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原作にかなり忠実に描かれていたが、「坊っちゃん」の二宮をはじめ、「赤シャツ」の及川光博、「山嵐」の古田新太、「野だいこ」の八嶋智人、「狸」の岸部一徳、そして女中・清の宮本信子など配役も演技も細かい演出も秀逸で、想像以上に2016年の今、楽しめるドラマとなっていた。
そして現在発売中のCUTの二宮和也のインタビューは、まだこのドラマの撮影中に行ったものだったのだが、改めてこのドラマを観たあとに、この記事で彼が『坊っちゃん』について語っている言葉を読んでもらうと、その深いところを感じてもらえると思う。
夏目漱石の没後100年のタイミングでの今回のドラマ化。
この小説で、夏目漱石が描こうとしたことについて二宮は「小説というよりも教育論者のなかでの予言書」「『どうせ世の中こうなっていくんだよ』っていう後味の悪い、寂しい作品」と語っている。
僕は二宮和也が、この『坊っちゃん』の本質部分に敏感に気付いている俳優だったところがこのドラマの重要なポイントだったと思う。
「正直者が馬鹿を見る世の中」であるということは、夏目漱石が亡くなって100年が経って、より根が深くなっていると言ってよいだろう。
この物語の主人公である教師の「坊っちゃん」は、生徒たちが自分に悪戯をしたことに怒るのではなく、悪戯をしたことを名乗りでないこと、または形としては謝罪しながらも本心では否を認めていないことに怒る。
二宮はこのインタビューでの発言で、夏目漱石が亡くなって100年が経ち、まさに悪いことをしても名乗りでない、形としては謝罪をしても本心では否を認めないことが子供だけでなく、(むしろ)大人の無意識の行動規範としてかなり浸透してしまっている現代の状況を指摘していると僕は思う。
そして、このインタビューで語られている俳優としての彼のこれまでの足取りからもわかるように、二宮和也はある意味、そんな現代の風通しの悪さに抗うように、正直な気性で演技の仕事に向き合ってきた俳優である。
本人は「正月に合ってるドラマなのか自分ではよくわからない」と笑いながら語っていたが、僕はそんな彼が「坊っちゃん」を演じたからこそ、新年の頭に気が引き締まるような、痛快で清々しいドラマになったと思う。(古河)
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