短編ぶっこみ匣
きんいろのとり
――待って、やめて、それを落としたら君は――
黄金の鳥はその少年に向かって急降下した。
僕はある日、学校からの帰り道で変な石を見つけた。
正確にいえばその石につまずいてこけた。
僕は僕をこけさせた石を見た。
その石は、普通の灰色の石だったが、変な赤いヒビがたくさん入っていた。
思わず僕はその石を持ち上げて顔の近くに寄せてじっくりと見た。
赤いヒビはまるで血管のように走っている。
すぐに気味が悪くなって僕はそれを後ろに投げ捨てた。
カツン、と石にしては高い音が僕の耳に響く。
思わずふり返ると、目まいがして、視界がグルグルとまわりながら暗くなっていく。
目の端で金色の光が走る。声が聞こえる。
――君は・・・ に ・・・――
目を開くと一面が青だった。
すがすがしい秋の空の様だったが、その色しか見えないと、かえって不気味だった。
僕は怖くなって前に進んだ。
そこで気がつく。僕は今、足を動かして前に進んだのではなく、羽を動かして前に進んだ。
つまり今、僕は鳥だった。
それから僕は止まっていると気が狂いそうだったのでどんどんと一直線に飛んだ。
ただただまっすぐ進んでいくと、ようやく青以外の物を発見した。
それは金色の鳥だった。
そいつは僕を見るなりつぶやいた。
「金色の鳥・・・?めずらしいな」
それは僕のセリフだ。
「金色の鳥っていうのは君の事かい?」
「何を言っているんだ君の事だよ」
どうやら僕も金色らしい。
「君も金色だよ」
僕がそう言うと彼は驚いた。
「へぇ!そうか俺も金色なのか」
そんな彼の様子を見て僕はもしかしてと思いつつ聞いてみることにした。
「君はもともと人間だったのかい?」
「・・・そう聞いてくるという事は君も・・・?」
そうだよ。
「僕ももとは人間だった・・・と思う」
人間だった気はするのだが、よく思い出せないので僕はつけ加えた。
彼によると、僕は太陽と反対方向を向いてひたすら上に向かって飛んでいたらしい。
彼は笑った。
「下に行けば、ちゃんと町がある」
僕は恥ずかしかったので彼をつついてから下へ向かう。
「くやしかったら僕に追いついてみろ」
彼はすぐに追いついてきて僕をつついた。
「今度は君が鬼だ!俺が逃げるぞ」
僕は逃げる彼を必死で追った。
ちゃんと町があった。しばらく下に進むとそこは見つけられた。
人が歩いていて家があって道路があって店があった。
僕はほっとすると同時に、人間に戻りたいなと思った。
なんだか今のままだとまるで落ち着けなかった。僕は人間だ。
「ん・・・何だあれ」
彼は突然つぶやいた。
彼が見ているのは一本の道路だった。
それを見ていると分かったのは僕も変な感じがしたからだった。
「近くに行ってみようか」
僕らはそこへ向かった。
その道には一人の女の子がいた。
その子は何かを手に持っていた。
「あれは・・・」
あの石だ。
あの石が・・・あの石のせいで・・・僕は・・・僕は・・・
「あっおい待てよっ」
彼が何か言いながら追いかけてくるが気にしない。
あの石が・・・あの石に・・・あの石の・・・
・・・ひ
石を持っていた女の子がそれを投げ捨てた。
・・・ひか
何かが 何かが そうだ あれの
・・・ひかり
石が光り、僕は目がくらんで何も見えなくなった。
「ん・・・あれ・・・?」
私は振り向いた姿勢で止まっていた。
「えーっと何だっけ?僕は一体・・・」
僕?
「えっっなんで今僕って言っちゃったんだろ?おかしいな・・・」
――俺もいる、思い出せよ・・・っお前はこいつじゃないだろ、だから――
「うぅ・・・何か頭の中で誰かが喋ってるみたい・・・早く帰って寝よう」
――俺の事忘れたのか?思い出せ!なんで僕って言ったか考えろ・・・っ!――
僕・・・私はふらふらと家に帰った。私が誰であろうと構わない。
だって やっと・・・
「えっ何で私、こんな所にいるの・・・!?」
一面が青の世界で黄金の鳥が叫んだ。
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