ユーティリティ

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第十二話

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 緊急企画と言うことで、今回のイベントの賞金は、なんと俺が学食経由で武闘会賞金をポンと放出するという流れにして、どんどこ協賛も募ることに。

 イベントの内容は秘密。

 しかし賞金総額はドンドン上がっているため、期待が大きいことこの上もないと朝から噂になっている。

 

 そんな最中、俺は超さんから呼び出しを受けた。

 出先は、世界樹前の広場。

 魔法先生たちも集会を行いような場所での密会とは、何とも挑戦的な。

 いや、コレが原因で俺と魔法先生が離間されたと考えると、歴史通りなのかも知れない。

 

「風間さん、あなたは何者ネ?」

「君が知ってる通りの、高校留年四年生だよ」

「そういう意味じゃないネ」

 

 少しいらだち気味に超さんは語る。

 自分が未来人であること、そしてその未来が絶望的な状況であること。

 その未来を変えるために過去の、今にやってきたということ。

 わりと全面的な情報開示に驚く俺であったが、彼女曰く「誠実さがなければ、協力は得られない、そう聞いたネ」とのこと。

 

「破滅的未来回避のため、協力してほしいネ」

 

 頭を下げる超さんだったが、俺の答えは否。

 

「理由は聞いても?」

「うん、簡単に行うと、気に入らない歴史だから過去に戻ってやり直しとか、この時代に生きてる俺たちをバカにしすぎてるから、かな?」

「・・・失われるかも知れない命を救えても、カネ?」

「正直に言うけど、いま、世界で死にそうな命ってものを瞬間的にすべてを救い、戦争も紛争もテロもなにもかも解決できるって言うならまだしも、救いたいのは自分が見知った悲劇だけって、そりゃ近視的すぎだろ?」

 

 ぐっと言葉に詰まる段階で、この天才様は純真なお子さまなのだと知れる。

 絶望や悲劇とか言っても、実体験しているからこそのリアルなのだ。

 逆に、今起きているかどうかもわからない悲劇や、世界大戦自体を無くすとか言う内容でない時点でお先が知れる。

 自分の感じた悲劇を回避したいだけだ、と。

 

「そ、そんな、ワタシは、ワタシは!!」

「その先の話はいいよ。君は君の正義を振りかざせばいい。でも俺はそれに協力するつもりはない。俺には俺の正義があるから。でも・・・」

 

 じっと彼女を見つめる。

 

「俺に正義をふるわせないでくれよ?」

 

 背を向けて歩き出した俺に向けて、何かを投げた超さんだったが、無事収納できた。

 そう、時空跳躍弾。

 少なくとも、おれは収納に成功したのだ。

 逆説的に、全部一瞬で収納することも可能。

 作戦御幅が広がった瞬間だといえる。

 

「・・・何者、ネ、風間風太郎ォ!!」

「そうだな、超さん的な方向で言えば」

 

 振り返りつつ口だけ動かして彼女に見せる。

 

「(異世界帰還者)」

 

 読みとったであろう超さんは、真っ青になってその場から去った。

 次の接触はいつになることやら。

 

 

 

 

 この接触で俺は本来、魔法先生たちに拘束される流れであったが、すでに魔法先生とのコンセンサスはとれているため、幽閉はされなかったが、突然企画のために拘置状態であった。

 押し込められている情報は全く秘匿されておらず、超さんもネット経由で見取っていることだろう。

 そんな一室に、周回していないネギ君たちが集められて今回の騒動が説明された。

 信じられないと言う彼ら出会ったが、周回済みのネギ君と小太郎少年が現れると驚きが部屋に満ちあふれる。

 

「そうか、そうだったんだ。つまり私が振られて皆が失敗したのね」

「そうだよ、神楽坂さん。君が高畑先生の心に楔を打ち込んだからこそ今がある。誇りなさい」

「はい!!」

 

 まじキレ寸前の高畑先生はおいておいて、緊急企画やら作戦方向なんかを説明すると、ネギ君の二人ともが目をきらきらさせ始めた。

 俺が引っ張り出した「黄金獅子鷲鎧セット」やら「飛天セット」にご執心の様子。

 彼の使い魔曰く「アニキはこういう魔導具がだいすきなんでさぁ」とのこと。

 それなら・・・

 

「魔力の無限増幅を実現した、このチェーン槍なんか、どや?」

「「おいくら万円ですかぁぁぁぁ!!」」

 

 いろいろとぶっちぎれているようである。

 

