体力向上、全小学校で導入へ…東京・江戸川区
鬼ごっこやゴム跳びなどの昔ながらの外遊びを全校で授業の合間に行い、体力改善を図る取り組みを、東京都江戸川区が来年度から全小学校71校で始める。試験的に導入した学校で、平均以下だった体力テストの成績が区内トップレベルに高まったため。区教育委員会によると、区市町村の全校で一斉に外遊びを導入するのは、全国的にも例がないという。【柳澤一男】
外遊びを2013年1月から試験的に採り入れている区立西葛西小学校。週に1回、授業の合間にある25分間の長い休み時間を「わくわくタイム」と呼んで充てている。
「みんなで楽しく遊びましょう」。放送が流れると、737人の子どもたちが一斉に校庭へ飛び出した。20〜30人ずつが輪になり、先生に教わりながら「十字おに」や「ぐるぐるおに」「Sけん」「長縄」など22種類の遊びを始めた。
「グー、パー、フミ、フミ、回ってジャンプ!」。1年生が笑顔でゴム跳びをし、男の子も「みんなで跳ぶのは楽しい」と喜んだ。
同校では12年度までほとんどの学年で、体力テストの成績が全国平均はおろか、全国平均より低い都平均さえも下回っていた。そこで山下靖雄校長が外遊びの時間を導入。教員は事前に外遊びのルールを覚え、リーダー役になった。「私たちが子どものころは放課後に友人と遊び、自然に体を動かしていたが今は違う。体育が苦手な子にも体を動かす楽しさを感じてほしかった」と話す。
その結果、14年度には男子が4学年、女子は5学年で、体力テストが全国平均を上回り、区内でトップレベルになった。特に反復横跳びや20メートルシャトルランなどが向上したという。子どもの意識調査では「体を動かすことが楽しい」「多くの人数で体を動かすことが楽しい」との回答が約100人ずつ増えた。
これを受け、区教委は外遊びを区立の全校、約3万5000人に広げることにした。外遊びの時間や頻度は状況に応じて各校が決める。区教委指導室の稲垣達也室長は「江戸川区の子どもの体力は都内でも低い方。昔ながらの外遊びをする子どもは減り、ゲームや室内で遊ぶ姿が目立つ。まず校庭で外遊びのコツを覚え、体力向上につながれば」と話す。