米国株:大幅安、中国の成長懸念が再燃-15年ぶりの悪い年明け (1)
2016/01/05 08:08 JST
(ブルームバーグ):4日の米株式相場は大幅安。S&P500種株価指数は年明け初日としては15年ぶりの悪い成績となった。中国株の急落を受け、同国の景気減速は世界の経済成長を弱めるとの懸念が再燃した。
中国の製造業購買担当者指数(PMI)が活動縮小を示し、世界的な株安となった。米供給管理協会(ISM)が発表した12月の製造業総合景況指数はここ6年余りで最も速いペースで縮小し、中国の景気減速が波及しているとの懸念が強まった。サウジアラビアとイランの緊張が高まっていることも不安材料。
S&P500種株価指数は前営業日比1.5%安い2012.66で終了。一時は2.7%下げる場面もあったが、終盤の30分で下げ渋った。ダウ工業株30種平均は276.09ドル(1.6%)安の17148.94ドルで終えた。ナスダック総合指数は2.1%下落。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は14%上昇と、3週間ぶりの大幅な伸び。
ジョーンズトレーディング・インスティチューショナル・サービシズのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オローク氏は「米国から悪材料が数多く出ている上、中国は今年を通じて強気になれる材料が多くないことをあらためて示している」と指摘。「強気相場は景気拡大、収益改善、金融緩和政策という三つの要素が原動力だったが、景気拡大過程でそのうちの二つを失った」と述べた。
中国では製造業活動の悪化を背景に、CSI300指数が前営業日比7%安となり、取引が停止された。昨年夏の株価急落時に前例ないの規模で株価浮揚策を講じた中国当局は、金融市場の荒い値動きが経済を圧迫するのを回避しようとしている。
1927年までさかのぼれるブルームバーグのデータによると、S&P500種は過去6番目に悪い滑り出しとなった。最も悪かったのは1932年の6.9%安で、2番目はドット・コム・バブル崩壊の渦中にあった2001年の2.8%下落だ。この2例の場合、通年では平均14%下落した。ただ、年明けの成績がワースト5の場合、通年では平均5.1%上昇している。
S&Pダウ・ジョーンズの指数は、取引初日の動向が通年の成績を全く予測できていないことを示している。データによると、S&P500種が取引初日と同じ方向で年を終えたのは50.6%だった。1月の成績はもっと予測の精度が高く、72.4%の確率で同じ方向で年を終えている。
2015年のS&P500種は最高値を更新する一方で4年ぶりの大幅安も経験し、結局は0.7%安で終えた。昨年の投資家心理は利上げに耐え得るほど景気は強いという楽観的な見方と、中国の景気減速が世界経済に悪影響を与えるとの懸念の間で揺れ動いた。中国をめぐる懸念は商品価格や素材株の下落をあおった。
ロバート・W・ベアードの株式部門バイスチェアマン、パトリック・スペンサー氏によると、サウジとイランの緊張が高まっていることもこの日、不安をあおった。同氏は「中東懸念に加え、中国の問題深刻化は全て短期的な弱さにつながっている」と指摘。その上で「見通しは引き続きまずまずのようで、特に消費と住宅市場の改善に絡んだ分野では軟調な場面を利用して選別的な買いを入れるべきだ」と述べた。
S&P500種では全10セクターが下落した。特にヘルスケアや選択的消費株の下げがきつかった。マイクロソフトやアルファベット、フェイスブックが安い。ナスダック・バイオテクノロジー指数は3.2%下落。
金融株はJPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴを中心に下げた。金融株指数を構成する87銘柄のうち83銘柄が値下がりした。
この日の取引では2015年の勝ち組と負け組の一部が入れ替わった。昨年、けん引役だったネットフリックスやアマゾン・ドット・コムが大幅安。一方、昨年の下落銘柄で上位だったチェサピーク・エナジーやコンソール・エナジーはこの日、大きく上げた。
S&P500種のエネルギー株指数はこの日、0.2%安と、最も下げが小幅だった。
個別の企業ニュースで動いた銘柄としては、製薬会社バクスアルタが5.5%上昇し、最高値を更新。アイルランドの製薬会社シャイアーが同社を現金と株式合わせて約320億ドル(約3兆8500億円、債務を除く)で買収する交渉を進めていると、ブルームバーグ・ニュースが報じた。
病原性大腸菌やノロウイルスの感染問題に揺れるチポトレ・メキシカン・グリルは6.5%下げ、約2年ぶりの安値。アナリストは2016年が厳しい年になると予想した。
原題:U.S. Stocks Tumble After Selloff in China Renews Growth Concern(抜粋)
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更新日時: 2016/01/05 08:08 JST