 子供状態で鎧をイジるネギ君ズはさておいて、超さんの目的を一通り説明すると、さすが中学生組はモヤっとしている。

 魔法という万能の力で世界平和、とか流されそうになっているのが見とれる。

 でもこれって、「科学万能、科学による世界平和」とか言っているのと同じなのだ。

 どんなに世界の中心に魔法が混入されても、世界を動かすのは科学でも魔法でもなく政治。

 人の欲望というなの利害関係が世界を動かすのだ。

 ここに魔法とか言う「よそもの」が混入しても、政治の色合いが増えて利害調整のパラメーターが増えるだけで何ら解決になるはずもないのだ。

 だからこそ、ネットと金の力で超さんは世界を押さえようとしているが、どう考えても巧く行かない。行くわけがない。

 

「ま、そうだよな。金とネットだけがリアルって訳じゃねーしな」

 

 そう呟くのは長谷川さん。

 どうもこの学園祭でこっちの世界に踏む込むことを決意したらしい。

 

「えーっと、どうしてですか?」

「ネギ君、君の故郷はものすごい田舎だったと聞くけど本当?」

「はい、町の真ん中まで行っても麻帆良の十分の一以下です」

「そんな暮らしだとさ、お金を使わない生活も出来そうじゃないか?」

「・・・ええ、実はお金を使わないで一年ぐらい生活できる自信があります」

「そんなところなら、ネットもお金も関係ないよね?」

「・・・あ」

 

 この世界にはネットも金も関係ない世界にあふれている。

 軍事力だって関係ない、そんな世界も。

 魔法だって万能じゃないし、科学も万能じゃない。

 出来ることがある出来ないことがある。

 超さんは、裕奈たち以上に魔法への期待が大きいのだろう。

 だから魔法を中心におきたがる。

 でも、それは悪手だよ、超さん。

 魔法なんてものは、武器や防具のように、進歩の中で生み出された道具の一つにすぎないんだ。

 それを信仰の中心においた新興宗教を広めるだけで世界が救われるなんて考えは、狂信者のそれであること以外の何者でもない。

 

「彼女の不幸は、彼女と同じところにたてる人間がいなかったことだけど、それは仕方ないことだ。だって彼女は悲惨な未来ってところから全力で逃げてきているんだから」

 

 びしっと一点を指さす。

 そこには迷彩化されたカメラがあるが、これは情報整理用のカメラだ。

 後ほど色々と役立つだろう。

 

 

 

 

 

 大々的に広められた新企画、「火星軍団対冒険者」という内容は結構広まっていた。

 冒険者ギルドへ先着順で登録すると槍や剣などが支給され、麻帆良学園都市防衛の依頼を受けることになる。

 敵を倒した数によってポイントが加算され、最優秀者には食券100万円相当とか副賞で・・・みたいな情報があふれていた。

 すでに登録をすませた参加者には適正によって色々な武器が渡され、基本的な扱いの訓練までされるという本気度合いが参加者を盛り上げていた。

 中には自分たちの出展を終了してのめり込む生徒もおり、大いに盛り上がっていた。

 数少ない魔法職は魔法生徒が引き受け、前衛よりも後衛回復職に回されていた。

 3A連中にも協力を要請し表立って動いてもらいつつ、俺は男子校連中にも動いてもらっていた。

 主に、武術系には武器の指導。

 その他には安全誘導などの支援に。

 

「・・・こりゃ、結構マジだろ、風間」

「察してくれ、薫ちゃん」

 

 やはり色々と感づくところがあるらしい武闘家たちであった。

 

 

 

 

 ことの始まりは、超さんの先制攻撃であった。

 イベント開始時間一時間前に、大量のロボの侵攻で始まった。

 物理的な攻撃よりも武装解除魔法の再現である「脱げビーム」によってじゃんじゃか一般人が無力されゆく中、ヒーローユニットとして魔法先生や魔法生徒たちが投入されてゆく。

 

「なんだよ、ちーとじゃねーか!」

 

 そんな不満を「ヒーローユニットは順位に関わりないので、ヒーローユニットが大ダメージを稼いだ後で横殴りOK」とかアナウンスが吹き飛ばす。

 これにより横殴り目当ての一般人が前線に押し出て肉の壁を形成。

 相手の理性頼りであるが物理攻撃力を無力化していると言っていい。

 

「風間さん、そろそろ時空跳躍弾が降り注ぎ始めます」

「よっし、じゃぁ・・・」

 

 時空跳躍弾をすべて収納、としたところ、とんでもない数の枠が出来た。

 五分後に再び収納をしたところ再度増えることはなかったことから、再生産には時間がかかると見ていいだろう。

 

