「コンテンツのVR」と「現実生活のAR」の競争

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編集部記Ricardo DiazはCrunch Networkのコントリビューターである。Ricardo DiazはZambeziのデジタル部門のディレクターである。

仮想現実と拡張現実は数十年前から存在してきたものだが、ようやく最近になってメインストリームの注目を得ることができた。

VRは現在急速に伸びているし、そのコンテンツとハードウェアの進化を目の当たりにして、わくわくしている。

短期間の内にコンテンツクリエイターは、この新しいテクノロジーを活用して素晴らしいストーリーを制作するようになった。ブランド、映画スタジオ、ゲーム会社、新しい組織はどこもこのツールとチャネルの活用方法を試している。

2016年を通してARよりVRに注目が集まるだろうが、その後ARが私たちの毎日の生活により密着したテクノロジーになると私は考えている。

コンテンツに最適なVR

The New York Timesは最近、100万個以上のGoogleカードボードをデジタル版の購読ユーザーに送った。YouTubeとFacebookは、オンラインのデジタル動画再生でもVRを視聴できるようにした。VRがクリティカルマスを超えるための準備は全て整った。

VRだけがユーザーの全ての注意をコンテンツに向けることができるメディアだ。他に注意をそらすものはなく、ユーザーはメールやテキストメッセージをチェックしたり、SNSのステータスのアップデートに気を取られることはない。伝えるストーリーに最も没入できる方法がVRだ。ヘッドセットの中の体験はユーザーの脳、心、五臓六腑に訴えるものだ。

しかしVR最大の強みは同時に最大の弱点でもある。VRの没入する体験はその性質上、ユーザーは周囲と関わることができなくなる。その場からユーザーを隔離するものなのだ。ユーザーは歩いたり、すぐ隣に何があるかを知ることはできず、他人の目を見て、その人のボディーランゲージを読み取ることはできない。VRはコンテンツを体験するのには強力な方法だが、現実世界と関わるのには実用的な方法ではない。

VRもARも私たちの現実感に影響を与える。ARは現実を増強し、VRはユーザーを現実から逸らす。

もう1つVRには大きな問題がある。コンテンツが王者だ。これは疑いようのないものであり、広告業界はこの没入体験を提供することを望んでいる。しかし、VRは私たちの毎日の生活の一部になることはない。

広告の本来の目的はユーザーのタスクや体験を中断することではなく、広告主の代わりとなってブランドに価値を付加することだ。VRはすでにコンテンツの視聴方法に革新をもたらし始めたが、私たちの毎日の生活に革新をもたらすテクノロジーにはならないだろう。

現実世界に最適なAR

ARは私たちの毎日の体験にリアルタイムで情報を付加する。私たちはハリウッド映画の中に未来を見た。アバター、マイノリティー・リポート、アイアンマン、ウォーリーなどの映画で描かれたことは近い内に現実のものとなるだろう。

しかし、ARには実装の問題があり、体感がぎこちない。スマートフォンをAR広告に向けて、品質の低いコンテンツを見たことはないだろうか?Google Glassは先進的なARアプリケーションを見せたが、最終的に失敗した。それは彼らが制作したハードウェアとテクノロジーの使い道が広すぎて、コンシューマーが抱えている問題を解決するという焦点がぼやけてしまったからだ。彼らの試みはARがもたらす未来を示したが、ユーザーのいる状況に則した利便性を届けることに失敗した。

それでもARの未来は明るい。他にも数社がARのプロダクトを制作している。MicrosoftはARのヘッドセット眼鏡のHoloLensを制作している。デベロッパーキットは2016年の早い段階でローンチする予定だ。GoogleはMagic Leapに投資した。彼らの技術は、ユーザーの虹彩に映像を投影することでARを体験できるというものだ。もう一年ほどすれば、その世界が現実のものとなるだろう。

VRもARも私たちの現実感に影響を与える。ARは現実を増強し、VRはユーザーを現実から逸らす。ARは2017年にも市場に到着し、マーケッターには状況に紐づくデータを、そしてコンシューマーには利便性を届けるだろう。

それが約束された未来で、すぐそこまで来ている。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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