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トップページ > 神代ふみあき書庫 > 赤松・椎名系作品 > ふーにまほら > 第三話
神楽坂周辺の女子中学生から熱い説教を受けた翌日。
なぜかお詫びに女子中学生各位へ奉仕しなければならなくなった俺である。
もちろん例外はある。
報道系と腐女子系。
この二人には十分なソースを提供しているので。
だいたいは男除けの案山子としての活用であったが、近衛コノカちゃんが神楽坂さんのお誕生日が近いので一緒にプレゼントを選んでほしいとか言ってきたのは驚いた。
合わせ、裕奈も一緒に同行とか。
「ええんの、裕奈? バスケの練習あるんやろ?」
「いやぁほら、フー兄ちゃんって取り扱いが難しい危険物だから」
「へぇ、お兄さんは危険な男なんやねぇ」
とかのんびりした話。
彼女たちがいろいろと選ぶ中、俺も一応選んでみた。
「え、なんで割烹着?」
「和装普段着の一式って、アスナ着られんよ?」
「そのへんは、誰か着られる人に協力してもらって、着付けを修行してもらわないと」
サイズは一応一目で理解できるので、その辺は適当。
ざっくり帰ってきた高畑先生と神楽坂さんの会話をシュチュで実演してみると、大いに感心された。
「あかんやろ、それ。高畑先生、欲求不満で狼になるんちゃうん?」
「うっわぁ、男ってそういうのによわいんだぁ。勉強になるなぁ」
「今関係を持っても、冬休みまではばれないから大丈夫だろ?」
「「くっろ~」」
下品な冗談だったが、このレベルは女子中学生でもオッケーらしい。
それはそれとして、コノカちゃんはオルゴール、裕奈は料理本(日常のメニュー百品)みたいな感じになった。
なんというか、あれだ。
コノカちゃんはお友達の誕生日だが、裕奈は「押せ押せ」だな。
「いや~、フー兄ちゃんがアスナを押してるから、ワタシもがんばろうと、ね」
「で、実は同じ本を自分も買ってるとかなんだろ?」
「・・・え、うそ、何で知ってるの!?」
「明石さんに作ってあげたいんだろうしなぁ」
はっはっは、ファザコンの裕奈だしな。
「あ、あ、あはははは、そ、そうなんだよねぇ、ワタシ、オトウサンニ、つくってあげるんだぁ」
なんだろう、ものすごく棒読みの裕奈。
「裕奈、きばりや。アスナに比べればハードル低いぇ」
「ありがと、コノカ」
なんでか女の友情を示す二人だが、お父さんLOVEがおっさんLOVEより難易度が低いとか、結構ハイレベルな話をしてるなぁ。
翌日、神楽坂さんの誕生日会をするというのだが、さすがに女子寮にはエントリーできないので遠慮すると、会場を雪広の家で行うことになったらしい。
企業体である「雪広」の次女である彼女のための別邸が麻帆良にはあり、クラス全員を呼んでも問題ない広さなのだそうだ。
金持ち、すげーと思わなくもないが、まぁその辺はおいておこう。
一応、およばれしたので神楽坂さんへのプレゼントとパーティー用の食材なんかを持ち込んだのだが、その食材が大いに盛り上がってしまった。
そう、厨房の衆に。
「か、風間君、この肉は何なんだね!?」
「柔らかくしとやかでしつこくなくそれでいて味わい深い」
「こんなもの、初めてだ!!」
さすがに亜竜肉は大人気。
は虫類系の肉なので女の子には内緒と言うと、シェフたちが熱いやる気を燃え上がらせた。
「いいでしょう、それは我々への挑戦ですね」
「わかりました。正体不明の肉を絶品の料理に変えて見せましょう」
腕まくりのシェフたちのなかに、なぜか裕奈の同級生の女の子がいたりした。
「きみきみ、中学生はお客さんじゃなかったのかい?」
「いやいや、裕奈の想い人はオモシロイひとネ」
にっこりほほえむ顔を見たが、内心は警戒心が最高潮である。
この手の人間はいくらでも見てきたが、だいたいは破滅と滅亡が共に歩んできている。
そういう空気だ。
「・・・ああ、明石さんはオモシロイ人だよね。大学の教授だって言うのに酒飲めばご乱行、普段は常識人とかいいキャラだよね」
「・・・その上、鈍感持ちダト?」
おお、明石教授は鈍感持ちか。
こりゃ女子大生でもやきもきさせてるのかな?
