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「カフェイン中毒死」はなぜ起きる?エナジードリンクは悪者か

THE PAGE 1月5日(火)9時0分配信

 昨年12月21日、九州地方の20代の男性が「カフェイン中毒」で死亡したと発表された。男性は日常的にカフェインを含んだ清涼飲料水「エナジードリンク」などを摂取していたと報道され、エナジードリンクやコーヒーなどカフェインを含む飲料を不安視する声が相次いだ。カフェインは、健康に有害なのだろうか。

 報道によれば、男性の血液中から致死量のカフェインが検出され、カフェインの大量摂取による中毒死と判断された。「エナジードリンク」を日常的に摂取し、胃からはカフェインを含む粉末が検出され、体調不良や嘔吐を訴えていたという。カフェイン中毒死としては、日本初の事例とみられる。

 カフェインは、緑茶やコーヒーに含まれる成分で、清涼飲料水や食品に使用されている。帝京大学ちば総合医療センターで血液内科を専門とし、カフェインを薬として患者に処方することもあるという津田健司医師は「カフェインは古来より薬としても用いられており、カフェインが健康に悪いとは一概には言えない」と話す。1日4杯のコーヒーを飲むことで、死亡リスクが16%低下したという研究もあるという。

 カフェイン中毒とは、カフェインの過剰摂取により人体に障害が生じている状態をいう。公益財団法人日本中毒情報センターによれば、1グラム程度の摂取で中毒症状が人によって出はじめ、2グラムの摂取で多くの人に中毒症状が出てくる。5グラムの摂取で重篤な副作用が発生し、7グラムの摂取で致死量に至るという。初期の中毒症状は、嘔吐や動悸、震え、筋肉痛で、重篤になると不整脈や痙攣(けいれん)による窒息で死に至るという。

 通常1杯のコーヒーに含まれるカフェインは、60ミリグラム。エナジードリンクには1本80ミリグラム、眠気覚ましをうたうドリンク剤には1本120ミリグラムのカフェインが含まれている。重篤な副作用が出る5グラムを摂取するためには、1日あたりコーヒーは80杯、エナジードリンクは60本、眠気覚ましドリンク剤は40本飲まなくてはならない計算になる。

 津田医師は「妊婦を除く成人であれば、コーヒーやエナジードリンクを飲んでカフェイン中毒による重篤な副作用が出る可能性は極めて低く、死亡に至ることはほぼない。カフェインは頭痛薬など薬としても処方されており、1回300ミリグラム、1日3回まで処方することが国で認められている」と説明する。ただし、子供のカフェイン中毒量は成人よりも少ないので、安易に子供にエナジードリンクを与えないことは重要だという。

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最終更新:1月5日(火)9時0分

THE PAGE