潘基文(パン・ギムン)国連事務総長=写真=について野党が頭を抱えている。韓国最大野党の「共に民主党」では盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に外交部(省に相当)長官を務めた潘事務総長をこれまで「潜在的友軍」と見なしてきた。
ところが、潘事務総長の「慰安婦合意は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の勇断」という発言をきっかけに、批判対象と見なす雰囲気に変わろうとしている。しかし、出身地の忠清北道の民心を考慮して強く非難もできない、はっきりしない状況になった。
同党は4日の指導部会議で、韓日政府の慰安婦合意を肯定的に評価した潘事務総長を批判した。
鄭清来(チョン・チョンレ)最高委員は過去に日本を批判した国連の慰安婦関連活動を取り上げ、「今回の合意で国連の勧告事項は一つも通過していないのに、朴大統領に『合意を歓迎する』というのは、国連事務総長個人の立場なのか、国連の立場なのかをはっきりさせるべきだ。名誉を持って国連事務総長の職を遂行してほしい」と述べた。
同党の文在寅(ムン・ジェイン)代表が「候補獲得1号」と発表した表蒼園(ピョ・チャンウォン)犯罪科学研究所所長も2日、「参与政府(盧武鉉政権)の外交部長官に過ぎなかったあなたを、国連事務総長の座に就かせたのは、故・盧武鉉大統領だった。韓日(慰安婦)交渉支持発言を取り消すべきだ」と述べた。
このように野党関係者が潘事務総長を直接非難するのは異例のことだ。文代表は先月8日、報道関係者の親睦(しんぼく)団体「寛勲クラブ」の討論会で、潘事務総長を大統領候補として獲得する意思を尋ねられると、「我が党の出身だ。我々が作り上げた国連事務総長だ。もし政治をやるとおっしゃるなら、ぜひ我が党と一緒にするべきだ」と述べた。朴大統領に近い筋の一部から潘事務総長を大統領候補者として念頭に置いた発言が出たことに対する反論だった。
ただし、野党の潘事務総長批判を潘事務総長に対する全面的な戦略修正と断定するのは難しい、というのが野党関係者の説明だ。文代表をはじめとする指導部は同日、慰安婦合意は批判したものの、潘事務総長については直接言及していない。
野党関係者は「潘事務総長を与党の潜在的な大統領選候補者と見なして完全に背を向ければ、総選挙で票の流れに影響を及ぼす可能性がある忠清道地域に悪影響を与えかねない」と語った。これは、しばらくは潘事務総長に対する「けん引と批判」を同時進行するしかないという見方だ。