「・・・あー、その話はいいとして、風間さん。あの肉をワタシにも分けてもらえないカナ?」
如何にマッド系でも食材で世界征服とかはないだろうと言うことで、手に入ったら渡す旨の約束をした。
「イクラ払えばいいカナ?」
「利益分の三割」
「・・・!」
驚きで目を見開く少女。
そういう取引には慣れているのです。
「利益分、ということは、材料費で赤字が出たト・・・」
「だから、利益分。わかっていて俺を煙に巻くつもりなら生涯に渡って相手しないけど?」
嘘くさい笑顔から真剣な顔へ。
「生涯、カナ?」
「信頼ってそういうものでしょ」
じっと見つめ合う俺と少女であったが、軍配はさておき頭を下げたのは少女。
「・・・誠心誠意の関係であることを誓うネ」
「だったら一週間以内に届けるけど、ドコに届ければいい?」
「そうネ、ワタシの店か麻帆良工学部に届けてほしいネ。詳しくは、メールするヨ」
というわけで、意図せずに女子中学生とメールアドレスの交換をしてしまった。
ちなみに、裕奈のクラスの生徒大半とアドレスを交換しているのは秘密だ。
「うわぁ、みんなありがとう!」
喜びにあふれる神楽坂さんだが、俺のプレゼントの室内和装と割烹着を見て真剣な顔になった。
「風間さん、これ、いけますか?」
「俺的にはど真ん中だね」
「そうですか、うん。ねぇコノカ、これの着付けって教わっていい?」
「ええけど、実践投入は修学旅行のあとにせなな?」
「そっか、そうだよね、うん。ネギも初めての日本旅行だし、ワタシばっかりじゃダメだよね」
「アスナ、大人になったわね」
「いい女になったじゃない」
「「「「「うんうん」」」」」
物わかりのいい女がいい女とはかぎらんが、それでも今高畑先生には必要な資質だな。
「そういえば、風間さん」
「なんだい、雪広さん」
彼女は一つの皿をひっぱりだした。
そこには揚げ物が並んでいたが・・・
「このおいしいお肉を提供していただいたのは風間さんとお聞きしましたが、産地をお聞きしてもよろしいですか?」
「一応、秘密です」
「でしたら、風間さんを通して月間どのぐらい手に入れますかしら?」
「少数入手で、約束している人優先で回しているので、俺自身食べるのは久しぶりです」
まぁ、と頬を赤らめて見せる雪広さん。
はがれた仮面の内側の話をすれば、あまりにもおいしかったので家族にも食べてもらいたかったのだとか。
「だったら、先約の超さんの後なら回すよ」
「よろしいのですか? こんなにおいしいお肉を独占できるはずですのに」
「独占したいなら誰にも食べさせないさ」
俺のその言葉を聞いて、聞き耳を立てていた女子中学生組が歓声を上げた。
「またあれ食べられる!」
「もうちょっと食べたかったんだよねぇ!!」
「風間さん、私たちにもお願い!!」
「「「「「お願い!!」」」」」
さすがに何十人分も確保されては、ほかに待っている人に回せないので勘弁してもらったが、年1ぐらいで食べられるように予定を調整することで納得してもらった。
逆に言えば、その程度しか俺も入手できないのだという印象につながる。
「そっか、でも手に入れた人の角番で食事会とかありだよね」
「そうそう、良いアイテア!」
「少なくとも月1ぐらいで食べられるんじゃない?」
なんとも逞しい話だ。
「あ、そうそう。どっかの研究室に持ち込むのは禁止ね」
「「「「「はーーーい」」」」」
というわけで、なんだかなぁと想わなくもない。
「そういえば、フー兄ちゃん。フー兄ちゃんの学校の修学旅行先ってどこ?」
「あー、俺は行かないぞ?」
「えー、なんでぇ?」
「途中入学だから」
「「「「「あーーーーーー」」」」」
というわけで、EU旅行とかついて行きたくありません。
「ですが、語学堪能な風間さんが行かないのは残念なのではないですか、クラスのみなさん」
「逆に、語学にハードルがあるメンバーで努力することに意味があると思うけど?」
とかなんとか。
で、EU旅行には行かないが、国内で適当にレポート作っておけというのが学年主任からのお達しで。
仕方ないので日本観光地を適当に巡る予定だ。
「だったら、京都にしようよ、京都!! 私たちも京都だしちょうど良いじゃない」
「あ、いいねぇ、いいわ。風間さんだったらいい男除けになるしっ」
「そうだよねぇ、適当に格好良くて見た目が悪くなくて、うん決めようよ!」
なんだろう、猛烈な囲い込みに思えるんだが。
しかしながら知り合いがいると言っても、女子中学生の修学旅行について行きましたなんて話をしたら・・・
「殺されるかも」
「「「「「えぇ・・・・・」」」」」
どん引きの現役女子中学生。
「いや、結構マジでさ。ウチのクラスの男どもにゆーちゃんの存在がバレたときなんか、一日中追いかけ回されたし」
男子高校生の嫉妬力は半端じゃない。
今回の修学旅行だって、EU旅行が無い理由の一端でもあるのだ。
もちろん虐められているわけじゃないけど。
結構、攻撃的な感情をたたきつけられている自覚はある。
とうぜんヤられっぱなしではないので、見た目は純粋な局地戦っぽいんだけど。
「じゃぁ男子高区のストリートファイトって、風間さんのことなの?」
「そういうことだね、朝倉さん」
報道部の子はげんなりがおであった。
とはいえ関西地方に集中して回るというのもオモシロイかもしれない。
うん、一週間食べ歩き食い倒れとかありでは無かろうか?
