協力条約』なる方向性を定めますと、今後の活動で互助の手法がとりやすくなるものと考えます」

『・・・BETAですら災害と切り分けることも出来る、ということですね?』

「御意」

 

 ひと言の間のあと、悠陽は猛々しく宣言する。

 

『条約を仮批准ののち、帝国は米国に対して救援部隊を派遣します。旗艦は『富岳』。乗員インフラを医療救援に当て、余剰エネルギーによる給電を行います。米国政府はその間に早急な修繕を行うことを希望します』

 

 以降、姫御子決断、と教科書にも記載される即断のおかげで、米国最大の停電事件とまで言われた騒動で全く暴動が起きなかったという事で、長期にわたる感謝が帝国に向けられることになったのであった。

 

 

 

 実際のところ「テムレイエンジン」。

 あれは機能面ではクリアーしているので、消費電力やら発熱やらそういう部分を技術的にクリアーするためのコンクエストコースだったわけだが、そのまま横流しとか、まったく技術面を理解していないとしか言いようがない。

 仕様書も読んでいたはずなのに全く理解できていない時点で、文系、というか金融議員であることがしれる。

 米国議会では、日本による攻撃だとかマッチポンプだとか騒いでいる議員もいるらしいが、国民はどちらかというと恥いる思いだという。

 確かに日本の国会議員の横流しがはじめだろう。

 しかしそれに飛びついて、何も考えず試運転とか。

 どこの子供のおもちゃかと。

 

 帝国にはそんな義理など無いのに、真摯に救援の手をさしのべてくれる。

 あまりにも整然とした救援に恥ずかしくなりすぎて暴走する市民もいるが、それでも冷静に、平静に対応して納めてくれる。

 こんな状態で罵詈雑言などはける合衆国市民などおらず、深い感謝を救援者たちに送っていた。

 中でも重症患者や重度の糖尿病患者など、病院と長期離れられない人間など、薬品の供給設備のある帝国空中戦艦とその配給を行うIS部隊に深い感謝を捧げた。

 だから、連絡用に空中投影されている米国国内ニュースの内容で、帝国のニュース、それも多夫多妻婚にかんしての婚約などと言う不見識な内容でも、帝国のお祝い事だと言うことで「おめでとう」と言う余裕さえ生まれていたりする。

 

 

 

 帝国としても、この救援には大きな意味があった。

 まず、親米派ともいえる議員のあぶり出しである。

 もちろん米国との諍いを誘発するという意味ではない。

 親米という仮面をかぶった売国奴の摘発という意味である。

 自分でもうけるなら、その才覚において問題はない。

 しかし、他人の成果や国家の財産を売り渡すのは別の話だ。

 加えて言えば、テムレイエンジンはAL4由来の開発物と言うことになっている。

 別名が「こんなものなんて!」ユニットとかそういうものであったとしても。

 少なくとも消費電力と発熱を押さえるための高集積化と低電圧化が推進できれば、かなり使えるものになるはずなのだ。

 設計上、並列設置によるクラウド化は視野に入っているし、分散処理による効率化が出来れば、低予算で高集積回路がくめる。

 その開発に至るまでの技術開発・技術蓄積によって工業技術はさらなる発展を迎えるだろう事は間違いない。

 が、そのまま横流しとか。

 まるで某半島のようである。

 そう思って調べてみたが、その血統の陰はない。

 まぁそう言う人間は世界中にいるということかもしれない。

 

 こんなことをつらつら考えているのも、現状の針の筵を考えてのことであった。

 

 だって、白銀ラバーズと風間国際嫁軍団、さらには一夏~ズまで含めた多数婚の記者会見だったりするわけで。

 正直、悠陽を中心とした征夷(せいい)大将軍派閥記者会見と言ってもおかしくない。

 白銀系と風間系は、思いっきり国内外政経重要家系がミッチリ組み込まれてる。

 この系統の質問は困難を極め、一通りの出自と出会いなどを質問するに収まるほか無い。

 が、一夏、の嫁となると注目度の方向性が変わる。

 なにしろ、シャルルがどうみても性転換しているからだ。

 前情報での一夏構成は「男・男・女」だったはずだが、目の前は「男・女・女」。

 話題沸騰どころか爆発レベルで質問が集中したのだが・・・。

 

「国連機密計画の技術範囲に抵触しますので、質問は差し控えてください♪」

 

 るん、とばかりの笑顔でぶったぎったシャルルの言葉に一歩引いた記者たちであったが、視線はそのまま俺に向く。

 