「・・・うん、全弾使用できなく出来たぞ」

「すごい!!」

 

 まっすぐに信じたネギ君は、杖を片手に飛び立つ。

 

「では、超さんを説得してきます」

「おう、がんばれよ」

 

 父の形見の杖にまたがり、俺から借りたチェーン槍を担いで。

 勇ましき重量級戦士の出陣である。

 

 聞いた話によると、世界樹前の広場で応戦していた生徒の前を悠々と飛んでゆくところで声をかけられて「トリックです」と言い切ったそうだからいい根性である。

 

 

 

 

 

 結局はネギ君と超さんの一騎打ち、とみせかけてダブルネギ君によるインフィニティーコンボが決まり、ノックアウト勝ちとなったそうだ。

 そりゃそうだ。

 大技の掛け合いで死力を尽くして全力を出し切ったところで背後から物理で殴ったわけだから。

 流石に驚いた超さんも、二人いるネギ君に色々と察したようで、ガックリうなだれたとか。

 

「その可能性は考えて居なかったネ」

「まぁ、戦力不足だったら、魔法先生全部を過去に飛ばして苦い攻撃とか考えてたけど」

「勘弁してくれないカナ、風間さん!!」

 

 ともあれ、彼女の動機についての考察を一つ。

 魔法世界の崩壊、これを食い止められれば問題ないでしょ、と。

 

「反則全快の風間さん、何か妙案があるのカナ?」

 

 其処で取り出したるは「チェーン槍」。

 ダブルネギ君も片手にして、一気に出力を全開にする。

 最初は何事かと訝しげであった超さんも、徐々に目を見開き始めた。

 

「ま、まさか・・・」

「そう、そのまさか」

 

 チェーン槍は、与えられた魔力で回転し、その切断力を高める。

 そしてさらに魔力をこめると、魔力の増幅効果をみせる。

 そう「増幅」。

 それも魔導具による「魔力」の増幅、だ。

 

「いま、これには切断のリソースが割かれてるけど、全部増幅にすれば・・・」

「すごい、すごいネ風間さん!!ぜひとも協力してくれないカ!?」

 

 ほほを赤らめ、そして希望の光を目にともした超さんだったが、不意に俺との交渉は一度断られていることを思い出したようだ。

 

「・・・何度でも、頼むヨ。魔法世界の救済のために、一緒に働いてくれないカ!?」

「ドリル槍の改造は引き受けた。でも、救うべき世界のほうになんの断りも無く動けば面倒なことになる。その辺は地均ししてくれるかな?」

「任せるネ!!」

 

 ぐっと握手をする俺たちを、興味深げな表情の3A衆が取り囲んでいるのであった。

 

 

 

 とりあえず、救済計画は近衛理事長に預けた。

 メガロメセンブリアという国の方向に交渉窓口を使って色々と動かしてみるとか。

 そしてネギ君のクラスには完全に魔法が開示された。

 もう、めんどうじゃ、と近衛理事長。

 俺も俺で自分の異能を近衛理事長へ開示した。

 

「ほぉ、アイテムボックス、とな?」

「ええ、認識する実存存在なら、神様だって取り込めます」

「それは物凄い話じゃな」

 

 流石に999倍になるのは内緒。

 

「しかし、すごい話だね。ファンタジー世界にトリップして、この世界に帰ってくるまで向こうの世界で数千年か、その割には老けてないよね」

 

 そんな疑問を持つ明石教授へ、霊薬の飽和摂取による効果であることを説明すると、女性魔法使い達から物凄い勢いで質問が浴びせられて。

 とはいえ寄越せとは言わないあたりモラリティーを感じる。

 

「じゃぁ、あの武器もファンタジー世界のものかい?」

「ええ、高畑先生。色々と面白い道具もありますよ」

 

 そういいながら、ほいほいと魔導具を引っ張り出すと、男性魔法先生たちの瞳が輝く。

 合わせるように精霊石も並べると女性魔法先生の瞳が輝く。

 

「これは、また、恐ろしいものをホイホイと出すね」

「結構普通ですが」

 

 ガンドルフィーニ先生が驚きの声を上げるが、この辺のものはノーマルドロップなのであまり大したものではない。

 ついでに礼の刀剣類を並べると、葛葉先生が猛烈な勢いで観察を始めた。

 やはりオカルト系剣士だけあって、いろいろと見過ごせないのだろう。

 

