昨年12月29、31日にさいたまスーパーアリーナで行われた「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND―PRIX」は、旧PRIDEスタッフによる新格闘技イベントとして大きな注目を集めた。KO決着連発の激闘が続いたなか、貫禄を示したのが約3年半ぶりに復帰したエメリヤーエンコ・ヒョードル(39)だ。圧巻の183秒TKO勝利を飾った“氷の皇帝”は、勢いそのままに本紙の新春直撃で本音を激白。2016年の展望から、物議を醸した元横綱曙(46)VSボブ・サップ(41)までぶった斬った。
――シング・心・ジャディブ(28)との復帰戦を振り返って
ヒョードル:勝てたのは良かった。しかし私を含め「チーム・ヒョードル」は試合をするごとに分析をします。常に自分たちが何をしないといけないか探しています。
――完璧な内容だった
ヒョードル:ありがとうございます(笑み)。でも、常に直さなきゃいけないところを探すのは私のプロ意識なのです。
――ロシアでは再び引退の噂も出ている
ヒョードル:それはあり得ません。まあ、毎日毎日が戦いですけどね(笑い)。米UFCに進出? それもありません。RIZINといい関係にあるし、RIZINファンに喜んでもらえるファイトをしたい。
――RIZINの榊原信行実行委員長(52)は「次戦はビッグネームを当てたい」としている
ヒョードル:それに向けて備えます。まずはここ半年厳しい合宿をしてきて、家族とも過ごせなかったので、しばらくは家族とゆっくりしたい。しかし1月末からは準備に入ります。
――ヘビー級トーナメントで優勝したキング・モー(34)も候補だ
ヒョードル:もし戦うことになったら私は構いません。ただ、一番大切なのは日本のファンが面白いと思う試合ができるかどうか。榊原さんと話していい相手にしたい。もちろんモーはチャンピオンになったので、いい相手だと思います。
――29日大会ではワジム・ネムコフ(23)ら「チーム・ヒョードル」の若手4選手が全勝
ヒョードル:軽量級から私より重い選手まで、まだまだいます。残念ながら今回の大会にすべては出せなかったが、今後ともRIZINに出していきたい。日本VSチーム・ヒョードルの対抗戦も面白いかもしれません。
――大みそかに快勝デビューしたギャビ・ガルシア(30)と戦えるような女子選手は
ヒョードル:私のチームにはいないが、ロシアでMMA(総合格闘技)をやっている女子選手はいます。ただ、個人的な考えだが、MMAは男子のスポーツだと思う。女性がやるのは支持できない。
――柔道の五輪金メダリスト石井慧(29)は29日大会で96秒TKO負け
ヒョードル:石井さんはもっと練習しないといけない。それと支えるコーチやトレーナーといったチームをもっとしっかりしたものにしたほうがいいでしょう。石井さんも柔道をやめて7年。成長はしてるはずなので、さらに成長するためにはチームをしっかりさせることです。
――自身の復帰戦前に行われた曙VSサップは見たか
ヒョードル:見ました。観客はああいう大きな人同士がやると楽しいでしょう。でも、それをより興味深いものにするには、もっとテクニックを磨かないといけない。もちろん曙さんが伝説の力士なのは知っています。しかし、有名だからこそ格闘技をやるならもっと練習してほしい。サップにも同じことが言える。大きくて力は強いけど、攻撃のテクニックはまったくない。
――親交のある元大関バルト(31)は大みそかのデビュー戦で判定勝ち
ヒョードル:うれしかった。デビュー戦としては内容も良かった。そして相手のピーター・アーツ(45)も良かったですね。バルトも今後もMMAを続けるなら、しっかり練習をしてほしい。
――あと、日本で何回ファイトが見られるか
ヒョードル:それは言えません。自分は39歳。今のところ体の調子はいいですが、それがいつまで続くかは誰も分からないことではないでしょうか。
☆エメリヤーエンコ・ヒョードル=1976年9月28日、ウクライナ生まれ。2歳でロシアに移住。柔道、サンボを習い、2000年リングスに初来日。03年PRIDEヘビー級王者となり、10年間無敗の記録を打ち立て「60億分の1の男」の称号を手にする。12年6月に引退し、ロシアスポーツ省特別補佐官に。昨年大みそかに復帰。183センチ、100キロ。
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