「よっし、京都は勘弁だけど、近くには行くから、そんときにはメールする」
「えー、ずっといっしょでいいとおもうにゃ~」
頭をこすりつける仕草の裕奈であるが、まぁ野良猫の甘えみたいなものだ。
あれだあれ、限りある小遣いの増加タンクとしてきたいしているに違いないわけで。
「「「「「ぎく」」」」」
該当者多数。
なんとも世知辛い話である。
ドコに話が巡ってか、何故か俺は麻帆良女子中学の校舎内にある麻帆良学園統合理事長と面談することになった。
曰く、麻帆良女子三年A組の担任のフォローをしてみないか、と。
どうも語学の敷居が低いことが知れたらしく、異国でストレス「フル」な環境を軽減したいと思っていたのは理事長も一緒だとか。
しかし麻帆良の理事会とイギリスの姉妹校の圧力が強くて押し流されているという。
「風間君、君のネギ君を思う気持ちは高畑君からも聞いておる。我々もできる限りフォローしておるが、それでも彼にかかる負担は大きい。A組の生徒をネギ君の実績のために捨て石にされているかのように思われているだろうが、学年全体で支えておるのも事実じゃ。私学の弱みをつかれているとはいえワシ等も教育者、ネギ君を含めた子供たちを守りたい、その気持ちに嘘はないんじゃよ」
まこと真摯で正面からの言葉は受け入れるにあたがうもので。
しかし。
「女子中学生の修学旅行にダイナミックエントリーという実績は勘弁してください」
「うむ、さすがに恥ずかしいかのぉ?」
「命の危険がありますので」
瞬間、なぜか空気が凍った。
理事長の顔が、能面のように固まったかのように見える。
「い、いのちの危険、かのぉ?」
「予感とか想像とか言う段階ではなく、まさしく定められた運命の道がごとくに」
そう、女子中学生の修学旅行にフェードインなんかしたら、クラスメイトにつるされてしまう、物理的に。
「そ、そうか、風間君は運命が読めるのかの?」
「目先が利く人間ならば、絶対に避けるべき危険です。もしくは死亡フラグと言っても良いでしょう」
ネタ系の話だが、こういう話はまじめにはなした方がよい。
何のかんのといっても理事長もノリノリだし。
「・・・そ、そうか、うむ、ならば無理強いはできんの」
そういいつつも、何らかのトラブルがあったら協力できるように京都半径からでない範囲で修学してほしいというお願いをされたのだが、実のところ麻帆良に来る前に自動車免許とバイクの免許を取得したので、その辺は自由闊達にさせてもらうことにする。
簡単に言うと、俺自身の持つバイクに学園のETCカードをセットして、戦気や移動なんかを監視してもらったり交通費精算してもらったり。
「・・・このバイク、ちと特殊じゃなぁ」
「クラウザードマーニは、まぁ、生身でのるスポーツカーみたいなもんですから」
「お高いのじゃろ?」
「そのへんは、まぁ、ご想像にお任せします」
確かに高い。
その所為で麻帆良には乗り入れていなくて、たびたび外の貸倉庫に整備に行ってるぐらいだし。
その貸倉庫もバイク屋の持ち物で、俺のバイクを展示しても良いという許可の元でスペースを借りている状態だ。
ともあれ、俺の修学旅行はバイクによる関西往復の旅と相成ったのでした。
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