「今並べた刀剣類は全部ダブってますんで、なにか進呈しましょうか?」

「え・・・、えええええええ! ダブってるって複数あるって事よね、え、え、えええええええ、でもでもでも、いやいやいや、でもでもでもももももももも・・・・」

 

 動揺しつつ、あれでもないこれでもないと選び始めるのは乙女の性か剣士の業か。

 結局、十束剣に列せられる天之尾羽張剣を一振り抱きしめている。

 

「と、とりえず、この剣が、この世界でも有用なのかを確認させていただくということで、預からせていただきますが、十分な対価を・・・」

「葛葉君、その剣の対価など、本気で払えると思うのかね?」

 

 近衛理事長の台詞を聞いて、ぐっと息を呑む葛葉先生。

 まぁ、正確には無限に在るんだけど、この辺は適当に。

 

「この世界で異世界の剣をモニターしてもらうんですから、成功報酬という形になりますが差し上げますよ」

「・・・・いいの?」

 

 ちょっと可愛い感じの葛葉先生は置いておいて、精霊石を借りたいとか、他の魔導具が借りたいとか色々と希望が集まって、良い感じでグダグダに。

 

 

 

「それにしても、数千歳、とはね」

「精神的にも今の見た目に固定してますんで、年齢は気にしないでください」

 

 にっこり笑う俺であったが、魔法先生たちは苦笑い。

 

「逆に、そうじゃないと帰ってこれなかった、そうだね?」

「ええ、そういうことです」

 

 肩をすくめる俺を、高畑先生は軽く撫でた。

 

「どれほどの冒険をしてきたんだろうねぇ、君は」

「数百の国の興亡を見守り、数千の戦いを見守り、数万の人々を見送りました」

「「「「「・・・・・」」」」」

 

 長命種の嫁が居なかったら、俺の心は擦り切れていただろう。

 

「其処のところを少し詳しく、長命種の嫁、かね?」

「ええ、ハイエルフと真龍の嫁ですね」

「「「「「おおおおおお」」」」」

 

 記録水晶を引っ張り出して、嫁自慢をしたところ、なぜか瀬留彦先生がガックリうなだれた。

 

「どうしました、セルピ、いえ、先生」

「もう、何とでも呼んでくれたまえ、リア充君!!」

 

 どうやら嫁が居たことに嫉妬しているらしい。

 女性魔法先生もかぶりつきで、ああでもないこうでもないと女性的チェックが厳しい。

 そういえば、エルフ嫁は葛葉先生に似てるなぁ。

 ・・・気のせいだと思いたいが。

 

 出会いとか付き合いとか、語っているうちに色々と思い出して泣けてきたけど、それでも良かったことばかり思い出せるのは、やはり後悔していないからだろう。

 そんなお気軽話から、徐々に話は確信にうつる。

 

「やはり魔法世界救済は、というよりも崩壊は確実なんだね」

「ええ、明石教授。ナギたちも戦争のためではなく、魔法世界救済のために戦っていたんです」

「・・・そうか」

 

 高畑先生は、いわゆる救世の英雄の仲間だったらしいのだが、政治的な罠のせいで政治犯として追われたり処刑寸前まで行ったりと大騒ぎだったらしい。

 そしてネギ少年の母親である亡国の女王は、メガロメセンブリアの策謀によって無実の罪によって処刑された、ことになっているという。

 

「英雄の息子で、亡国の女王の息子。そんな子供の修行の場を与えるとか、近衛理事長は勇者ですか」

「ワシだってやばい橋なのはわかっておったが、それでも受け入れねばならない理由があったんじゃよ」

 

 苦々しい表情の近衛理事長の耳元にささやく。

 

「それは、あのアルビレオ=イマが身動きが取れないことの原因が関わる話ですか?」

「・・・違うとはいいたくない。しかし今知られたい話でもない。一時的に忘れてくれんかね?」

「了解です」

 

 魔法世界の崩壊の原因は魔力の枯渇にある。

 それゆえに魔法世界が維持できずに崩壊し、現世(うつつよ)である火星表面に魔法使いたちは投げ出されたのだという。

 ならば簡単に魔力を加えてやればどうなるか?

