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サウジなどイランと外交断絶 米ロが自制呼びかけ
1月5日 18時34分

サウジなどイランと外交断絶 米ロが自制呼びかけ
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サウジアラビアやバーレーンなどが、イランとの外交関係を断絶し緊張が高まっていることを受け、アメリカやロシアが関係国に自制を呼びかけるなど、中東情勢がさらに不安定化することへの国際社会の懸念が高まっています。
イスラム教スンニ派のサウジアラビアが、シーア派の指導者の死刑を執行したことをきっかけに、シーア派の大国イランとの外交関係を断絶し、バーレーンやスーダンもこれに追随するなど、緊張が高まっています。
これを受けて、アメリカ、ホワイトハウスのアーネスト報道官は4日の記者会見で、「現状を強く懸念しており、イランとサウジアラビアは緊張を緩和させる必要がある。すべての当事者に自制を促している」と述べ、ケリー国務長官が緊張の緩和に向けて両国の外相に対し、電話で働きかけていることを明らかにしました。
また、ロシア外務省も声明を発表し、「深刻な憂慮を表明する」としたうえで、「イランとサウジアラビア、それにほかの湾岸諸国に対し、宗派間の緊張を高めて事態を悪化させる行動を控えるよう呼びかける」として、関係国に自制を求めました。
中東地域で強い影響力を持つサウジアラビアとイランの間で緊張が高まり、イスラム教の宗派対立が激しさを増せば、過激派組織IS=イスラミックステートとの戦いやシリアの和平協議などに悪影響が出る可能性もあり、中東情勢がさらに不安定化することへの国際社会の懸念が高まっています。

イランのメディア「大きな影響ない」

サウジアラビアがイランとの外交関係を断絶し、周辺国などにも追随する動きが広がるなか、イランのメディアは、「大きな影響はない」などと強調しており、国民に冷静な対応を促すねらいもあるとみられます。
イランのメディアのうち、国際協調路線を重んじる改革派の全国紙は5日、サウジアラビアに続いてイランとの外交関係の断絶などを発表した中東のバーレーンやアフリカのスーダンなどの4か国について、「いずれもサウジアラビアに依存する小国ばかりだ」などと主張し、イランにとって大きな影響はないと強調しました。
また、最高指導者ハメネイ師に近く、対外強硬路線を唱える保守派の有力紙は、首都テヘランで2日に起きたサウジアラビア大使館の襲撃について、「法律や国益に反して行われたもので、こうした行為は厳に慎むべきだ」という司法府トップの発言を伝えています。
イスラム教シーア派の大国イランでは、スンニ派のサウジアラビアがシーア派の指導者の死刑を執行して以降、保守強硬派の勢力などが連日、抗議デモを続けてきましたが、5日は現地時間の午後1時の時点で新たなデモの呼びかけは確認されていません。

サウジのメディア「イランは大きな代償払う」

イランと外交関係を断絶したサウジアラビアの新聞は5日付けの朝刊で、バーレーンやスーダンもイランとの外交関係を断絶したことなどを大きく伝え、サウジアラビアの方針にアラブの国々が同調していると国民にアピールしています。
各紙はそれぞれ1面で、サルマン国王の写真とともに、「イランのろうぜきに対してアラブが立ち上がった」とか、「イランは大きな代償を払うことになった」などと伝えています。
また、イスラム教シーア派の宗教指導者ニムル師を含む47人の死刑を執行したことについても、社説などで、テロ行為を行った犯罪者を処刑したとして正当化するとともに、これに反発するイランを強く非難しています。

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