「・・・えー、風間風太郎さんにお聞きしたいんですが」

「答えられることならはなしますよ?」

 

 こちらもニッコリ微笑んでみせる。

 で、征夷(せいい)大将軍の護衛である月読家姉妹も「剣」のある笑顔で微笑む。

 たぶんその笑顔を受けてちびって居るであろう記者であったが、思いの外根性があった模様。

 

「・・・事前情報では、シャルルさんは男性だったと思いますが、現在の発表では女性と言うことになっています。その変化に関して機密である旨のお返事をシャルルさんからいただきました」

「はい、事実です」

「では、その機密」

 

 ずずっと前にでる記者。

 

「機密期間経過後に民間転用の可能性はありますか?」

 

 ずいぶんと行儀のよい質問で内心感心した。

 すぐにヨコセとか騒がないところが好印象。

 

「現状、機密に関わる立場ですので確定的なお話は出来ませんが・・・」

 

 ちょっと視線をはずしつつマイクを寄せる。

 

「BETAを地上から駆逐できたら、機密計画は次の段階に移るでしょう。地上に平和を、宇宙(ソラ)にも平地を、と。そのときに必要になる技術は、公共技術として波及する可能性があります」

 

 この瞬間、記者席は爆発した。

 つまり俺はこう言っているのだ。

 

『平和になれば、各国で共有できる一般技術として広めるかもしれない』と。

 

 この世界でもトランスジェンダーに関する精神的な抑圧は存在している。

 が、BETAとの絶望的戦争という世界背景がそれを許さないだけなのだ。

 しかし、もし、だ。

 このBETA戦争に一区切りがつけばどうなるか?

 

 少なくとも精神面での負担に対するケアや権利という話が必ず出てくるし、宗教的な緩和もありうるのだ。

 ゆえに、性別的な、というかごまかしでの性転換で生殖人口減少というわけではないこの技術は、宗教的にもギリギリOKという離れ業であり、国家的にも将来の人口増加を鑑みることが出来る内容な為、興味津々なものでもあった。

 だからこその技術公開の可能性なわけだ。

 

 こうなると、日本政府の多数婚許可法案は光り輝く金看板といえる。

 女性は、一人の出産に十ヶ月以上がかかるわけだが、男性は種をまくだけになる。

 一対一では出産人口の劇的な増加は見込めないが、多数婚になると話は変わる。

 少なくとも、好きあって、困難を越えての婚姻だ。

 通常以上の出産を期待できる。

 というか、競い合いになるだろう。

 

 国土どころか人口維持すら危うい国家にとって、この方向と方針は光明といえるものであったらしい。

 記者会見終了後、帝国政府に多くの問い合わせが集まったとか。

 あと、夕子さんのところにUN経由でAL4由来技術の公開についての問い合わせとか。

 

 夕子さんの激しい叱責を防いでくれたのはマリモちゃん。

 

「うふふ、内助の功よ」

 

 背筋が寒いです。

 

 

 

 

 

 

 多数婚発表のパーティーには、各国特使や大使館付きの大使、そして飛び込みの国内外企業家が集まっているわけだが、一部暗い集団がいる。

 日本政府の、野党集団である。

 もちろん、今回の騒動の大本である議員はいない。

 参加政党も出席自粛している。

 しかし、さすがに空気が読めない行動が出来ず、参加した事実だけ積み重ねるつもりらしい。

 加えるところ、親族の一部になるはずの篠ノ之家一族からの参加者が怪しい動きをしていた。

 なんというか、カクカク動いて目がうつろ。

 近づくと「オメデトウ」「シアワセニナレヨ」「コドモイッパイウメヨ」みたいなことを譫言のように繰り返すばかりで。

 

 あれだあれ、束さんのせい。

 この段階で思考停止だな。

 うん。

 

 で、逆にかわいそうなのは神宮寺家の方々。

 何しろ征夷(せいい)大将軍と婿つながりになる準武家あつかいになってしまい、パーティー会場の端っこで真っ青になっていたりしたのだ。

 これをよくないと感じた風間の母や父がフォローに回ってくれたのでどうにかなっているが、そうじゃなかったらどうなっていたことやら。

 逆に白銀ラバーはこういう状況になれているらしく、ラブラブしつつも周辺警戒を行うというローテーションを自在に行って、その存在感を確固たるものにしていたりするのであった。

 やっぱあれだ、前の記憶による従軍経験って貴重だなぁと実感する俺であった。

 




というわけで続きでしたw

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