 しぼみ行く風船に空気を加えるのだから、少なくとも萎むことはなくなるだろう。

 勿論、針かなんかで刺せばはじけるから、それなりに注意は必要だろうけど。

 

「しかし、魔力供給には、その魔道具を回す必要が在るのじゃろ? ずいぶんな負担ではないかのぉ?」

「そうですね、少なくとも世界を支えるアトラスのような役目です。かなりの報酬が必要でしょう」

「その立場ゆえに権力を欲することも考えられる、か」

「こうなると奴隷制度が疎ましいですね」

「そうですね」

 

 とかなんとか、魔法先生たちはどうも強制的な労働とか、犯罪者を魔力増幅に当てるとか微妙なことを考えている。

 なんでこんなに後ろ向きなんでしょうかねぇ、この魔法使い達は。

 

「ええ? 後ろ向きって、ほら、重労働だし、結構きついし、みんなやりたくないと思うよ?」

「なんで一人や少数に押し付けようとか思うんでしょうか?」

「「「「「・・・・・え?」」」」」

 

 やはり戦闘や戦争に浸りきった思考といえると思う。

 魔法世界と言うところはもしかするとデストピアなのではないかとすらおもう。

 

「では、どうすると言うんだね?」

 

 訝しげな高畑先生に俺は説明した。

 喜んで魔力提供してもらえる環境を作るに決まってる、と。

 

「しかしだな、風間君。かなりの人数が装置に接続され、そしてかなりの時間を費やさなければ、恒常的な魔力生成は出来ないはずだぞ」

 

 いやいやいや、割とそういう人員を確保することは簡単。

 加えて言えば、専属の人間を雇うよりやすく済むはず。

 

 さらに加えて、意欲や熱意も何倍も上になる。

 

「どうするんだね?」

 

「魔法技術と未来技術で、魔法世界にアバターを投影してファンタジーVRMMOをプレイしてるんだと偽って非生産階級(ヒキオタ)を魔力タンクにするってかんじです。接続時間の長い人間には、大量のゲーム内マネーとそれを低比率変換できるリアルマネーを渡して、MMOゲーム初リアルマネーを稼げるゲームとか宣伝すれば、非生産階級(ヒキオタ)殺到ですね」

「「「「「・・・・・」」」」」

 

 魔法先生どん引きのプランでした。

 

「魔法世界の犯罪者を使うというのはありですが、それはVRMMOのNPCの中の人として、ロールに従って演技することで接続時間によって刑期減刑、重犯罪者にはイベントが来ないNPCとして放置とか・・・」

「「「「「なんて鬼畜な!!」」」」

 

 なぜか俺が鬼畜扱い。

 先ほどまでの魔法先生の犯罪者エンジンによる魔力生成よりましなんだけどな。

 でも、収監されて無理矢理とか奴隷労働で無理矢理より、VRMMOをプレイする為の課金として魔力を収集した方が絶対に楽に集まる。

 強い魔力のものを予算ぎりぎりで呼び込むよりも、ちょっとのリアルマネーでゲーマーを呼び込んだ方が絶対に集まる。

 持続性の高いゲームやイベントを続けることで、システムは安定して、魔力の生成は極めて高い成績を残す。

 

 

 どうだ、人の欲望とはこう使うものですよ。

 

 

 魔法協会の監視下にあった超さんをひっぱりだして、俺の魔法世界救済計画を話したところ、あれの目つきになりやがった。

 そう「ハイオーク」。

 やっぱりマッドはあっちに通じるんだなぁと理解する。

 

「すごい、すごるぎるネ! ゲーム中継サーバーに魔力収拾システムを組み込めば、端末価格も普通のゲーム機並みになるネ!」

「資金は気にしないで開発してみない?」

「いいのカネ!?」

 

 ふはははは、と軽快な笑いを始めた超さんを、魔法先生たちは怖いものを見るかのように遠巻きにしている。

 

「NPCとかは幻想種の人たちに事情を話して協力してもらえばいいでしょう。つうかAIとか開発なんてしなくてもヘラス帝国の人たちに接待演技してもらえばいいし」

「それは、本当にリアルになるヨ!!」

「魔法世界救済を陰で支えるヘラス帝国とか、結構イメージアップになるって売り込めば、帝国側でも協力するでしょう」

「うんうん、いい感じヨォォォォ!!」

 

 がーーーっと腕を振り上げた超さんは、一両日中に基礎資料を作るから時間をくれといって去って言った。

 彼女をここにつれてきた魔法先生ぶっちぎりで。

 

「なにをしておる、監視を続けたまえ!」

「「はい!」」

 

 われに返った魔法先生たちがダッシュで走ってゆく。

 はたしてあのハイテンションに追いつけるかな?

 それはさておき。

 

「この方向性で魔法世界は救済できそうですけど、ほかの問題がありますよね?」

「・・・」

 

 押し黙る近衛理事長。

 魔法先生たちは何事かと近衛理事長を見ていた。

 

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