「さらばこの年(この女)! オレはもっといい年(いい女)を迎えるんだ! と言ったところで丙申年(病身女)」
これは、元旦に女性会社員のファンさん(32)のスマートフォンに同僚から送られてきたモバイル年賀状の文面だ。この年賀状をもらったファンさんは正月休み中、ずっと気分が悪かったという。ファンさんは「冗談で送ったのだと思うが、新年早々にののしり言葉が入った年賀状をもらって嫌な気持ちになった。障害者を蔑視(べっし)する言葉『病身(ビョンシン)』や、女性をさげすむ言葉と同じ発音になる言葉『年(ニョン)』を冗談で使っているので不愉快に感じた」と語った。
今年は「えと」で言えば「丙申(ひのえさる)」の年だ。「丙申」は韓国語で「ビョンシン」と読み、「病身」と同じ発音になるので、これをもじった新年のあいさつや冗談がインターネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上に広まっている。中でも多いのが、障害者を差別したり、相手を見下す「病身」を「丙申」の代わりに使い、女性をさげすむ「ニョン」を「年」として、一緒に使うケースだ。
このため、ネット上では「丙申年冗談ゼロ・キャンペーン」が展開されている。女性のイさん(22)は先週末、「2016年『丙申年』をもじって障害者や女性をバカにするようなことには賛同しません」と手書きした文をSNSにアップした。そして、知人3人を指名し、同じ写真を転載してほしいと頼んだ。筋委縮性側索硬化症(ALS)の患者を支援するためにネットで広がった「アイス・バケツ・チャレンジ」のように、指名された人は48時間以内にこの誓いを「自撮り証拠写真」と一緒にアップし、新たにそれぞれ3人を指名、キャンペーンを広めるというものだ。
また、同じ趣旨で「丙申年をネタにした冗談は言わない」という歌を作り、ネットに投稿した人もいる。
キャンペーンに賛同した視覚障害者は、「子どものころ、みんなに『目の病身』とののしられ、侮辱された記憶がよみがえる。誰かが『ビョンシンニョン』という表現に傷ついている」と訴えた。市民団体「障害者父母連帯」のユン・ジンチョル組織局長は「たとえ冗談だとしても、『病身』という言葉が障害者の弱い立場を攻撃するという本質には変わりがない」と言った。
こうした冗談が流行していることについて、亜洲大学社会学科のノ・ミョンウ教授は「昨年、一部ネットユーザーの間で特にひどくなった、障害者・女性などの社会的弱者を嫌悪する攻撃的な傾向が一般の人々にも広まっている現象だろう」と説明した。