このように、1日の移動の効率性を考えるのではなく、その後の仕事の結果や成果に焦点をあて、移動する手段を考える人もいるのです。
そもそも人類は、アフリカで誕生し、海岸線沿いに移動して、世界中を移動していたそうです。元々、人類は旅をする生き物であり、人間の脳もそれにともなって進化していったとも言われます。「移動」するという行為が、「脳」を活性化させる要因となっているのでしょう。
夏休み明けのリーダー
「早く斬新なアイデアを伝えたい!」
また、こんなエピソードもあります。
7月中旬より3週間程度夏期休暇を取っていた外国人上司が、お盆の時期に日本に戻ってきたことがあります。お盆の時期ですから、ちょうど多くの人たちが、お盆休みに入っているところでした。
3週間のサマーバケーションを終え、オフィスに戻ってきた上司は、真っ先に私に次のように言うのです。
「マネジメントチーム全員に今すぐ会いたい」
新たに生まれた斬新なアイデアを早く伝え、みんながどう思うのか、どのようにビジネスを展開していくのかを早急に話し合いたいと考えたのでしょう。
しかし、お盆の時期ですから、出社している人はほとんどいません。休暇に入る前に、「帰国された時には、日本はお盆の時期に入っていますから、出社している方は少ないですよ」とお伝えしていたのですが、すっかり忘れていたようです。
「どうしても、早くみんなと話をしたい」と言うのですが、マネジメントチームの皆さんに連絡をしたとしても、「よりによって、なんでこんな時に」と不満に感じることは目に見えています。
上司の気持ちも痛いほどわかりましたが、日本のお盆の風習について説明をし、「今すぐに」というのはあきらめてもらいました。この時の残念な上司の顔が、いまでも忘れられません。
それほど、休暇を取る、つまり、いつものビジネス環境から離れ異空間に身をおくということは、仕事をするうえで重要なのです。