■Yahoo! JAPANサービス開始(1996.04.01)
94年、スタンフォード大学のデビッド・ファイロとジェリー・ヤンはリンク集サイト『David and Jerry’s Guide to the World Wide Web』を公開。非常に好評であった。
95年、2人は『Yahoo!』を設立。事業としてポータルサイト運営を行う。
これに目を付けのがソフトウェア卸売業「ソフトバンク」の孫正義であった。ソフトバンクは『Yahoo!』に出資。
96年、ソフトバンクと『Yahoo!』は合弁でヤフー株式会社を設立。4月に『Yahoo! JAPAN』がサービスを開始した。
『Yahoo!』への出資と『Yahoo! JAPAN』の運営で大成功を収めたソフトバンクは総合通信業へ突き進んでいく。
資料:Yahoo! JAPAN 10年の軌跡
(Yahoo! JAPAN)
■日記猿人開設(1996.06.01)
ばうわうのサイト『とほほ日記』は、
『日記リンクス』ランキング上位の日記を批評(攻撃・喧嘩に近い場合も)を行うことで注目されていた。
さらに『日記リンクス』のランキングで不正行為を行ったサイトに対する批判もしていた。
もっとも、ばうわうにもランキング不正疑惑があったのだが・・・
『日記猿人』はばうわうによる手動の日記リンク集。手動な理由はばうわうにプログラミング技術がなかったから。
プログラミング技術が無くても、自力でなんとかしてやろうというばうわうの姿勢は評価され、支持を集めた。
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『webarchive』 に残っている『日記猿人』の月間ランキング(97年2月)。
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■嬲リンク事件(1996.06.11〜1996.07.xx)
『Comoesta's Japan HomeVage』はライター「コモエスタ坂本」のサイトである。
コモエスタ坂本は96年3月、『Comoesta's Japan HomeVage』内に「使えないページ」というページを作った。
これはネガティブリンク集であり、くだらないサイトに対しネガティブなコメント付きでリンクを貼っていった。
「使えないページ」の語源は、文字通り「useless page」である。 alt.binary.tastlessの世界が「味のない世界」と訳され、ある種の独自の世界を構築していたように、この「使えない」世界もグローバルに旬である。先人の研究結果は「Useless WWW Pages」やMirky's Worst of the Webを参照してくれ。
「インターネット」と「ホームページ」というかけ声だけ先行している昨今、「使えない」奴らの間抜け具合は素晴らしい。私はページを神経細胞になぞらえているが、これら「使えない」ページは、そのうち死滅していくに違いない。それらがどうして死滅していくかは、私の病態学的な研究心をそそってやまない。
「使えないページ」の定義はこうだ。あまりにつまらなすぎて「ああ、くだらねえ」と笑うしかないもの。しかしそれが作者の意図に乗って面白いものなら駄目。そして、それなりに完成度が高い事。初心者にありがちな技術的なミスや、未完成の部分を指摘するのではない。ページとしてはある程度出来上がっていて、しかも誰が見てもつまらないと思える、これが重要なのだ(何が重要なのだか)。
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使えないページについて(Comoesta's Japan HomeVage)
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4月19日、コモエスタ坂本は『Comoesta's Japan HomeVage』内に「嬲リンク」というページを作った。
「嬲リンク」ページでは主に自意識過剰で自己顕示欲の強い女のサイトに対しネガティブなコメント付きでリンクを貼る。「使えないページ」と同じくネガティブリンク集である。
そしてその対象となったサイトの一つが「やすぴょん」という人物のサイト『Lady's Homepages』であった。
コモエスタ坂本は『Lady's Homepages』を観察した。『Lady's Homepages』はリンク集サイトなのだが、リンク対象は女性が管理人のサイトであり、女性を褒める内容のコメントと共にリンクを貼っていた。
コモエスタ坂本は『Lady's Homepages』の「やすぴょん」が男であることを見抜いた。そしてやすぴょんの下心を感じた。
この「やすぴょん」のページもひと月ぐらいあたためていましたかね(笑)。このページ、当初は「Lady's Homepages」って名前のリンクページで、バック色がピンク、テキストの文体も内容も女っぽく、「やすぴょん」が自己紹介を書いてなかったんですよ。要するに偽装娘ページ、いわゆるオカマページだったんですね。奴さんが何を目論んでたのかは一目瞭然でしょう(笑)。単にページを作っている女の子にお近づきになりたいと。実像は非常に粗暴で男くさい、家庭持ちの間抜けなサラリーマンだったんですがねえ(笑)。
で、「やすぴょん」はその後、自己紹介を掲載して、相変わらずな内容のページを作り続けていました。何が間抜けかと言えば、ページ中のコメントに尽きますかねえ。「あったかくて、かわいくって、センスの良い、女性のページを選びました」とか「エチケットを守って、頑張ってる女性をみんなで応援していきましょう!!」とか、またそれぞれのリンクに冠しているコメントなども枚挙にいとまが尽きないのですがね。それで、この「やすぴょん」の勝手な思い込みと、無意識的な下心のギャップが面白かったので、6月3日に「嬲リンク」に掲載しました。その背景としては、当時も現在もですが、この手の「娘ページリンク集」ってのが多発してるという状況がありますかね。こういうリンク集は、大抵娘ページを作ってる側にリンクページの主催者が許可を取るか、もしくは娘が自分で応募してくるか、という方式が主流なんですが、この主催者側も他人のフンドシ的な奴か、下心的な奴が大半で、また娘側も自己顕示欲の強いだけの間抜けな女が多いという図式になっていたんですね。そこで、ミュージアムを標榜する「嬲リンク」としては、この構造を喝破したいと思いまして。
まあそういうサンプルにはうってつけだったんですよ、この「やすぴょん」のリンク集は。
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コモエスタ坂本インタビュー「嬲リンク事件」の内幕(インターネットXファイル98)
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コモエスタ坂本「嬲リンク」に『Lady's Homepages』へのリンクを加える。もちろんネガティブなコメントと共に。
「女衒」
このページを作っている「やすぴょん」は男。これは娘ページへのリンク集、いわゆるポン引きページだが、リンク集+リンク集のリンク集と程良くまとまっている。腐れフェミニスト万歳。 (06/03/96)
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嬲リンク(Comoesta's Japan HomeVage)
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これを見た『Lady's Homepages』のやすぴょんがコモエスタ坂本に嬲リンクの削除と謝罪文の掲載を要求。
コモエスタ坂本は反論する。「これからも「やすぴょん」こと村田康人に対する「嘲笑」を続けます」。
このことが原因で『Lady's Homepages』は閉鎖となったのだが、やすぴょんはASAHIネットに『Comoesta's Japan』の削除要請を出していた。
個人サイト間でのいざこざであったがASAHIネットは介入し、コモエスタ坂本に嬲リンクの削除を要求。
コモエスタ坂本はこれを「事実上のプロバイダによる検閲」とし、サイト上で抗議した。するとASAHIネットは抗議が書いてあるページを削除。
さらに嬲リンクを削除したのであった。
資料:『インターネットXファイル』原稿(96年7月)
(大森望のSFページ)
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