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悪用口座名義の8割が実習生 不正送金、中国人が大半

 インターネットバンキングの口座から何者かに多額の金を抜き取られる不正送金事件で、愛知県警が昨年1〜11月に送金先として悪用された口座を分析したところ、84%が来日した外国人技能実習生らの名義だったことが分かった。大半が中国人で、帰国前に売却するなどした口座が犯行グループに渡ったとみられ、県警は実習生の受け入れ仲介団体などと連携して、対策に力を入れる。

 県警サイバー犯罪対策課が、事件の送金先に使われた口座のうち、名義人の住所が県内にあった101人分を調査すると、技能実習生が85人に上った。全体のうち、91人(90%)を中国籍が占め、78人(77%)が既に帰国していた。口座を他人に譲渡するなどした疑いで、10人を逮捕。多くは「お金が欲しかった」という動機だったという。

 県警は、犯行グループや周辺者らが、実習生らが帰国する前に口座を作らせたり、譲渡させたりしている疑いがあるとみている。

 さらに10〜11月に発生した不正送金事件15件を分析すると、何者かがネットバンキング利用者の盗まれたIDとパスワードを入力後、資金が別口座に移された上で引き出されるまで、平均わずか16分だったことも判明した。

 中国などから不正アクセスして被害者の口座から資金を移動させつつ、日本国内で引き出し役が待機している可能性があるとみられる。不正が発覚する前に迅速に送金先口座から出金するなど、組織的犯行の疑いが強い。

 サイバー犯罪対策課の担当者は「資金はあっという間に引き出され、取り戻すのは難しい。しかし、対策を取ることで被害に遭うリスクを減らすことができる」と指摘。県警は、外国人実習生らを受け入れる事業者に実態を伝え、加担させないよう呼び掛ける。

 愛知県内の不正送金事件は昨年1〜11月、被害額が2億円余と、前年同時期より約3千万円増加。被害件数は50件と半減したが、法人被害が多発して、1件あたりの被害額が大きく押し上げられた。県警は法人への啓発も強化する。

 一方、12月14日には、ソーシャルネットワーキングサービス「QQチャット」内のブログで、「各大手銀行キャッシュカード、高価回収」とうたい、口座を買い取ろうとしたとして、犯罪収益移転防止法違反(広告勧誘)の疑いで中国籍の男を逮捕。口座売買の一端が浮かび、県警は背後関係などを捜査している。

(中日新聞)

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